経営理念やパーパスを大切にしながら、社員とともに成長を続ける企業にインタビューする本企画。
今回は、アプリやWebメディア・ECサイトの企画・開発・運営など幅広い事業を展開している総合IT企業、株式会社エイチームにお話を伺いました。同社は、多様なデジタルサービスを通じて、ユーザーの日常生活をより便利で豊かにすることを目指しています。
株式会社エイチームの事業概要と経営理念
▲社内に掲示されている株式会社エイチームの経営理念は「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」
株式会社エイチームは、3つの主要事業を展開しています。「エンターテインメント事業」ではゲームアプリの開発、「ライフスタイルサポート事業」では引越し比較・予約サイトなどのWebサービスの運営、「EC事業」ではECサイトの企画・開発・運営を行っています。
経営理念として「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」を掲げています。社員を「幸せを創造する主体」と位置づけ、彼らの活躍を通じて「今から100年」という長期的な視点で永続的に存在し続ける企業を目指しています。
会社名 | 株式会社エイチーム |
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住所 | 愛知県名古屋市中村区名駅三丁目28番12号大名古屋ビルヂング 32F |
事業内容 | ・ライフスタイルサポート事業 人生のイベントや日常生活に密着した比較サイト、情報サイト等様々なWebサービスの企画・開発・運営 ・エンターテインメント事業 多様なジャンルのゲームやツールアプリケーションの企画・開発・運営 ・EC事業 複数の商材を取り扱うECサイトの企画・開発・運営 |
設立 | 2000年2月29日 |
公式ページ | コーポレートサイト:https://www.a-tm.co.jp/ 公式note:https://ateam-note.a-tm.co.jp/ |
株式会社エイチームは、代表取締役社長の林高生さんが個人事業として立ち上げた会社です。当初は受託開発事業から始まり、エンターテインメント領域での成長を皮切りに、徐々に活躍の場を広げてきました。近年、若手社員の増加や社会情勢の変化を受け、会社の存在意義であるパーパスを"Ateam Purpose"として2022年9月に発表しました。
本インタビューでは、"Ateam Purpose"である「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」が生まれた背景や、社員が生き生きと自分らしく働ける風通しの良い社内文化について、人材開発部 部長の森下真由子さんにお話を伺いました。
エイチームの多角的な事業展開:インターネットを軸とした国内外での展開
▲株式会社エイチームの事業は「ライフスタイルサポート事業」「エンターテインメント事業」「EC事業」の3つの柱で構成されている
編集部
はじめに、エイチームさんの事業内容について教えていただけますか?
森下さん
エイチームは、インターネットを軸に多様な事業を展開する総合IT企業です。事業の柱は「エンターテインメント事業」「ライフスタイルサポート事業」「EC事業」の3つです。
1つ目のエンターテインメント事業では、スマートフォン向けのゲーム・ツールアプリの企画、開発、運営を手掛けています。
2012年にリリースしたゲームアプリ「ダークサマナー」は、日本のApp Store無料ゲームカテゴリーで1位、北米のGoogle Playセールスランキングでも1位を獲得するなど、大きな成功を収めました。
編集部
ホームページを拝見しましたが、三国志をモチーフにしたものから競走馬育成シミュレーションゲームまで、幅広いジャンルのスマートフォンゲームがリリースされていますね。エンターテインメント事業としては今後もスマートフォンゲームに力を入れていくのでしょうか?
森下さん
エイチームは10年以上前から海外向けにもゲーム開発・提供を行っていますので、引き続きグローバル市場を意識した開発を進めていきます。
さらに、グローバル展開を強化するため、パソコンなど、スマートフォン以外の多様なデジタル機器向けの展開も目指しています。
インターネットの力で人生の様々な場面をサポート
▲株式会社エイチームが運営するWebサイト「引越し侍」
編集部
次に、ライフスタイルサポート事業についてお聞かせいただけますでしょうか?
