これまでにないサービスを手掛け、成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は、空間レイヤープラットフォームの運営などを展開している株式会社STYLYにお話を伺いました。
空間レイヤープラットフォーム「STYLY」を運営
▲空間レイヤープラットフォーム「STYLY」を活用したエアレース。渋谷の街が舞台となった
STYLYが手掛けているのは、空間レイヤープラットフォーム「STYLY」の運営です。このサービスには複数の都市の3Dデータが実装されており、仮想の都市空間と現実の都市空間が合わさった世界を作り出しています。
会社名 | 株式会社STYLY (※)2024年1月1日に「株式会社Psychic VR Lab」から変更 |
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住所 | 〒160-0022 東京都新宿区新宿1-34-3 第24スカイビル 4F |
事業内容 | 空間レイヤープラットフォーム「STYLY」の開発・運営 |
設立 | 2016年5月19日 |
公式ページ | https://styly.inc/ja/ |
STYLYは、Google ARCoreの推奨パートナーに認定されています。未来の可能性を感じさせるSTYLYに、多くの企業や自治体が期待し、関心を持っているのです。
今回は、同社が提供する「STYLY」の可能性やエンジニアの働き方について、Platform事業部マネージャーの藏内亮さん、Corporate事業部人事部長の江口夏絵さんにお話を伺いました。
XR業界の変革者として「空間を身にまとう」ような新しい体験を提供
▲「STYLY」を活用したアートイベントの様子。東京の街にXRアートが出現している
編集部
初めにSTYLYさんの事業内容について伺わせてください。
江口さん
弊社は、空間レイヤープラットフォームの開発・運営を手掛けています。バリューとして「『空間を身にまとう時代』をつくる。」を掲げており、空間をメディア化することで、「STYLY」を土台にしてさまざまなサービスを展開してきました。Appleから空間コンピューティング「Apple Vision Pro」の発売に関しての情報発表もされ、いよいよ本格的に私たちが目指してきた「空間を身にまとう時代」がやってきようとしています。
サービスの軸の一つが、XRコンテンツ制作ができるアーティストの育成です。「STYLY」のプラットフォームを活用したXRコンテンツの制作を請け負うだけでなく「NEWVIEW PROJECT」という取り組みを進めて、スクールの開校や発表機会の創出など、XRアーティストの育成にも力を入れています。
編集部
プラットフォームの運営と、プラットフォームを活用したアーティスト育成の両軸でサービスを展開されているのですね。「STYLY」によって、私たちはどのようなことができるのでしょうか?
江口さん
「STYLY」には現在、東京のほか京都、大阪、札幌など複数の都市空間の3Dデータが実装されています。例えば渋谷に出かけてARグラスなどをかけていただくと、都市空間にフィットしたデジタルコンテンツが映し出され、さまざまなエンターテインメントを楽しむことができるのです。
また、グラスだけでなく、スマートフォンやWEBブラウザなどあらゆるデバイスでお楽しみいただけるのも「STYLY」の特徴です。
「STYLY」は、さまざまなプロジェクトに活用されています。最近の事例だと、臨海副都心エリアをXRアートで彩ったプロジェクト「ARTBAY TOKYO アートフェスティバル2023」や品川のイルミネーションとXRアクアリウムを掛け合わせた「品川XRアクアガーデン」などがあります。
そのほか、飛行機を使ったモータースポーツ「エアレース」を渋谷の仮想空間で実施した「AIR RACE X」にも「STYLY」が活用されました。AIR RACE Xは渋谷ではない現実空間で飛行機を飛ばし、その飛行データを元にARで渋谷の街に飛行機が飛び回るという世界を実現しています。
編集部
まさに「『空間を身にまとう時代』をつくる。」に沿った体験が味わえるのですね。
■「STYLY」を活用したプロジェクトの詳細はこちら!
- ARTBAY TOKYO アートフェスティバル2023公式サイト
https://artbaytokyo.com/artbayfes2023/ - 品川XRアクアガーデン公式サイト
https://xraquagarden.com/ - AIR RACE X公式サイト
https://www.airracex.com/JP/shibuya2023/
Google、Appleからも高評価。STYLYの強みは実績とトータルソリューション
編集部
近未来を感じさせるSTYLYさんのサービスですが、周囲の反響も大きいのではないでしょうか?
