今まさに成長中であり、女性などが活躍できる職場づくりを進めている企業にインタビューする本企画。今回は、株式会社TBJにお話を伺いました。
世界で7000店舗「タコベル」を日本全国に拡げる株式会社TBJ
全米を中心に、世界で7000店舗以上を展開するアメリカ発のメキシカン・ファストフード「Taco Bell(以下、タコベル)」。株式会社TBJでは、年齢や性別、国籍を問わない自由なカルチャーを持ちつつ、タコベルの店舗を首都圏をはじめ全国各地に展開していく予定です。
会社名 | 株式会社TBJ |
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住所 | 東京都中央区日本橋蛎殻町1-5-6盛田ビルディング |
事業内容 | メキシカン・ファストフードブランド「Taco Bell」の運営 |
設立 | 2022年10月(前身の「株式会社TBジャパン」は2018年6月設立) |
公式ページ | https://tacobell.jp/ |
今回は、株式会社TBJの経営企画室GMの坂田賢さん、株式会社TBJのタコベル中目黒店店長の土橋尚弘さんに、日本上陸から全国展開へと広げているタコベルの成長戦略、性別や国籍を問わない人材登用についてお話を聞かせていただきました。
世界的人気のメキシカン・ファストフード店「タコベル」を展開
編集部
まず初めに、TBJさんの事業内容を教えてください。
坂田さん
「タコベル(Taco Bell)」という、タコスやブリトーなどのメキシカン・ファストフード店を日本で展開している会社です。タコベルは1962年にアメリカで生まれたブランドで、全米を中心に世界で7,000店舗以上が運営されています。
編集部
世界でも有数のファストフードブランドなんですね。個人的に、都内で何度も店舗を利用させていただいています。タコベルのタコス、おいしいですよね。
坂田さん
オーダーを受けてから仕上げているので、フレッシュでおいしいですよ。肉などの具材やソースの辛さはカスタマイズを楽しむことができます。トルティーヤチップスをチーズ、アボカドソース、サワークリームなどのトッピングとともに食べる「ナチョス」も人気メニューなので、ぜひ食べてみてください。
編集部
ナチョス、今度食べてみます。TBJさんによる、タコベルの日本での展開状況を教えてください。
坂田さん
2015年4月に日本1号店である渋谷道玄坂店をオープンした後、都内ではアクアシティお台場店、神保町店などを展開しました。24年は3月29日に中目黒店、4月26日に有明ガーデン店がオープンし、現在は合計11店舗となっています。
編集部
積極的に出店しているフェーズなのですね。今後も、どんどん店舗を増やす予定ですか。
坂田さん
アメリカにある本部との契約もあり、1年間に5店舗以上の出店を目標にしています。24年度は、5月以降にあと2店舗のオープンを考えています。
編集部
出店は、首都圏エリアが中心なのでしょうか。
坂田さん
そうですね。やはり情報発信の中心地である首都圏にある程度は集中して出店することで、認知度を広げていく戦略を立てています。
来年からは、フランチャイズ展開も加えていこうと私たちは考えています。
編集部
これから本格的な全国展開へとステップアップしていく段階なんですね。2022年10月に小僧寿しさんの傘下に入られていますが、グループ加入の理由は何だったのでしょうか。
坂田さん
そこは、オーナーレベルでグループ全体のシナジーを考えた結果だと聞いています。小僧寿しの傘下にタコベルという新しいファクターを入れることによって、グループを活性化させる意図のようです。
編集部
TBJさんは、新たなチャレンジを期待されている存在だということですね。
大食いYouTuberとのコラボメニューなど、エンタメ志向戦略で全世代にアピール
編集部
タコベルの事業拡大に向けたTBJさんの戦略、取り組みを教えてください。
