ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、医薬品やスキンケアなどを中心としたヘルスケア事業で人々の健康に貢献するロート製薬株式会社にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。
ロート製薬の特徴は、幅広いキャリアデザインを可能にする多くの制度を整えていることです。自律的なキャリア形成に活かす「マイビジョンシート」、2つの部署を兼務できる「社内ダブルジョブ」、複業を認める「社外チャレンジワーク」など、独自の取り組みが社員の可能性を広げています。
また、女性社員比率約60%、女性管理職比率30%以上と、性別を問わずキャリアを築ける環境が整っていることや、全国から社員が集まる運動会などの施策も魅力的です。
今回は、そんな同社のキャリア支援制度や女性の活躍、社内風土について、人事総務部の藤原さんと西本さんにご自身の経験を基にしたお話を伺いました。
キャリア支援制度:マイビジョンシートの記入で将来像を意識
編集部
ロート製薬は、年次に関係なく、若いうちから活躍できるよう後押ししているそうですね。若手社員の育成について、どのような取り組みをされているのでしょうか?
藤原さん
会社から言われたことだけをやるのではなく、「自分がどのような立場で会社や社会に貢献したいか」を常に考えてもらうようにしています。
具体的には、毎年「マイビジョンシート」というものに中長期的なキャリアの方向性や挑戦したい業務内容などを記載し、「5年後や10年後にどのような人でありたいか」を考える機会を設けています。
マイビジョンシートを基に組織検討を進めることもあり、入社年次にかかわらず全社員が年に1回は自分のキャリアに目を向けます。若いうちから自分のビジョンを明確にする機会があるので、自然と「将来のためにいま何をすべきか」を意識して行動するようになりますね。
2つの部署を兼務する「社内ダブルジョブ」で新しい業務に挑戦できる
▲2016年に新卒で入社。人事と広報の仕事を兼務する藤原結衣さん
編集部
挑戦したいキャリアパスが定まった場合、それを叶えるような制度はあるのでしょうか。
藤原さん
もちろんです。まずお伝えしたいのが、「社内ダブルジョブ」です。これは2つの部署の仕事を兼務できる制度で、現在192名の社員が兼務をしています(2024年3月時点)。製品開発と薬事、生産技術と品質管理など、兼務する部署は社員によって様々です。
兼務を開始するには、自分自身で手を挙げる場合と、会社から辞令をもらう場合の両方があります。
編集部
藤原さんも現在、人事と広報の仕事を兼務されていますよね。その経緯について伺ってよいでしょうか。
藤原さん
私は2020年から2022年に商品企画兼人事、2023年から現在までが人事兼広報と、約5年間ダブルジョブをしています。どちらも会社からの辞令ですが、きっかけは先ほどお話ししたマイビジョンシートでした。
入社後、新卒で商品を企画する部署に配属となり、社内の様々な部門と関わって仕事をする中で「社員同士のコミュニケーションをさらに活発にしていきたい」という思いが膨らんでいったんです。マイビジョンシートに率直な思いを書き、有志の社員による「インナーコミュニケーションプロジェクト」にも加わりました。
そんなときに、商品企画に加えて人事を兼務するダブルジョブの辞令がありました。「採用や育成に関わることで、組織として部門同士のつながりをさらに強めてほしい」という会社からのメッセージだと受け止めました。
編集部
ダブルジョブをする中で、大変だったことはありますか?
藤原さん
もともと取り組んでいた業務の量や質も高めながら、どうすれば「プラスアルファ」の時間を捻出し兼務先でも価値を生み出すことができるか、試行錯誤しました。それぞれの部門の忙しい時期を踏まえて、自分でバランスを考える必要がありますし、従来の仕事のやり方も変えながら、同じ時間内で両部門でのアウトプットを出せるように意識し続けています。
異動ではなく兼務という形をとることで、人事という新しい経験を積みながらも、入社から7年間に渡って様々なカテゴリの商品企画業務に携わることができたのは大きな自信になりました。現在は人事と広報を兼務しており、それぞれの視点を活かしながら、採用や働き方にまつわる広報活動にも取り組んでいます。
積極的な「ジョブローテーション」で新しい可能性に気づき成長できる
▲2021年に新卒で入社した西本茉由さん。営業部門からのジョブローテーションで人事部門に配属
編集部
西本さんはジョブローテーションで人事部門に配属されたということですが、ご自身の経験について詳しく教えていただけますか?
