独創的な経営方針や社内カルチャーで注目されている企業を紹介する本企画。
今回は中小企業や小規模事業所向けのWEBマーケティング事業を展開している株式会社バリューエージェントをご紹介します。
株式会社バリューエージェントとは
株式会社バリューエージェントは、WEBサイト制作やマーケティングソリューション事業を祖業として2005年3月に設立されました。
創業期から今に至るまで、一貫して「企業の顧客を増やす事業」を柱としています。2012年には現在の主力事業であるWEBマーケティング事業をスタートしました。
また、自社が事業を展開する意図として「やりたいことをやるを日本の文化にする」を掲げています。顧客の、やりたいことをやるための機会の提供や支援を通じて、日本にやりたいことをやる文化を根付かせることを目指しています。
会社名 | 株式会社バリューエージェント |
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住所 | 大阪府大阪市淀川区西中島3-9-12空研ビル5F |
事業内容 |
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設立 | 2005年3月 |
公式ページ | https://valueagent.co.jp/ |
働き方 | リモートワーク(週2日出社)、フレックスタイム制 |
株式会社バリューエージェントの代表取締役である上野山光雄さんに、自社のWEBマーケティング会社としての強みや経営姿勢、過去の成功事例や中小企業のWEBマーケティングを支援するポイントを伺いました。またリモートワークやフレックスタイム制の状況、目標設定の考え方、社風などをお聞きし、さらには採用のポイントを伺っています。
WEBコンサルティングとWEBマーケティングが事業の2本柱
編集部
では最初に事業概要の説明からお願いいたします。
上野山さん
バリューエージェントは、中小企業や小規模事業所に向けたWEBコンサルティングやWEBマーケティングの運用代行を展開しています。例えば既にWEBマーケティングのチームをお持ちの会社様の場合は、コンサルタントとして支援させていただいています。
そして自社では対応できないという小規模事業所様に対しては、広告運用やブログ執筆の代行、ホームページの改善などを行っています。
編集部
本社は大阪ですが、お客様は全国にいらっしゃるのですか。
上野山さん
はい。関西が中心ではありますが、中国や北陸、そして関東と広がっています。東京にも何件ものお客様がいらっしゃいます。
強みは「確実な成果に繋がる施策」を提案できること
編集部
WEBマーケティングの会社は数多くあります。その中でバリューエージェントさんの強みはどんなところにあるのでしょうか。
上野山さん
そのお客様に最適な「確実に成果の出るマーケティング施策」を提案できることが最大の強みです。世の中にはマーケティング会社を名乗りながら、広告代理店や制作会社のような仕事をしている会社も少なくありません。しかし弊社は、そのお客様の全体像を拝見した上で、マーケティング施策として最適のものを常に提案しています。
編集部
個々のお客様に最適化した施策ですね。
上野山さん
そうです。今朝も既存のお客様から「SNSの執筆を代行してくれないか」という相談がありました。しかし、「御社がSNSで成果をあげるためには、自社でやった方がいい」ということでお断りしたんです。それなりの規模の会社さんだったら、SNSを代行に任せて情報を定型的に発信するという手法にも、一定以上の成果が見込めます。
ところが、このお客様の会社は非常に小規模なんですね。この場合、会社の生の雰囲気やスタッフの人柄などを、ダイレクトに発信することがとても重要なんです。ですから「SNSを始めるのであれば、代行ではなく自社で取り組めることからスタートした方がいい」とアドバイスさせていただきました。
編集部
依頼されれば何でも引き受けるわけではないのですね。
売り上げを優先するための不本意なトークは一切不要
編集部
よく言葉で「お客様本位」といいますが、バリューエージェントさんはまさしくこれを実践しているように感じます。
上野山さん
大事なことはそのお客様が成果をあげるには、どうしたらいいのかを考えることです。その上で提案をしています。そうすればお客様から信頼されますし、自社の強みにもなります。
こうした経営方針は、実は社員からも「誠実な仕事ができていい」といわれているんですよ。社員の多くは前職もWEB系でしたが、時には売り上げのための不本意なトークを、会社から求められることもあったようです。しかし弊社では、そういうトークをまったく必要としていません。あくまでもお客様本位でお話しています。
編集部
メンバーからそういう声が出るということは、本当に誠実な展開をされているのですね。
