「働きやすさ」と「やりがい」の両立を当たり前に。fruorメンバーが目指す社会

「働きやすさ」と「やりがい」の両立を当たり前に。fruorメンバーが目指す社会(求職者向け)

新しい働き方を取り入れている企業を紹介していく企画。今回は、個人向けに月額制のキャリアプログラムを提供する「株式会社fruor(フルオル)」をご紹介します。

株式会社fruorとは?

株式会社fruorの運営する「ミートキャリア」ロゴとサービス画面イメージ

株式会社fruorは、個人向けの月額制のキャリアプログラム「ミートキャリア」を運営する企業です。

■ミートキャリアのサービスページ
https://www.meetcareer.net/

「今の職場で働き続けるのがいいのかな?」「キャリアに漠然とした悩みがあるけれど、どう整理すれば解決できるかわらかない」といった悩みを持つユーザーに対し、キャリアプランナー(キャリア支援のプロ)が伴走しながら、自己分析を通して自身の強みをみつけたり、強みが活かせる場所や仕事内容を明らかにしたりします。

これまで5,000件以上の相談実績があり(2023年3月末時点)、ユーザーからは「モヤモヤを言語化し、今後のライフイベントを整理したことで、自分のありたい姿が明確になった」「キャリアプランナーの問いから、自分では気付かなかった”強みを活かした転職軸”を定めることができ、結果的に働き方もやりがいも希望を叶えることができた」などの声が挙がっています。

会社名 株式会社fruor
住所 東京都港区赤坂2丁目10-2
事業内容 月額制キャリアプログラム「ミートキャリア」の運営
1on1スキルのマンツーマントレーニング「ワンカレ」の運営
設立 2019年1月
公式ページ https://www.meetcareer.net/
働き方 フルリモート
フルフレックス制

株式会社fruorは2019年、代表の喜多村若菜さんが「ライフイベントでキャリアを諦めなければならない社会を変えたい」と起業しました。その想いに賛同したメンバーが日本全国から集まり、現在は男女約30人がフルリモートで働いています。

今回は、代表取締役CEOの喜多村さんと、北海道からフルリモートで働く子育て中のメンバー上林(かんばやし)かずえさんに、事業に込めた想いや、fruorらしいワークライフバランスの取り方についてお聞きしました。

本日お話を伺った方
株式会社fruor代表取締役CEOの喜多村若菜さん

株式会社fruor
代表取締役CEO

喜多村 若菜さん

株式会社fruorワンカレ事業責任者の上林かずえさん

株式会社fruor
ワンカレ事業責任者

上林 かずえさん

1人ひとりの「強み」を見つけるキャリアプログラムを提供

株式会社fruorが提供する月額制キャリアプログラムの内容
▲月額制キャリアプログラム「ミートキャリア」では自己分析を通して強みを見つけていく

編集部

まずは喜多村さんから、個人向けのキャリア支援事業「ミートキャリア」について、サービス内容や特徴を教えていただけますか?

喜多村さん

「ミートキャリア」はキャリアの悩みをプロと一緒に解消できるサービスで、個人の方向けに月額27,500円(税込)でキャリアプログラムを提供しています。プログラムでは自分の強みを明らかにし、どういう場所であれば自分が強みを発揮しやすいのかを見つけていきます。

中長期のキャリア形成に悩んでいる方であれば今後のキャリアの方向性を決めることができますし、転職を考えている方であれば自分が活躍できる場所を明らかにすることで転職軸が定まります。「ミートキャリア」は第三者の視点でキャリア支援をするため、求人紹介は行わないのも特徴です。

編集部

ユーザーにはどのような方が多いのでしょうか?

喜多村さん

「ミートキャリア」の利用者は30代後半の方が多く、平均年齢は38歳くらいです。私たちのサービスは「ライフステージが変わっても、キャリアに向き合えるような社会を作りたい」というところからスタートしていますので、ユーザーさんもライフとキャリアの両方を充実させる選択肢を探したいという方が多いです。

「家庭も仕事も頑張りたい」。代表の原体験が事業づくりの動機に

株式会社fruor代表取締役CEOの喜多村若菜さん
▲キャリア支援で起業した背景には代表喜多村さん自身の原体験がある

編集部

サービス開始背景のお話がありましたが、喜多村さんがキャリア支援事業をやろうと思ったのは何がきっかけだったのでしょうか?

