独自性のある事業で成長を続ける企業を紹介する本企画。今回は、アマチュア野球大会の運営をはじめとする野球関連事業を展開するBSO株式会社にインタビューしました。
BSO株式会社とは
BSO株式会社は、「すべての野球人をサポートします。」をスローガンに、アマチュア野球大会の運営や野球スクールの運営、プロ野球選手のセカンドキャリアの支援など野球に関する複数の事業を手がけています。
積極的な事業展開によって右肩上がりの成長を続けており、「野球を通じてより多くの人に喜びを届けたい」という思いから、今後は野球と観光を組み合わせて地方の活性化につなげる「野球ツーリズム」も開始する予定です。
会社名 | BSO株式会社 |
---|---|
住所 | 愛知県名古屋市名東区朝日が丘1-1勝野ビル3階 |
事業内容 | ・アマチュア野球大会の企画及び運営 ・野球スクールの運営 ・プロ野球選手(現役、OB)の派遣 ・アスリート支援事業 ・野球イベントの企画・運営 ・野球関連グッズの販売 ・野球関連(連盟、団体、大会等)Webサイト制作 |
設立 | 2011年8月 |
公式ページ | https://bsobb.net/ |
代表を務める吉川さんを筆頭に、BSO株式会社には「野球愛」が強いメンバーが集まっており、野球に関する雑談を通じて新しい事業アイデアが生まれることもあります。
今回は、代表取締役社長の吉川達雄さんに、企業成長の秘訣や今後の事業展開、社員の育成についてお話を伺いました。
野球大会の運営を中心に、すべての「野球人」が喜ぶ事業を展開
▲BSO株式会社は「私たちはすべての野球人をサポートします。」をスローガンに、野球に関する複数の事業を展開している。(公式サイトから引用)
編集部
まずはじめに、BSOさんの事業内容について教えていただけますか?
吉川さん
私たちは、「すべての野球人をサポートします。」をスローガンに、野球に特化した複数の事業を展開しています。
主力事業はアマチュア野球大会の企画・運営で、ほかにもプロ野球経験者などが指導する野球スクール「野球上達塾」の運営や、審判員やウグイス嬢などを野球の試合に派遣する事業、野球グッズの販売を行っています。
また、引退したプロ野球選手を対象に、講演などに派遣するキャスティング事業やセカンドキャリアの支援も手がけています。
編集部
メイン事業はアマチュア野球大会の企画・運営ということですが、どのような大会を開催しているのでしょうか?
吉川さん
全国の野球チームが参加できる自主対戦型(※)の草野球大会「PRIDE JAPAN」などを開催しています。一般から子どもまで、レベル別の試合があり、地区大会を勝ち上がると全国大会に出場できます。一般向けの全国大会は、阪神甲子園球場や横浜スタジアムなど、プロ野球の公式戦が行われる球場で開催していますね。
(※)事務局が決めた組み合わせに従い、参加チーム同士が連絡を取り合って自分たちで試合日程の調整やグラウンドの確保、審判手配などを行うこと
ほかにも、企業様が宣伝のために開催する冠野球大会や、地域密着の大会など、要望に応じてさまざまな大会を企画しています。
編集部
プロと同じスタジアムで試合できるのは、野球ファンにとっては夢のような経験ですね。
吉川さん
はい。野球を愛する人たちの心に残るような大会にしたいと思い、会場選びには力を入れています。高校球児だった社会人参加者も多いので、甲子園球場で大会を開催する時は「夢がかなった」と言って涙を流す人もいます。
編集部
BSOさんは従業員数が約40名ということですが、全国規模の大会運営をはじめ複数の事業を同時に展開することは大変ではありませんか?
吉川さん
大変ですが、忙しいと思ったことはありません。大好きな野球に毎日携わることができて、とても楽しいです。私は名古屋を拠点とする少年野球チームの監督もしているので、週末も野球漬けですね。
会社設立の原動力となったのは自身の「野球愛」
編集部
お話を聞いていて、吉川さんご自身も野球愛が強いと感じたのですが、野球好きがBSOの創業につながったのでしょうか?
