エンジニアの働きやすさに注力したワークライフバランスが特徴の企業を紹介するこの企画。今回は、オープンソースの先端技術を活用してネットビジネスを支える株式会社タイムインターメディアを取材しました。同社は、従業員の生活と仕事のバランスを重視し、エンジニアが能力を最大限に発揮できる環境づくりに力を入れています。
“システムを「生きモノ」としてソリューションする”株式会社タイムインターメディア
株式会社タイムインターメディアは、"システムを「生きモノ」としてソリューションする"を理念に掲げ、オープンソース先端技術を活用して「ITシステムを生み・守り・育てる」をモデル化した成果コミット型ソリューションと高い技術力を提供する企業です。
同社は、ブロックチェーンやAIのコア技術開発による新ソリューションや、教育改革促進に向けた教育機関向けICTソリューションを展開しており、私立大学、国立大学、国立高専、中学高校、塾などへ幅広く提供しています。
会社名 | 株式会社タイムインターメディア |
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住所 | 東京都新宿区四谷坂町12-22 VORT四谷坂町 |
事業内容 |
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設立 | 1998年4月1日 |
公式ページ | https://www.timedia.co.jp/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) ※エンジニアは裁量労働制 |
株式会社タイムインターメディアでは、社員の8割がエンジニアのポジションに就いており、エンジニアファーストの理念を実践する支援制度が充実しています。スキルアップの機会提供はもちろん、働きやすい環境や制度づくりにも積極的に取り組んでいます。
今回は、同社CTOの小宮健さんと経営管理本部人事部の上田汐莉さんに、同社が実践するエンジニアのワークライフバランスを中心にお話を伺いました。
システム視点を 「モノ」から「生きモノ」へと転換するタイムインターメディア
編集部
ハイレベルな技術力を持つことで知られるタイムインターメディアさんですが、はじめに、御社の企業理念についてお聞かせいただけますでしょうか。
小宮さん
当社は独自のコンセプトとして、「システムライフソリューション」という言葉を定義しており、システムを「生きもの」としてとらえ、継続的にソリューションを提供することを理念としています。
ソリューションを単に「生む(企画・構築)」だけの視点では捉えず、生み出した後の運用フェイズに入ってから「育てる」ための永続的なプロセスを大切にしています。この考え方は「生み、守り、育てる」という当社のキャッチコピーにも表現されています。
「生み、守り、育てる」を実践する3つの事業部門
編集部
タイムインターメディアさんが手がけられている案件や事業の特徴についてお聞かせください。
小宮さん
大きく分けて3つの事業部があります。1つはシステムライフソリューション事業部という部署で、一般的にはシステムインテグレーション(SI)に位置付けられます。幅広いお客様のシステムをサポートしており、中でも長期にわたり大規模な支援をさせていただいているのが動画配信サービス事業者様です。この他にもECサイト開発や、ニュースサイトの作成など、主にインターネット事業者様を中心に事業を展開しています。
編集部
システムライフソリューション事業部ではSIer事業を中心に手がけられているのですね。2つ目の事業部はどのような事業を手がけられているのでしょう。
小宮さん
2つ目のデジタルイノベーション事業部は普段、われわれがDI部と呼んでいる部署になります。システムライフソリューション事業部同様、SIではあるのですが、違いとしては先進的な技術を使ったシステムインテグレーションをお手伝いしている部署になります。
具体的にはブロックチェーンやAI(人工知能)を活用したシステムなど、比較的新しい技術を含めたシステム提案と構築を担っています。
編集部
タイムインターメディアさんが提供するサービスの1つ、最適化AIプラットフォーム「TENKEI」もDI部が関わっているのでしょうか。
小宮さん
TENKEIそのもののエンジンは当社の研究開発、産学連携を行う知識工学センターが開発しています。そのエンジンを使ったシステムをDI部が担っているかたちとなっています。
編集部
産学連携のお話が出ましたが、タイムインターメディアさんでは、大学を中心とした教育機関向けICTソリューションを展開していると伺っております。
小宮さん
はい、それを担っているのが3つ目の文教ソリューション事業部です。「学校基幹サービス」、「学内情報活用サービス」、「学校経営支援サービス」、「学内インフラサービス」の4本柱でICT化による学校改革推進の支援を目的に、大学や高等専門学校、塾など学術機関向けのパッケージ商品をカスタマイズも含め提供しています。
▲教育機関向けシステムのWebAppデモページ
▲教育EXPO(EDIX東京)には毎年出展
具体的な事例としては、学生が受講するシラバスや教員向けのシステムの他、最近では国立大学法人山形大学様向けに、大学の情報をワンストップで配信する学生ポータルアプリの開発も手がけさせていただきました。
オープンソースコミュニティに貢献する高度な技術力を持つエンジニア集団
編集部
タイムインターメディアさんの現在の社員数とエンジニアのポジションに就いている方の人数はどのようになっていますか?
