新しい働き方を取り入れ、若手が活躍する企業を紹介していくこの企画。今回は、地域の観光課題に対し、あらゆる支援を行っている「株式会社地域ブランディング研究所」をご紹介します。
株式会社地域ブランディング研究所とは?
▲広島・しまなみエリアの地域事業者と語り合う株式会社地域ブランディング研究所メンバー
株式会社地域ブランディング研究所は、「『らしさ』が際立ち自走するまちを日本中で」をビジョンに、地域の観光課題に対する戦略立案から体験プログラム作り、共感するコミュニケーションデザイン、組織づくりまでを一貫してサポートする企業です。
同社は日本各地でさまざまなプロジェクトを手掛けており、観光庁などの省庁や地方自治体向けの観光コンサルティング、文化体験やアクティビティなどを提供する地域の事業者様の企画販売サポートなどを行っています。地域に寄り添いながら黒子となり、ゆくゆくは外部からのサポートなしで、地域の方々が主体となって運営できる「地域自走」の状態まで伴走しています。
具体的なサポート事例としては、江戸時代から続く東京・浅草の花柳界「浅草花街」で芸者衆の存続・花街芸能の継承のサポートを行うプロジェクトや、広島・しまなみ海道エリアでの体験型観光コンテンツ造成に取り組むプロジェクトなどがあります。
■地域ブランディング研究所の応援事例記事一覧
https://chibra.co.jp/supportcase/
▲地域ブランディング研究所さんのビジョン(同社ホームページより)
会社名 | 株式会社地域ブランディング研究所 |
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住所 | 【東京オフィス】東京都台東区雷門2-20-3 アクアテルースU2 8F 【名古屋オフィス】愛知県名古屋市中村区名駅4-17-3 メイヨンビル2F 【広島オフィス】広島県広島市中区鉄砲町1-20 第3ウエノヤビル2F A号室 【福岡オフィス】福岡県福岡市中央区警固2-12-19 アイリス警固ビル3F cenco内 【沖縄オフィス】沖縄県那覇市久米2-3-15 COI那覇ビル5F |
事業内容 | ・地域ブランディングの戦略策定 ・着地滞在プログラムの造成・磨き上げ ・地域への誘客・ファンづくり・ブランディング ・海外富裕層等の販路整備・モニタリング ・地域誘客への旅行業各種企画・手配(第2種旅行業) ・地域自走に向けた人材育成・組織作り |
設立 | 2013年3月 |
公式ページ | https://chibra.co.jp/ |
働き方 | リモートワークを導入(在宅での地方勤務もスキルに応じて検討) |
地域ブランディング研究所、略して「地ブラ」スタッフの半数以上は20代で、40代の社長のもと、地域活性や観光・インバウンドに対して強い想いを抱く仲間たちが集まっているそうです。今回は、採用責任者の高島優季さんに若手活躍の風土や働き方について伺いました。
地域観光を外からプロデュース。「まちの誇りの架け橋」の役割を果たす
▲地域ブランディング研究所さんが鹿児島で企画した観光体験ツアーの様子
編集部
はじめに、地域ブランディング研究所さんの事業内容について教えていただけますか?
高島さん
社名が「地域ブランディング研究所」とわかりやすいのですが、どの事業部門においても地域観光事業に関わるサービスを提供しています。
地域ソリューション事業では、観光庁、農林水産省、環境省などの省庁や、県や市など自治体の観光部門の方々などからの受託案件、また地域の観光事業者様へのコンサルティング・企画サポートなどを行っています。
各省庁や自治体も観光事業向けに補助金などを出していますので、現在はインバウンドが再開し観光の需要が高まることに向けて、各地域に来てもらえるような看板となる商品の企画や観光施策、各国からの旅行客に対応したプログラムの作成などを行っています。
この事業部門には、観光体験の企画コンサルティング営業職や、そのサポートを行うアシスタント営業などが所属しています。
編集部
御社では、いわば外からの立場で地域の魅力を発掘される役割を担っているかと思います。その際、心掛けていることはありますか?
高島さん
私たちは、地域の方と関係性を構築していくうえで、「外から入っていく第三者」であることを忘れないようにしています。「何かをしてやろう」というスタンスではなく、「主役はその地域の方々であり、私たちは黒子となって地域の方々が輝けるようにする、課題解決のお手伝いをさせていただく」というスタンスでおります。
そのうえで、地域に入り込んで一緒に汗をかき、地域資源を掘り起こし、観光プログラムとして開発するだけでなく、誘客やファン拡大のための仕組みを作ったり、その地域の中での組織作りまでお手伝いしています。
編集部
地域の方々主体で運営できる状態にするため、組織作りまでサポートされているのですね。
インバウンド向けの観光体験販売プラットフォーム「Attractive Japan」を運営
▲海外旅行者向けの日本文化体験予約サイト『Attractive JAPAN』
編集部
インバウンド事業についても教えていただけますか?
