相模原市役所の採用インタビュー|令和6年度から行政職で社会人経験者の募集開始!

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、神奈川県の相模原市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。

政令指定都市である相模原市役所は、社会人経験者の積極採用を実施しています。令和6年度は行政職で50名の採用枠を新設し、民間企業での経験を市政に活かせる機会を広げています。また、職員数を420名増やす計画も進行中です。

働き方の面では、テレワークや勤務時間の割振り変更を導入し、ワークライフバランスを重視。さらに、土日での採用試験実施やテストセンター方式の導入など、現職者が受験しやすい環境も整備しています。

今回は相模原市役所の職員採用や働き方の特徴について、人事委員会の島田さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
相模原市役所の島田隆さん

相模原市 人事委員会

島田 隆さん

相模原市の人事委員会で、行政委員会事務局 任用調査課任用班 総括副主幹を務める。

社会人経験者の中途採用:行政職50名以上を積極採用

相模原市役所の島田隆さん
▲中途採用拡大の背景について語る、相模原市人事委員会の島田さん

編集部

相模原市役所では、どのような採用枠を設けているのでしょうか。

島田さん

2024年度の採用制度では、大きく4つの枠を設けています。大学卒業程度の方を対象にした枠、高校卒業程度の方を対象にした枠、免許資格職の枠、そして社会人経験者枠です。令和6年度はこの中でも、社会人経験者の採用に特に力を入れました。

従来は土木、建築、機械などの技術職や社会福祉職が中心だった枠を、今年度から新たに行政職にも拡大しました。結果、行政職は大学卒業程度の採用枠が120名に対して、社会人経験者枠が50名という大きな採用枠を設けましたところ、200名を超える応募をいただき、最終的に50名以上の方が合格されています。

編集部

社会人経験者枠を大きく広げた背景についてお聞かせください。

島田さん

率直に申し上げますと、少子化の影響で新卒学生からの応募が減少傾向にあることが一つの要因です。しかし、それ以上に社会人の方々がお持ちの経験を市政に活かしていただきたいという思いが強くありました。

応募条件としては、令和6年度は30歳から50歳までが応募できるという年齢制限と、同一企業での5年以上の継続勤務経験という二つの要件のみを設定しています。

編集部

公務員への転職では、年齢制限が大きな壁となるイメージですが、50歳までとは非常に幅広いですね。実際に多くの応募があったことも頷けます。

相模原市役所の研修風景

編集部

実際に応募された方々の特徴や、応募の動機について教えてください。

島田さん

業界や職種は本当に様々です。その中でも地元の相模原市出身の方が比較的多く、「生まれ育った地域に貢献したい」という思いを持った方が目立ちました。また、「民間での経験を市役所で活かしたい」という志望動機も多く耳にしました。

当市としても、組織が時として硬直化する傾向にある中で、民間のノウハウや考え方を取り入れていきたいと考えており、私たちが持ち合わせていない先端的な技術や知識なども、ぜひ活かしていただきたいと思っています。

編集部

社会人経験者の方は、どのような配属や異動の可能性があるのでしょうか。

島田さん

配属については、基本的にはこれまでの経歴や適性を考慮した配置になります。ただし、市役所の仕事では非常にオールマイティな能力が求められますので、特定の経験分野だけでなく、さまざまな部署を経験していただくことになるでしょう。なお当市では、基本的に3年から5年のサイクルで異動があります。

働きながら受験できる!土日選考とオンライン試験の特徴

相模原市役所の新卒者対象の懇談会の様子

編集部

社会人の方が受験しやすいよう、どのような工夫をされていますか。

島田さん

当市では、受験者の方々の負担軽減を第一に考えた試験制度を設計しています。まず応募時に小論文を提出していただき、これを1次審査として活用しています。次の基礎能力検査では、全国各地にあるテストセンターの中から、受験者の方が都合の良い会場と日時を選んで受験していただけます。

その後の選考プロセスは職種によって若干異なりますが、グループワークやWeb面接、最終面接はすべて土日に実施しています。これは、現在お勤めの方々ができるだけ平日の休暇を取得せずに受験できるようにという配慮からです。土日勤務の方もいらっしゃることは承知していますが、できる限り多くの方が受験しやすい環境を整えることを心がけています。

