不動産業界にまだない価値を。GOGEN株式会社がチームで進める挑戦とは

GOGEN株式会社が描く不動産売買の未来:バーティカルSaaSで業界に革新をもたらす

これまでにない事業に取り組み、業界に新風を巻き起こす成長企業に迫るこの企画。今回は不動産業界で新たな技術を活用したサービスを提供するGOGEN株式会社にお話を伺いました。

GOGEN株式会社:不動産業界に革新をもたらすスタートアップの全容

GOGEN株式会社は、不動産デベロッパー出身の和田浩明さん(現代表取締役CEO)とWeb系企画・グロース経験が豊富な佐々木勇人さん(代表取締役COO)が共同代表者として2022年に設立したスタートアップです。様々な業界のプロフェッショナルが集結し、不動産業界に革新的な価値を提供するサービスの開発を進めています。

会社名 GOGEN株式会社
住所 東京都港区北青山2-14-4 the ARGYLE aoyama 6F
事業内容 ・不動産売買のDX推進/UX創造に係るサービス等の企画・運営・管理
・各種コンサルティング業務
創業 2022年2月
公式ページ https://gogen.jp/

主力サービスの「Release(以下、「レリーズ」と表記)」は、不動産売買における煩雑な取引手続きを効率化する、不動産売買専門に特化したバーティカルSaaSです。

2022年5月の宅建業法改正により不動産電子契約が解禁された直後、日本初となる電子契約での契約締結をサポートし、同年8月に正式リリースしました。現在では、全国の大手不動産会社から地方の不動産会社まで幅広く利用されています。

■「Release(レリーズ)」サービスサイト:https://release.estate/

リリース後も新機能を追加し利便性を高めてきたレリーズは、現在「不動産売買DXX(※)プラットフォーム」として進化を続けています。不動産売買に関わるすべての関係者の業務効率と顧客体験の向上を目指し、さらなるアップデートが進行中です。
(※)DXX…Digital Experience Transformationの略。デジタル化を通じて「体験」をより良くするというGOGEN株式会社の理念を表す造語。

今回のインタビューは、デザイナーチームのリーダーである金子さんと、エンジニアチームのリーダーである楠本さんにお話を伺いました。GOGEN株式会社のサービスの特徴、エンジニアとデザイナーが協働するプロダクト開発体制、多様なバックグラウンドを持つメンバーで構成される社内文化などについて詳しくお聞きしました。

本日お話を伺った方
インタビューに応じたGOGENの金子さん

GOGEN株式会社
CXOプロダクト部デザイナーチーム・チームリーダー

金子剛さん

インタビューに応じたGOGENの楠本さん

GOGEN株式会社
CTOプロダクト部エンジニアチーム・チームリーダー

楠本朋大さん

GOGEN株式会社の事業展開:不動産売買に特化した3つの革新的サービス

GOGENの掲げるミッション
▲GOGEN株式会社の掲げるミッション「あたらしいやり方で、人々によりよい不動産を」

編集部

まずGOGENさんが展開されている事業内容やサービスについてご説明いただけますでしょうか。

楠本さん

GOGENでは「あたらしいやり方で、人々によりよい不動産を」というミッションを掲げ、不動産売買に特化したサービスを展開しています。事業は大きく分けて3つあり、その中で主に4つのサービスを提供しています。

1つ目の事業は、不動産事業者向けのソフトウェア・ITサービスです。具体的なサービスとしては「レリーズ」があります。また、マンション管理会社を対象に最新の人工知能技術を活用した「Chat管理人」というサービスも提供しています。

2つ目の事業は一般の方向けの不動産購入サービスです。ここでは、不動産購入時の初期費用である手付金を保証する「ゼロテ」というサービスがあります。また、最近始めた東京湾岸エリアに特化した住み替えサービス「すみかえもん」も展開しています。

3つ目の事業はコンサルティング・共同研究サービスです。不動産事業者や関連企業、銀行、保険会社など、不動産売買に関わる様々な機関と協力して、これからの不動産業界のあり方について研究を行っています。

Releaseがもたらす価値:不動産取引のデジタル化と顧客関係の継続的構築

レリーズの事業概要

編集部

GOGENさんの提供するレリーズには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

楠本さん

最も大きなメリットは、煩雑な契約手続きの効率化です。これにより、エンドユーザーだけでなく事業者も含め、不動産売買に関わるすべての方の体験が向上します。

さらに、顧客情報をデジタルデータで管理できるようになります。これにより「お客様とつながり続ける不動産の形」が実現できると考えています。

編集部

「お客様とつながり続ける」とは、具体的にどのようなことを指すのでしょうか?

