成長が著しい企業を取材し、躍進の秘訣を探る本企画。今回は、eスポーツ関連事業を展開する株式会社XENOZをインタビューしました。
株式会社XENOZとは
株式会社XENOZ(ゼノス)は、eスポーツを通じて人々に“新しい居場所”=“New Area"を提供することを目指す会社です。
eスポーツチームの草分けとも称される「SCARZ」を運営するほか、ファンコミュニティの運営やeスポーツ大会の開催などを手がけています。
会社名 | 株式会社XENOZ |
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住所 | 神奈川県川崎市川崎区駅前本町15-5 十五番館ビル701 |
事業内容 | eスポーツチーム「SCARZ」の運営をはじめとするesports事業 |
設立 | 2016年4月 |
公式ページ | https://xenoz.co.jp/ |
eスポーツ人気の高まりや、国内外の大会におけるSCARZの活躍を追い風に、株式会社XENOZは右肩上がりの成長を続けています。2022年には本格的な事業拡大を視野に大丸松坂屋百貨店などを運営するJ.フロントリテイリングの傘下となり、グループの商業施設を活用したリアルイベントを開催するなど、シナジーが生まれています。
今回は執行役員の金濱壮史さん、営業担当の井沢瑞樹さん、広報の松下幸輝さんに、企業成長の秘訣や若手社員の活躍についてお話を伺いました。
XENOZはeスポーツを通じて「新しい居場所」を提供する
編集部
はじめに、XENOZさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
金濱さん
弊社は、eスポーツチームに関連する事業を手がけています。主力事業は国内外の大会で活躍するプロのeスポーツチーム「SCARZ(スカーズ)」の運営で、マネジメントのほかチームのグッズ販売やソーシャルメディアを通じたファン向けコンテンツの配信などです。
また、2012年のSCARZ発足以来、長年に渡って築いてきたeスポーツの経験や業界内の関係を活かし、最近ではeスポーツ大会の運営事業にも乗り出しました。eスポーツとエンターテインメントを融合させた大会「SoulZ」を開催するほか、ゲーム会社が主催する大会の運営なども手がけています。
編集部
日本のプロeスポーツチームの草分け的存在とも言われるSCARZの活躍が、さまざまな事業を生み出してきたのですね。事業を展開するうえでXENOZさんが大切にしていることは何でしょうか。
金濱さん
ゲームは単なる暇つぶしではなく、世界の舞台で活躍するプレーヤーの姿は多くの人に夢を与える力があります。また、学校に馴染めない子がゲームを通じて新しいコミュニティに属することができるかもしれません。このように、私たちはeスポーツを通じて多くの人に夢を持ってもらいたいと考えています。
また、SCARZを中心としたコミュニティをファンのための「新しい居場所」にしたいという思いから、「New Area」というビジョンを掲げています。
編集部
子どもがなりたい職業ランキングの上位にeスポーツ選手がランクインするなど、eスポーツの人気が年々高まっています。XENOZさんのeスポーツ普及の取り組みもその一翼を担っているのですね。
事業拡大フェーズに突入。XENOZが右肩上がりに成長できる理由
▲SCARZは、国内外のeスポーツ大会で好成績の活躍を続けている。
編集部
ここからは、企業成長をテーマに伺いたいと思います。XENOZさんの近年の事業や組織の拡大状況について教えていただけますか?
金濱さん
売上は非開示ですが順調に伸び続けており、それに伴って組織の規模も拡大しています。2022年に7名だった社員数は、2023年には14人へ倍増しました。
編集部
何がXENOZさんの成長をけん引しているのでしょうか?