上田さん
当社は社員と業務委託を合わせて約100名のメンバーが在籍しており、そのうち80名以上がエンジニアとして活躍しています。オープンソースコミュニティで中心的に活動する者や、最先端技術の研究や書籍執筆を行う者など、高い技術力をもったエンジニアが在籍しているのが当社の強みです。
編集部
小宮さんはGoogleのOpen Source Peer Bonus2017年を受賞されたと伺っております。オープンソースのシステムソフトウェア開発は、御社の特徴の1つと思われますがいかがでしょうか?
小宮さん
オープンソースに関しては各社さまざまな取り組みをされているので、特徴と言えるほど自信はないのですが、当社は2000年代初頭からオープンソースを使った開発をしてきました。これは、当時オープンソースがまだそれほど浸透していない時期からの取り組みです。
当社は単にオープンソースを使うだけではなく、コミュニティへの還元を掲げています。開発中に課題や問題点が見つかれば、積極的にフィードバックを行います。また、私を含め一部のメンバーは、プライベートでもオープンソースコミュニティに参加し、活動しています。
多様な経験を持つプログラマー出身エンジニアの活躍
編集部
高い技術力を誇るタイムインターメディアさんのエンジニアですが、驚きの活躍をしているメンバーのエピソードなどがあればぜひ、お聞かせください。
小宮さん
プロのエンジニアとしては未経験でも、プログラマーとしての実績があるメンバーがほとんどです。そのため、毎年新しい驚きがあります。
大学や専門学校でゲームを作っていた人や、独自にウェブサイトを制作していた人など、メンバーのバックグラウンドは多様です。それぞれが何らかの形でプログラミングを楽しんできた経験があるので、「え、そんなことできるの?」と、自分の専門分野以外での新しい発見が楽しいですよ。
編集部
なるほど。それぞれのスキルが集結することで新たな開発のヒントを得たり、お互いを高めるきっかけにもなるのですね。
「今どきの開発」を実践:最新技術の積極導入で高効率な開発環境を実現
編集部
タイムインターメディアさんの組織の特徴や開発に対する考え方についてお聞かせいただけますでしょうか。
小宮さん
メンバーには「今どきの開発をしよう」と常に声をかけています。昔ながらの開発では、手間をかけてルールを決め、運用で対応することが多かったのですが、ここ15年ほどはオープンソースやコミュニティを通じて自動化やツールが提供され、開発に有益なものが一般化されています。
当社は中小規模の四角四面のSIerですが、大手企業のように稟議を通してから開発に着手するのではなく、フットワークを軽くして良いものをどんどん取り入れていこうというカルチャーを大切にしています。
特別目新しいことをしているわけではありませんが、世間一般で評価の高いものは積極的に取り入れて開発効率を向上させ、世の中に便利な開発をしていきたいと考えています。
若手エンジニアの意見を重視した意思決定プロセス
編集部
良いものを積極的に取り入れているとのことですが、現場のエンジニアの意見を取り入れることも多いのでしょうか?