編集部

具体的な選考基準や、特に重視されている要素について教えてください。

島田さん

人物重視の採用を心がけています。そのため1次選考では人数をあまり絞ることはせず、なるべく次のステップに進んでいただくよう配慮しています。採用試験の実施状況を見ていただくと、1次選考の通過率が比較的高く、その後のグループワークや個別面談、最終面接において絞り込みを行っている様子を感じていただけると思います。

なお、技術職と行政職では試験内容に少し違いがあります。土木、建築、電気などの技術職については専門性を確認するため、オンラインでのWeb面接を実施しました。一方、行政職や社会福祉職については、コミュニケーション能力やグループでの協調性が重要なため、直接お越しいただいてからのグループワークを実施しました。

■相模原市の令和6年度職員採用試験(選考)実施状況はこちら
https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/1026815/shokuin_annai/1005289.html

相模原市役所の働き方改革:職員増員で実現する柔軟な働き方

相模原市役所の新卒者対象の懇談会の様子

編集部

職員の働き方に関して、具体的にどのような制度や取り組みがありますか。

島田さん

まず、勤務時間の割り振り変更制度を設けています。例えば、時間外の会議が2時間予定されている場合、その分を考慮して出勤時間を変更することができます。

また、小学生の子育て支援として子育て部分休暇制度も導入しました。これは、1日の勤務時間の始めまたは終わりの2時間を限度に、30分単位で勤務時間を短縮できる制度です。

従来、未就学児までの子育てが対象であった部分休業を、小学生までに拡大し、安心して子育てできる環境を整えています。小学生の子どもが登校するまでは家にいたい、また帰ってくる前には家にいてあげたいという職員から好評です。

さらに当市では、男性の育児休業取得者数が年々増加していることも特徴です。こうした育休中の職員を柔軟にフォローする体制の構築も含め、現在約8,100名いる市の職員数をさらに420名増やすための定数条例の改正が2024年に決まりました。これによって、より柔軟に働ける環境が整うものと考えています。

テレワーク制度:週1〜2回の在宅勤務も可能

相模原市人事委員会の事務局

編集部

テレワーク制度の導入状況や、実際の利用実態について教えてください。

島田さん

当市では既にテレワーク制度を導入しており、職場内で申請して承認されれば、自宅での勤務が可能です。もちろん市役所では持ち出しができないデータも多く、仕事柄テレワークがなじみにくい環境ですが、テレワーク可能な業務を計画的に仕分けしながら、週に1、2回程度テレワークを行う職員もいるようです。

編集部

テレワーク時の業務環境や、コミュニケーションツールについて教えてください。

島田さん

コミュニケーションツールを導入しているので、チャット機能を活用すればテレワーク時でも円滑にコミュニケーションを取ることができます。テレワーク専用モードを備えたパソコンや、各部署ごとに使用できるWi-Fiルーターなど、ツール面での環境はしっかりと整えています。

キャリアパス:充実の研修制度でスキルアップ

相模原市役所の研修風景
▲相模原市役所の研修のひとコマ

編集部

新入職員に対する研修制度や、育成の仕組みについて教えてください。

島田さん

まず、新入職員向けの集合研修では、入庁当初に数日間の研修を実施し、相模原市の仕組みや将来構想などを学んでいただきます。その後も1年間を通して、文書作成やキャリアデザインなどの研修を定期的に実施しています。

編集部

その後のキャリアステップに応じた研修制度はありますか。

島田さん

当市ではさまざまな研修制度を用意して、職員のスキルアップをサポートしています。例えば「階層別研修」は、経験年数あるいは主任、副主幹、所属長などの職位に応じて研修を行うものですが、特に採用された5年目までは毎年実施しているものです。2年目には政策立案の方法を学ぶなど、経験年数に応じてスキルアップできる内容になっています。