江口さん
STYLYはGoogle ARCoreの推奨パートナー企業に認定されています。
また、日本と中国においてApp Storeフィーチャー枠のトップに「STYLY」のアプリが掲載さました。App Storeフィーチャー枠はお金を出せば掲載されるものではなく、本当に評価されないと載らないので、しっかりとメガテック企業からの評価を得ているのだと嬉しくなりましたね。
加えて、ここ1年でお付き合いさせていただくクライアントや手掛けるプロジェクトの規模が大きくなっているのを感じます。
先日はJR西日本グループさんと共同でイベントを実施しましたし、大手の不動産デベロッパーさんや各自治体様にもお声がけいただいているので、STYLYが着実に成長しているのを感じますね。
編集部
やはり「STYLY」の唯一無二性というのがここまでの反響を呼んでいるといえるのでしょうか?
江口さん
現実空間をメディア化するという「STYLY」の唯一無二性というのはもちろん強みの一つですが、STYLYは空間レイヤープラットフォームの業界でも歴史がありますので、そこから生まれる安心感というのも多くの企業様や自治体様に選んでいただけている理由なのかと思います。
XRプラットフォーム自体、まだまだ新しい領域です。お客様もまだよくわからない分野に飛び込むことになりますので、「実績のあるところに任せたい」という心境にあるのだと思います。
弊社の設立は2016年ですが、活動を開始したのは2014年と、XR業界に関わってもうすぐ10年になります。
ですので、コンテンツの制作クオリティが高いのはもちろん、ロケーションベースのプロジェクト推進ノウハウをしっかり持っていること、育成してきたXRクリエイターを多く抱えているということ、そして大前提として、大手企業や自治体にも選ばれている安定したプラットフォームが提供できているという特徴が大きな強みだといえるでしょう。
編集部
XR技術についての研究を続けられたSTYLYさんだからこそ、お客様に安心感を与えられるのですね。
有名IT企業から他業界の出身者まで、多様な人材が集まる
編集部
STYLYさんのメンバーは現在何名いらっしゃるのでしょうか?
江口さん
STYLYには現在40名のメンバーが在籍しています。2022年に12人、2023年で7人が入社しており、ここ2年で約20名増員しました(2023年11月現在)。
編集部
2年でそこまで人数が増えていることから成長のスピード感が伝わります。STYLYさんのメンバーはどういったところから入社されているのでしょうか?
江口さん
STYLYのメンバーはGoogle、Yahoo、Unityなど大手IT企業出身の方や、ゲーム会社、公務員などの異業種出身の方など、さまざまなバックグラウンドを持っています。
会社としても経験業界や学歴にはこだわっておらず、その人が何ができて、これから何をしたいのかという部分を重視しています。
波乱万丈の経験を持っていれば持っているほどおもしろいことができると思いますし、どんな経験でもプラスに捉えていますね。
編集部
さまざまな経歴をお持ちのメンバーが在籍されているのですね。
エンジニアに求められるのは「先端技術」を「安定して動かす」こと
編集部
御社のメンバー全体の中で、エンジニアは何名在籍されているのでしょうか?
藏内さん
STYLYのエンジニアは委託のメンバーも含めると7名と、少数精鋭の組織です。Unityエンジニアが3名で、WEBエンジニアが私を含め3名、品質保証を担当するQAエンジニアが1名です(2023年11月現在)。
編集部
現在はPlatform事業部マネージャーを務められている藏内さんですが、どのような経緯で入社されたのでしょうか?
藏内さん
私はもともと個人でVTuberのアプリを作っていました。まだVTuber黎明期のころから制作を続けていましたが、流行り始めてきたころだったので「VTuberでビジネスをしたい」という人も増えつつある時期でした。
そんな背景もあり、VTuberをテーマにした座談会が開催され、私も参加したのです。
座談会に参加してみると、弊社の執行役員である水谷(享平さん)も参加していました。そこで水谷とお話しさせてもらい、「STYLYにサーバーサイドエンジニアがいない」という話になったのです。
私はVTuberアプリを開発してはいましたが、本職はサーバーサイドエンジニアでした。VTuberやVRに造詣のあるサーバーサイドエンジニアというのは貴重だったということもあり、入社することとなりました。
編集部
STYLYのエンジニアとして働く上で大切にしていることは何でしょうか?
