先進的な企業の新しい働き方をお伝えする本企画。今回は、月間400億件を超える人流ビッグデータを蓄積しAI解析する「Beacon Bank(ビーコンバンク)」を運営する株式会社unerry(ウネリー)を取材させていただきました。
お話を伺って印象的だったのは、unerryでは会社組織のあり方から働き方までとことん「自由」が浸透していたことです。その「自由」こそがunerryの成長と働きやすさをつくっていると感じましたので、ぜひご覧ください。
株式会社unerryとは
株式会社unerryはリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」を運営するテクノロジーベンチャーです。
会社は2015年の創業。「心地よい未来を、データとつくる。」をミッションに掲げ、ビッグデータとAI解析の活用によりリテールやまちづくりの領域でサービスを提供し、快適な生活体験や社会課題の解決につなげています。
会社名 | 株式会社unerry |
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住所 | 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階 |
事業内容 | ・人流データによるリアル行動データ プラットフォーム 「Beacon Bank」の運営 ・リテールDX及びスマートシティサービス ・「ショッパーみえ~る」の提供、リアル行動データの可視化・分析 ・「Beacon Bank AD」「Beacon Bank 1to1」の提供 |
設立 | 2015年8月20日 |
公式ページ | https://www.unerry.co.jp |
働き方 | ・リモートワークOK ・フレックス制度あり |
今回お話を伺ったのは、人事ご担当の澤田さんと鶴見さんです。unerryの業務内容やワークライフバランスのよさ、超フラットな組織体系などについてお話しいただきました。
月間400億件超の人流データプラットフォームで心地よい未来をつくる
▲unerryさんは「心地よい未来を、データとつくる。」というミッションを掲げている
編集部
unerryさんの事業内容についてお聞かせいただけますか?
鶴見さん
弊社は「心地よい未来を、データとつくる。」をミッションに掲げるデータカンパニーです。リアルとデジタルが融合した“環境知能”を実装することで、地域の課題や交通の問題などを改善し、生活しやすくしていくことを目指しています。
編集部
いまおっしゃった「環境知能」について、どのようなものか補足いただけますか?
鶴見さん
ものすごく簡単に説明すると、人がスマートフォンや端末を操作するのではなく、IoT化された周囲の環境が、その人を取り巻く状況をその人以上に理解し、適切なメッセージをさりげなくもたらしてくれるというイメージです。
人が意識して動かなくても、自然な形で必要な情報が提供される、そんな世界を目指しています。
▲ unerryさんはリアル行動ビッグデータをAI解析し、さまざまな事業・サービスを展開している
編集部
そのベースとなっていくのが、unerryさんが運営する「Beacon Bank」なのですね。
鶴見さん
はい。「Beacon Bank」は、月間400億件超の人流データを蓄積するリアル行動データプラットフォームです。人流データのプラットフォームとしては“日本最大級”と言えるかもしれませんね。GPSやビーコン技術を活用して、リアルな空間から「どのような人が・いつ・どこにいるのか」という屋内外の位置情報を集めています。
また、集めたデータをAI解析して付加価値をつけ、その付加価値をサービスとして提供しています。
人流データをベースとした商圏分析や店舗分析ができる「ショッパーみえーる」、曜日・時間帯別に混雑状況がわかる「お買物混雑マップ」「カスタマイズ混雑マップ」といったサービスが、その一例となります。
「人流」という言葉の浸透とともに高まるunerryへの注目度
▲unerryさんは2022年7月に東証グロース市場へ上場した
編集部
unerryさんは2022年7月に東京証券取引所グロース市場へ上場され、その成長の勢いとともに注目度も上がっていますね。
澤田さん
ありがとうございます。2022年には「EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー 2022 ジャパン」や「日本サービス大賞」での受賞もありました。ご注目をいただいているという実感は、ありがたいことに採用活動の場面でも感じています。
編集部
社会的にも位置情報という領域への関心が高まっているように思います。
澤田さん
そうですね。「人流」というテーマが世の中に認知されてきたという変化はあると思います。以前は、極めてニッチな世界の言葉でしたが、2021年に新語・流行語大賞のベスト10にランクインしました。
その後、社会情勢もあって混雑を避ける必要がでてきたり、リテールマーケティング、スマートシティといった文脈で語られるようになったりと、「人流」という言葉が身近になっています。
それとともに、「人流」をメイン事業とする弊社にも注目いただけるようになったのではないでしょうか。
「パフォーマンスを発揮できる場所を自ら選ぶ」働き方
編集部
続いて、unerryさんの働き方についてお伺いしたいと思います。特徴的な制度がありましたら教えていただけますか?