また、任意で受けられる「特別研修」では、接遇やクレーム対応、ナッジ理論、近隣の市との3市合同研修などの研修があります。このほか、部署ごとに必要な専門知識を学ぶ「職場研修」、また内閣府や文部科学省、国土交通省といった国の機関や民間企業への派遣を通じて学ぶ「派遣研修」もあります。

編集部

その他、特徴的な研修がありましたらご紹介ください。

島田さん

職員一人ひとりが自主的に資質の向上を目指せるように、多彩な「自己研鑽セミナー」を用意しています。例えば、先述の国や民間企業への派遣研修を終えた職員による報告会を開催しています。また、Excelなどを学ぶ研修や、議会に関する研修なども実施しています。

このように職員は、実務スキルの向上から政策立案、マネジメントまで、幅広い研修プログラムから自身のキャリアプランに合わせた研修を受講することでステップアップできる環境が整っています。

メッセージ:やりがいのある仕事を手掛け、地域貢献したい方を歓迎

相模原市役所の業務風景
▲「適度な規模感の中で、やりがいのある仕事ができる」と語る島田さん(写真奥)

編集部

相模原市役所への転職に興味を持った皆さんへ、最後にメッセージをお願いします。

島田さん

相模原市は政令指定都市の中では目立たないかもしれませんが、大きな魅力が二つあります。一つは都市と自然が調和している点です。市長も「都市と自然のベストミックス」と表現するように、この両面を楽しめる環境があります。

もう一つは、規模感が程よいということです。大都市だと業務が細分化されすぎて、自分のやりたいことや改善したいことが実現しにくい場合があるかと思いますが、当市は業務が適度に分かれているため、職員の意見や提案が通りやすい環境があると感じています。また、政令指定都市として一定の権限も持っているため、大きな仕事に携わることができます。

例えば、三つの行政区のうち緑区はリニア中央新幹線の新駅の設置工事が進められています。リニア中央新幹線自体はJR東海が整備しますが、市として駅周辺のまちづくりを担当するので、行政としてのやりがいも非常に大きいです。

職場の雰囲気は風通しが良く、民間企業で培った経験や提案を積極的に活かせる環境があると思っています。キャリアを活かしながら、まちづくりや地域に貢献したい方には、魅力的な選択肢となるはずです。皆さんと一緒に働けることを楽しみにしています。

編集部

本日は発展を続ける相模原市の魅力をはじめ、社会人経験者の採用枠を大幅に拡大している現状や、働きやすさとキャリア形成を支援する各種制度についてお聞かせいただきました。ありがとうございました。

編集後記

社会人経験者について大きな採用枠を設定し、テストセンター方式や土日面接など選考を受けやすくしている点から、民間のスキル・経験を市政に活かそうとする姿勢を感じました。リニア新駅の周辺開発といった大規模プロジェクトに携われる可能性があるなど、まちづくりの醍醐味を味わえる環境があり、政令指定都市ということも相まってやりがいのある仕事に挑戦できそうです。

この記事のまとめ

採用の特徴
  • 社会人枠を拡大。30~50歳で勤務継続5年以上なら応募可
  • 土日選考で現職者に配慮
  • 人物重視の選考方針
働き方
  • テレワーク導入実績あり
  • 勤務時間の割振り変更導入
  • 小学生対象の子育て部分休暇制度あり
研修制度
  • 新人専任指導員制度(6ヶ月間)
  • 年次別の段階的研修プログラム
  • 国・民間への派遣研修あり
組織風土
  • 3~5年周期の部署異動
  • 民間経験者による新たな知識・視点を歓迎
  • 職員の提案が通りやすい環境
今後の展望
  • リニア新駅開発計画進行中
  • 都市と自然の調和を重視

相模原市役所の基本情報

住所 神奈川県相模原市中央区中央2-11-15
働き方 ・必要に応じて、勤務時間の割り振り変更が可能
(定時後に会議がある場合、遅出にするなど)
・テレワーク環境あり
公式ページ https://www.city.sagamihara.
kanagawa.jp/
採用ページ https://www.city.sagamihara.
kanagawa.jp/shisei/1026815/
募集職種 ・行政職
・土木職
・建築職
・社会福祉職
など(年度によって異なる)
※社会人経験者であれば学歴不問
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。