高島さん
インバウンド事業では自社サービスとして『Attractive JAPAN』という観光体験プランの予約サービスプラットフォームを運営しています。宿泊や旅行ツアーなどオンラインで申し込める旅行のプラットフォームを総称してOTA(※)と呼ぶのですが、私たちはそのOTAの中でも観光体験プランを販売しています。
(※)Online Travel Agentの略。インターネット上だけで取引を行う旅行会社のこと
■観光体験プランの予約サイト『Attractive JAPAN』
https://attractive-j.com
編集部
先ほど、地域ソリューション事業で地域の方と観光体験や観光プログラムを作っていくと伺いましたが、『Attractive JAPAN』ではそういった企画を国内外で予約できるように多言語対応も実施して、販売プロモーションを行っていらっしゃるのですね?
高島さん
はい。企画するだけではなく、体験プランに誘客できるよう販売プロモーション施策まで行っていることも弊社の強みです。予約データを見れば、どのような国の方々がどういった体験に興味を持っているかなどもわかるので、地域コンサルティング業務とも連動して、生のデータを活かしています。
編集部
『Attractive JAPAN』にはどのように外国人観光客を誘致してくるのでしょうか?
高島さん
何千社という海外の旅行会社とやり取りさせていただいているため、訪日向けの団体旅行を扱う旅行会社にAttractiveJapanのプランを通して体験予約をしてもらったり、直接希望しているプランを聞いて提案を行いコーディネートをするようなランドオペレーション体制も作っています。
また、世界中にさまざまなOTAがありますので、他のOTAにも『Attractive JAPAN』の情報を掲載してもらい、各OTAから『Attractive JAPAN』に問い合わせが来る仕組みにもなっています。
20代の若手社員が全国各地で活躍中
▲地域ブランディング研究所さんでは新卒社員を含め20代の若手スタッフが活躍している
編集部
地域ブランディング研究所さんは、地域ソリューション事業やインバウンド事業まで、日本各地に向けて幅広く地域ビジネスを手掛けていらっしゃいますが、社員さんはどのくらいいらっしゃるのですか?
高島さん
正社員でいうと20名程、パート社員やインターン生、パートナーの方も含めると約60人のベンチャー企業です。省庁や自治体など官公庁からの受託数も毎年増やしており、2023年春に10周年を迎えました。
編集部
少数精鋭の組織ということですが、その中でも、20代の若手の方が活躍されていると伺いました。若手スタッフの方はどのようなお仕事をされていますか?
高島さん
地域ソリューション事業で地域観光に関する企画コンサルティングを行う営業職や、そのアシスタントとして携わっている者、英語を活かして「Attractive Japan」の運営や海外代理店に向けての販売プロモーション、またランドオペレーションを行うインバウンド事業を担当しているメンバーもいます。
東京オフィスのメンバーは出張で飛び回っていたり、現地に常駐して地域密着で活躍してくれているメンバーもいます。
編集部
営業職の方は、どういった仕事を担当されるんですか?
高島さん
年度の前半は、各省庁や自治体が公示する競争入札に向けての提案書作成が多く、営業職としてはこの時期に今年度の予算に向けて動いている時期になります。
業務としては、地域課題に対するリサーチや各地での情報収集、施策案の企画に加え、採択を受けてプロジェクトがスタートしたら、地域を伴走しながらのコンサルティング・会議の進行・予算管理・人員のアサインなども含め、プロジェクトの進行に関することは全部行います。
そういう意味では、ディレクションやプロデューサーのような役割も大きいです。一般的なBtoB(対法人)の営業職の仕事とはずいぶん異なると思います。最近はオンラインでのミーティングもかなり活用していますが、毎月実際に地域に訪問しての視察や打ち合わせも行っています。
プロジェクトによっては、企画からいきなり入るのではなく、地域の方々同士の目線合わせやノウハウ共有のためにシンポジウムやセミナー、ワークショップなどを開いて意見交換を行ったりもします。
内定者インターン時代にアシスタントとして力を付ける
編集部
新卒社員の方などにとっては、慣れるまでに知識や経験が必要な難しいお仕事のように感じますが、入社後に即戦力として活躍するために、社内ではどのようなサポートをしていらっしゃるのでしょうか?