金濱さん
eスポーツチームSCARZの活躍が大きな要因と言えます。特に、5対5のチームで対戦するシューティングゲーム「VALORANT」の対戦成績が好調です。
VALORANTは世界的に人気のあるゲームで、2023年4月から6月のeスポーツの総視聴時間の60%弱がVALORANTだったというデータもあるほどです。SCARZは2023年、そのVALORANTの日本リーグで優勝し、その先のアジアパシフィック大会でも2位の成績をおさめました。
ほかにも、2022年に非対称型対戦ゲームの「第五人格」で世界ベスト8となったり、国際オリンピック委員会が2023年6月にシンガポールで開催したeスポーツ大会に日本代表として出場し「グランツーリスモ」で7位に入るなど、好成績が続いています。
編集部
人気ゲームや国際大会での活躍は、新しいファンの獲得に繋がりそうですね。
金濱さん
そうですね。例えば「第五人格」をプレーする人には女性も多く、これまでとは異なる層の方にSCARZのファンになってもらえたと感じます。その結果、女性にアプローチしたい企業様に弊社のスポンサーになっていただけましたし、推し活のような感覚でアパレルグッズの展開も成功しました。
また、SCARZはZ世代の熱狂的なファンを多く抱えています。この世代にアプローチしたい企業様は多いので、ファン向けのマーケティングやコミュニケーション施策にも力を入れています。
J.フロントリテイリングと手を組み、更なる成長へ
▲渋谷のPARCO劇場で行われたSCARZのパブリックビューイングには、約1000名が集まった。
編集部
XENOZさんは2022年12月、大丸松坂屋百貨店などを運営するJ.フロントリテイリング株式会社の傘下に入りました。その狙いについて教えてください。
金濱さん
チームを継続的に強くするためには、グローバルでの選手獲得が必要になります。そのためには、資金力や経営の安定性を確保する必要があると考えたことが、グループ入りを検討することになったきっかけです。
何百社という企業様にアプローチをしたり、お話をいただいたりするなかで、弊社のピジョンや強いチームづくりへの思いを理解し、応援してもらえると感じたのがJ.フロントリテイリングでした。
編集部
百貨店とeスポーツというのは意外な組み合わせですが、グループ入りしたことによる効果は見られますか?
金濱さん
はじめは業態も規模も全く異なる2社がタッグを組んでどうなるのか見えない部分もありましたが、結果的にはとても良いシナジーが生まれています。
J.フロントが運営する渋谷のパルコ劇場でeスポーツ大会のパブリックビューイングを開催した時には1000名のお客様に来ていただけました。また、大阪・心斎橋のパルコで開催したファンミーティングには、平日の昼間にもかかわらず200名の方に集まっていただきました。
編集部
商業施設と手を組むことで、リアルなイベントを開催しやすくなったのですね。
金濱さん
そうですね。ファンの方と接点を持ち、熱狂を生み出すようなリアルイベントを開催できることは、ほかのチームにはないSCARZの強みになっていると思います。
▲心斎橋のPARCOでファンミーティングを開催するなど、リアルイベントが株式会社XENOZの強みとなっている。
編集部
お店側としても、新しい客層の開拓が期待できそうですね。
金濱さん
J.フロントが運営する東京・銀座の「GINZA SIX」でもイベントを開催しました。eスポーツのファンの多くは10代後半から20代半ばでGINZA SIXのメインの客層とは異なるので、イベントが新しい客層へのアプローチになってくれたら私たちも嬉しいです。
eスポーツの価値を高めるため、社会貢献にも積極的
編集部
XENOZさんは、社会貢献活動にも力を入れていると伺いました。
金濱さん
本社がある川崎市を中心に、SDGsに関連した社会貢献活動を行っています。2023年9月には、eスポーツのファン層である若者世代が選手と共にSDGsの目標に取り組む「SCARZ SDGs Project」を立ち上げました。
このプロジェクトでは、イベント会場での食品の回収を実施したり、近隣の学校でeスポーツをテーマにした出張授業を行ったりしています。
編集部
そのような活動を行う背景には、どのような思いがあるのでしょうか?