楠本さん

これまでの不動産契約は主に紙ベースで行われ、顧客情報の管理が難しいという課題がありました。そのため、契約完了後は不動産事業者とお客様との関係が途切れてしまうことが多かったのです。例えば、お客様が将来的に家の売却を考えた場合、ポータルサイトで一から問い合わせをする必要がありました。

そこで私たちは、レリーズのサービスを通じて、最終的に「事業者とお客様がつながり続けるプラットフォーム」の構築を目指しています。つまり、デジタルでの顧客情報管理を可能にし、アフターフォローも含めてお客様との関係を継続させる仕組みを作ることです。

このようにお客様とのつながりが継続すれば、不動産に関する問い合わせの際に、ポータルサイトから「反響」という形で問い合わせる必要がなくなります。これにより、不動産の「反響ビジネス」の在り方も変革できるのではないかと考えています。

編集部

つまり、契約業務の電子化だけでなく、将来的な売却や住み替えなどの需要に対しても、お客様とのつながりが活かせるサービスを目指しているということですね。

GOGEN株式会社の成長戦略:競合不在の市場で築く独自のポジショニング

編集部

GOGENさんは不動産業界に特化し、独自の立ち位置を築いていらっしゃるという印象を受けます。2022年2月の創業から1年半という短い期間で着実に成長されているのにはどのような背景があるのでしょうか?

楠本さん

GOGENの提供するサービスが、従来の不動産業界にないサービスだということが大きなポイントです。不動産業界では新規顧客獲得に重点が置かれる傾向にあるため、テックサービスについても集客・接客がメインのものが多くなっているんです。

その中でGOGENが着目したのは、成約後の契約手続き以降のプロセスです。不動産契約は安全な取引のために厳格な取引プロセスが法律で定められています。しかし、その一方で紙ベースが主流だったり定型業務が多かったりと、効率化できる余地も少なくありません。にもかかわらず、これまでそこは後回しにされてきました。

不動産契約業務に関する効率化のサービスを提供しているのは、現在GOGENの他にありません。競合他社がいないことが、GOGENの現在の成長につながっているのだと思います。

不動産業界の高い参入障壁を突破:スピード重視のサービス開発アプローチ

編集部

GOGENさんが提供されている事業領域に競合他社がいないのには、どのような理由があるのでしょうか。

金子さん

やはり参入障壁が高いのが主な理由だと考えられます。

衣食住で考えると、例えば服飾分野ではZOZOTOWN、食事分野では出前館などがありますね。このようなインターネットとの親和性が高く先行事例がある業界であれば、ある程度成功への道筋が見えてきます。しかし、不動産業界はそれらとは少し状況が異なります。不動産取引に関する法律への深い理解が必要であり、業界特有の知識も求められます。さらに、システムの安定性と信頼性も重要です。

その点でGOGENは、創業者である代表取締役CEOの和田が元々不動産デベロッパー出身というのが大きな強みになっています。業界知識と理解があり、現場の実情を踏まえてサービス設計を進めていくことができています。

そして不動産業界の興味深い点は、課題が明確になっていることです。お客様との対話や業界の慣習から、どのようなサービスを提供すれば成功できるかがある程度見えています。

参入障壁が高い難しい領域の中でも、求められているサービスを迅速に提供できる。それは多様な技術を持ったメンバーが集結し、なおかつ少人数でスピード感を持って機動的に動けるGOGENだからこそ可能なのだと考えています。

スピード感ある開発を可能にする“BTC”の揃った開発体制

GOGENの打ち合わせ風景
▲GOGENさんでの開発キックオフの様子

編集部

GOGENさんではどのようなチーム体制でプロダクトを開発されているのでしょうか。

楠本さん

エンジニアとデザイナーで構成されるプロダクトチームを中心に、外部の開発会社さんや業務委託の方と協力しながらプロダクト開発を進めています。

編集部

エンジニアとデザイナーの方が同じチームで開発されるというのは珍しいですね。

金子さん

実は、元々これを提案したのは私なんです。開発を進める中で「何を作るか」「どう作るか」を一体で進めていくべきだというのが私の考えなので、入社のときに「エンジニアとデザイナーはチームを分けずに進めたい」とお願いしました。

これが先ほど話したスピード感ある開発につながります。近年ビジネス環境はどんどん変化しており、サービス開発の不確実性が高まっています。今作っているものも、1、2年後に受け入れられているかは分かりません。そのため、求められる価値に向かって素早くアジャイルな切り替えをしていく必要があります。

特にスタートアップはスピードで負けてしまうと、大手企業に太刀打ちできません。不動産業界では参入障壁が高い分、新しいサービスの開発にも時間がかかりますが、その中でどれだけ早く価値提供できるかというのが競合優位性になってきます。