澤田さん
弊社の働き方はとても自由なのですが、明文化した特徴的な制度はありません。というのも、ルールではなく、考え方を大切にしているからです。それは何かというと、「もっともパフォーマンスを発揮できる場所を自ら選んで働く」という考え方です。
たとえば、リモートワークやコアタイムを設けたフレックス制度は当然選択可能です。「朝と夕方に定例ミーティングをする」などチームの決まりごとを守れば、自由に働くことができます。
unerryでは入社時に「何をやりたいのか」を、しっかりすり合わせてからジョインしていただいています。自分のやりたいことを明確にしたうえで、パフォーマンスが出る場所を考えていくと、自分にとっていま、どういう働き方がベストなのかがわかります。
編集部
unerryさんでは働き方の裁量は自分にある、ということでしょうか?
鶴見さん
そうですね。プライベートなどが忙しい時期であれば、いま抱えている仕事に集中することを選ぶということもできますし、時間に余裕があって新しいことにチャレンジしたいとなれば、自分の領域外のプロジェクトでも「やりたいです!」と手を挙げることもできます。仕事の量や、やりたい内容を自分で選択できる環境です。
澤田さん
社員一人ひとりにこうした会社の考え方がきちんと伝わっていますので、明文化された制度ではないけれど、実態として非常に柔軟性の高い働き方を実現できているのです。
地方に移住したメンバーも。二拠点生活やワーケーションが選択可能
▲澤田さんが東京と東逗子で二拠点生活をしていたときのワンシーン
編集部
unerryさんでは自由度の高い働き方ができるということですが、お二人のケースをお教えいただけますか?
鶴見さん
私の場合、リモートワークも選択できますが比較的多く出社しています。現在HR関連も担当していますが本来の所属はデータ分析チームです。このチームは社会情勢の変化の中で全員リモートワークでしたが、オフィスが好きなメンバーが多いので、今は自然と出社率が高まっていますね。
澤田さん
私は、東京都区内の自宅と東逗子のシェアハウスとで二拠点生活をしていたことがあります。月曜から水曜は東京の自宅からオフィスに出社し、木曜以降は隔週で東逗子のシェアハウスでリモートワークという生活を2年ほどしていました。
編集部
澤田さんは二拠点生活をしていて、どんなメリットがあると感じましたか?
澤田さん
ご時世もあって、会社に出社する人は少なく、人と直接顔を合わせて話すという機会が減っていた時期でした。でも、シェアハウスは住まいを共にしていますから、そこではリアルなコミュニケーションをとることができ、じっくりと語り合う機会もありました。
自分とは職業も年齢も異なる人と話すと、新しい視点をもらえ、すごく刺激になりましたね。
編集部
二拠点生活で受けた刺激は、仕事にフィードバックもできるのですね。
澤田さん
社員の中には地方に移住したエンジニアもいます。彼はオフィスでのコミュニケーションも大切だと、1か月のうち1週間は上京をして出社していますが、残りの3週間は自然豊かな地方都市でリモートワークをしています。週末は趣味のロードバイクを楽しむなど、充実した二拠点生活を送っています。
ほかにも、沖縄でワーケーションをしていたメンバーもいましたし、自治体のワーケーション支援制度を活用していたメンバーもいます。
繰り返しになりますが、大切なのは「自分のパフォーマンスを出せる場所を自分で選んで働く」ことです。ワーケーションで楽しく働いて、成果が上がるのであれば、会社が止める理由は一切ありません。
子育てとの両立を可能にするのは「自由」とメンバー間のリスペクト
編集部
unerryさんの自由度が高い働き方は、子育てと仕事を両立することの支援にもつながりますね。
澤田さん
そうですね。たとえば2人の小さいお子さんがいる弊社の男性エンジニアは、基本的に平日はお子さんの送り迎えや寝かしつけなどをしながらリモートワークをしています。そして週1日だけ、朝9時頃から16時頃まで出社するという働き方なんです。
編集部
unerryさんでは、子育て世代の方はたくさんいらっしゃるのですか?