高島さん
まず、新卒社員については、基本的には内定後すぐに内定者インターンとして入社まで1年程業務に関わっていただくようにしてもらっています。そこで、営業アシスタントとして、リサーチ業務やお客様との打ち合わせの議事録作成、提案書類作成などを学びます。
また、地域の観光プランのモニターツアーを体験したり、地域の現場にも同行してもらうようにしています。コンサルとしてロジカルシンキングも必要になってきますので、そういったビジネスの基礎知識の勉強や観光業界に関する用語・知識なども習得していってもらっています。
編集部
インターン生時代に地域コンサルティングに向けての”助走”をされているのですね。
高島さん
はい。ただ決まった業務だけではなく、それぞれの強みを活かしたこともやってもらっています。例えば、デザインやWeb制作の得意な学生さんにはチラシやWebページ作成のサポートを作ってもらったり、動画制作の得意な学生さんにYouTubeでの発信の立ち上げをしてもらったこともあります。
編集部
それぞれの強みを発揮できる環境を作っていらっしゃるんですね。新卒入社後はどのような担当業務からスタートされるんでしょうか。
高島さん
入社した後は、OJTで先輩にも同席してもらいながら、お客様への提案をおこなうフロントのコンサルティング営業を担当してもらっています。例えば、九州エリアチームだと数名営業スタッフがいて、そのメンバーにフォローしてもらいながら、チーム全体で売上数字や業務のサポートをしあっています。
チームにはインターン生やパートさんなども参加していて、アシスタント業務をしてくれるので、新卒入社してすぐにそういったメンバーのマネジメントも担当することになります。
事例共有会や地域研修など、学びの機会がたくさんある
▲社長の吉田博詞さん。社長のリードもあり、社内では勉強会が頻繁に行われている
編集部
地域ブランディング研究所さんでは、新卒社員向けに限らず、勉強会や研修などは行っているでしょうか?
高島さん
勉強会や研修はかなり多い方だと思います。テーマは地域の観光事例やノウハウの共有から、仕事の進め方、専門家の方を呼んでの聴講といったものまで、さまざまです。社長の吉田(代表取締役の吉田博詞さん)が自ら話すことも多いです。
普段はどこからでもアクセスできるようにオンラインで行うことが多いですが、リアルで会うことも大事にしているので、全体では2~3ヵ月に1回程度、東京・浅草の本社オフィスに集まって社内行事なども行っているので、それに合わせて研修を実施しています。内容は、事例共有や「地域のために改めて何をすべきか?」という理念の振り返りのようなものまで幅広いです。
また、若手が多いので、パートナーとして参加してくださる専門領域のプロの方たちを混じえた社内勉強会や相談会を定期的に開くことも多く、そこで知識の吸収や具体的なアドバイスをもらったりしています。
▲代表自ら、地域の事例やノウハウを伝える勉強会なども多く主催している
編集部
若手が多い環境でそのように知識を補えるのは、とても参考になりそうですね。地域ビジネス事業の現場である地域での研修などもあるのでしょうか?
高島さん
はい。地域合宿というかたちで、年に1回ほど地域のフィールドワークと社員の懇親を目的としたものを実施しています。2022年は、広島の宮島・宮浜温泉エリアのお客様が提供する観光プログラムをチームに分かれて体験したり(クルージングで鳥居参拝するプランやシーカヤック、ヨット、弥山登山コースなど)、地元の観光事業者様との懇親会を開きました。
最終日は、地域で実際に体験したことをもとに、この地域のブランディングについてのワークショップ研修もメンバーで行い、発表しあいました。
編集部
チームに分かれて実際に現地の観光プログラムを体験するのは、かなり楽しみもある研修ですね。
高島さん
そうなんです。書類や言葉の上だけではなく、自分たちが地域の観光資源や人を知り、その魅力を感じて楽しみながら研修できるのは弊社の業務の面白いところです。実際にみんなで地域を訪問することで、課題を共有したり、解決策を議論したりできます。
浅草の三社祭に参加。地域密着でまちとの関係づくりを体得する
▲三社祭や酉の市など、会社の拠点である浅草の行事には積極的に参加している
編集部
ほかには、地域ブランディング研究所さんらしい社内行事もありますか?