吉川さん
はい。私は大学まで野球をしており、卒業後は中京コカ・コーラボトリングに入社して中日ドラゴンズが本拠地とするナゴヤドームへの飲料供給に携わっていました。
家業の経営を手伝うために退職してからは、しばらく野球と接点のない日々を送っていたのですが、「何とかして野球を仕事にしたい」という思いをずっと抱いており、2011年にBSOを設立しました。
編集部
アマチュア大会の運営から元プロ野球選手の支援まで、野球に関する事業を幅広く展開する背景には、どのような思いがあるのでしょうか。
吉川さん
野球をプレーする人から試合観戦を楽しむファンまで、全ての「野球人」に向けて、夢や喜びを感じてもらえるようなサービスを提供したいという思いからです。
また、プロ野球選手のセカンドキャリアをサポートする事業については、引退した人が次のキャリアに苦しむ様子を見てきたので、支援が必要だと感じました。この事業では、引退してからの支援だけでなく、現役の時から引退後を見据えた準備ができるようなサポートにも力を入れています。
編集部
「すべての野球人をサポートします。」というスローガンの通り、野球に関わる全ての人が笑顔になるような取り組みをしているのですね。
地道な活動で信頼を獲得し、野球界で大きな存在に
編集部
ここからは、BSOさんの企業成長についてお伺いします。まず、2011年に設立してから現在まで、どのように事業を拡大してきたのかお教えいただけますか?
吉川さん
創業してから最初の5年間は、野球大会を開催する環境を整えるために知り合いのつてを頼って人脈を形成したり、全国をまわって各自治体の野球団体の方などとお会いしながら野球場の確保や仕組みづくりを行っていました。
その間、スタッフはおらず私ひとりで運営しており、利益も出ない状態が続きました。しかし、公式大会のような厳しい参加ルールを設けない草野球大会は、「もっと自由に野球を楽しみたい」という人たちからの支持を得られると感じていましたし、競合する企業も少なかったことから、「将来的にはこのビジネスで勝てる」という自信がありました。
編集部
成功の見込みがあったからこそ、腰を据えて土壌づくりに専念することができたのですね。準備期間で苦労した点はありましたか?
吉川さん
関係づくりには苦労しました。野球界はどちらかというとオープンでない部分も残っているので、面識のない私がメールで話を済ませるようなことはできません。直接会って誠実にお話をし、信用してもらい、協力してもらえるような関係を築くまでに長い時間を要しました。
編集部
時間をかけてネットワークを構築したからこそ、全国の都道府県で大会を開催できる今の環境があるのですね。
吉川さん
そうですね。そのような環境が整った6年目からは、社員を雇って事業として大きく展開するフェーズに入りました。参加チーム数が順調に増えるなか、2〜3年たった頃に人気の「野球YouTuber」の方が所属するチームが大会に参加してくれたことをきっかけに、「PRIDE JAPAN」の知名度は一気に広がりました。
「PRIDE JAPAN」をブランド化できたことによって、企業や人とのつながりが増え、ミズノさんなど大手企業様ともお付き合いさせていただけるようになりました。「あの大会を開催している企業」ということで大会運営以外の事業にもプラスの影響があり、ここ数年、売上は右肩上がりを続けています。
「野球ツーリズム」でさらなる成長を目指す
編集部
日本には野球人口が多く、巨大な市場がありますし、近年はMLBでの日本人選手の活躍やWBCの優勝もあってこれまで以上に関心が高まっているように感じます。こうしたなか、BSOさんとしてはどのような成長戦略を描いていますか?
吉川さん
おっしゃる通り、市場の規模を考えるとまだまだ伸びしろがあります。今は私がやりたいと思っていることの10分の1くらいしかできていないという感覚なので、これからも新しい仕掛けをどんどん行っていく予定です。
編集部
今後の構想について、共有いただけるものがあれば教えてください。
吉川さん
地方自治体や旅行会社と協力して「野球ツーリズム」を推進したいと考えており、すでに実験的な取り組みにも乗り出しています。
野球ツーリズムは、野球の試合や観戦、合宿参加を目的に泊まりがけで地方へ行き、その際に観光も楽しむというコンセプトなので、地方の活性化につながりますし、参加者にはこれまで以上に特別な体験を提供することができます。
今開催しているような野球大会の場合、喜びや楽しさを得るのは参加者とBSOの2者だけですが、野球ツーリズムとして展開すれば、これに加えて自治体や旅行会社などの関係企業にも喜んでいただけます。
編集部
「野球に関わるすべての人を喜ばせたい」と考えるBSOさんだからこそ、より多くの関係者を巻き込んで、喜びの輪を広げようと考えているのですね。
吉川さん
はい。ビジネスモデルとしても成功が見込めると感じていますし、スポーツツーリズムを盛り上げようという国内の機運も高まっているので、うまく波に乗って新たな事業の柱にしたいと考えています。
編集部
野球というスポーツ全体のこれからについて、改革したり意識を変えたいと感じる部分はありますか?