金濱さん
弊社のビジョン「New Area」にも繋がりますが、eスポーツは人々に何かしらの「新しいきっかけ」を与えてくれるものだと思います。例えば、障害がある方でもプレーできるコントローラーが発売されており、誰もが楽しめる社会づくりにも貢献しています。
XENOZも、自分たちができる社会貢献活動を積極的に行い、eスポーツの社会的な価値を多くの人に知ってほしいと思っています。
編集部
eスポーツ業界をけん引してきたXENOZさんだからこそ、業界全体のことを考えて責任ある行動を推進しているのですね。
XENOZでは未経験の若手社員が会社の成長をけん引する
▲井沢さんはアルバイトを経て株式会社XENOZに入社し、既存スポンサー営業を担当している。
編集部
ここからは、XENOZさんで活躍する20代の若手社員に焦点を当てたいと思います。井沢さんは、アルバイトから正社員に登用されたと伺いました。
井沢さん
私はWebサイトの制作などを担当するメンバーとして1年ほどアルバイトで働いた後、2023年4月に正社員になりました。今は営業職として、既存のスポンサー様とコミュニケーションを取りながらイベントの内容などについて社内で調整する仕事を担当しています。
営業の経験はなくゼロからの挑戦でしたが、金濱さんにマンツーマンでサポートしてもらい、最近では少しずつできることが増えてきたと感じています。
編集部
井沢さんを未経験で営業職に抜擢した理由はなんだったのでしょうか?
金濱さん
営業というのは、単に元気で明るいだけではなく、データをもとに論理的にお客様に説明できるスキルも大切です。井沢はデータに強く、eスポーツを愛する心もあるので、営業として活躍してもらえると思いました。
eスポーツには、まだ「営業のプロ」と言えるキャリアを持つ人が世の中にいません。型みたいなものがない分、自分の強みや興味を生かした営業スタイルを確立し、eスポーツ営業のロールモデルになってほしいと期待しています。
広報の仕事を通じて得たのは「会社を俯瞰する広い視野」
▲松下さんは未経験から広報になり、SNS運用などを担当する。
編集部
松下さんも井沢さんと同時期に正社員になったということですが、今のお仕事について教えていただけますか?
松下さん
私は元々、契約社員としてXENOZの動画コンテンツの制作に携わっていました。2023年4月に正社員になってからは、広報としてSNSの運用などを担当しています。
動画制作をしていた頃は、自分が担当する分野のゲームにだけ詳しければ良いという状況でした。しかし、広報の仕事は特定の分野だけでなく、社内のすべての部門について深く理解する必要があります。大きな責任が伴いますが、ルーティンワークではないやりがいのある仕事だと感じます。
編集部
SCARZをはじめとする影響力のある事業を行うXENOZさんだけに、世の中に情報発信する広報のお仕事は大きな手応えを感じられそうですね。
松下さん
そうですね。自分がSNSで発信したことが多くの方の目に触れ、5分後にはファンの方からコメントやフィードバックなどをいただけることはとても面白いです。弊社の事業をより良くするためにも、ユーザーの方とのコミュニケーションは大切にしたいと思います。
成長を続けるためにXENOZが重視する人材とは
編集部
XENOZさんには、未経験でも若手社員に任せようという方針があるのでしょうか?
金濱さん
採用や人材育成に関する方針としては、2つの軸があります。ひとつは、井沢や松下のように元々eスポーツが好きな人に入社してもらい、営業やSNSマーケティングなどを一から覚えてもらうパターンです。
もうひとつは、eスポーツ以外の強みがある人に入社していただき、eスポーツのことは入社後に勉強してもらうパターンです。私も初めからeスポーツに詳しいわけではありませんでした。広告代理店での勤務経験からマーケティングに関する知識があり、eスポーツのことは入社後に周囲に教えてもらいました。そのようにして、自分が強みとするマーケティングとeスポーツをかけ合わせて弊社のビジネスに貢献してきました。
XENOZがこれからも成長し続けるためには、どちらの人材も必要だと考えています。
編集部
さまざまな強みやバックグラウンドを持つ人が集まることで、より強い組織へと進化することができそうですね。
若手の仲間に刺激を受けながら成長できる環境あり
編集部
若手社員が活躍するためには、挑戦しやすい社内環境も必要だと思います。井沢さんや松下さんは、XENOZさんの社内の雰囲気についてどのように感じていますか?
