エンジニアの働き方にスポットを当て、企業の魅力、働きがいを探るこの企画。今回は「プチコン」シリーズをはじめ、愉快なモノ・コトづくりに邁進するゲーム制作会社スマイルブームを取材しました。
大人気「プチコン」シリーズを提供する株式会社スマイルブーム
株式会社スマイルブームは、北海道札幌を本拠地とするゲーム制作会社です。ゲームやツール、コンテンツの企画や開発を得意としており、愉快なゲームやツールの企画、開発、コンサルティングで事業展開をしています。
8bitのパソコンから始まり、家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機まで、あらゆるマシンでハードウェアの特長を生かせるよう、さまざまなジャンルのソフトを創出してきた同社は、2011年から続く「プチコン」シリーズをリリース。また、プログラミングをすることなく、直感的な操作で高度な機能を使い、どなたでもRPG制作を楽しめるゲーム開発ツール『RPG Developer Bakin』も、Steamにてアーリーアクセス中です。
ゲーム制作の他、子供向けプログラミングワークショップの開催や高校・大学で自社商品を使ったゲーム制作の実習など、教育活動の支援にも積極的に取り組んでいます。
会社名 | 株式会社スマイルブーム |
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住所 | 【本社】 札幌市北区北9条西4丁目7番4号 エルムビル 【支社(横浜おもしろ研究所)】 横浜市中区山下町25-15 メットライフ山下町ビル |
事業内容 | ・愉快なゲームやツールの企画、開発、コンサルティング ・愉快なインターネットコンテンツの企画、開発、コンサルティング ・愉快な携帯電話向け情報配信サービスの企画、開発、コンサルティング ・愉快なキャラクター商品の企画、デザイン及び権利等の管理 |
設立 | 2008年1月15日 |
公式ページ | https://smileboom.com/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) フレックスタイム制度(コアタイム10:00-15:00) |
ユーザーの喜ぶ姿を考えた思いやりのある商品づくりをモットーに、身近な人の笑顔から少しずつ笑いの輪が広がり、いつしか世界中に笑顔が広がることをミッションに掲げる株式会社スマイルブームには、どのようなエンジニアが在籍し、活躍しているのでしょう。
そこで今回は、働き方や開発環境について、取締役の田中美幸さんにお話を伺いました。
家族で楽しめるゲームを開発し、未来のクリエイターを応援
▲看板商品「プチコン」シリーズの作品
編集部
はじめに、スマイルブームさんの事業の特徴についてお聞かせいただけますでしょうか。
田中さん
当社は他社様からご依頼をいただいて、企画・開発を行う受託開発と、スマイルブームとしての企画開発、そして販売までを行う自社オリジナルコンテンツの開発を行っており、会社設立当初から“殺伐としない愉快なコンテンツ” を創り続けていくことを掲げています。
当社の看板商品である「プチコン」シリーズをはじめ、子供からお年寄りまで、家族みんなで一緒に遊べるようなものを世の中に送り出すことをモットーに、日々、愉快なものづくりに挑戦しています。
編集部
楽しみながらプログラミングを学習できるプチコンシリーズですが、開発にはどのような思いが込められているのでしょう。
田中さん
弊社は、ものづくりがしたいお子様や、未来のクリエイターを応援するための開発ツールを作り続けることを社是としております。最新シリーズの「プチコン4 SmileBASIC」のように、Nintendo Switch™でプログラムを組み、自由に自分の思うゲームを作る体験を通じて、子供達や若いクリエイターの皆さんにとって、将来につながるようなお手伝いができたらと考えています。
プチコン4は、プログラミング言語「SmileBASIC」を使うので、代表の小林や私のような40代、50代くらいの世代の皆さまが最初に興味を持ち、後に子供と一緒にゲームを作って楽しんでいるといったエピソードもお聞きしたことがあります。