高島さん
会社の拠点である浅草の三社祭や酉の市には社員が参加し、若手も社長も毎年みこしをかついで、地元の方と交流しています。酉の市では、毎年、商売繁盛の縁起を担ぐ熊手を買っています。
私たちは自分の町の地域イベントを楽しむことはとても好きですし、これは普通の会社ではできない行事かもしれません。10周年記念パーティでも地域の方も呼んで一緒に沖縄の民謡を踊ってもらったり、浅草の芸者さんに出てもらったりしました。社員だけでなく、パート社員さんも招待しました。
編集部
みなさん楽しみながら地域の方との関わりを深めているのですね。生き生きとしたみなさんの表情を見ると、各拠点で働くメンバー同士の交流の場にもなっているのではと感じました。
高島さん
そうですね。地域に入っていくには社内外でウェットなコミュニケーションが必要だと考えています。普段はリモートワークが多く、各自集中して仕事をしていますが、こういった社内行事で集まると「地ブラ」らしい雰囲気だなと感じます。
リモートワークを活用し、地域に移住するメンバーも
▲日本文化を訪日観光客向けに発信する浅草のプロジェクトでの1枚
編集部
普段はリモートワークが多いということですが、地域ブランディング研究所の皆さんの働き方について教えてください。
高島さん
働き方はさまざまです。浅草や広島などオフィスがある拠点のメンバーでも、出社する人もいれば、リモートワークを活用して子どものお迎えなどに抜けてまた仕事に戻るなど、子育てと仕事の両立をしているパパスタッフなどもいます。また、オフィスが近くにない場合、地方からリモート在宅で参加して働くスタッフもたくさんいます。
あとは、自分の担当する地域で、出張の後も数日滞在してワ―ケーションをしながら仕事をしている人もいます。新型コロナウイルス対策としてリモートを導入したのですが、地域のビジネスをしている私たちには、非常に適した働き方だったのかもしれないです。メンバーのうち数名は、地方移住もしています。
編集部
地方移住をされた方は、プロジェクトを通じてその地域の魅力を知り、移住を決められたのでしょうか?
高島さん
「いつか地元に戻りたい・地方に住みたい」と言っていたメンバーたちが、ちょうど出身地の担当もしていたのでそれぞれ地元に帰ったり、担当した案件を通して「もっと密に地域の中に入りたい」「その地域が気に入った」ということで移住していっている感じです。
ちょうど先月も、地元が長野で新卒のころから信州長野地域を担当している若手社員が移住しました。白樺湖や蓼科といった自然が多いエリアで、水上アクティビティやe-bike(※)体験などの観光プランに関わっていて、運営事業者さんのサポートやこの地域のファンづくりをしっかり現地から発信していきたいと思ったそうです。
(※)スポーツバイクに電動アシスト機能が付いた自転車のこと
常に地域にいることのメリットとしては、地域の人が気軽に相談してくれるようになり、頼ってもらえることも増えた点だと言っています。
編集部
リモートワークを活用されることで、地域事業者さんの近くで力になりたいという想いが実行できるのですね。また、ワ―ケーションやこれまで縁のなかった地域への移住も叶うのは、地域ブランディング研究所さんならではの働き方だと感じます。
働くスタッフに合わせて、働き方も十人十色の選択肢を
編集部
コロナ禍でリモートになったことをきっかけに、地方から在宅で働くパート社員の方の採用も行われたそうですね。
高島さん
はい。弊社では業務委託社員もいますし、パート社員がかなり活躍していて、リーダー的な仕事をしている人もいます。働き方も、パートという枠の中で自由が利かなければ、業務委託に切り替えて時間の融通をつけて働くこともできます。
編集部
働く人に合わせて柔軟に対応されているのですか?
高島さん
そうです。リモートワークにより色々な働き方ができるようになったので、働き方の選択肢は幅広いです。従来の制度でスタッフが何かの理由で辞めざるをえなかったり、働き方に制限がかかってしまったりするのであれば、制度や雇用形態を変えていくべきだという考え方に変わってきました。
その結果、採用する人材の幅も本当に拡大しました。在宅勤務ができる方であれば、拠点のないエリアで採用することもできますし、そういう方が地元への強い思いを持って入社してくれて、きちんと成果を出してくれたことで、採用成功事例が増えました。
編集部
地域ブランディング研究所さんにとって、リモートワークは単に社員の働きやすさのための制度ではなく、採用や雇用のあり方にまで影響をもたらすものになっていることを感じました。
地域や観光に本気で関わりたい人を募集
▲地域ブランディング研究所さんの創業理念
編集部
最後に、地域ブランディング研究所さんが求める人材について教えてください。
高島さん
弊社には、「地域の人を元気にしたい」とか「訪日観光客に日本の良さをもっと知ってほしい」とか、根っこに地域や観光に本気で関わりたいという想いを持った、真面目で誠実な人が多いです。
ですので、同じような想いを持っている方には手を挙げてもらいたいです。今、地方に住んでいる方、在宅でしか働けないという方も、もしご興味を持ってもらえたならぜひお声がけください。弊社が募集している枠以外にも合うポジションがあるかもしれません。特に今はインバウンドが再開し、拡大していく時期ですので、ご協力いただける方がいたら嬉しいです。
編集部
高島さん、本日はありがとうございました!
地域ブランディング研究所さんの社員の方々が、「まちの誇りの架け橋」となるために地域に密着し、強い想いを抱いて日々働かれていることがよくわかりました。興味を持った方は、ぜひ下記サイトをご覧ください。
■取材協力
株式会社地域ブランディング研究所:https://chibra.co.jp/
採用ページ:https://chibra.co.jp/recruit/
Wantedly:https://www.wantedly.com/companies/www-chibra-co-jp