井沢さん
ほかの会社に比べて若いメンバーが多く、切磋琢磨できる環境だと感じます。
また、eスポーツやゲーム好きという共通点があるので、とにかく社員同士の仲が良いです。コミュニケーションも取りやすいので、分からないことや不安なことがあれば気軽に相談することができます。
松下さん
井沢が言うように、ゲームが趣味の人が多いので、休み時間にはいつもゲームの話で盛り上がっています。
eスポーツを盛り上げたいという思いを持つ仲間が集まっており、私の仕事についても「SNSにこういう投稿してみたら?」といった提案を積極的にしてもらえます。周りから刺激を受けながら働くことができる会社だと感じますね。
編集部
おふたりのお話から、XENOZさんの仲の良い社風や若手社員が前向きに仕事に取り組んでいる様子が伝わってきました。
「好き」や「強み」を生かして世界一を目指したい仲間を歓迎
▲執行役員の金濱さんは、自分の強みを生かしてeスポーツ界の「世界一」を目指したい人を歓迎すると話す。
編集部
成長を続けるXENOZさんが求めるのは、どのような人材でしょうか?
金濱さん
ゲームやeスポーツに関する深い知識がなくても、営業やマーケティングなど自分の強みを持ち、それを生かして成長市場で挑戦したいと思っている方です。そのような仲間と一緒に会社を大きくする挑戦をしたいです。
日本の人口が減少するなかでも、eスポーツ業界は若いプレーヤーやファンが増え、どんどん市場が成長しています。グローバルに活躍できるチャンスもありますし、チャレンジしたいと思う人なら年齢や性別に関係なく活躍できる環境です。eスポーツの「チーム」と「ビジネス」の2つの側面で、日本一・世界一を目指す弊社の目標に共感いただける方に、ぜひご応募いただきたいです。
編集部
eスポーツに関する知識は必ずしも必要ではないということですが、「好き」な気持ちは重視しますか?
金濱さん
楽しく仕事するためには、好きになっていただくことは必要だと思います。好きなことに没頭できる力は、熱量を持って仕事に向き合ううえでも大切だからです。
ゲームやeスポーツに限らず、アイドルでもアニメでも「これが大好き!」と言えるものがある方なら、きっとeスポーツの分野にも生かせることがあると思います。
編集部
松下さんと井沢さんは、どのような仲間と一緒に働きたいと思っていますか?
松下さん
広報を担当するなら、会社全体を見渡せる方や、複数のタスクを並行して行うことが苦ではない方ですね。ひとつのことに集中したりルーティンワークを繰り返したい方よりは、予想外の出来事も楽しみながら柔軟に対応できる方が、この仕事には合っていると思います。
また、コミュニケーション能力も大事です。例えば、広報用に選手の動画を撮影するとき、その選手との関係をしっかり築いていた方がより良い映像を撮ることができます。普段から能動的にコミュニケーションを取ることができる方なら、XENOZで活躍していただけると思います。
井沢さん
弊社では、入社したばかりの社員でも先頭に立って責任ある仕事に携わることができます。チームや会社を大きくしていくフェーズなので、自分が好きなことや強みを全面に出して挑戦したいと思っている方を歓迎します。
編集部
インタビューを通じて、チーム一丸となってeスポーツを盛り上げたいという熱量が伝わってきました。未経験からスタートして活躍している若手社員もたくさんいるので、これから新しいことに挑戦したいと思っている方にも、ぴったりの職場だと感じました。
本日は、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社XENOZ:https://xenoz.co.jp/
採用ページ:https://www.wantedly.com/companies/xenoz/projects