不確実でもスピードを上げていくことに焦点を置いたとき、各部門やセクション間の連携が弱い組織では不確実性に耐えられず、修正や変更に大きな時間がかかってしまいます。同じチームの中で、何を作るか、どう作るかの背骨を一本通して開発を進めることで、素早く価値を届けていくことができると考えています。

これはエンジニア、デザイナーといったプロダクトチームに限らず、ビジネスの部分も同じです。BTCという言葉がありますが、1つのチームの中で素早い意思決定ができることが、この時代に合わせた素早いものづくりにとって必要なことだと思っています。
(※)BTC(Business・Technology・Creativity)…戦略などのビジネスの視点、エンジニアリングなどのテクノロジーの視点、デザインなどのクリエイティビティの視点のこと。事業構想やプロダクト・サービスを生み出す際にこの3つの視点を持つことが重要だとされている。

編集部

不確実な時代に対して、組織の強度を根本的に上げていくためのチーム体制を取られているんですね。

一体型チーム構築への挑戦:多様性を活かした「勝てるチーム」の形成プロセス

GOGENの仕事風景

編集部

逆に、多様なメンバーが1チームで開発を進めていくことの難しさを感じる部分はありますか?

金子さん

それぞれのメンバーの専門領域が違うため、バックグラウンドの違いがあるというのは、ひとつの難しさとして感じますね。例えば私も含め、不動産分野の知識が全くないままジョインしたメンバーも少なくありません。そうすると、ビジネス面で意見を出すのはなかなか難しくなります。

デザイナーとエンジニアの関係でも課題があります。デザインが先行してしまうと、それが仕様のように扱われてしまうことがあります。そうするとエンジニアが積極的に意見を出しにくくなる傾向があります。

こういった課題を徐々に解決していき、1つのチームとして迅速に成果を出せる組織になれば、GOGENは競争力のあるチームになっていくのではないかと考えています。

GOGEN株式会社のエンジニア体験:広範な領域と高い貢献度がもたらすやりがい

GOGENの楠本さんと金子さん
▲不動産売買のプラットフォームというスケールの大きさにやりがいと感じるという楠本さん(左)

編集部

楠本さんはエンジニアとして、インフラとソフトウェア両方のご経験をお持ちですね。これまでのご経験も踏まえて、GOGENでのお仕事のどのような点にやりがいを感じられていますか?

楠本さん

不動産売買に関わる周辺領域の広さと、売買プラットフォームを作るにあたり解くべき課題の大きさ、そしてそれを実現できたときの「体験を作れる」ということにやりがいを感じています。

不動産売買は、私にとって全く新しい分野だったので、より面白さを感じました。また、事業の話を聞いて成長性を強く感じています。

さらに、現在の会社規模だからこそできる取り組みや、事業への貢献度が高いことも大きなやりがいになっています。例えば、自分のアイデアが直接サービスに反映されやすい環境があります。

エンジニア×デザイナーの協働効果:プロダクト開発における相乗効果と気づき

編集部

エンジニアとデザイナーが協働でプロダクト開発を進めていくというチーム体制の中で、楠本さんにとっての新たな発見などはありましたか?

楠本さん

スピード感を持って変化に対応できる組織づくりのメリットに加えて、エンジニア目線でも新しい発見がありました。

例えば、エンジニアはビジネスサイドとのコミュニケーションがデザイナーほど多くありません。UI・UXの観点でのユーザー理解や、それに基づくプロダクトへのアウトプットは、エンジニア単独ではまだ改善の余地があると感じています。

そのため、エンジニアとデザイナーが日常的に同じチームで議論することで理解が深まり、より高機能で価値のあるプロダクトを作れるようになると考えています。

具体的には、エンジニアが作成するプロダクトの要件仕様書にUXの観点を取り入れられるようになりました。ユーザー体験を基にペルソナを作成したり、プロダクトの価値やビジネス展開を考慮しながら開発を進められるのは、新鮮な経験です。

特に、プロダクトの規模が拡大する中で、本質的に重要な要素を認識し、意思決定の判断材料となる文書を作成できることは大きな利点です。エンジニアとデザイナーのチーム体制だからこそ、GOGENならではの体験設計書を作ることができているのだと思います。

GOGEN株式会社の組織文化:多様なエキスパートが織りなす独自のコミュニケーション

GOGENの開発キックオフの様子
▲GOGENの開発キックオフの様子

編集部

GOGENの会社としてのカルチャーについてお伺いします。多様なバックグラウンドを持つ方が集結されていますが、「全体的にこういった雰囲気の方が多い」など特徴はありますか?