上野山さん
私自身、経営をしていて「それが一番いい」と思うんですよ。仕事をしていると、心苦しいことや後ろめたいことでも、やらなければいけない時があるじゃないですか。でも私は、そういうことはやらなくていいと思っているんです。
編集部
上野山さんのポリシーですね。
上野山さん
はい。バリューエージェントが実践しているのは、本当にお客様のことを考えた提案や行動です。これをやった上で、もし失敗したら「ほんまにすみませんでした」と心の底からお詫びしますし、反省して次に生かすこともできます。
私が一番駄目だと言っているのは「お客様に言われたから、やっています」ということです。「成果を出すから、これをやる」というのはいいけれど、「お客さんに言われたからやるというのは、あかん」といっています。
契約時にお客様に記入いただくチェックシートにも「お客様の思い通りにならないかもしれません」というような項目があります。これは「そういうスタンスで話ができないと、成果を最大化できないかもしれません」という意味を込めたものなのです。
月平均1~2件の問い合わせが1年後には年間100件拡大へ
▲バリューエージェントさんの「私たちの意図」と「私たちのミッション」(公式ページより引用)
編集部
バリューエージェントさんは「理念経営」を大切にされています。これは日々の行動の判断軸だそうですね。そして、理念経営の1つである”私たちの意図”に、「やりたいことをやるを日本の文化にする」を掲げています。この言葉を具現化したような事例を、ぜひ紹介ください。
上野山さん
例えば、ホームページからの集客の大幅な拡大に成功したお客様がいます。こちらはもともと某制作会社さんにWEB集客を依頼していたのですが、依頼件数は多い月でも4~5件で、平均すれば月に1~2件という状況でした。そこで弊社に声がかかり、全面リニューアルを行ったところ、1年後に訪問した際には100件ほど新規取引先が増えていました。
後から聞かされたのですが、弊社との取引を始めた段階では、会社は利益が出ていなかったようでした。にっちもさっちもいかない、まずい状況だったそうです。そこからV字回復できたことで、社長からは「おかげさまで黒字化できました」という感謝の言葉をいただきました。そして今でも毎年の決算後には、「予算が余ったので、何か新しいことをやろう」と声をかけてもらっています。
編集部
お客様からのそういう声は嬉しいでしょうね。
上野山さん
先日もある結婚相談所さんから、感謝の言葉をいただきました。WEBの問い合わせが、それまでは月に数件だったんです。ところが弊社にお任せいただけたことで、3カ月後には20件以上に急拡大しました。こういう成功事例は、枚挙に暇がないほど数多くあります。
うまくいかないことが多い「成功企業の模倣」
編集部
中小企業のWEBマーケティングで、成果を導き出すポイントはどんなことでしょうか。
上野山さん
いろいろとありますが、よくありがちな「成功した会社を模倣する」という手法だけでは、うまくいかないことが多いですね。
今お話した結婚相談所さんも、以前は結婚相談所専門のWEBマーケティング会社に依頼していました。そのWEBマーケティング会社のグループ会社は中堅クラスの結婚相談所を運営しており、WEBマーケティングでそこそこ成功していたんです。そこで同じことを、この結婚相談所にもやらせていたんですね。
でも、模倣対象になった中堅クラスの結婚相談所は、もともとそれだけの売り上げ規模やそれだけの広告出稿量、知名度があったんです。それだけの実績があった上でのWEBマーケティングなんですね。そういったことを無視して、WEBマーケティングだけを同じにしても何も起きないんですよ。
編集部
模倣しているようで、実は模倣になっていないのですね。
上野山さん
その通りです。例えば大都市圏の著名テーマパークに10万人を集めるのと、地方の名もない遊園地に10万人を集めるのとでは、後者の方がお金も時間も圧倒的にかかります。当たり前ですよね。WEBマーケティングも同じことなんです。
大企業がWEBマーケティングで成功した場合、その要因は担当したWEBマーケティング会社の頑張りよりも、その大企業のポテンシャルに負うところが大きいんです。大企業は知名度がありますし、WEBはほとんどが指名検索です。そして商品にも人気がある。ですからその商品を「さらに見てもらう」という仕掛けを作りさえすればいい、という話なんですね。
しかし、中小企業の場合はそうはいきません。まず、知名度がありませんし、その商品やサービスを知っている人も少ない。それを、わざわざ見にきてもらい、気に入ってもらい、買っていただかなければならない。そのために取るべき手法は、大企業の場合とはまったく違います。
顧客からの信頼度が増大するYouTube「バリューチャンネル」
編集部