森下さん
ライフスタイルサポート事業では、その名の通り「ライフイベント」に沿ったサービスを提供しています。具体的には、引越し比較・予約サイトの「引越し侍」や、暮らしの疑問を解決する情報メディア「イーデス」などがあります。
▲株式会社エイチームが運営する暮らしの情報メディア「イーデス」
森下さん
ライフイベントに関するサービスは、事業者とユーザーの間で情報の格差が生じやすいものです。そこで、インターネットを活用して情報を公開し、ユーザーの不安を解消することを目指してライフスタイルサポート事業を展開しています。結婚式場情報サイトやライフエンディング情報サイトも運営しており、文字通り「ゆりかごから墓場まで」のライフイベントを快適に、安心して過ごしていただくためのサポートを行っています。
編集部
EC事業についてはいかがでしょうか?
森下さん
EC事業は、新たな収益源の創出を目指して2013年に自転車専門通販サイトを立ち上げ、2016年には当社の3つ目の柱となりました。現在は化粧品・スキンケアブランド「lujo」やペットフードブランド「Obremo」の運営などを手掛けています。
エンターテインメント事業もライフスタイルサポート事業も、ともに「モノ」を扱わない事業です。「インターネットを通じてダイレクトにユーザーに価値を届ける」というエイチームの事業の形を考えたとき、物品を扱うEC領域への挑戦は必然的な流れでした。
エイチームの社会的意義を明文化したパーパスを発表
▲株式会社エイチームが2022年9月に発表したパーパス(同社の会社紹介資料より)
編集部
事業が多岐にわたり、グループ会社を含めて社員数が約1,000名という規模の中で、会社の思想を共有するのは難しい面もあるのではないでしょうか?
森下さん
確かに、エイチームは2016~2017年頃から社員数の増加が加速しました。それまでは会社の歴史を知る社員が中心となって、大切にする価値観や経営理念などを共有できていましたが、社員の増加に伴い経営理念の浸透が薄まっていく傾向がありました。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で働き方が変化し、コミュニケーションが取りにくくなったことで、その傾向がより強まりつつありました。
2021年8月にエイチームがホールディングス化(純粋持株会社体制)したことを機に、エイチームの社会的意義を改めて定義しようという機運が高まりました。そこで立ち上げたプロジェクトでの議論を通じて、パーパスの策定に至りました。
こうした背景のもと、2022年9月に「Creativity × Techで、世の中をもっと便利に、もっと楽しくすること」という"Ateam Purpose"を発表しました。2022年1月に社会的意義検討プロジェクトを開始し、約8ヵ月かけて作成しました。
エイチームの歴史から紡ぎ出された共感性の高いパーパス
▲株式会社エイチームでは毎年社内表彰イベント「Ateam AWARD」が開催されている
編集部
森下さんは社会的意義検討プロジェクトのプロジェクトリーダーだったと伺っておりますが、パーパス策定の過程で苦労したことはありましたか?
森下さん
エイチームは経営理念として「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」を掲げています。この経営理念を大切にしているのですが、パーパスと経営理念の役割の違いを整理し、すみ分けを検討することに苦労しました。
経営メンバーに進捗を共有した際も、「経営理念との役割の違いについて整理できるのか」「混乱を招かないか」という懸念がありました。
しかし、代表である林の創業当時の想いやエイチームの歴史を紐解いたときに、「Creativity × Tech」「楽しく」「便利に」という言葉がエイチームの存在意義であるということで、パーパスに結び付いていきました。
編集部
パーパス発表時の社内の反応はいかがだったでしょうか?
森下さん
2022年の「Ateam AWARD」で社員に対してパーパスの発表と、パーパスに込められた想いについて林が話しました。社員からは概ねポジティブな反応がありました。林自身がパーパスに共感していることと、パーパスに込められた想いが社員に伝わったことが大きな要因だと思います。
現在も、社内ミーティングでパーパスについて取り上げるなどして、パーパスの浸透に努めています。
編集部
会社が大切にする価値観や経営理念、思想を伝えられる言葉があり、それに多くの社員が共感することは、さらなる成長や働く環境の整備につながっていくのだと感じました。
■エイチームさんのパーパスについて詳しくはこちら!
https://www.a-tm.co.jp/news/33835/
社員の声を反映したファミリーサポート制度の充実化
編集部
エイチームさんには柔軟な働き方を可能にする制度がいくつかあるそうですが、詳しく教えていただけますでしょうか?