喜多村さん

私自身の原体験です。私は新卒でITコンサル会社に入りました。当時は、比較的長時間労働の会社だったため、女性のマネージャーや管理職の方がライフイベントを機に辞められてしまったり、時間内で仕事が終わる部署に異動されたりという姿をたくさん見てきました。

私自身は小さいころから「家庭を持ちたい」と「仕事も頑張りたい」という両方の目標を持っていたので、こうした職場の先輩方の姿を見て自分の目標をどこに置けばいいのか不安に感じたり、なぜライフイベントとキャリアの両立は難しいんだろうと考えたりすることがありました。

編集部

ご自身の課題感が事業づくりの動機になったのですね。キャリア支援の中でも、個人向けのキャリアプログラムとしたのはなぜですか?

喜多村さん

既存の人材業界でキャリア支援というと、転職エージェントがあります。転職エージェントは企業に求職者を紹介し、採用に至った際はその企業から紹介料としてお金を受け取るビジネスモデルになっているので、どうしても年収の高い方や転職しやすい方の支援が優先されがちです。

そのため、例えば地方在住でライフを優先しながらもキャリアを積みたい方や、16時退社希望だけどキャリアとしては頑張りたいと考えている方たちを支援できる場所は、既存市場にはありませんでした。

この「働き方に制約があると、キャリアが制限されてしまう」という構造に疑問を感じ、私たちは個人の方からお金をいただきつつ、1人ひとりが望むキャリア形成ができるように支援したいと考えました。

編集部

企業からではなく、個人からお金をもらうビジネスモデルにすることで、個人に寄り添った支援をされているのですね。「ミートキャリア」が転職エージェントと違うのは、求人紹介の有無以外にどこにあるのでしょうか?

喜多村さん

例えば、個人の方が「自分にはこんなスキルがある」「こんな条件で働きたい」「こんなことをやりたい」と強みや希望をすべて言語化できている場合は、転職エージェントの方がマッチしています。

「ミートキャリア」は逆で、それらを見つける場所です。一社で定年まで働くことがあたり前ではなくなった今、自分の強みは何か、売りは何か、キャリアとライフのどちらをどの程度優先するのかといったことを整理して言語化するニーズが高まっています。

編集部

確かに、自分の強みやそれが活かせる場所、働き方の希望についてじっくり考える機会はあまりないかもしれません。ホームページで「キャリアは叶えたい方向性をある程度定めてから行動するほうが、希望が実現する可能性が上がる」という喜多村さんのメッセージを拝見しましたが、だからこそ自己分析は必要なステップなのですね。

キャリアカウンセリングの技術を活かした1on1トレーニングも開講

株式会社fruorの新事業である1on1スキルトレーニング「ワンカレ」のホームページ

編集部

fruorさんで新しく開始されたもう1つの事業についても、紹介いただけますか?

喜多村さん

正しい1on1スキルが身につくマンツーマントレーニング「ワンカレ」というサービスを2023年夏にはじめる予定です。

これは「ミートキャリア」のようなキャリア支援を会社の中でも提供できるようになれば、働く人がより幸せになるのではと考え、始めたものです。弊社に蓄積された5,000件以上のキャリアカウンセリングのノウハウをもとに、主に経営者やマネージャーの方を対象に1on1スキルのトレーニングを提供します。

編集部

メンバーに100%の力を発揮させられていないと感じる経営者やマネージャーは多そうです。自身の1on1スキルを高めることで、メンバーの成長や組織の生産性向上につながることを目指しているのですね。

話すように書くチャット文化。フルリモートでも心理的距離は近い

株式会社fruorのオンラインランチの様子
▲週1回のオンラインランチで交流するfruorメンバー。顔出しする・しないは自由で、業務ミーティングとのメリハリも大事にしている

編集部

ここからは上林さんにfruorメンバーの働き方について伺います。御社はフルリモート勤務とのことですが、コミュニケーション上の難しさはありませんか?

上林さん

私は北海道在住で、リモートで働くのは2社目です。前職は出社とリモートのハイブリッド型で、私だけがリモート勤務だったので、情報のキャッチアップにおいてはとても難易度が高かったんです。

でも、弊社はフルリモートでコミュニケーションが完結する設計になっていますので、やりづらさや心理的な距離はまったく感じません。

編集部

同じリモート勤務でも「リモートもOK」と「全員フルリモート」では違うと感じていらっしゃるのですね?