西本さん
入社2年目に営業部門から人事部門に異動しました。年に一度全社の組織異動があるので、周りを見ても若いうちからジョブローテーションを経験するメンバーが多いです。
私は、周りの先輩の働く姿を見て「お客さまの生き生きとした生活を支えるためには、私たち自身が生き生きと働いていることこそが大切なのだ」と日々感じていました。ロート製薬の「経営の中心にまず『人』がいて、人の志や情熱が組織を動かし社会に価値を生み出す」という考え方に共感して入社したので、自然と先輩や同僚たちの魅力的な部分に目が向いたんですね。
マイビジョンシートでは人事の仕事がしたいとはっきり意思表示していたわけではなかったのですが、私も先輩方のように生き生きとやりがいを持って働いていたいし、そういった空間を広げていきたいという自分のありたい姿を書いていたので、「人創り」に挑戦する機会をもらえたのかもしれません。
藤原さん
西本は現在入社4年目ですが、40〜50名規模の新人研修の企画や運営をメインでリードしています。新人研修の担当は経営陣や部門の責任者とも話しながら研修内容を練っていくため、やりがいがある一方で責任も重い仕事です。経験年数に関係なく、意欲的な社員は責任のある仕事を担い、成長してもらいたいと思っています。
編集部
実際にジョブローテーションを経験されて、どのような印象を持たれましたか?
西本さん
異動になったばかりのころは正直、仕事のやり方が違って業務がスムーズにいかないこともありました。ただ、働いている社員のお客さまに対する思いや、若手社員であっても対等なチームの一員として本気で相談に乗ってくださる先輩方の姿勢はいずれの部門でも変わりませんし、温かい雰囲気はロート製薬のどの部門でも同じなので、すぐに馴染めました。
特定の部門に長く在籍し専門性を磨くというキャリアももちろんありますが、ジョブローテーションは自分の新しい可能性に気づき、成長できる重要な機会だと感じています。
複業制度「社外チャレンジワーク」を通じた多様な経験も成長のきっかけに
編集部
その他に、社員が多様なキャリアパスを描くための制度があればご紹介いただきたいです。
藤原さん
ロート製薬とは異なる場所で働くことができる「社外チャレンジワーク(複業)」という制度も特徴的です。これは社内ダブルジョブと同時期に導入されたもので、有志によるプロジェクトメンバーの活動から実現しました。
スタートしたのは2016年で、これまで延べ165名が社外チャレンジワークに挑戦しています(2024年3月時点)。薬剤師の資格を活かして調剤薬局で働く者やWebライターをする者など、職種も幅広いです。中には、オリジナルのビール製造に挑戦している社員もいますよ。
編集部
複業制度の導入には、どのような背景や狙いがあったのでしょうか?
藤原さん
ロート製薬という企業の中に限らず、一人ひとりに合った場所で可能性を広げてもらいたいという想いからです。世の中は日々変化し、人材も限られてくる中で、一人ひとりが社会の中でマルチな役割を担うことが求められます。もちろん、家庭内での「親」や「子」、地域の一員というのも大切な役割です。
だからこそ、ロート製薬で働く時間は凝縮した上で自分自身の時間を生み出すこと、また生み出した時間で複業を行い成長機会を得ることも大切だと考えています。社内では得難い経験を重ねることでキャリアの幅が広がるのはもちろん、自身の成長を本業に還元してもらえることも期待しています。
女性が6割の環境。キャリアを狭めず活躍を支援する風土あり
編集部
ロート製薬の全体の約60%、管理職の30%以上が女性とのことですが、育児と仕事の両立支援についてはどのような特徴がありますか?
藤原さん
産休・育休や時短勤務といった制度自体はもちろん整っています。むしろ特徴的なのは、マイビジョンシートで日ごろから「やりたいこと」を明確にしているため、産休・育休から復帰した後にも「こんな風に会社や社会に貢献したい」というビジョンを持っている社員が多いことですね。
周囲の社員を見ると、産育休に入る前も復帰した後も、モチベーションは変わらず非常に熱量高く働いている印象です。モデルケースも多く、お子さんを育てながら意欲的に仕事をする先輩方を間近で見ているので、出産や育児を機にキャリアを狭める女性社員は少ないように感じます。
編集部
育児と仕事の両立のためにサポートし合うような風土があるのでしょうか。
藤原さん
はい。これまで活躍されてきた先輩方の努力もあり、「子どもの体調不良や行事参加でのお休みは当たり前」といった雰囲気が根付いています。もちろん、管理職になってからも「子どものピンチに駆けつけられる」体制は変わりません。
社内イベント:健康施策を多数実施。運動会で一体感も育む
▲インタビュー中の1コマ。お二方の表情からも、社員同士の仲の良さが伝わってくる
編集部
社内イベントなどの取り組みについても教えていただけますか?