森下さん
制度としては大きなもので「フレックスタイム制」「ファミリーサポート制度」のほか、「A-LOHAS」という長期休暇制度があります。
フレックスタイム制については、コアタイムは午前10時から午後4時、それ以外の時間がフレキシブルタイムとして設けられています。フレキシブルタイムは午前7時から10時、午後4時から午後10時です。
ファミリーサポート制度は、多様な働き方を応援する制度です。産前産後休暇や育児休業だけでなく、介護休暇の取得・延長などの制度を設けています。
そのほか、企業主導型保育所を利用できたり、休職中にキャリア面談を実施したりと、社員に安心して長期的なキャリアを歩んでもらうための制度を充実させています。
「A-LOHAS」は、社員に長期休暇を取得してもらうための制度です。年次有給休暇などを活用して、5日連続の休暇を取得できます。これにより、社員のリフレッシュや自己啓発の機会を提供しています。
編集部
さまざまな制度がありますが、このような制度が増えていった背景について伺ってもよいでしょうか。
森下さん
ファミリーサポート制度は社員の声が発端となってできた制度です。以前は制度の対象となるような社員が少なかったこともあり、今ほど種類はありませんでした。
しかし、社員数が増えていくなかで、具体的な検討がはじまりました。エイチームの今後の働き方を検討する社内プロジェクトを立ち上げ、「どんな制度が必要か」というアンケートを取るなどして、社員の声に応える形で制度も少しずつ増えていきました。
同席の広報・尾崎さん
私もファミリーサポート制度を活用しているのですが、さまざまな特別休暇が設けられているのはありがたいですね。例えば子どもが熱を出したときには有給休暇ではなく、子どもの看護休暇という形で別で休暇を取れるのです。
また、入園式や運動会といった子どもの行事のための休暇制度もあり、多くの社員が活用しています。自分たちの声が制度という形で反映されており、組織の風通しの良さを実感しています。
柔軟な働き方を実現するハイブリッド勤務制度の導入
▲オフィス内にはフロアをつなぐすべり台を設置。特徴であるクリエイティビティがこんなところにも表れています!
編集部
柔軟な働き方という観点で、ほかに特徴的な仕組みや制度はありますか?
森下さん
エイチームでは、在宅勤務と出社勤務を選択できるハイブリッド勤務を採用しています。グループ会社や各事業で出社ルールを決めたうえで、社員それぞれのライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようにしています。
編集部
柔軟に働き方を選べるのは、社員にとって大変ありがたいですね。一方で、多くの社員がそれぞれ自由なスタイルで働くことで、コミュニケーション面での課題が出てきそうですが、その点についてはいかがでしょうか?
森下さん
エイチームでは毎週月曜日に全体ミーティングを行っています。これはハイブリッド勤務の現在もオンライン形式で続けており、所属している会社以外のグループ会社や事業の状況について知ることができる重要な機会となっています。
また、全体ミーティングのトピックスをまとめた資料や社内報を発行し、社員が情報にアクセスしやすいよう工夫しています。全体ミーティング以外にも、各部署でオンライン、オフライン両方で顔を合わせる機会を作るようにしています。特に、リアルでの顔合わせの機会として出社推奨日を設けています。
出社推奨日は部署によって異なります。エイチームは事業の範囲が広く、さまざまな組織がありますので、グループで一致させるというよりもそれぞれの性質に合わせてコミュニケーションを取っています。
編集部
個人がそれぞれのスタイルで働き方を決めているように、組織のスタイルに合わせて組織ごとに働き方を選択しているのですね。エイチームさんの自律性を感じるエピソードだと思いました。
女性活躍推進がもたらすサービス品質向上への効果
編集部
エイチームさんは多くの女性社員が活躍されているそうですが、女性社員の割合と女性の管理職の割合について教えてください。
森下さん
エイチームの女性社員比率は44.6%となっています。女性管理職比率は3割ほどです。(2022年7月時点)
編集部
女性が活躍することで、事業にはどのような好影響が出ているでしょうか?