上林さん

その通りです。普段のコミュニケーションはSlackを使っていますが、みんな、しゃべるようにSlackに打ち込むので、その場で会話しているような感覚になることもあります。でも、Slackであればテキストが残るので、その時間にいなかった人も後からチェックできます。

また、議論をするときはMiro(オンラインホワイトボード)の付せん機能を使い、会議室のような雰囲気で行っています。議事録はnotion(メモやタスク管理ができるアプリ)にまとめたり、Zoomの録画機能を使ったりして、すべての情報が誰でも後から取れるようになっています。

編集部

メンバー間の情報差が生まれないようにしているのですね。また、皆さんがSlackに話すように書くことで、後から読む人も親近感がわくのではと思います。

上林さん

はい、心理的な距離は近いと感じます。また、コアメンバーは週1回のオンラインランチで交流しています。顔出しする、しないは個人の自由なので、気軽ですし、おしゃべりが癒しのひと時になっています。

「脳内チャンネル」が雑談の場にもブレストの場にもなっている

株式会社fruorのSlackにあるメンバーの「脳内チャンネル」一例
▲「脳内チャンネル」は個人が自由に使える場所。ちょっとしたことも雑談もOKで、感謝や称賛の言葉であふれる時も

編集部

オンラインランチ以外に、コミュニケーションを促す工夫はありますか?

上林さん

Slack内に1人ひとりの「脳内チャンネル」があり、オフィスで独り言をするような感覚で使っています。私の場合、「上林の脳内」というチャンネルがあり、仕事上使う「マーケティング」や「セールス」のチャンネルにまだ書き込むほどではない頭の中の案や独り言を書き込んでいます。

すると、他のメンバーが「こうじゃないですか?」と応えてくれたりします。誰でも書き込みOK、「リアクションはしてもしなくてもいい」というゆるいルールにしていますので、他のメンバーの負担にもなりません。

編集部

例えば、どんな独り言を書き込まれるのですか?

上林さん

何か企画をやるときに「A案、B案、C案のどれかなんだよね」と書き込むと、「A案とB案を両方やった方がいいんじゃない?」という思いがけない反応があったりします。みんなの書き込みが続いて、自然とブレスト(ブレーンストーミング)につながることもあります。

もちろん、仕事以外のつぶやきもあります。例えば、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の開催時には、野球好きの人の脳内がすごいチャット数で盛り上がっていました(笑)。

編集部

「脳内」から仕事のヒントが生まれることがあるというのも、オフィスでの雑談に近い感覚ですね。

半期に一度のオフラインミーティングでは中長期の目線合わせを行う

株式会社fruorの社内イベント「ミーキャリフェス」でチームに分かれてゲームをしている様子
▲「ミーキャリフェス」ではチームに分かれてゲームをするなど、交流の場面も。テキストコミュニケーションでは伝わり切らない、お互いの魅力を知るきっかけにもなる

編集部

ところで、fruorメンバーの皆さんがオフラインで集まることもあるのでしょうか?

喜多村さん

はい。半期に一度、みんなで集まる「ミーキャリフェス」という社内イベントを開催しており、ちょうど2023年5月に開催したところです。業務委託の方も含めてミートキャリアに関わるメンバー20名強が、全国から集まりました。

編集部

普段はSlackで会話するようにコミュニケーションを取っている皆さんが集まると、すごい熱量でしょうね。当日は、どのようなことをされたのですか?

喜多村さん

「ミーキャリフェス」は中長期の目線合わせをすることが目的なので、私たちの会社が目指すゴールや行動指針をあらためて確認し合いました。また、ゴールに対しての現在の課題をワークショップ形式で議論しました。

もちろん、フルリモートのメンバーが腹を割って本音で議論できるよう、リアルに集う場を最大限活用した楽しい企画も行いましたよ。全国から集まるメンバーならではですが、ご当地の食べ物を持ち寄ったり、性格診断テストを全員でシェアしたり、ちょっとしたゲームで競い合ったり。笑いあり涙ありです(笑)。

編集部

いつもの職場とは異なる”非日常”の空間で議論することで、より議題に集中できそうですね。企業文化を浸透させる場として、こうしたイベントも大切にされていることがわかりました。

子育てと新規事業の責任者を両立した女性社員の話

株式会社fruorワンカレ事業責任者の上林かずえさん
▲フルリモート×フルフレックスを活用しながら、責任者の仕事と子育てを両立している上林さん

編集部

次は働き方について、ワークライフバランスの観点からお聞きしたいと思います。上林さんは新規事業「ワンカレ」の責任者を務めていらっしゃると伺いました。どのくらいの期間で、事業の構想からサービスリリースに至ったのでしょうか?

上林さん

4~5ヵ月です。2019年から蓄積されたキャリアカウンセリング事業での知見をもとに、2022年末に構想がスタートし、モニターさんにサービスを体験していただくテストマーケティングを経て、2023年4月に開講を告知しました。

編集部

とてもスピーディな事業開発の中で、どのようにワークライフバランスを実現されましたか?