坂田さん
全店舗で、YouTubeクリエイター「三年食太郎」とのコラボメニューを日本オリジナルメニューとして展開しています。プロレスラーのアレックス・ゼイン選手とのコラボメニューも人気を博しています。
編集部
世界的なブランドでありながら、日本独自の展開をされているんですね。
坂田さん
そうですね。日本にローカライズしたメニューや企画を展開することで、日本のマーケットにあったタコベルブランドを作っていきたいと考えているんです。
編集部
現在は、店舗を利用するお客様は若い方が中心ですか。
坂田さん
コアのユーザーは若い世代の人たちです。中でも、帰国子女など海外経験のある方が多いですね。インバウンドのお客様が多いことも、タコベルの特徴だと思います。
私たちとしては、ファミリー層にどんどん訴えていきたいと思っているのですが、タコスやブリトーを家族で食べよう、という食文化はまだ日本では浸透していないのが現状です。なので、YouTuberやIPとのコラボなどでエンターテインメント的なメニューを展開することでファミリー層をつかまえていきたいと考えております。
編集部
若い世代に広まれば、やがて家族を連れてきて、国民的な食文化になっていきますよね。TBJさんとしては、タコベルをファミリー層にも人気のファストフード店として成長させていくイメージなのでしょうか。
坂田さん
最近、タコベルの競合店としてグズマン&ゴメス(Guzman y gomez)というタコス店や、フリホーレス(Frijoles)というメキシコ料理のチェーン店を挙げる方がいるのですが、私たちとしては、どちらも競合店としては考えていないんです。
グズマン&ゴメスもフリホーレスも、野菜が多く摂れるヘルシーフードで1食1200円ほどですが、タコベルはもっとジャンクでリーズナブルに召し上がって頂けます。タコスなので野菜は多いですが、どちらかというとマクドナルドなどに近いイメージを描いています。
編集部
誰でも気軽に立ち寄れる、メキシカンなファストフード店ということですね。
坂田さん
そう考えると、実はタコベルは今、同様の客層・メニューを持つ競合店は不在なんですよ。良い意味でグローバルな雰囲気と独特な世界観を持ちながら、店舗を増やしていきたいと考えています。
中目黒店が新規オープン。オリジナルメニュー「うさちゅろアイス」も開発
編集部
土橋さんは、つい先日オープンしたタコベル中目黒店の新店長様とのことなので、店舗運営についてお話を伺いたいと思います。中目黒店は、何名ぐらいのスタッフで運営されているのでしょうか。
土橋さん
スタッフは総勢20人ぐらいです。38席の店舗で、常に5~6人ぐらいで回しています。
編集部
新店舗なので、スタッフも全員新たに募集をされたと思いますが、性別や年齢層に特徴はありますか。
土橋さん
男女比は、だいたい半々ぐらいです。中目黒という場所柄もあって若いスタッフが多いのですが、70代の方も採用させていただいて、ピンチヒッターで入ってもらう体制になっています。
編集部
やるべき業務がたくさんあると思うんですけど、女性やシニアのスタッフもスムーズに仕事を覚えられるような仕組みになっているのでしょうか。
土橋さん
みんなが働きやすい環境になっていると思います。男女や年齢の壁はありませんが、敬語などの言葉遣いはきちんとするようにしていますね。
編集部
中目黒店店長として、今後の方針や目標を教えてください。
土橋さん
老若男女、常に活気があふれるお店にしていけたらいいなと思っています。スタッフに対しても、1人1人が「タコベルで働いてよかったな」と思えるような、成長して行ける環境のあるお店にしたいと考えています。
他のファストフードチェーンにない、タコベルならではのメキシコ料理の魅力をスタッフみんなで広げていければと思います。
編集部
中目黒店のオリジナルメニューもあるんですか。
坂田さん