ユーザー作品を商品化。ゲーム業界の人材育成に尽力
▲ユーザー作品『OLLLO』
編集部
「プチコン4 SmileBASIC」では、 ユーザー作品を商品化するプロジェクトがあると伺っております。とても面白い取り組みですよね。
田中さん
ありがとうございます。このプロジェクトでは、ユーザーである作者さん自身と弊社が協力して開発から販売までを行います。任天堂様のeショップに作者さんの作品が並ぶことは、感慨深いものがありますね。
ハードルが高いという印象も強い開発者としての登録作業や販売等の手続きを当社が代行することで、商品化の夢を実現し、より多くのクリエイターを発掘して、未来のゲーム業界の人材育成につなげたいと考えております。
編集部
自分が作ったゲームが商品化されることは、ユーザーにとってこの上ない成功体験になりますね。
ゲーム開発を主軸にミドルウェアの提供も手掛けることができる
▲プログラミング不要でRPGが制作できるツール「RPGDeveloperBakin」
編集部
自社商品の開発から受託開発まで幅広く事業を展開されているスマイルブームさんですが、現在、何名のエンジニアが在籍されているのでしょうか。エンジニアの特徴も含め、お聞かせください。
田中さん
役員を含め、約40名のメンバーが在籍しています。その中で、当社のエンジニアは、個々がプロフェッショナルに徹し、集中できる環境を好む者が多いように感じます。
とはいえ、食事会など社内イベントがあるときは必ず参加してくれる方も多いですし、リモートのメンバーもいるからこそコミュニケーションを密に取ることの大事さをメンバーはみな理解しています。
編集部
スマイルブームさんにジョインすることで、エンジニアはどのような開発に携わることができるのでしょう。
田中さん
当社は自社商品や受託開発のゲームの他、内製ゲームエンジンKMYをはじめとした各種ミドルウェア、フレームワークの提供も行っています。この両方の開発に携われるのが当社の特徴です。
高いスキルが求められるミドルウェア領域ですが、専門スキルを持ったエンジニアの存在だけではなく、シニアエンジニアの経験や知識がクライアント様に高く評価されていると自負しております。当社のエンジニアはどのレイヤーにおいても常に新しい技術や言語を勉強、習得することに尽力しており、クライアント様により良いシステムを提案できることを強みとしています。
編集部
エンジニアがスキルアップをすることを目的としたスマイルブームさんならではの取り組みなどがあればぜひ、お聞かせください。
田中さん
資格の勉強と実務とでは異なる部分も多いと思いますし、資格取得に関してはそれほど強くは推奨していません。業務上、新しいソフトや新しい言語の知識が必要になった際は、そのスキルを持ったシニアエンジニアがデザイナー向けの勉強会を開催することもありますし、必要な情報は自ら取りに行くことが必要になります。
エンジニアも企画出しからジョイン、アイデアを発信!
編集部
スマイルブームさんのエンジニアは、どのようなことにやりがい、面白さを感じられていると思われますか?
田中さん
「何か面白いことをやりたい」、「このゲーム機で何ができそう?」など、ざっくりとした依頼を受けることも多い当社では、企画出しの段階から全社員でアイデアを出し合う機会もあります。仕様書通りにプログラミングをするのではなく、もっと根本から開発に携わることに面白みを感じるメンバーが多いように感じます。
アイデアを募る時は、集まって意見を募集することもありますが、社内のグループウェアの中に部屋を作り、小ネタでもなんでも、思いついたら書き込むスタイルが最近は多いかなと思います。
エンジニアの負荷軽減を考慮した事前作業の徹底
編集部
続いて、エンジニアの開発環境について伺います。受託開発の場合、スケジュール管理が特に重要になってくると思われます。エンジニアの働き方、環境にも大きく影響しますが、スマイルブームさんではどのような取り組みをされていますか?
