今注目されている企業の取り組みや働き方をお伝えしていくこの企画。今回は物流業界において、働きやすさを重視して短時間正社員制度を導入するなど、従業員のワークライフバランスを向上させながら、成長を続けている株式会社イー・ロジットを取材させていただきました。
株式会社イー・ロジットとは
株式会社イー・ロジットは、「私たちは、常に顧客視点で変化を先取りし、社会インフラとして成長し続けるEコマースの進化に貢献します」というパーパス(存在意義)を掲げ、EC通販事業者向けにBPO(※)サービスを提供している企業です。
(※)BPO:ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略。自社の業務を一括して外部に委託する形態を指す。
ただ商品を発送するだけの物流会社ではなく、クライアント企業の課題解決をするためにサービスを幅広く展開しています。また、培ったノウハウをもとに人材育成やセミナーの開催なども行い、さまざまな角度からクライアント企業の課題解決をサポートしています。
会社名 | 株式会社イー・ロジット |
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住所 | 東京都千代田区外神田3丁目11番11号 CIRCLES秋葉原6階および7階 |
事業内容 | ・通販物流アウトソーシング ・物流コンサルティング ・物流システム構築支援 ・企業研修、社員研修、講演、講習 |
設立 | 2000年2月14日 |
公式ページ | https://ec-bpo.e-logit.com/ |
働き方 | フルフレックス、時短勤務、短時間正社員など |
今回は、株式会社イー・ロジットのHRエンゲージメント課・脇谷さんと戦略営業部マーケティング課・千葉さんに、各種制度や若手が活躍できるカルチャーなどについてお話を聞かせていただきました。
商品の発送から問合せ対応まで。EC領域のBPOサービスを提供
編集部
まず最初に、イー・ロジットさんの事業内容についてお教えいただけますでしょうか。
脇谷さん
私たちイー・ロジットは、「EC事業者様向けのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス」を提供している企業です。物流業務をアウトソーシングする事業者様に対して、ワンストップのサービスを提供しています。
読者の方もほとんどがネット通販を利用されているかと思いますので、わかりやすくご説明すると、楽天やAmazonのようなECサイトで商品の購入ボタンが押されて決済が完了してからが、イー・ロジットの仕事です。
EC利用者の購入情報は、受注処理後、イー・ロジットのWMS(在庫管理システム)を通じてフルフィルメントセンター(物流センター)に届きます。センター内では注文された商品を、指定の場所でピッキング(※)し、ご注文いただいた商品と実際の商品が合ってるかどうかを検品してから、出荷準備にかかります。
(※)倉庫内に保管されている商品から対象商品を集める作業
その後、商品を緩衝材で守りつつ弊社専用ダンボールに入れて、送付状を貼って運送会社に発送依頼するところまでが、物流代行のサービス範囲となります。
編集部
BPOということで通販事業の幅広い領域を手掛けていらっしゃると思うのですが、実際に商品を出荷する以外のサービスもされているということでしょうか?
脇谷さん
もちろんです。例えば、アパレルのEC事業者様向けに、商品の採寸や写真撮影、商品紹介ページの編集、さらにエンドユーザーからの問い合わせ対応までのサービスを提供することもあります。クライアント企業が自社で対応できない部分を当社に委託していただくことで、商品企画や販売計画など、コア業務に集中できるよう貢献しています。
また、関東と関西に複数のフルフィルメントセンターがあり、多くのクライアント企業様とお取引をさせていただいております。そこで蓄えた豊富なノウハウを活かして、コンサルティングも実施しています。他には、ナレッジの共有や物流業界の人材育成のために、研修・セミナーも開催しています。
編集部
情報を囲い込むのではなく、同業他社さんに展開することで物流業界全体の活性化に尽力しようとされている姿勢がすごく伝わりました。
また、私たちが普段利用している通販サービスの裏側にはいろいろな業務があることを改めて知ることができました。そうしたさまざまな経験を活かして、多くの企業をサポートされているのですね。
重労働のない倉庫作業で、女性も安心して働ける
▲ラッピング作業のようす。取り扱う商品は小物がメインで、重い荷物を運ぶ機会は非常に少ないとのこと。
編集部
素朴な質問なのですが、イー・ロジットさんのフルフィルメントセンターでの作業は、いわゆる宅配便の配送センターのようなイメージなのでしょうか。
脇谷さん
いえ、実は全然違います。私たちが取り扱っている商品は、割合としては小物が多いんですね。「物流の倉庫作業」と聞くと、重い物をたくさん運ぶような重労働と思われがちなのですが、イー・ロジットでは性別を問わず、体力に自信のない方もたくさん活躍しています。
もちろんデスクワークとは異なり、身体は動かしますが、ピッキングの作業であれば、対象となる商品の多くが小物や雑貨なので、必ずしも重い物を運ぶわけではないんです。
編集部
それなら体力に自信がないような方でも、安心して働けそうですね。小物や雑貨が好きな人にとっても、いろいろな商品を見ることができて作業も楽しそうです。
パートからでも責任者や正社員へのキャリアアップが可能
編集部
イー・ロジットさんでアルバイトやパートをされている方で、そのまま正社員になるようなケースもあるのでしょうか?
