目覚ましい成長を遂げる企業や、社員のワークライフインテグレーション(※)にも力を入れる企業を紹介する本企画。今回は、成長志向企業の事業成長をデジタルの力で支援する、「株式会社デジタルホールディングス」にインタビューしました。
(※)ワークライフインテグレーション:仕事と生活を別々ではなく統合的にとらえて、双方を充実させる考え方。
株式会社デジタルホールディングスとは
デジタルホールディングスは「新しい価値創造を通じて産業変革を起こし、社会課題を解決する。」をパーパスに掲げる企業です。
日本社会・企業のデジタル化に注目が集まる昨今、デジタルに精通し、それぞれの強みと特徴を持つグループ企業を有しており、現在は広告事業・デジタルシフト事業・金融投資事業を事業ポートフォリオとし、展開しています。デジタルの力で日本企業の成長や課題解決をサポートするとともに、新しいサービスを生み出し日本産業の活性化に貢献してきました。
2020年に商号を変更するとともに、広告事業からデジタルシフト事業への事業ピボットを推進し、現在は第三の創業期に入っています。
会社名 | 株式会社デジタルホールディングス |
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住所 | 東京都千代田区四番町6 東急番町ビル |
事業内容 | グループの戦略立案と実行ならびに子会社の管理 広告事業、デジタルシフト事業、金融投資事業 |
設立 | 1994年3月4日 |
公式ページ | https://digital-holdings.co.jp/ |
働き方 | リモートワーク可 |
今回は、株式会社デジタルホールディングスの北浦さんと平田さんのお二人に、企業としての成長において大切にしていることや、また、デジタル時代に合った多様な働き方およびキャリア形成を支援するプロジェクトについてお話をお聞きしました。
DX化で新しい価値を創造し、日本企業と社会の成長につなげる
編集部
最初に、デジタルホールディングスさんの事業内容についてお伺いしたいと思います。
北浦さん
デジタルホールディングスの現在の事業ポートフォリオは、大きく分けると広告事業、デジタルシフト事業、金融投資事業の3つです。
当社は創業以来、デジタルマーケティングを中心とした広告事業を通じて、顧客の事業成長を支援してきました。しかし近年においては、企業の持続的な成長には、デジタルマーケティングの先にあるDX化が必要不可欠だと考え、2020年にデジタルシフト事業を主事業としてスタートしました。同時に、「オプトホールディング」から「デジタルホールディングス」に商号変更しています。
編集部
デジタルシフト事業においては、具体的にどのようなことをされているのでしょうか?
北浦さん
デジタルシフト事業については現状、個社DX支援事業(DX)と産業特化型支援(IX=Industrial Transformation®)の二つの領域に分かれています。
個社DX支援事業においては、個社ごとの状況に応じた業務プロセスのデジタル化による業務効率化の支援などが挙げられます。効率化の先にはビジネスモデルの変革があり、そこを目指して個社単位でデジタルシフトを推進していくことが、個社DX支援事業で行っている取り組みです。
産業特化型支援においては、バーティカル産業、つまり特定の業界に特化した産業のデジタル化を推進しています。例えばかかりつけ薬局化支援事業では、処方箋の送信や問診表の記入などの患者さまと薬局のやりとりを、LINEを活用して実施するサービス「つながる薬局」を提供しています。
これにより業務プロセスを効率化し、薬剤師の方々がお持ちの固有の知識やスキルを発揮していただくことで、より患者さまの健康に寄り添っていただけるようにサポートしています。
編集部
今後、特に注力していきたい領域はありますか?
北浦さん
当社は2021年からパーパスを新たに掲げ、産業変革を推進しています。そのなかで、自分たちがインサイダーとなる広告業界の変革、つまりAX(Advertising Transformation®)に注力していこうと、株式会社バンカブルが事業を推進する広告×金融という領域で、広告費の分割・後払い(BNPL)サービス「AD YELL(アドエール)」をリリースしました。
直近では、「STOCK YELL(ストックエール)」という仕入費の分割・後払い(BNPL)サービスもスタートしてます。
編集部
パーパスを2021年から新たに掲げているとのことですが、こちらについて詳しくお聞かせ願えますか?