田中さん
受託開発には納期が必ずあります。そこに向けたスケジューリングを徹底することはもちろん、お受けする前に認識の齟齬がないよう、現場の状況を常に把握している現場の開発部長にも、必ず確認・相談をする事前作業があります。それでも、当社側の見積の甘さや目測を誤ることもありますので、そこは引き続き今後も課題だと感じています。
また、受託開発の場合は、先方の要求が途中で変わることがあります。その際いただいたご要望をそのまま受けるだけではなく、事前作業を徹底することで、できないこともお伝えするというのが当社のポリシーです。
無理に承諾した結果、できなかった場合のリスクは弊社にとってもクライアント様にとっても甚大です。それを避けるため、仕様が追加された場合には経験豊富な弊社のスタッフがクライアント様と摺合せを重ねます。ご要望を実現するためにより効果的・効率的なご提案をさせていただきながら、必要な制作期間やスタッフの追加も含めて、より商品が良くなる適切な落としどころをクライアント様と協議させていただきつつ開発を進めています。
編集部
クライアントにより良いシステムを提供することに加え、エンジニアの負荷軽減も考え、事前作業を徹底されているのですね。
フルリモート&フレックスタイムによる柔軟性のある働き方
編集部
本社がある北海道札幌市の他、神奈川県横浜市に支社を置くスマイルブームさんでは、エンジニアの方はどのような働き方をされているのでしょう。
田中さん
現在は基本的にフルリモート勤務となっています。なかには会社の方が集中できるというメンバーもいるので、毎日出社のスタイルを選択している者もいます。コロナ禍を機にリモート勤務が加速した当社ですが、もともとリモートワークがやりやすい業界ということもあり、少数ではありますが、コロナ禍以前から家庭の都合で出社とリモートによるハイブリッド勤務の相談を受けることもありました。
機密に関することなどを徐々にクリアにしながら、本人の希望と会社としての見解を総合的に判断し、問題がない働き方を選択できるようにと考えています。
編集部
リモートワークと出社の割合はどれくらいなのでしょう。
田中さん
プロジェクトの状況によって変わります。出社が必要なプロジェクトに配属になった場合は、毎日出社するケースもありますが、それ以外であれば1ヶ月に1回の出社、週に1〜2回ぐらいの者もいます。
編集部
なるほど。ライフスタイルに合わせて柔軟な働き方ができるスマイルブームさんですが、勤務時間はどのように定めているのでしょう。
田中さん
コアタイムを10時から15時とするフレックス制度を導入しています。ただし、コアタイム中、通院や子供のお迎えなど、中抜けする場合は他のメンバーとしっかりコミュニケーションを図り、お互いのスケジュールを共有することで柔軟に対応しているのが現状です。とはいえ、コアタイムを設定している以上、この点をどう考えていくかは会社側も曖昧にせずに、今後の取り組み方、そして規程もどのようにしていくかは考える必要もあると思っています。
編集部
働き方に柔軟性を持たせつつも、スケジュール管理などはしっかり行い、メリハリのある働き方ができるというわけですね。
オンライン&対面による面談と社内イベント再開でコミュニケーションを強化
編集部
働き方が多様化すると、メンバーのコミュニケーションが課題になると思われます。スマイルブームさんで工夫されていることはありますか?
田中さん
そのあたりはまさに発展途上にあります。コロナ禍を機にフルリモートになったことでコミュニケーション面や意思の疎通など、やり方を考える必要があると感じています。
自分から問いかけをしたり、発信ができる社員に関しては特に大きな問題はないかもしれませんが、そういったことがあまり得意ではない場合、1日中ずっと1人きりで業務に当たるのはメンタル的にあまりよくありません。
ここ最近は自粛していた食事会や忘年会などの社内イベントの再開、代表の小林が出社しているときは、ランチを一緒に食べるなど、対面でのコミュニケーションにも力を入れていきたいですし、定期的なオンラインミーティングだけではなく、出社による面談の場、リアルなコミュニケーションの場も必要だと考えています。
求む!プランナー職。自主的に行動できる方を歓迎
編集部
子供からお年寄りまで、家族みんなで一緒に遊べるゲームの開発や、御社の働き方に感銘を受けた読者は多いと思われます。最後に、転職を検討している読者に向け、メッセージをお願いします。
田中さん
当社では現在、ゲームの企画を考えたり、プロジェクトに関する様々な業務の担当、取引先様との窓口を担うプランナーという職種を広く募集しています。デザイナーやプログラマーからプランナー職に就いた事例もあるので、ゲーム開発全体を見ることに興味がある方を歓迎します。人物像としては、言われたことだけをやるのではなく、自主的に行動できる方を求めます。
自社商品の開発においても受託開発においても、自身のアイデアを積極的に発信したい方はぜひ、ジョインいただければ幸いです。
編集部
採用について伺います。スマイルブームさんではインターン生をどのようなかたちで受け入れているのでしょうか。
田中さん
インターン生に関しては、学校訪問などで関わりのある大学から問い合わせがあった際など、タイミングが合った際に受け入れています。機密的なものが多いプロジェクトを手がけている時期はどうしてもお断りせざるを得ないこともあるので、継続的なインターンシップは導入できないのが実情です。
もちろん、大学側と当社のタイミングが合った際は、積極的にインターン生を受け入れるようにしています。
編集部
ゲーム制作のみならず、ミドルウェアの提供、未来のクリエイターの育成に尽力されているスマイルブームさんには、エンジニアとしてのスキルだけではなく、人間力を高める働き方ができることを今回の取材を通して感じました。
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社スマイルブーム:https://smileboom.com/
採用ページ:https://smileboom.com/recruit/