中目黒店では「うさちゅろアイス」というアイスとチュロスを使った限定メニューを出しています。見た目もネーミングも可愛いスイーツなので、若いターゲットやファミリー層に人気です。「うさちゅろアイス」をきっかけにタコベルに来店してもらって、タコスやブリトーなどのメキシカンのメニューも食べてもらう仕掛けを作っていければと思っています。
編集部
タコベルの認知を広げるための、アイデアメニューも開発しているんですね。
性別、年齢、国籍を問わず、多様な人材を積極的に採用中
編集部
TBJさんはタコベルの店舗数を増やしているフェーズとのことですが、人材採用についてはどのような考えをお持ちですか。
坂田さん
性別や年齢を問わない職場づくりをして、女性やシニアの方もどんどん働けるようにDX化を含めて環境を整備したいと思っています。
年功序列は考えてないので、若い子たちに活躍してもらいたいとも考えています。例えば土橋は、私が以前やっていた会社の部下なんですけど、ただの店長ではなく、高い期待を込めて入社してもらっています。かつての日本の企業風土とは違い、若者もシニアも、女性も外国の方も、みんなが活躍できる職場を目指しています。
編集部
性別も年齢も、国籍も関係ないんですね。
坂田さん
そういう時代になってきますからね。外国人に店長を任せている店舗もありますよ。グローバルに雇っていきたいなと私は思っています。
日本の飲食業の労働力は、コロナ以降に人材が離れてしまったこともあり、シビアな状況になっています。だからこそ、やる気と行動力がある人を採用して、給料も上げていきたいですね。期待している分、きちっと支払って、仕事をしてもらうことが大事だと思います。
編集部
TBJさん全体としては、最近ではどのような方がジョインしていますか。
坂田さん
日本人は、土橋ともう一人、合計2人を採用しました。その2人とは別に、今月は海外の方を7人採用しているんです。海外のタコベルをよく知っていますし、他社と差別化する意味でグローバルな部分を強調したい、というのが海外の方を採用している理由です。
編集部
社内の男女比はどのような割合でしょうか。
坂田さん
社員・アルバイト含めた全社だと女性が6割、男性が4割ほどです。社員だけで見ると、女性と男性が半々ぐらいですね。今後は、シニア層も含めて女性を多く採用したいと思っています。
編集部
多様な人材が一緒に働いている中で、注意しているポイントはありますか。
坂田さん
敬語は必須です。それと食べ物を扱う仕事なので、ネイルに関しては長い爪を禁止しているんですけど、それ以外は自由ですね。中目黒店には髪の毛が緑色の女の子がいたりして、バリエーションに富んでいて面白いですよ。
土橋さん
そうですね。店舗スタッフは個性的な子が多いです。
編集部
食事に関係するところは厳しくしつつ、自己表現や多様性は許容しているんですね。
坂田さん
海外のタコベルやファストフード店を見ればわかりますけど、いろんな人種がいて、いろんな髪の毛の色をしていて、でも仕事を楽しく一生懸命やっています。お客様に不快を与えるもの、不潔感のあるものはNGですが、自己表現はあっていいと私は思っています。
編集部
会社として、多様な人材が働きやすくなる職場環境づくりの工夫はありますか。
坂田さん
今後、店舗が増えてくるにつれて、「あの店舗にヘルプに行ってください」というシーンが増えてくると思います。その場合は手当をつけることで、ポジティブな気持ちでヘルプに入れる制度を作ろうと考えています。
もう一つ、社員紹介制度も作ろうと社内で稟議を挙げています。例えば土橋くんが友達を連れてきた場合に、謝礼を払う制度ですね。今年の夏には実現したいと思います。
編集部
いろいろな制度を、スピード感を持って整備している最中なんですね。
優秀なアルバイト学生に着目し、インターン制度を新たに整備
編集部
TBJさんでは、インターンの受け入れは行っていますか?