森下さん
一定の割合の女性がいて、しっかり発言していくことでより多くの人に愛されるサービスが作られていると思います。例えば、化粧品・スキンケアブランド「lujo」や生理日予測・体調管理アプリの「Lalune(ラルーン)」のように、実際に使うユーザー層が社員として社内にいることが大きな強みになっています。
お客様目線でサービスの良い部分や課題点を客観的に見られるというのは、女性社員が一定数いることの大きな利点だと考えています。これにより、より使いやすく魅力的な製品やサービスを提供できているのです。
公平な評価とキャリア形成支援で実現する実力主義の企業文化
編集部
管理職の女性比率は一般的に見ても高い数字だといえると思います。エイチームさんで女性が活躍できる要因としてはどういったことが挙げられますでしょうか?
森下さん
先ほども申し上げましたが、エイチームでは育休など休職中のキャリア面談を実施しています。育休中もなるべくコミュニケーションを取って、復帰に向けてフォローアップしていることは、女性が活躍できている要因の一つとして挙げられます。
また、エイチームは性別や社歴に関係なく、それぞれの能力にふさわしいポジションを担っていくべきだというフラットな考え方があり、実力を発揮しやすい企業文化が根付いています。
編集部
そのような企業文化は制度にも表れているのでしょうか?
森下さん
はい、エイチームには人事評価制度があります。半期に一度、「行動目標」「スキル目標」「成果目標」の3つの領域で目標設定し、上司と面談をしています。長期的なキャリアビジョンを描きながら、目標とビジョンに対する行動プロセスを明確にしているのです。
また、キャリア形成に意欲的な社員を応援する制度も充実しています。例えば、「ジョブポスティング制度」では、年2回、社員が主体的に異動先のポジションを選べます。公募されたポジションに対して社員が自ら応募し、社内選考を経て決定します。
さらに、「フリーエージェント制度」では、社員が自ら職種の変更や他事業への異動を申請できます。申請後は、各事業部内の選考によって異動の可否が決まります。これらの制度により、社員の自主性とキャリア形成をサポートしています。
多様性と共通価値観の両立:エイチームの組織の特徴
編集部
先ほどもカルチャーについてお話しいただきましたが、改めてエイチームさんはどんな会社だと思いますか。
森下さん
エイチームについて一言で言うと、「変化が目まぐるしい会社」と言えるのではないでしょうか。良い意味で会社の未来が予測できないため、自分たちで未来を作っていける会社だと思います。
私の経歴も目まぐるしいです。2010年に新卒で入社し、今はない新規事業の部署に配属になりました。その後はブライダル事業、引越し関連事業、人事企画の部署を経て、直近では新しく発足した人材開発部の部長に就任しました。このように、事業が多岐にわたるからこそ、多様なキャリアを積むことができるのがエイチームの特徴です。
編集部
エイチームさんで働く人はどんな人が多いのでしょうか?
森下さん
エイチームはすべての職種・職位において、国籍や人種、性別や年齢を限定することなく人材を採用・登用しているため、本当にいろいろな人がいますね。多様な人材がいる一方で、エイチームが大切にしている価値観を共に共有できる人たちばかりです。
この多様性と共通の価値観の両立が、エイチームの強さの源泉になっています。様々なバックグラウンドを持つ社員が、同じ目標に向かって一丸となれることが、私たちの大きな特徴であり強みだと考えています。
エイチームが求める人材像:パーパスへの共感と成長意欲
▲エイチームのカルチャーについて話す森下さん
編集部
最後に、エイチームさんに興味を持った方に向けてメッセージをお願いいたします。
森下さん
現在、エイチームはさらなる成長に向けて動いている段階です。「自分の手でエイチームの未来を創りたい」「エイチームをもっといい会社にしていきたい」という思いを持った方に入社してほしいですね。同時に、エイチームの環境を活用して自分自身も成長させていきたいというチャレンジ精神を持った方を大歓迎します。
エイチームは意欲のある方に活躍のチャンスがある会社であると同時に、カルチャーを大切にする会社です。パーパスや経営理念に共感いただいたうえで、ぜひ一緒に働きたいと考えています。
編集部
自分の成長と同時に、会社の未来を作っていきたいという方には、エイチームさんの職場は理想的な環境だと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社エイチーム:https://www.a-tm.co.jp/
採用ページ:https://www.a-tm.co.jp/recruit/
公式note:https://ateam-note.a-tm.co.jp/