北浦さん
デジタルホールディングスでは「新しい価値創造を通じて産業変革を起こし、社会課題を解決する。」というパーパスを掲げています。私たちならではの新しい価値を創造するため、既存の枠組みにとらわれることなく、業界、ひいては産業の変革に向けたサービスの提供を目指しています。
少子高齢化に伴う労働力の不足など、日本社会にはすでに顕在化した社会課題も数多く見受けられます。このような社会課題の解決を目指し、パーパス実現に向けた新たな一歩が、デジタルシフトです。
また、パーパスのみならず、私たちが掲げるバリュー(5BEATS)のなかでも、一つ目に「新しい価値創造」を記しています。
編集部
新しく価値を創造していくことを重要視されているため、時代や人々のニーズの変化を捉えて、事業やサービスをどんどん新しくさせているのですね。
▲株式会社デジタルホールディングスが2021年から新しく掲げているパーパス。(公式サイトから引用)
業界初のサービス誕生も。企業を次の成長に導く社員イベントとは
編集部
デジタルホールディングスさんは変革に向けた兆しを感じる取り組みもされています。それらの背景について、お聞かせいただけますか?
北浦さん
今回は、私たちが大切にしているカルチャーの事例として、「New Value Forum」についてお話ししたいと思います。
こちらは、2020年の商号変更に伴って刷新したグループ社員総会です。当社が掲げるパーパスとバリュー(5BEATS)には「新しい価値創造」というキーワードがあります。この「新しい価値創造」への想いを、使役のコミュニケーションとしてトップダウンで推進するのではなく、体現している自分たちの仲間を称える風土として育むことを目的としています。
イベントでは、エントリー制のプレゼンテーション企画などを行っており、実際にこれから業界を推進するであろう、新たなサービスも誕生しています。
編集部
実際にエントリーされた内容や、成長の具体的な数値データなど、差し支えない範囲で教えていただけますか?
北浦さん
2022年のグランプリは株式会社バンカブルのチームが受賞し、その後「AD YELL」の正式提供を開始しました。2022年5月の正式ローンチから1年4ヶ月で、累計取扱高(GMV)が200億円を突破し、短期間で一定の成長を遂げることができています。
また、2023年の準グランプリは、「Oxcim®(オキシム) 」というプロダクトを提供している株式会社オプトのECチャネル戦略部チームが受賞しました。
現在、EC市場が活況ですが、これまで複数のECモールを横断的に分析できるツールはありませんでした。こうしたなかで、複数のECモールを総合的に判断し、クロスチャネルで最適化を目指す、業界初のSaaSとして「Oxcim® (オキシム) β版」は開発されました。
2022年6月から、年内200社導入を目指して提供をスタートさせ、これまでになかったサービスとして世の中に新しい価値を提供できていることで、着実に成長し始めています。
イベント「New Value Forum」開催の背景には商号変更が
編集部
イベントの実施に至るまでの経緯や背景についてお聞かせください。
北浦さん
「New Value Forum」の開催には、2020年の商号変更が大きく関わっています。商号変更をし、デジタルマーケティングに加え新たにデジタルシフト事業を主要事業とするなかでも、成長志向企業の事業成長に直結するという想いは、創業以来変わっていません。
しかし変革のさなかでは、頭では理解しながらも、理想に向かうありたい姿と現状とのギャップや、「急に方針変更したのか」など、どこか不安を感じるような空気感が漂っていた時期がありました。
先程も少し触れましたが、このようななかでは「事業をピボットしたからこうしてほしい」と、トップダウンの使役のコミュニケーションで推進するのではなく、変革のなかで自分たちはどのような価値が提供できるのかを問うことと、自らの情熱を起点としながら、まさにバリュー(5BEATS)を体現する社内の皆さんにフォーカスすることが、ともにありたい姿を探求することにつながるのではないかと考えました。
その点について経営陣とも議論を重ね、2021年の夏頃からインナーブランディングに注力していきました。そのなかで生まれた新たな取り組みが「New Value Forum」です。
編集部
商号変更に伴った変革を、社員の皆さんと探求するためのイベント開催だったんですね。このイベントの開催が、企業成長のターニングポイントになっているのでしょうか?
