庁内DX化が進行中の湖南市役所に聞く若手職員の「やりがい」と充実の支援制度

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、滋賀県の湖南市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。

湖南市役所では、業務のDX化を積極的に推進しており、ペーパーレス化や自治体専用ビジネスチャットの導入など、デジタル技術を活用した働き方改革が進行中です。特に若手職員からの提案も積極的に採用し、業務効率化に向けた新しい取り組みが次々と実現。また、支援員制度や充実の研修体制など、新入職員のサポート体制も万全です。

今回は、湖南市役所の若手職員および女性職員の活躍などについて、総合政策部人事課の東村さんと、同課の高畑さん、そしてICT推進室に所属する原田さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
湖南市役所総合政策部人事課の東村さん

東村 里子さん

湖南市役所の総合政策部人事課で主幹を務める。

湖南市役所総合政策部人事課の高畑さん

高畑 教雄さん

湖南市役所の総合政策部人事課で主査を務める。

湖南市役所総務部行財政改革推進課ICT推進室の原田さん

原田 裕太さん

湖南市役所の総務部行財政改革推進課ICT推進室主事。民間のIT系企業で営業職を勤めた後、2020年度に入庁。現在はICT(情報通信技術)推進室で庁内のDX化を推進している。

若手職員の声:DX推進中の庁内でアイデアを実現できるのがやりがい

業務にあたる湖南市役所の原田さんの様子
▲原田さんが所属するICT推進室は、ペーパーレス化やLoGoチャットの導入など働き方改革を推し進めている

編集部

若手職員のご活躍というテーマで原田さんにお話をお聞きします。前職のIT関連企業の経験を活かす形でICT推進室に配属されていると伺ったのですが、普段はどのような業務をされていますか。

原田さん

私はデジタル関連の業務全般を担当しています。具体的には、庁内ネットワークの保守管理やDX推進に関する政策立案などが主な業務です。

編集部

ICT推進室での仕事のやりがいについて教えてください。

原田さん

ICT推進室は、従来の業務を新しく変革していくことが主な役割です。自分のアイデアや提案を比較的実現しやすい点が楽しく、やりがいを感じています。

直近の例では、マイナポイントの業務が印象的です。マイナポイント付与に関する窓口業務のお手伝いをしていたのですが、遠隔でオペレーターが窓口業務を行うサービスを提供する会社があることを知り、試験的に導入しました。

現時点でマイナポイントに関する業務限定のサービスですが、将来的には他の窓口業務にも応用できるのではないかと考えています。そういった業務効率化に繋がる新しいアイデアやサービスに日々触れるので、楽しく仕事ができています。

業務効率化を推し進める湖南市役所のDX化の取り組み

編集部

庁内でDXを推進されているということですが、具体的にお教えいただけますか?

原田さん

湖南市役所では、私が入庁してから業務のDXに関する主な取り組みとして、LoGoチャット(※)の導入や電子申請の推進、庁内文書のペーパーレス化およびフォーマットの電子化などを進めてきました。その中でも、LoGoチャットの活用は庁内コミュニケーションの改善に貢献しています。
(※)自治体専用のビジネスチャットツール

従来は電話や個人メールのやり取りが中心でしたが、スピード感や外部との連絡に課題がありました。LoGoチャットを使うことで、セキュアな環境でLINEのような即時性のあるコミュニケーションが可能になり、特に防災訓練や災害対策班など、緊急性の高い業務で効率的な情報共有に役立っています。

東村さん

特に災害時は、撮影した写真をすぐに送信できるため、現場の状況を即座に把握・共有ができます。また、地区連絡所という避難所では、ネットワーク環境が限られてしまう場合がありますが、このツールを使うことで災害対策本部との円滑な連絡が可能になります。

過去に地区連絡所で業務にあたった経験がありますが、そのときにLoGoチャットがあればとても有用なツールだっただろうなと感じています。

高畑さん

DXに関してさらにお伝えすると、以前は市民からの各種申請や職員間のやり取りも全て紙ベースで、上長が押印して回覧し、それを再度データ入力するという非効率な作業が多くありました。現在は電子化により、ネットワーク上で完結できる業務が増え、大幅な時間とコストの削減につながっています。

独自研修や外部研修で職員のスキルをアップデート

編集部

原田さんは民間から市役所の職員に転職されましたが、新しく入庁した方に対する、スキルアップに繋がる研修や制度があれば教えてください。

高畑さん

独自研修と外部研修で職員のスキルアップを図っています。独自研修では、女性管理職研修やリーダーシップ研修、コンプライアンス研修など、その時々のニーズに応じたテーマで実施しています。テーマに該当する職員が細分化することもあるので、受講対象者が毎回変わります。

外部研修は市町村職員研修センターという施設で随時行われています。職階別研修以外にも、文章作成能力や会議運営能力、DX関連など、自身のスキルアップに必要な研修を自由に受講できる環境を整えています。