澤田さん
この1年で親になったメンバーは4~5人いて、この先も家族が増える社員がいまわかっているだけで2人います。子育て世代のメンバーだけのSlackチャンネルがあるので、お互いにいろいろ相談しているみたいです。
編集部
似たような立場にいる人が社内にいて、状況を理解してもらえるのは心強いですね。
澤田さん
そうですね。そしてそれは、子育て中のメンバーに限ったことではありません。「今日は家の都合があって、どの場所で何時から業務をはじめる」とか「家族の体調が悪いから途中抜けるかも」といった情報共有は日常的に行われています。
一緒に働くメンバー同士、互いに置かれている状況を理解し合って、チーム内でサポートし合うのが当たり前になっています。「この案件を手伝ってほしい」といったヘルプの声を上げたら、自然と「僕が行きますよ」「私も手伝えます」と応えてくれる環境です。
編集部
誰もが、遠慮することなくヘルプの声を挙げることができる環境なのですね。
澤田さん
はい。でも前提としてはサポートしてもらえる環境に甘えるのではなく、お互いに時間をフレキシブルに調整して仕事をやり抜こうというスタンスです。
そうした責任感の強さを知っているからこそ、困ったときはサポートするし、立場が逆になったとき任せることができるのだと思います。根底に互いに対するリスペクトがあるんですよね。
管理職がいないフラットな組織が生むイノベーション
編集部
「Beacon Bank」の膨大なデータとAI解析から新しい価値を見出し、より良い社会をつくるためのサービスに変えていく、unerryさんのそうした革新的なアイデアはどこから生まれるのでしょうか?
鶴見さん
弊社のイノベーティブなカルチャーの源泉を一つ挙げるとしたら、「管理」とは無縁の組織であるという点です。2023年4月1日付で従業員が59人になり、将来的に100人体制になるかと思いますが、いまだに中間管理職的なポジションはありません。
管理職を置かない理由は、代表の内山が「管理ではイノベーションは生まれない」という考え方を持っているからです。内山を含む取締役や執行役員がトップマネジメントを務めますが、社員に上下はなく、全員が同じ立場のフラットな組織です。
編集部
管理職がいないというのは驚きました。どういった指揮系統になっているのでしょうか?
鶴見さん
もちろん、事業領域ごとにリーダーはいます。私も分析チームのリーダーを務めていますが、リーダーの役割は「旗振り役」です。定められたゴールを目指して、一生懸命、旗を振るだけです。
リーダーは推進役にすぎませんから、メンバーの勤怠を管理したり、仕事の指示を出したりといったマネジメント業務は行いません。言い方を変えると、弊社の社員は「これをいつまでにやってね」というように、自分のタスクを他人から管理されることはないのです。
やりたい仕事は自分で決める「自走力」のある組織
編集部
中間管理職を置かないというのは、unerryさんの大きな特徴だと感じました。もう少し詳しくお教えいただけますか?