脇谷さん
ありますね。弊社の臨時雇用者はパートで働いている方が圧倒的に多くて、従業員200名強に対してパートの方々は800名以上いらっしゃいます(2023年6月時点)。その中で、「新しい仕事を学んでいきたいという意欲のある方」が、パートからセンター長になっている事例もあるんです。
編集部
会社として、モチベーションの高い方はキャリアアップできるような仕組みを取り入れているということですね。
脇谷さん
そのとおりです。イー・ロジットでは、その方のやる気や能力を重視しており、勤務形態・年齢・入社年次などの条件を理由にして、何か制限を設けるようなことはしたくありません。
後ほど説明しますが、フレックスや時短勤務、副業もOKという、いろいろな制度を設けることで、本人のポテンシャルを引き出して、成長したいというマインドのある人には正社員になってもらうなど、さらにステップアップしていただきたいと考えています。
編集部
制度によって支援できることはしながら、全体の底上げを図れる素敵な取り組みですね。あくまで大切なのはマインドであり、若手や主婦の方でも活躍しやすい環境であることがよくわかりました。
研修に力を入れる組織。従業員の能動的な姿勢を後押し
編集部
イー・ロジットさんでは合計で1,000人以上の方が勤務されているかと思いますが、若手社員やパートの皆様の「もっと学んで成長したい」という想いをサポートするような制度はありますか?
脇谷さん
実は、今期(2023年度)から研修制度や人事評価制度を大きく変えたんです。過去の制度を刷新し、スキルアップしていくためのルートをしっかりと確立するためのプランを計画しています。
特に、研修には力を入れており、先ほど他社向けにセミナーを実施しているとお話ししましたが、その内容に含まれるコーチング研修など、社内向けにも展開しています。また、システム周りも見直しし、全社員が研修資料を見られるようにしました。
もちろん会社が主体となって積極的に取り組んでいくものの、逆に若手社員から「こういうスキルを身につけたい」という希望があったら勤務中でも研修に参加できるようにするなど、ベースとなる環境を作っているところです。
編集部
なるほど。自分から学ぼうとする姿勢を、会社として後押ししているということですね。
脇谷さん
はい。会社から学びの場を提供していきますが、実際そこで学ぶかどうかは個人次第であり、会社が強制するものでもありません。だからこそ、能動的に学んでいく人材は必然的に評価もスキルアップも見込まれ、会社にとって今後コアな人材になってくるという考えです。
編集部
確かに、自発的に行動できて自分で考えて動ける人材はとても貴重ですものね。それを若手のうちから促していくのは、とても重要だと感じました。
短時間正社員制度を導入。育児中でも能力を発揮できる環境に
編集部
続けて、イー・ロジットさんのワークライフバランスについてお伺いします。従業員の方々が働きやすくするために設けていらっしゃる制度について、お話しいただけますでしょうか。
脇谷さん
弊社では、2023年5月1日から「週2勤務からOK」という短時間正社員制度を開始しています。これまでにも、複数のパートの方が短時間正社員という立場に変わり、活躍してくれています。
編集部
物流業界では、比較的めずらしい制度だと感じました。制度の詳細について教えてください。
脇谷さん
月の所定労働時間を週2日相当(65時間)、週3日相当(100時間)、週4日相当(130時間)と設定し、その条件で勤務できる方はパートから正社員になっていただけるというものです。元々フレックスタイム制度を導入していましたので、その一環ともいえます。
これまで、能力が高くてもさまざまな事情からフルタイム勤務ができない方もいたのですが、だからといって、パートのままでいてもらうのは、もったいないですよね。制度設計から働き方のバリエーションを増やすことで、個人も会社も得ができるような将来を目指しています。
編集部
これまで短時間正社員制度を活用されたのは、どのような方だったのでしょうか。
脇谷さん
一例としては、育児中なので「ちょっとフルタイムは難しい」というパートさんがいらっしゃいました。この方は普段の勤務で結果をしっかり出していたので、今回短時間正社員になっていただいたという感じです。
そのほかにも、この1ヶ月間で短時間正社員に切り替わった方も何名もいますし、実際に話を聞いても非常に喜んでくれているみたいです。
編集部