西本さん
「まず社員自身が健康であってこそ世の中へ良い商品やサービスが提供できる」という考えのもと、社員が健康になり、お互いに交流を深めるための活動に積極的に取り組んでいます。
非喫煙率100%を目指し、社員同士で卒煙を応援する活動(2024年3月時点で非喫煙率は97.8%)や、全社を挙げたウォーキングイベント「とこチャレ」のほか、3~4年に1回ほどのペースで開催する運動会には、全国から社員が集まります。
編集部
実際に運動会に参加された感想を教えていただけますか?
西本さん
老若男女を問わず、社員の皆さんが全力で競技に取り組む姿が印象的でした。年代別の徒競走があるのですが、普段は冷静な40代・50代の先輩方が本気で走っている姿に胸が熱くなりましたね。
普段は見られない一面に触れられるのはもちろん、仕事では直接関わらない社員ともコミュニケーションが生まれるのが楽しいです。徒競走以外にも、綱引きやチャンバラ合戦など、チームで協力することで社員同士の一体感を深める競技もあります。
また、毎回趣向をこらしたテーマや協議内容を企画することで、企画力やプレゼン力を磨くという狙いもあります。
▲健康的なメニューが提供される社員食堂。休憩スペースは社員の交流場所にもなっている(画像右上)
ロート製薬が求める人材:社会のWell-beingを支える人を歓迎
編集部
転職を検討している方々に向けて、御社が求める人物像を含めたメッセージをお願いします。
西本さん
社内には、1人ひとりの社員がしっかりと意思を持ち、自分たちの職場を良くするために動く雰囲気があります。柔軟な組織体制により、「もっとこうしたい!」という社員のアイデアが社内に反映されやすい環境なので、自分で考えて行動したい人は、きっとやりがいを感じていただけると思います。
藤原さん
ロート製薬は胃薬から始まった会社ですが、「社会を健康にすること」を軸に、目薬、スキンケア、食、再生医療と、既存のカテゴリにとらわれることなく事業を拡大してきました。
キャリア採用で仲間になってくれた社員も増え、社員同士で交流しながらロート製薬のカルチャーを知ってもらえる機会もつくっています。社会をWell-beingにするために新しいことにどんどん挑戦したいという想いのある方と、ぜひ一緒に働きたいです。
編集部
「人の可能性」を重視し挑戦を続ける御社なら、やりがいを持って働けることでしょう。本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!
ロート製薬株式会社の働き方のまとめ
独自の制度・働き方 | ・自律的なキャリア形成に活かす「マイビジョンシート」 ・複数部門の兼務が可能な「社内ダブルジョブ」 ・勤務時間外の複業を推奨する「社外チャレンジワーク」 |
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女性活躍の特徴 | ・女性社員比率約60%、女性管理職比率30%以上を実現 ・育児と仕事の両立モデルが豊富 ・管理職でも子育て両立が一般的 ・若手からの自律的な働き方を重視 ・産休・育休後も高いモチベーションを維持 |
若手育成の特徴 | ・年次にかかわらず重要ポジションを任せる(50名規模の新人研修の責任者など) |
社風・カルチャー | ・生産現場における気づき・改善提案は年1万件以上あり、一人ひとりの職場環境を良くしたいという想いを重視する文化 ・全国から社員が集まる運動会を定期開催するなど、部署間交流を促進 ・自由度が高く、新しいアイデアや取り組みが生まれやすい環境 |
事業特性 | ・目薬・胃薬から再生医療まで、ヘルスケア分野で幅広く展開 ・スキンケア商品が売上の6割以上を占める |
ロート製薬株式会社の基本情報
企業名 | ロート製薬株式会社 |
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住所 | 大阪市生野区巽西1-8-1 |
事業内容 | 医療品・化粧品・機能性食品等の製造販売 |
創業 | 1899年2月 |
公式ページ | https://www.rohto.co.jp/ |
採用ページ | https://www.rohto.co.jp/recruit/ |
募集職種 | ・ビジネス企画職 ・SCM職 ・研究開発職 ・製品・製剤技術職 ・品質マネジメント職 ・プラントエンジニア職 ※2024年12月時点(募集職種は時期によって異なる) |