吉川さん
野球を始める人を増やすのはもちろんですが、入り口を広げるだけでなく、出口を広げることも同じくらい必要だと思っています。
アマチュアの場合、高校野球、大学野球、社会人野球まで行ったら、その先はないと考える人もいますが、50歳になっても草野球で本格的な試合を楽しむことができます。そのことを多くの人に知ってもらえれば、プレーする人にも観戦する人にも、より長く野球を楽しんでもらえるのではないでしょうか。
編集部
生涯を通じて楽しんでほしいという思いで積極的な取り組みを行うBSOさん、今後の展開も楽しみです。
20代が多く活躍!BSOが社員育成に込める思いとは
編集部
BSOさんで働くメンバーの特徴についても教えていただけますか?
吉川さん
弊社では、20代の社員が多く活躍しています。メンバーには野球経験者が多く、仕事として野球に関わることを楽しんでいる人が集まっています。
また、野球好きの女性もたくさん働いており、弊社の従業員の約3分の1は女性です。
編集部
野球経験のある20代が多いということですが、入社後はどのような活躍をしているのでしょうか?
吉川さん
弊社のメンバーの多くは、それまで選手として野球をしてきた人たちなので、最初は「自分が主役」というプレーヤー意識を強く持っています。そのため、入社したばかりの頃は「裏方」として野球を支えるBSOの仕事に戸惑いを感じる人もいます。
しかし、大会の参加者が甲子園のグラウンドに立って喜び涙する様子などを見るうちに、裏方ならではの魅力を知り、いつしか「休日に草野球をするより、裏方として仕事をしている方が楽しい」と言ってくれるようになります。
編集部
野球選手として身につけたことが、仕事で生きる場面もあるのでしょうか?
吉川さん
礼儀がしっかり身についていますし、チームワークを大切にできる点は強みだと言えます。
彼らが、仕事を通じてサポートする側の喜びを知ったり、ビジネス感覚を身につけたりしながら、大会の運営を安心して任せられるような存在に成長する様子を見ると、私も嬉しい気持ちになります。
社員の人生を真剣に考えるから、私生活から指導する
編集部
20代のメンバーの活躍を後押しするために、吉川さんが意識していることはありますか?
吉川さん
私が彼らによく言うのは、「私生活でできないことは、仕事でもできない」ということです。
野球の世界では、練習でできないことは試合でもできません。それと同じで、普段からモラルを守るなどの正しい生き方をしていないと、仕事でも成功できないと考えています。だからこそ、生活面でも気づいたことがあれば「もっとこうした方がいい」と伝えています。
編集部
そのようなアドバイスは、仕事だけでなく、その後の人生にもプラスになりそうですね。
吉川さん
そうですね。社員には幸せな人生を送ってほしいと思っているので、本人のためになると思うことがあればストレートに伝えるようにしています。
編集部
BSOさんのような育成方針があると、企業で働くのが初めての人でも、社会人の基本からしっかりと身につけることができそうだと感じました。
野球好きが集まるBSO。雑談から事業アイデアが生まれることも
編集部
BSOさんの職場の雰囲気についても教えてください。
吉川さん
ほかの会社から転職してきたメンバーからは、「BSOは職場の雰囲気が明るくて楽しい」と言ってもらえることが多いです。
編集部
野球好きの方が多いということで、社内の会話は野球の話題が中心ですか?
吉川さん
そうですね。阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした翌日は、朝からその話題で持ちきりでしたし、弊社が運営するグッズ販売サイトで優勝記念セールをしようという提案も出ました。雑談からビジネスアイデアが生まれることもあるので、和気あいあいとした雰囲気は大切にしたいと思っています。
編集部
みなさんの野球に対する熱意が、BSOのビジネスを動かす原動力となっているのですね。
野球愛と向上心を持つ仲間を一緒に事業を盛り上げたい
編集部
さまざまな新規事業を計画しているということで、新しいメンバーもこれから増えていくと思います。BSOさんが一緒に働きたいと思うのは、どのような方ですか?
吉川さん
年齢や性別、学歴は関係ありません。まず必要なのは「野球愛」です。中途半端な野球好きではなく、「野球がめちゃくちゃ好き」という方を求めています。もうひとつは、謙虚な姿勢と向上心を持ち合わせていることです。
このふたつさえあれば、活躍できる存在に成長していただけると思いますので、ご興味をお持ちいただけたらぜひご連絡をください。
編集部
野球を愛し、さらに多くの野球人を笑顔にするような新規事業を積極的に展開するBSOさん。「好き」を仕事にしたいと考える方には、最高の職場だと感じました。
本日は、ありがとうございました。
■取材協力
BSO株式会社:https://bsobb.net/
採用ページ:https://bsobb.jbplt.jp/