限られた時間の中で集中して働いて結果を出しているからこそ、それを評価されて短時間正社員になれたということですね。自分と家族の生活を維持しながら仕事にも集中できるというのは、とても理想的だと感じました。
子ども手当は扶養の有無は関係なし。時代の変化に対応した福利厚生
編集部
お子さんのいる方に「子ども手当」を出されていると拝見したのですが、イー・ロジットさんの福利厚生についても教えていただけますでしょうか。
脇谷さん
「子ども手当」については、以前は「家族手当」という形で支給していて、これは社員が扶養するご家族が対象でした。今はそれを「子ども手当」に切り替え、税法上の扶養に該当していなくても手当として受給できるようになっています。
編集部
主婦の方の場合だと、お子さんは配偶者の扶養に入っていることも多いので、その場合家族手当の対象にならないという問題を解消されたのですね。
脇谷さん
そうです。それに、今は家族のあり方なども世間的に変わってきていると感じたので、「扶養の有無」という制限は外していいのではないかと思い、制度を変更しました。
編集部
確かに今は共働きも普通ですし、いろいろなライフスタイルがある中で、それに対応して制度も柔軟に変えているということですね。
充実の住宅手当や副業OKという柔軟な制度が魅力
編集部
その他も、イー・ロジットさんにはいろいろな福利厚生があるとお聞きしました。詳しく教えていただけますでしょうか。
脇谷さん
まずは住宅手当があって、これは若手のメンバー向けに支給しています。内容は「フルフィルメントセンターに配属されたとき、通勤が30分以内のところにご自身で家を借りた場合、最大で4万円まで住宅手当として支給する」というものです。
若い社員、特に新卒の場合だと、一人暮らしをするにしても給与との兼ね合いがありますよね。結構大変なのではないかと感じましたので、一般的に見ても比較的高額な手当を支給しています。
他にも、資格の取得を補助しているほか、副業も許可しています。副業については、同業他社でなければどこに勤めても問題ありません。実際に、弊社で働きながら飲食店で土日だけ手伝っているという方もいらっしゃいます。
編集部
なるほど。時短なども含めてある程度自由な働き方ができる環境だと思いますので、副業に限らず他にやりたいことがあればそれも挑戦しながら、本業であるイー・ロジットさんの仕事にも集中して取り組めるということですね。
本気で社員と顧客のことを考えるカルチャー
編集部
次に、イー・ロジットさんのカルチャーについて伺いたいと思います。若手メンバーである千葉さんから、率直な意見をぜひお聞かせいただけますか?
千葉さん
フルフレックス制度を含めた働き方について、友人と話をすることもあるのですが、「なかなかそういう会社はないよね」と言われることが多いです。コロナ禍が落ち着いて、在宅勤務から出勤に戻る企業様も多いと思いますが、弊社は、個人の裁量に合わせてリモートも可能ですし、柔軟に働けるところが魅力的だなと思います。
また、物流の現場で働く私の同期も、繁忙期を避けて上手くフレックスを活用しているようです。職場の雰囲気がよくて、上長もしっかりと話を聞いてくれる環境なので、私はすごく働きやすいと思っています。
編集部
自分が感じる魅力だけでなく、周りからも「いい会社」と言われると自信になりますよね。一方で、脇谷さんは上長の側におられるわけですが、会社のカルチャーについてどのように感じていらっしゃいますか。
脇谷さん
働きやすさはもちろんあるのですが、本気で従業員や顧客のことを考えている会社だなと感じますね。組織として年功序列のような雰囲気はまったくないですし、顧客に満足していただけたかどうかが重要視されています。
会社として存続し、成長を続けるためには売上を伸ばさないといけない。そのためには出荷などの作業を多く実施する必要があるので、それをおこなう従業員を大切にしなければならない。それが結果的に顧客満足につながるというロジックですね。
ここでいう「従業員を大切にする」というのはもちろん給与等の部分もそうですし、働き方や学びの場を提供するというところも含めて、本気で考えている会社だなと思います。私もいろいろな会社を見てきましたが、イー・ロジットは圧倒的だと感じています。
バリューを刷新。2つの視点でお客様を大切にする
編集部
先を見据えた、俯瞰的な価値観で全体をサポートしているということですね。働かれている皆様に共通する行動指針などはあるのでしょうか?