坂田さん
この4月から新卒で入社した社員が、元インターンでした。上智大学在学中にタコベルでアルバイトをしていた方です。社員として、商品開発などいろいろなことを実現したいと言ってくれていて、とても期待しています。
彼のような学生を今後も採用できたらいいなと思ったので、来年からインターンを制度化しようと考えています。タコベルの店舗には、優秀な大学に通っているアルバイト学生が多いんですよ。しかも海外経験のある子が多いので、そういう学生たちがタコベルに入社してくれれば、差別化になると考えています。
編集部
せっかくタコベルが好きで働いている学生が、アルバイトで終わってしまうのではなく、社員として働き続けられるようにするインターン制度なんですね。
坂田さん
TBJは日本法人ですが、タコベル自体は海外にたくさん店舗があります。本家のアメリカには7000店舗ありますし、インドでも今700店舗を超えてきています。
普通の飲食店経営の企業よりもグローバルな仕事ができることがTBJで働くモチベーションにもなると思うので、インターンやインターンから社員になった子にはどんどん海外での仕事や研修をやってもらいたいと考えています。
編集部
世界中の大きなネットワークに関わっていける可能性があるということですね。
坂田さん
TBJの経営母体は、ヤム・ブランズ(Yum! Brands Inc)というアメリカの大きな企業です。
24年現在、日本でのタコベルは店舗の規模が小さいので、事業を行う際に本社の了解が必要です。タコベルも、店舗を増やしつつ、人材も育てて、将来的には独自のメニューなどを展開できるようにしたいですね。
編集部
傘下企業として、今はヤム・ブランズがTBJさんの経営に伴走している状況なんですね。
坂田さん
ヤム・ブランズの子会社のスタッフが不定期に店舗に来て、接客やオペレーションなどの点数を付けていくんですよ。そういうときに「日本のスタッフはいいね」と思ってほしいと願っています。
インターンも含めて社員のみんなには、単なる飲食のスタッフというより、将来を一緒に考える仲間として、本部スタッフやエリアマネージャーにステップアップしてもらうことが私の役割です。
編集部
社員としてTBJさんにジョインすると、大きなネットワークにつながるコアスタッフとして、その方たちのステージが広がっていくイメージですね。
坂田さん
私のLINEには、年齢やポジションに関係なくいろいろなスタッフがつながっています。アルバイトでも事務でも、みんなに意見を言ってもらうのが大事なことだと思います。
守るべきルールを守りつつ、自由なカルチャーを活かして、みんなで成長していける会社を目指しています。
本部の社員には、私より年上で、ロックTシャツ1枚で仕事をしている京都大学卒のおじさんもいます。
編集部
伝統的な日本企業ではなく、グローバルなルーツがあるTBJさんだからこそ、スタッフが自由に発言して、個性を活かせる文化があるんですね。
グローバルな文化&多様な人材で、ステップアップを目指す
編集部
最後に、この記事を読んでTBJさんに興味を持った読者の方に向けて、採用に関するメッセージをお願いします。
坂田さん
TBJは、インバウンドのお客様に人気なので、かなり外国人の来店が多いんです。例えば渋谷の店舗にはインドのお客様がツアーで来るようになったこともあり、いつ行っても集団の外国人のお客様でいっぱいです。英語と日本語が飛び交っている状況ですけど、スタッフは伝えたいことを伝えることができているので、問題ありません。英語ができるスタッフばかりではありませんが、コミュニケーションというのはシンプルな表現で大丈夫なんだな、と現場を見ていて思います。
英会話の勉強にも、コミュニケーションの勉強にもなる職場なので、視野を広く持ちたい方に向いていると思います。将来的にタコベルの経営に携わりたい方、FCの店舗を増やしていきたい方など、老若男女問わず、人種問わず、どんどんTBJに入ってきてほしいですね。いろいろな考えを持っている方と意見を交わしながら、会社としてステップアップしていきたいと考えています。
また、TBJでは高年齢の方にも、例えば母子家庭のお母様などにも働いていただける機会を作っていきたいと思っています。飲食業というのは、お客様と接する仕事です。体力も使うビジネスですが、誰でも楽しくコミュニケーションを取って働けるお店づくりを目指しています。
編集部
マニュアルに沿って粛々と仕事を遂行するのではなく、タコベルはスタッフとお客様とが自由に楽しく接するお店だということですね。土橋さんからも、店長様として採用に関するメッセージをいただけますか。
土橋さん
年齢を問わず、言葉の壁も問わず、スタッフもお客さんも楽しめる環境を一緒に作ってくれる方と働きたいと思っています。自分も含め、一緒にタコベルで成長できればと考えていますので、ぜひタコベルに来てください。
編集部
海外のファストフード店で店員さんとお客さんが笑顔でやりとりを楽しんでいるように、日本でもタコベルさんが店舗数を広げる中でそんな素敵なカルチャーが広がる可能性を感じました。本日は、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社TBJ:https://tacobell.jp/
採用ページ:https://job-gear.net/tacobell/