バリューエージェントさんはYouTubeにも積極的ですね。発信している「バリューチャンネル」はお客様へのインパクトが、かなり強いのではないですか。
上野山さん
確かにお客様からは「見ているよ」と、よくいわれます。それにバリューチャンネルを見たお客様は、弊社をより信用してくださるようになりますね。そしてまた、そういう方からの受注率は、かなり高くなります。
編集部
やはりインパクトが強いのですね。
上野山さん
ずっとやり続けているという姿勢も、信頼度を高めるポイントになっていると思います。
編集部
継続することは大切ですし、やはり力になるんですね。
公式YouTube「バリューチャンネル」:https://www.youtube.com/channel/UCbbqp21dABIq1qP6-tMrsIA
マレーシアでの1カ月間のワーケーションもOK
編集部
次に働き方について伺います。バリューエージェントさんでは、リモートワークやフレックスタイムの導入状況はいかがでしょうか。
上野山さん
リモートワークやフレックスタイムについては基本的に、その人が働きたい働き方を相談してもらっています。そして出社は、週に2回と定めています。
編集部
週2回出社というルールを設けつつ、基本的にはその方の生き方や都合、家庭の事情に合わせた働き方ができるのですね。
上野山さん
そうです。中には「1カ月間、マレーシアに行く」というメンバーもいるんですよ。家族と一緒にマレーシアに行き、現地でワーケーションをするんです。
編集部
かなり先進的なリモートワーク事例ですね。
上野山さん
弊社ではコロナ禍が始まる数年前から、労働時間の4割ぐらいにリモートワークを導入していたんです。子育てなどの事情で、在宅ワークをメインにするならそれもいいです。普段は毎日出社している人が夏期だけは原則リモートにして、出社できる日だけ出社するというのもOKです。あるいはお盆休みの期間は帰省するので、その前後2週間をリモートにするというケースもありました。
編集部
リモートワークの申請は、どうやっているのですか。
上野山さん
チャットです。チャットを使って例えば「子どもが発熱したので本日は在宅ワークをします」とか、「午前10時30分に出社します」といった報告を入れてくればOKです。これをメンバー全員で共有しています。
「こうします」と宣言した上での自由な働き方
編集部
働き方については、自由度がかなり高いのですね。
上野山さん
そう思います。ただし、自由気ままに勝手にやっているわけではありません。「自分はこういう働き方やライフスタイルが希望です。だから、こうします」というのを宣言した上でやっています。
そうしないと、自己管理ができずに、ダラダラとしてしまうんですね。かつては、そういうことを明確にせず、フレックスタイムを導入していた時期もありました。その時には、最初は「9時に出社します」と言っていた人が、やがて9時半になり、10時になり、10時半になり、というケースがけっこうあったんです。これはもう、自分のやりたいことをやっているのではなく、ただダラダラと遅くなっていっただけですよね。
そうではなく「自分のやりたいことはこれです」と宣言する。そして、これに合わせて就業時間を組み立てて業務に取り組むんです。私は「やりたいことやる」とは、そういうことだと思っています。
編集部
やりたいことをやるためには、その責任も負うという感じでしょうか。
上野山さん
そうです。「やりたいことをやるを日本の文化にする」を意図として掲げ始めた頃のことです。これに共感してくれた複数の人が、入社してくれました。しかし結果的に、その時に入社した人の多くが退社しました。
後に残った社員からは、「彼らは、やりたいようにやりたかったのではないでしょうか?」という意見が出ました。「自分がやりたいようにやる」のと「社会を自分の意志を持ってやりたいことやる人を増やし文化にしていく」は全く違うと思っています。
編集部
そもそもの考え方の違いですね。
上野山さん
そうです。ライフスタイルは人によって違うじゃないですか。例えば趣味のライブを見に行きたいのであれば、その日は会社を休めばいいんです。あるいは仕事を午前中で切り上げて早退するのもいい。そのための事前準備さえしておけば、誰にも迷惑をかけずに、やりたいことができるんです。
目標設定の一番の狙いは「行動の意図の明確化」
編集部
メンバーの方の目標設定や管理については、どんなことを重視していますか。
上野山さん
目標はあった方がいい。そこに向かって進んでいくことは、とても大切なことだと思っています。ただし私は、目標必達主義ではないんですよ。目標とはあくまでも、行動するための意図や、目指している地点を明確化するためにあるのだと考えています。
目標を達成する・しないというのは時の運もあります。それに「是が非でも達成しないといけない」とした場合、やったらあかんことまでやる人が出てくる可能性もあります。