東村さん

外部研修は就業中に行われます。上司の了承があれば受講可能で、研修費用や交通費は湖南市役所が負担しています。お仕事として研修を受けていただくので「しっかり勉強してきてくださいね」と声をかけて送り出しています。

若手職員の定着率を高める支援員(メンター)によるサポート

業務にあたる湖南市役所の原田さんの様子

編集部

その他に、新入職員に対するサポートはありますか。

高畑さん

湖南市役所では新入職員1名に対して先輩職員1名がメンターに付く、支援員制度というものを導入しています。仕事の相談だけでなく、職場の雰囲気や市役所特有のルールについても気軽に学べる環境を整えています。

原田さん

私もメンターの先輩がいましたが、親身に対応してくれました。面談の機会も設けてくれて、何の苦労もなく職場に溶け込むことができましたね。

メンター以外の方々も非常に優しいです。入庁後すぐに「まずは自分なりにやってごらん」といくつかの業務を任せていただいたのですが、わからないことがあれば都度アドバイスをいただきました。経験豊富な上司に恵まれており、仕事からプライベートまで会話しやすい雰囲気があるので、とても働きやすいです。

高畑さん

湖南市役所では若手職員の定着率が高いのが特徴です。過去5年間で30歳未満の退職者は数名に留まっていて、これも支援員制度が機能している結果なのかもしれません。

管理職の30%以上が女性で、キャリアプランを描きやすい

業務中の湖南市役所職員達の様子
▲女性管理職比率が高いのが同市役所の特徴。若手女性職員がキャリアプランを描きやすい環境ができている

編集部

湖南市役所では、多くの女性職員が活躍されていると伺っています。人事課の東村さんから、どんな特徴があるかお教えいただけますか?

東村さん

現在、湖南市役所では課長職以上の管理職における女性の割合が30%を超えています。それは数字だけではなく肌感覚としても日々実感していて、私の周辺でも総合政策部の次長や人事課長が女性ですし、その他の部署の部長クラスにも女性職員が就任している状況なんです。

庁内を見ると、保健師や保育士といった福祉関連では女性管理職が多く、土木建設や上下水道といった分野は男性管理職が多い傾向にあります。それ以外の部署は性別に関係なく、能力や適性に応じた人事が行われています。

また、女性のキャリアプラン研修の案内をいただくこともありますが、改めてキャリアプランを作らなくても役職者として女性職員が多く活躍しているので、若手の女性職員も「課長になったら次は次長だ」と、自然とキャリアプランをイメージできる環境があります。

ロールモデルとなる多様な女性管理職を見て、それを目指すという好循環がある

編集部

女性管理職の割合は全国的に高い部類だと思いますが、どのような取り組みをされていますか。

高畑さん

特別、「この施策や取り組みが女性管理職の増加につながっている」というようなことはないと考えています。以前からロールモデルになるような管理職を務める女性職員がいて、その姿を目指して仕事に励むという好循環が定着した結果ではないでしょうか。過去5年間を遡っても、女性管理職比率30%以上を維持しているのがその証拠だと思います。

なお、採用や人事評価において女性職員を優遇しているということもありません。採用の段階から男女平等に機会を設けており、昇進においても性別問わず公平な評価を行っています。

東村さん

そのロールモデルも、1人や2人ではなく、複数名いる点も見逃せないと思います。それぞれが異なるキャリアパスや個性を持っているため、若手職員にとって多様なロールモデルが存在します。私自身も、管理職と若手をつなぐ立場として、具体的なキャリアイメージを持ちながら働くことができています。

編集部

ロールモデルという点でいうと、新しく就任された松浦市長も女性ですよね。

高畑さん

はい。2024年11月に就任した松浦加代子市長は、「市民笑顔率世界一!」を掲げて新しい行政スタイルを推進し、自ら湖南市の公式YouTubeチャンネルに登場するなどパワフルに活躍されています。これからも、女性職員にとって目指すべきロールモデルになってくれるものと考えています。

男性の育休取得が当たり前に。面談も活用し働きやすい環境を構築

湖南市をドローンで撮影した上空からの景色
▲大阪と名古屋の大都市圏の中間に位置する湖南市。規模感がちょうど良く、育児に適した環境という声も多い

編集部

女性を含め職員の皆さんが長く活躍し続けるには、育児などライフステージの変化で離職するようなことも防ぐ必要があるかと思います。その点において取り組まれていることはありますか?

東村さん

湖南市役所では、平成28年から年初のタイミングで各課の課長が部下と面談を行なっており、育児や出産、家族の介護など、個々の事情を相談できる機会を設けています。課長はこれらの情報を踏まえて時間外勤務の目標を設定し、働きやすい環境づくりに活かしています。

編集部

具体的に、どのような変化がありましたか?