金子さん

それぞれの業界のエキスパートが集まってスタートアップをやっている、という雰囲気があります。尖ったエキスパートが飛び出して集まってできたのがGOGENです。

編集部

そういったメンバーがチームでプロダクト開発を進める中で、コミュニケーションがとても大切になると思いますが、何か工夫されていることはありますか?

金子さん

入社当初、楠本と私は「密にコミュニケーションを取ろう」という合言葉をずっと言ってきました。しかし状況的に難しくなり、疎遠になってしまった時期もありました。

そこから学んだのは、「コミュニケーションが減る」という状況に対して、気持ちだけでは対応できないということです。いかにコミュニケーションができるようなチームを作り、それを必然的に行う仕組みにしていくかを考える必要があると思っています。

楠本さん

そうですね。プロダクトが複数あり、それぞれに役割が違うと、チームとしての一体感を抱きにくくなることがあります。意図的にコミュニケーションができる仕組みをつくる必要性を私も感じています。

最近の取り組みとして、毎週金曜日に全員でWin Session(※)を行い、各メンバーの活動を可視化して振り返りをしています。コミュニケーションを活発化するために、気持ちだけでなくシステムやロジックに落とし込む取り組みを今後も進めていく予定です。
(※)Win Session:仕事の進捗などを互いに発表し、称え合いながら情報共有するミーティング

異業種融合チームの成功の鍵:バックグラウンドの違いを活かすコミュニケーション戦略

GOGENの楠本さんと金子さん
▲異なる業界から集まったメンバー同士だからこそ、「言語化」に配慮するという金子さん(右)

編集部

金子さんのインタビュー記事を拝見しました。その中で「言語化に気を付けている」というお話がありましたが、具体的に業務上のコミュニケーションを取る上でどのようなことに注意されているのでしょうか。

金子さん

GOGENは様々な業界からメンバーが集まっているため、業界特有の「共通言語」が通じにくい環境です。そのため、相手の気持ちや、相手がどのように受け取るかをきちんと想像してから言葉を交わすようにしています。

人間は一般的に、知らないことに対して不安を感じます。自分の常識にない言葉や質問を受けると、相手に悪意がなくても攻撃的に感じてしまうことがあります。そういった場合、相手のバックグラウンドを想像することで、理解が深まることがあります。

同様に、自分が話す際も注意が必要です。自分の専門分野の言葉を無意識に使うと、相手に誤解を与える可能性があります。そのため、専門用語をできるだけ避け、相手にどう受け取ってもらえるかを考えながらお話するように心がけています。

編集部

多様性のあるチームにおいて、非常に重要な姿勢だと感じました。そういった配慮がGOGENさんのチーム力向上にもつながっているのですね。

GOGEN株式会社が求める人材像:新たな不動産体験の創造に挑戦するエンジニア

編集部

最後に、GOGENさんに興味を持った読者の方にメッセージをいただけますでしょうか。

楠本さん

不動産の売買プラットフォームを作るというのは、前例もなく、スケールの大きな取り組みで、大きなやりがいがあります。その中で自分の職種や技術領域を限定せずプロジェクトを前に進めることのできる人は、GOGENで活躍できるのではないかと思います。

例えばフロントエンド開発の経験があまりない場合でも、チャレンジしたい意欲があれば機会を提供します。もちろん自己学習の努力は必要ですが、可能な限りサポートしていきますので、新しい領域にチャレンジしたいエンジニアの方も、ぜひ参加していただければと思います。

金子さん

GOGENには、まさに「語源をつくろう」を体現できる環境があります。

例えば「遊園地と言えば」「有名キャラクターと言えば」と聞いたときに、誰もが思い浮かべるものがありますよね。それはウェブサービスでも同じです。物件探しのポータルサイトと言えば「SUUMO」と思い浮かぶように、代表的なサービスとして存在するものがあります。

今GOGENが作ろうとしているサービスは、デジタルな不動産取引の代表的なサービスになると考えています。技術的な設計もそうですし、デザイン的な設計もそうですが、これを基準として多くの人に参考にされるようなものを作りたいと思っています。それが実現できれば非常に楽しいですし、一生の宝になると確信しています。

サービスや体験の原型を作れる仕事はそう多くありません。言葉の源「語源」になれるサービスに興味がある方は、ぜひお問い合わせいただけると嬉しいです。

編集部

本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

■取材に応じてくださったお二人のインタビュー記事はこちら
・金子剛さん:https://note.com/gogen_0201/n/n944f289981f0
・楠本朋大さん:https://note.com/gogen_0201/n/n73e43b646c7a

■取材協力
GOGEN株式会社:https://gogen.jp/
採用ページ:https://herp.careers/v1/gogen