小宮さん
はい、そうですね。上層部だけでなく、プレイヤーである若手エンジニアからも「これを使ってみよう」という提案が上がり、採用されることが多々あります。
具体例を挙げますと、AI開発支援ツール「GitHub Copilot」の導入がありました。Slackの目安箱チャンネルに「Copilotを使っていいですか?」という提案があり、使用を希望する社員がパイロット版を先行導入しました。並行してルールを整備し、実際に使用して便利だと確認できたので予算を割り当て、申請すれば誰でも使える仕組みを作りました。
編集部
若手からの提案が採用につながることが多いようですね。ポジションに関わらず自由に意見を出せる雰囲気が感じられます。
充実したスキルアップ支援:社員の成長に投資する会社の姿勢
編集部
転職を検討しているエンジニア志望の読者にとって、入社後のスキルアップ支援は重要な転職活動のポイントです。タイムインターメディアさんにおける入社後のフォローや支援制度についてご紹介いただけますでしょうか。
小宮さん
スキルアップのための技術書籍については、内容を問わず購入を認めています。購入申請は必要ですが、選書は個人の裁量に任せており、直属の上司も把握していないほどです。
この制度は私が提案したものです。高額な技術書を会社が負担することで、社員の学習意欲を促進し、習得した知識を仕事に活かすことができます。個人のスキルアップが会社の業績向上につながる可能性があれば、積極的に投資すべきという考えからです。
また、技術カンファレンスへの参加費、交通費、宿泊費も会社が負担します。スキルアップや学習に関する経費は、基本的にすべて承認される仕組みになっています。
さらに、システムライフソリューション事業部では、プログラミング言語「Ruby」を使用しているため、「RubyKaigi」という国際カンファレンスに毎年社員を派遣しています。2024年5月に沖縄で開催された際は、5名を派遣し、費用の一部を会社が負担しました。
編集部
タイムインターメディアさんの技術力の高さは、こうした手厚いスキルアップ支援が大きな要因の1つだと言えますね。
知識共有と交流の場:「面白いことをみんなで話そう」がモットーの技術部会
編集部
書籍購入の補助や技術イベントへの参加費用負担の他、スキルアップの観点で支援していることはありますか?
小宮さん
はい、定期的に技術部会を開催しています。若手からベテランまで、気になる技術トピックを紹介したり、最新のトレンドについて議論したりする機会を設けています。例えば、直近ではソフトウェア開発において重要な「ロケール」をテーマに、システムを多言語化する際の考え方などについて話し合いました。
編集部
技術部会に参加するには一定のスキルが必要なのでしょうか。
小宮さん
いいえ、必ずしもスキルは必要ありません。技術部会の難易度は様々で、「面白いことをみんなで話そう」という意味合いが強い勉強会となっています。参加者全員が同じ知識を持っているわけではなく、担当する案件や趣味を通して得られる知識も個人では限界があります。それぞれが少しずつ知識を持ち寄ることで、新しい情報を得たり、より広い視野を持つことができます。
▲技術部会では趣味の話が話題にのぼることも
小宮さん
そのため、技術部会と名付けてはいますが、知識の共有やそれを話のきっかけにして、和気あいあいと交流することが主な目的です。
柔軟な働き方の実現:9割の社員がリモートワーク、個人裁量の勤務形態を導入
編集部
続いて、ワークライフバランスについて伺います。タイムインターメディアさんでは現在、8割から9割の方がリモートワークで勤務されていると伺っております。勤務時間や勤務体系を含めて、具体的な働き方のモデルケースをお聞かせいただけますでしょうか。
上田さん
当社の場合、エンジニアは裁量労働制を採用しているので、勤務時間や勤務形態は個人の裁量に任せ、柔軟性を重視した勤務体系を取っています。
そのため、働き方はエンジニアによって様々です。朝型の社員は朝に集中して仕事をしたり、朝が苦手な社員は10時頃から仕事を始めたりしています。また、子育て中の社員は子供の保育園の送迎に合わせて仕事のスケジュールを調整しているようです。
小宮さん
私は完全に夜型なので、午前11時頃から仕事を始めることが多いです。日中はメンバーとのミーティングに充て、夜は自分の作業に集中することもあります。現在サポートしているチームは残業が少ないので、労働時間を8時間とすると、11時に作業を開始し、1時間の休憩を取って夜8時に作業を終了することが一般的です。
月1回の「GoTo Lunch」:出社日を活用した対面コミュニケーションの促進
編集部
リモートワークが多い組織の場合、社員間のコミュニケーションが課題になると思われます。タイムインターメディアさんではコミュニケーションはどのように取られているのでしょうか。
上田さん
コミュニケーションの一環としてGoTo Lunchというイベントを開催しています。オフィスに出社し、2名以上で一緒にランチに行くと、1人2,000円まで食事補助が出る内容となっており、月1回のペースで開催しています。このイベントは、普段顔を合わせる機会の少ない社員同士が交流できる良い機会となっています。
実は今日がGoTo Lunchの日だったので、普段はリモートワークがメインの小宮さんもランチの企画に参加するために出社しました。
編集部
そうだったんですね!小宮さん、GoTo Lunchには何名で行かれたのですか?