編集部
目標を達成度合いだけで管理するのは、リスクがあるということでしょうか。
上野山さん
そうですね。もちろん利益をあげなければ会社は続きませんし、それにはメンバーの頑張りが必要です。ただし、利益があがらない要因の割合としては、経営方針や事業環境の方が大きいと思っているんです。
もちろん弊社でも目標を管理していますし、メンバーが頑張ってくれているから、今は利益がしっかりと出ています。ですが仮に利益が出ていないとして、これを誰かのせいにしてしまっては、おかしな話になってきます。
かといって目標をなくして「何をしてもいい」という方向にまで、エスカレートさせるつもりもありません。それでは社内文化が壊れることになりかねませんから。やはり目標は、第一義的には行動の意図や目指しているゴールを明確化するためのもの、という位置づけがいいと思っています。
編集部
初めてお聞きする考え方ですが、おっしゃる通りだと感じました。
上野山さん
まあ、子どもの受験みたいなものですね。「目標は○○大学」としていても、では「絶対に受からなければ駄目なのか」といえば違いますよね。そうではなく「その目標を自分で決めたのだから、その実現に向けてしっかり勉強しよう」という話になるんだと思います。
もっとも私は、結果とプロセスのどちらが大事かと聞かれたら「結果」と答えます。プロセスと答えてしまうと、結果は求められないと勘違いする人が出てきてしまいますからね。でも私は目標必達主義ではありません。一番大切なことは「結果を出すための行動ができているか」だと思っています。
メンバー全員がお互いを認め合い尊重し合う社風
編集部
ではバリューエージェントさんの社内の雰囲気を教えてください。
上野山さん
よくも悪くも個人主義ですね。あとは、平均年齢が少し高いですかね。家庭を持っているメンバーが多いです。ですから若いメンバーが、少し寂しがっている部分はあるかもしれません。やはり若い人に、入社していただきたいと思っています。
編集部
みなさん、大人の関係なのでしょうね。基本的には個人として仕事をしつつ、必要に応じて相談したり助け合ったりしている感じでしょうか。
上野山さん
メンバー同士で思いを伝え合うことは、積極的にやっています。そしてお互いを認め合い、尊重し合っていますね。少なくとも今のメンバーには、誰かの陰口を言うような人はいません。みんな、いい人ばかりだと思います。
編集部
もし問題がおきても、それを言葉に出して相手と話し合うんですね。
上野山さん
それをできるのが、本当のチームワークだと思います。何かあったら常に、その都度話し合いましょうといっています。問題があるのに隠していたら、仕事になりませんからね。
求めている人材は、マーケティング的な思考ができる方
編集部
バリューエージェントさんで活躍できるのは、どのようなタイプの方でしょうか。
上野山さん
弊社で活躍できる方は、お客様とのコミュニケーションをしっかりと取れる方です。それが大前提ですね。そしてお客様が成功するにはどうしたらいいのかを、お客様の立場で考えられる方ですね。逆に言えばお客様の話を伺う前に、まずはお客様が「何を目的としているか」を考えることが大切です。
弊社はマーケティング会社です。広告代理店や制作会社に似ていますが、ちょっと違うんですね。私から言わせれば広告代理店は、そのお客様に適した「広告を売る」ことが仕事です。
しかし我々は、マーケティング的な成功へと導くことが仕事です。そのためには「ターゲットがこうだから、こういう展開が必要ではないですか」というアプローチが重要になります。これは「広告を売る」ためのアプローチとは、似て非なるものだと考えています。
編集部
なるほど。では制作会社さんとの違いは、どういうところでしょうか。
上野山さん
制作会社さんは、お客様が「思っていること」を形にすることが仕事です。しかし我々は、お客様が「叶えたい結果」を実現できるように、いろいろなサポートをさせていただくことが仕事です。お客様が思っていることを、必ずしもそのまま形にするわけではありません。
編集部
では最後に、バリューエージェントさんに興味を持った読者の方へメッセージをお願いします。
上野山さん
基本的には商売やビジネスが好きな方に、弊社は向いていると思います。その上で求めているのは、マーケティング的な思考ができる方ですね。そしてこれを実行し、やり遂げるためのコミュニケーション力も重要です。あとは一緒にいて、楽しいことですかね。そういう方と、ぜひ一緒に働きたいです。
編集部
一緒にいて楽しいのは本当に大切なことですね。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社バリューエージェント https://valueagent.co.jp/
採用ページ https://valueagent.co.jp/recruit