高畑さん

例えば、男性職員の育児休業に関しては大きな変化があり、取得率が4年前は0%でしたが、令和3年に25%、令和4年に38%、令和5年には85%と着実に増加しており、令和6年度は前年度以上になる見通しです。また、期間についても6ヶ月間取得するのが湖南市役所ではメジャーになってきました。

該当者に話を聞くと、年初の面談の影響はやはり大きいようです。ヒアリングと情報共有を通して男性職員の育児休業の認知が広まり、取得しやすい雰囲気になってきたのだと思います。

原田さん

ちなみに、私も入庁3年目の1月から2月の2ヶ月間、育児休業を取得しました。その際は同僚や上司が私の担当業務を引き継いでくださり、安心して休暇を取ることができましたね。

編集部

性別にかかわらず、安心して育休が取得できる雰囲気があるのですね。その他に、ワークライフバランスの観点で伝えたいことはありますか?

高畑さん

改善が続いているのは育休関連だけでなく、労働環境も同様です。平成28年から令和5年を比較すると有休取得日数が少しずつ増えているほか、時間外労働についても年間で70〜80時間ほど少なくなっています。

ちなみに、時間外労働の減少は、先ほどお伝えしたICT推進室が進めるDX化が大きく貢献しているんです。

湖南市役所では積極的に課題解決に取り組める人材を募集中!

湖南市役所の庁舎と湖南市の観光・イベント風景
▲市役所庁舎(左上)と、観光地である常楽寺(右上)、そして夏祭りの花火(下2点)。さまざまな魅力にあふれている

編集部

最後に、湖南市役所への転職を検討している読者の方へメッセージをお願いします。

高畑さん

湖南市では目指すべき職員像として「情熱とチャレンジ精神を持ち、市民とともに歩み、実行力のある職員」を掲げています。行政の仕事は前例踏襲や現状維持に陥りがちですが、私たちは積極的に課題解決に取り組み、市民の目線で共にまちづくりを進められる方を求めています。

先ほどもお話ししましたが、若手職員を積極的に採用しているタイミングでもありますので、20代や30代の方にとっては働きやすい環境だと思いますので、ぜひ挑戦いただきたいです。

東村さん

私は人事課なので採用試験に関わっていますが、応募者の方々からよく、「ちょうどいい規模のまち」という声をいただきます。自分の目の届く範囲で様々な仕事ができると思いますし、市民との距離感も近いのが魅力的ではないかと思っています。

編集部

女性市長を筆頭に、女性管理職が多数在籍する湖南市役所では、女性職員も自ずとキャリアプランを構築しやすい環境のようです。また、男性職員の育児休業取得率の高さや減少の一途を辿る時間外勤務など、年々ワークライフバランスが高まる魅力的な職場でもありますね。本日はありがとうございました。

編集後記

女性管理職が日本の自治体の中ではトップクラスで多く、若手女性職員にとって具体的なキャリアパスを描きやすく、仕事のやり甲斐や目標を見つけやすいのではないかと感じました。また、原田さんから伺った窓口業務のDX化への取り組みは、若手職員のアイデアであっても採用されており、若手の意見も尊重されており、業務改革にも寛容な組織風土が伝わってきました。

湖南市役所の働き方のまとめ

働き方の特徴
  • 時間外勤務が年々減少(平成28年度の230時間から令和5年度は156時間へ減少)
  • 有給休暇取得日数が年々増加(平成28年度の10日間から令和5年度は13.8日へ増加)
  • 男性の育児休業取得率が4年前の0%から85%に上昇、令和6年度は前年度以上の見込み
DX・業務改革
  • LoGoチャットの導入による庁内コミュニケーションの効率化
  • 電子申請システムの推進と庁内文書のペーパーレス化
  • 若手職員による新規施策の提案機会あり
女性活躍
  • 課長職以上の女性管理職比率が5年前から30%以上を維持
  • 女性市長就任による新しい行政スタイルの推進
  • 複数在籍するの女性管理職の存在が若手女性職員のロールモデルに
研修・育成制度
  • 新任職員1人につき1人のメンターが付く支援員制度を導入
  • 独自研修と外部研修による人材育成プログラムあり
  • 外部研修の費用を湖南市役所が全額サポート
職場環境
  • 若手の定着率が高く、過去5年間で30歳未満の退職者は数名程度
  • フラットな組織風土で相談しやすい雰囲気
  • 育児や介護などの個人事情に配慮した柔軟な働き方
立地・環境
  • 大阪・名古屋の中間100キロ圏内で大都市圏へのアクセスが良好
  • 豊かな自然環境と県内有数の工業団地を有するバランスの取れた地域
  • 市内は車で30分程度で移動可能なコンパクトな規模感

湖南市役所の基本情報

市役所名 滋賀県 湖南市役所
住所 【湖南市役所東庁舎】
滋賀県湖南市中央一丁目1番地

【湖南市役所西庁舎】
滋賀県湖南市中央一丁目1番1号
公式ページ https://www.city.shiga-konan.lg.jp/
採用ページ https://www.city.shiga-konan.lg.jp/shisei/jinji/index.html
募集職種 一般行政職、技術職(土木)、技術職(建築)、保健師、保育士・保育教諭など
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。