藏内さん
STYLYが提供しているプラットフォームは最新の技術が使われてはいますが、やはり一番大切になってくるのは「安定して動く」というところだと思います。JR西日本グループさんのようなナショナルクライアントがいる中では、安定感というのは重視していかなければならないでしょう。
最新技術を使ってみるのはやはりおもしろいし、やりがいもあります。ただ、システム自体が不安定でバグが多いということになると、その修正に時間が取られてしまいます。そうすると、結局は新しい技術に触れる時間も減ってしまうのです。
ですので、STYLYでエンジニアとして働く上では、基本的なプログラミングスキルやシステム設計に関するスキル、システムを安定的に試すために必要なスキルが求められてきますね。
編集部
最新の技術を活用しているとなると華やかなイメージがありますが、基礎中の基礎をしっかり押さえておく必要があるのですね。
品質保証を担保する開発環境、メンバー同士のコミュニケーションも活発
編集部
STYLYさんのエンジニアの働き方についてお教えください。
藏内さん
STYLYのエンジニアは基本的に全員リモートで働いています。私も普段は大阪にいますね。月に1度の懇親会を兼ねた全体会議の際は出社しますが、それ以外はリモートワークで業務に当たっています。
開発においてはスクラムという手法を採用しています。1週間ごとに業務を区切り、月曜日に1週間で取り組む業務を決め、火曜から木曜は進捗報告、金曜日にレビューという形で成果物について振り返ります。
ですので、1年間に52回スクラムを回すというイメージを持っていただけたらと思います。
編集部
日々の進捗報告などでコミュニケーションを取る機会はあると思いますが、それ以外でメンバー同士が交流する機会はあるのでしょうか?
藏内さん
STYLYにはランダムにマッチしたメンバー同士でランチを食べる「ミステリーランチ」という仕組みがあります。ランチ代は会社から補助が出て、和気あいあいとした雰囲気で交流します。
また、私は月に1度メンバーと1on1をするようにしていますね。もちろん日常的にも話すようにしていますので、無理にオフラインでの機会を作らなくてもコミュニケーションが取れていると感じています。
毎月1回行っている社内勉強会では、エンジニアメンバーも積極的に自分の関心事についてアウトプットしています。
▲定期的に社内勉強会が開催されるなど社員同士がコミュニケーションを取りながら学び合っている
編集部
日々社員同士でオンライン上で密にコミュニケーションを取られているのですね。エンジニアという立場で見たSTYLYさんの働く環境の特徴は何でしょうか?
藏内さん
さきほどの安定感のお話と共通する部分かもしれませんが、品質保証の体制に力を入れているという点がSTYLYの環境面での特徴です。
弊社は1年間に400回ぐらいリリースをしていたこともありますが、1回のリリースで約3万件以上のテストを実施しているのです。これほどの数のテストを自動化して実施しているというのは、業界的にもかなり珍しいと思います。このことからも品質保証にはかなり力を入れているとがわかると思います。
編集部
「STYLY」が多くの企業様や自治体様に支持されているのは、安定して動くプラットフォームをつくる開発環境にあるのですね。
採用の前提はSTYLYが目指す未来に共感していること
▲「楽しいからエンジニアをやっているという方に入社いただきたい」と話す江口さん
編集部
最後に、STYLYさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
江口さん
XRの分野ではさまざまな会社さんがサービスを展開されています。XRと一言でいっても、目指す未来はそれぞれの会社さんで違うでしょう。
ですので、入社に当たっては同業の会社さんと比較検討したうえでSTYLYを選んでくれているのかというのはしっかりと確認していますね。
弊社に入社するにあたっては、私たちが目指す未来に共感をしてくれるというのが大前提です。
エンジニアについては、モノづくりが好きかというのを重視しています。やはり「できるからエンジニアをやっている」よりも「楽しいからエンジニアをやっている」という人に入社いただきたいですね。
楽しくエンジニアをやっている方は、完成にまで至らなくても勉強のために何かを作っているという話が出てくると思うのです。ですので、エンジニアの仕事が好きだという方の応募をお持ちしております。
▲「技術に執着しすぎず、技術をビジネスに生かせるような方と一緒に仕事がしたい」と話す藏内さん
藏内さん
先ほども申し上げた通り、STYLYのエンジニアにはシステムを安定させるため、ソフトウェアの開発への造詣が必要になります。必要なスキルを持ち合わせたうえで、技術の変化についてキャッチアップするのが楽しいと思える方を歓迎したいです。
また、プロダクトを作った経験をお持ちの方であれば、なおのこと歓迎します。LPを自分で作ってみたり、ソフトウェアやアプリを申請したりというプロダクト開発の経験を持っていれば、ビジネス側の気持ちもよくわかると思うからです。
技術を楽しみながら、技術をビジネスに生かせるような方と一緒にお仕事ができればと考えています。
編集部
「エンジニアの仕事が好き」と感じている方にとっては大きな刺激を得られる環境だと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社STYLY:https://styly.inc/ja/
採用ページ:https://styly.inc/ja/recruit/