北浦さん
はい。当社では2022年から新たにエンゲージメントサーベイにも注力をしていますが、「New Value Forum」を一つのきっかけにして、パーパスやバリュー(5BEATS)への共感にも良い変化が生まれ始めています。そしてそれに留まらず、業界にない新しいサービスを生み出すことにもつながり始めています。
イベントは若手社員の熱量を高める場に
編集部
「New Value Forum」への参加は任意なのでしょうか?規模や参加率についても教えていただけますか?
北浦さん
グループの社員総会のため強制参加ではないですが、基本的に参加してくださいとアナウンスしています。ただ、初回である2021年度は参加率が48%で、グループとして参加率を伸ばしていかなければならないと考えさせられた結果でした。
それから1年間、インナーブランディングとしてチームでも模索を続け、自部署に留まらず、他部署の力もたくさん借りながらさまざまな施策も継続することで、2023年の参加率は73%となりました。また、参加者のうち98%の方が「次回の開催を希望する」と回答しており、社内からも一定の期待をもらえているのではないかと、次回に向けた良い意味でのプレッシャーも感じ始めています。
編集部
新入社員の方はもちろんですが、若手社員の方の参加も多いのでしょうか?
北浦さん
そうですね。若手で登壇したり、受賞したりする方も少なくありません。2023年のグランプリは株式会社オプトのGoogle Apps Scriptチームが受賞したのですが、その代表者は入社6年目の女性でした。
彼女は「業務効率化を推進することで、会社の未来が大きく変わる」と考え、その情熱を絶やすことなく変革を志し、Google Apps Scriptにより業務効率化を推進したことでグランプリに選ばれました。
彼女の発表内容や熱意に刺激を受け、「自分もチャレンジしたいという気持ちになった」と回答した既存社員がいるなど、活躍している社員が大勢の前で讃えられ、その熱量に触発された社員が活力を高められる場になっていくと、当社が目指す自立人材に溢れた組織になれるのではないかと感じています。
編集部
新入社員が早くからパーパスやバリューに触れ、若手が力を発揮することができたりと、とても有意義な場になっているのですね。
働き方をアップデートし、社員の「自立」支援にもつなぐ
▲多様なキャリア形成や自立人財の成長をサポートするプロジェクト「働き方のタネ」のイメージ。
編集部
デジタルホールディングスさんでは、ワークライフバランスの一環として「働き方のタネ」というプロジェクトを2022年から開始されているとお聞きしました。こちらはどういった取り組みなのでしょうか?
平田さん
「働き方のタネ」は、多様なキャリア形成やより多くの自立人材を育むことを目指し、新たに取り組みを開始したプロジェクトの総称です。個々の施策を指すのではなく、働き方そのものをアップデートする新たな概念を指しており、そこに紐づくように様々な制度を整備しています。
デジタルホールディングスグループがこれまでに行ってきた人事施策をもとに、デジタル時代に合った働き方を模索し続けています。
編集部
このプロジェクトを始められた背景を教えていただけますか?
平田さん
先ほど北浦からもあったように、グループとして広告事業を主力としていたところを、DX領域に挑戦していく方向に転換しました。DXは業務プロセス改善はもちろん、一人ひとりの働き方を変えていく取り組みでもあります。これらの取り組みを社外に向けて提供していくとともに、私たち自身も働き方を変えるチャレンジをしていこうという背景で始まりました。
当社は創業以来、「一人一人が社長(社員の幸せ=自立)」というバリューを大切にしています。幸せの価値観は人それぞれですが、私たちの考える真の幸せは、各個人が常に能動的に将来を選択できる状況にいられることです。
そのため、働き方のタネでは、個人が多様な働き方、多様なキャリアを選択できるという考えを軸に制度設計をしてきました。そうした環境があることによって、個人の成長と会社や組織の成長がより連動し、双方の成長ドライバーとなる取り組みになるのでないかと考えます。
編集部
実際に「働き方のタネ」のプロジェクトをはじめてから、どういった変化が見られましたか?