上林さん

fruorはフルフレックスで、中抜けも可能です。わが家には年中になる子どもがいて、普段は保育園に預けて働いているのですが、休園になってしまったときはこの働き方にとても助けられました。

出社が前提の働き方であれば休む選択肢しかないと思いますが、私の場合は1時間仕事をして、10分子どもと遊んで、また仕事をして、お昼を一緒に食べて、ということもできました。働く時間を自由にコントロールできるぶん、子どもが寝た後などに集中して仕事をすることもありました。

子育てとの両立って、「何かあったときに、いつでも代わってもらえる環境」だけが策じゃないと思うんです。今回は特に新規事業をリリースするタイミングだったので、私がやったほうがいいことも当然多く、私自身の気持ちとしても自分が企画したサービスですから、やり切りたかった。

もちろん、子どもを自宅で保育しているときは100%の仕事ができるわけではないのですが、6割、7割でも仕事が継続できるというフレキシブルさは、私にとってもう手放せない環境ですね。

成果にコミットできるなら、どんな働き方でも受け入れてもらえる

編集部

子育て中のため時間の「制限」はあっても「制約」とは感じずに働けている様子がうかがえます。他にも、ワークライフバランスについてのエピソードがあれば教えてください。

上林さん

私は週5日勤務ですが、いまは日曜と月曜を休みにしています。理由は、現在スクール事業の責任者として、土曜日にセミナー登壇することがあるという業務上の都合が1つ。もう1つが私の個人的な事情で、夫が平日休みの職場のため、私も平日に休みがある方が都合が良いからです。こんなふうに、メンバー1人ひとりの働き方が異なることも、柔軟に受け入れられるのがありがたいです。

子育てフェーズが変わっていく中で、希望の働き方も変わってくると思います。仕事や成果に責任を持ち、自己管理ができるのであれば、どんな働き方も許容してもらえるというのはフルリモート×フルフレックスの良さが発揮できているポイントだと思います。

ちなみに、わが家では最近、子どもが土曜日にピアノを習い始めたので、土曜日だけは16時に退社することにさせてもらったんですよ。

編集部

そうなんですね! fruorさんではメンバー自身が「ワーク」と「ライフ」の充実を積極的にマネジメントする「ワークライフマネジメント」を実践されているのだと感じました。従業員の働き方について、代表として喜多村さんがこだわっている点はありますか?

喜多村さん

何らかの制約を抱える人にとって、これまでは「働きやすさ」と「やりがい」は天秤にかけざるを得ないものだったと思います。弊社ではそれを両立できる環境を大事にした事業運営を目指しています。

ただ、社内には子育て中のメンバー、独身のメンバー、既婚者で子どもはいないメンバーとさまざまなライフステージの人がいるので、変に意識や配慮をしすぎないようには気を付けています。

柔軟な働き方は子育て中の人に限らず、例えば、独身の人が平日昼間に習い事に行きたいのなら、行ってもいいと思います。そのくらい、全員が働きやすい状態を目指したいと思っています。

メンバーの自走力や責任感を醸成する仕組みと評価

編集部

メンバーの皆さんがフルリモートで働く時間も異なる状況で、業務をスムーズに進行する工夫はありますか?

喜多村さん

プロジェクトのスタート時や各案件のオーナーを明確にすることを徹底しています。フルリモートの組織に起こりがちな「ふわっと始まり、ふわっと終わる」ことをなくすためです。各メンバーの責任感や自走力を醸成することにもつながっていると思います。

編集部

評価についてはどうされていますか?

喜多村さん

プロセスを一切見ないというわけではありませんが、フルリモート下では仕事の過程をすべて見ることは難しいため、基本的には成果で評価をしています。

成果と言っても「売上目標の達成」などの数値ベースのものだけではありません。私たちはスタートアップとして仮説に基づいた検証を高速で繰り返していくフェーズにいますので、たとえ1つの施策がうまくいかなくても、それにより仮説検証が1つでも進めば成果と言えます。

編集部

失敗しても、次につながる知見を得ることができれば評価する、という考えなのですね。

仕事を頑張りたいのに、働き方の制約で諦めている人へ

編集部

最後に採用についてお伺いします。fruorさんの事業やfruorさんで働くことに関心を持った読者の方に、メッセージをいただけますか?

喜多村さん

世の中には、仕事を頑張りたいのに働き方の制約で諦めてしまっている方、キャリアにモヤモヤを抱えている方は、たくさんいらっしゃると思います。もし、こういう働き方の選択肢があるんだったらトライしてみたいと思ったら、ぜひうちのドアをたたいてほしいです。

編集部

喜多村さん、上林さん、本日はありがとうございました!

fruorメンバーはどんなライフステージでもキャリアに向き合える社会を目指しつつ、メンバー自らがそれを体現しているのだと感じました。「ミートキャリア」のサービスや、fruorで働くことに興味を持った方はぜひホームページをご覧ください。

■取材協力
株式会社fruor:https://www.meetcareer.net/
採用ページ:https://career.meetcareer.net/