澤田さん
そもそも弊社には、やりたい人やできそうな人にどんどん仕事が集まっていく文化があります。社内やパートナー企業さんとのコミュニケーションから「思いついた!」「一緒にやりましょう!」といった流れが生まれ、どんどんプロジェクトが立ち上がっているんですね。
社内Slackなどで、「これできる人、手を挙げて!」と募集がかかったり、「あの人が適任では?」という声があがったりと、そんな感じで仕事が決まっていくんです。
鶴見さん
「チャレンジしてみたい」と思ったら、自分で手を挙げることができます。そして、全員が積極的に自分で手を挙げる文化が根付いているため、誰かが管理する必要がないのです。
編集部
自ら手を挙げた仕事だからこそ、やる気も出ますよね。unerryさんが自主性を重んじていることがよく伝わりました。
澤田さん
冒頭にお話ししたミッションも、トップダウンで決めたものではありません。社員と協業している外部の会社様も交えて決めたものです。みんなの意見を聞きながら、話し合いのプロセスもオープンにしてつくりあげていくのが弊社のカルチャーです。
私たちは民主的な組織を目指しているし、社員もみな、自分で考え判断して進めていく力を持っています。弊社ではそれを「自走力」という言葉で表現していて、とても大切にしています。
鶴見さん
自分たちでつくったミッションを共有しているから、細かなルールを決めて管理をしなくてもそれぞれが自分を起点にして考え、決断し、やり抜くことができます。弊社がここまで成長し、チャレンジし続けられてきたのは、こうしたカルチャーがあるからなんです。
R&Dのテーマも自由。報告会から新規事業が生まれることも
▲内山代表は「エンジニアは一人で世界を変える力を持っている」と 語り、R&Dを推奨している
編集部
unerryさんの特徴的なカルチャーとして、その他に感じていることがあればお聞かせいただけるでしょうか?
澤田さん
最新技術を積極的に取り入れていこうというのも、弊社のカルチャーとして根づいていますね。2021年10月にGoogle Cloud Build パートナー認定を受けましたので、パートナー限定のトレーニングプログラムを活用することができます。
あとは、R&D(Research & Development/研究開発)の時間はとても重要だと考えていて、技術部に関しては、毎週業務時間の20%はR&Dにあてていいというルールにしています。
編集部
業務時間の20%というのはすごいですね。
澤田さん
「業務時間の20%を好きな時間に使っていい」という、Googleさんの20%ルールをモデルにさせていただきました。R&Dの時間は基本的に何をやってもいいのですが、テーマについてはCTOと相談をし、進捗を発表する会を定期的に設けています。
そのR&D発表会には、社内のほとんどのメンバーが参加するんですよ。報告を聞いたセールス系のメンバーから、「このアイディアと合わせていけそうだね」といった話がうまれ、実際にサービス化したものもあります。
「自走力」のある人と一緒に、新しい未来をつくっていきたい
編集部
unerryさんとして、こういう方と一緒に働きたいという人材像を教えてください。
鶴見さん
一つは「自走力」をもてる人ですね。社員一人ひとりが自分で意思を持って判断していく「自走力」こそが、unerryのカルチャーや働き方をつくっていますから。
澤田さん
数年前に新卒で入社した若手は1年目から戦力となり、2年目や3年目になるとチームの「柱」として活躍しています。
でも、彼や彼女が最初から自走力があったわけではありません。リーダーや先輩が手取り足取り教えることはしませんが、自分で考える切り口を一緒に探すなど、自走力がつくための手助けは惜しみません。
編集部
単なるマネジメントではなく、フラットにフォローし合える関係が「自走力」を育むのですね。
澤田さん
弊社では次々とプロジェクトが生まれていて、また、我々のサービスにかかわる技術はものすごい勢いで進化しています。できる人、やりたいと思っている人に仕事が集まりますし、できることは際限なく広がっていきます。そんな環境で新しいことにチャレンジしたい方をお待ちしています。
鶴見さん
「心地よい未来を、データとつくる。」をミッションに掲げていますので、いろんなデータを使って新しい未来を思い描くのが好きという方、データが実現していく未来をイメージできる方とぜひ一緒に働きたいですね。
「未来をつくる」という観点で言うと、よりよい働き方も我々がつくっていく未来の一つです。新しい働き方をしながら、新しい未来を一緒につくっていきましょう。
編集部
自由度が高くフラットな環境で働けるunerryさんでは、働き方自体をボトムアップで変えていけるということですね。モチベーション高く、自分の意見を発信していける方はフィットするのではないかと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社unerry:https://www.unerry.co.jp
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