平田さん
全体的な改善を把握するため、2022年からエンゲージメントサーベイを年に1回実施しています。働き方に関する項目を設けており、5段階で表すと平均で4と高いスコアを1回目で獲得できています。
2回目を2023年8月に実施し、項目ごとに幅はありますが、全体的にスコアは向上しています。特に多様な働き方、多様なキャリアに関連する項目は、他の項目と比べても高いスコアとなりました。
つまり、私たちの組織では職場環境や状況の変化に対応して、働き方や仕事の進め方、コミュニケーションの取り方などが進化していると感じる従業員が増えてきている表れであります。働き方のタネを通して、働きやすさが進んでいる点は、弊社の特長の一つかもしれませんね。
編集部
「働き方のタネ」に関連して、具体的にどのような制度が作られたのでしょうか?
平田さん
まず根幹である人事制度を、各社で能力型からミッション型に変更しています。その後に、元々あったリモートワークの制度を、働き方や出社のルールを個人に委ねるようにしながら、普及を進めています。
その他には、国内であればどこを就業拠点に置いても良いとする「どこでもワーク」制度を設け、働く場所を個人が選べるようにしました。さらに、家庭の事情も含め、自宅で仕事ができる環境ではない方もいらっしゃるので、そういった方々に向けてシェアオフィスを利用できるようにしています。
また、多様なキャリアという観点から副業制度を設け、チャレンジを促進する目的で、既存の有給休暇とは別で月1回、年間で12日の有給休暇を取得できる「チャレンジ休暇」という制度を設けました。
パーパス、バリューに共感し、ともに産業変革に挑む方を求む
編集部
最後に採用についてお話を伺いたいと思います。グループ会社さんによって異なる点もあると思いますが、デジタルホールディングスさんとして求めている人物像をお聞かせください。
平田さん
求める人物像の前提としては、私たちが掲げるパーパスがあります。
私たちは新しい価値創造を通じて、産業変革をしていくことを強く推し進めていますが、これを推進するには、会社として常にチャレンジャーでいることが重要だと考えます。
挑戦していく姿勢は、会社としてだけではなく、社員の皆さんにも持っていただきたい姿勢です。「一人一人が社長」、「新しい価値創造」とバリューにもある通り、社員それぞれの内発的動機によるチャレンジを推奨する文化が根付いており、社員の全員に成長意欲がある会社です。
そのため、新しくご入社される方にも、産業変革を起こし、社会課題を解決するというパーパスに共感し、チャレンジングな姿勢を求めています。
またそのなかで、仕事における質・量・スピードのバランスの考え方も大切であると考えます。キャリアは数十年と続く持久戦で、その時々で質・量・スピードの選択の仕方は違うのではと思います。例えば新卒社員に関しては、まず自分の基礎を作っていく必要があるため、まずスピードが優先され、その次に量、最後に質だと考えます。
デジタルホールディングスでは、社員の皆さんが多様な働き方を選択できるように環境を整えていますが、1日、1週間という短いスパンでのワークライフバランスを初めから選択するのではなく、この先の長いキャリアを見据えて、今の自分に必要となる働き方を考え、ワークとライフをデザインしてほしいです。
その時々に応じて、自分の働き方を柔軟にデザインできるような思考とあらゆる変化を受け入れる状態が作れるかどうかが、益々必要になってくるのではないかと思います。そのため、このような考え方や価値観に共感できる方々にご入社いただきたいです。
編集部
御社は新しい価値創造をしていくことを大切にされており、挑戦的な姿勢を崩さずに事業転換や商号変更などをされてきています。
社内イベントの刷新や働き方の多様化なども行われており、社員の皆さんが同じ方向を向き、かつ仕事に熱量を持てるよう尽力されているので、チャレンジ精神をお持ちの方や、世の中にまだないサービスをつくりたいという方にフィットするのではと感じました。
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社デジタルホールディングス:https://digital-holdings.co.jp/
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