脇谷さん
はい。弊社では、2023年に新たに定めた6つのバリューがあります。
- 2つのお客様を大切にする心(コミュニケーション)
- 新しい目線と提案力(プラン)
- スピード感と正しい生産性(行動)
- 責任を伴う自由の奨励(個人)
- 自分事・誠意・敬意を元にしたチーム志向(チーム)
- 倹約
このバリューにもあるのですが、イー・ロジットにとってお客様は1つの存在ではありません。フルフィルメントセンターに勤務している従業員にとっては、お客様は商品の販売元である「クライアント企業」でもあり、その先にいる「エンドユーザー」の皆さんでもあるんです。
人事をやっている私で言えば、いま働いている従業員であり、今後ジョインしてくれる人たちも、いわば「お客様」です。2つの目線を持つという共通認識があり、それに本気で取り組もうとしている会社だと、改めて感じています。
編集部
お客様のためになることが、ひいては従業員のためになり、会社が成長していくという共通認識があるんですね。さまざまな施策を立て、社内の変革を進められている理由が垣間見えたような気がします。
定期的に交流の機会も。飲み会への参加も自由
▲三郷フルフィルメントセンターの5周年イベントの様子。各センターにて改善提案表彰や記念イベントなどの各種イベントを開催しており、社内報にて社内に共有される。
編集部
イー・ロジットさんには多くの社員さんがおられるわけですが、皆様で集まるようなイベントや親睦会といったコミュニケーションの機会はあるのでしょうか。
脇谷さん
そうですね。新卒1年目〜3年目は研修の場で集まりますし、センターなら改善提案の表彰があり、本社の方でも親睦会があります。また、飲み会などを開くこともありますが、その参加も完全に自由ですね。
会社によっては、参加自由とは言いつつも見えないプレッシャーを感じることもあるかもしれないのですが、イー・ロジットではそんなことはありません。
編集部
お子様の用事などで出席できなかったり、単純に用事があったりしたら「今回は行かないけど次回は行けたら行こう」といった感じで参加できるということですね。社風があらわれているエピソードだと感じました。
思考を止めず、チームで最善を目指す人と一緒に仕事がしたい
編集部
最後に、採用に関して伺いたいのですが、どういう人がイー・ロジットさんにフィットするのかお教えいただけますか?
脇谷さん
ちょっと曖昧で申し訳ないのですが、前提として「思考を止めない人」と一緒に仕事をしたいです。例えば、フルフィルメントセンターではやっぱり目先の作業に追われてしまって、改善できる箇所に気づかない人が多いと思います。
そんな中でも、与えられた業務の中で「1秒でも早く作業するためにどうしたらいいのか」を常に考えていただける人、思考を止めない人と一緒に仕事をしたいですね。
編集部
「言われたことだけやっていれば良い」というわけではないんですね。
脇谷さん
そうですね。あとは他人事ではなく、常に当事者になって会社をよくしたいというマインドを持っている方がいいです。やはり仕事は自分自身だけではどうにもならないことも多いですし、自分だけが良ければいいというわけではありません。
良い意味で周りを巻き込みながら、ちゃんと一緒に幸せにしていけるマインドを持っている人が向いているかと思いますね。イー・ロジットは働き方に関することを含めてこれからも変化を続けていきますので、興味を持った方はぜひ応募いただければありがたいです。
編集部
そういったポジティブなマインドを持っている方、そしていつの世もなくならない物流業界で活躍したいという方は、ぜひ応募されることをおすすめします。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社イー・ロジット:https://ec-bpo.e-logit.com/
採用ページ:https://en-gage.net/e-logit_saiyo/