小宮さん
5名のグループでランチに行ったのですが、偶然にも他のグループも同じ店を選んでいて(笑)。結局10名でランチを楽しむことができました。普段会えない同僚とも交流でき、とても有意義な時間を過ごせました。
ツールを活用した円滑なコミュニケーション:SlackとZoomのカジュアルな使用
編集部
GoToランチの他、組織内のコミュニケーションで工夫されていることはありますか?
上田さん
リモートワークを全社的に導入したきっかけの1つはコロナ禍でしたが、それ以前からSlackを使用してテキストベースのコミュニケーションを行っていました。そのため、社員同士のコミュニケーションは円滑に図られていたと感じています。
本格的にリモートワークを取り入れてからは、Zoomを導入し、社内ミーティングだけでなく、お客様との打ち合わせも可能な限りリモートで行うようになりました。
最近では、Slackのハドル機能を気軽に使用しています。エンジニア同士で「ちょっと確認したいことがあるんだけどハドルできる?」というように活用している場面をよく見かけます。管理本部のメンバーも同様に、「今からハドルで話す?」と気軽にコミュニケーションを取っています。
社内の絆を深める多彩なイベント:全社参加の年2回パーティーと自発的なゲーム会
編集部
タイムインターメディアさんは社内イベントも多く開催されていると伺っております。こちらについてもお聞かせいただけますでしょうか。
上田さん
会社としては年に2回、暑気払いと忘年会を開催しています。全社的な社内パーティーとして、会社近くのイタリアンレストランや宴会場を貸し切り、立食式でみんなで食事をしながら交流を深めています。普段はリモートワークが多いため、直接顔を合わせて会話ができる貴重な機会となっています。
また、広報部門が中心となって、忘年会でのクイズ大会や部署対抗のクイズ大会も企画しています。さらに、Slackで参加者を募り、有志が集まって会社でピザなどの軽食を楽しみながら、就業後にゲームイベントを開催することもあります。
編集部
多彩な社内イベントを通して社内の雰囲気が良い方に変わったと感じることはありますか?
上田さん
はい、コミュニケーションが取りやすくなってきたと実感しています。初対面のメンバー同士でも、イベントを通して会話が弾み、顔馴染みが増えることで、日常的なチャットでのやり取りもスムーズになりました。社内の雰囲気が明るくなり、チームワークの向上にも繋がっていると感じています。
経営陣の想い:エンジニアが楽しく働ける会社を目指して
▲上田さんが同僚と北海道に行ったときの1枚。有給休暇が取得しやすいのも同社の特徴
編集部
これまでのお話から、タイムインターメディアさんはエンジニアに寄り添った企業であることが伺えます。人事部の上田さんは会社の経営方針や人材育成について耳にする機会も多いと思います。代表の言葉など、印象に残っているエピソードがあればぜひ、お聞かせください。
上田さん
当社の社長である大矢はエンジニア出身で、幹部層も技術者が多い組織です。そのため、エンジニア目線で物事を考える文化が根付いており、エンジニアが働きやすい環境づくりや制度づくりに積極的に取り組んでいます。
大矢は「どうすれば社員がもっと会社を好きになってくれるだろう」とよく考えています。実際に、私が先日「2024年のタイムインターメディアはどんな会社になっていきますか?」と尋ねたところ、「エンジニアたちにもっと働くことを楽しいと思ってもらえる会社にしたい」という答えが返ってきました。
編集部
エンジニアを志望する人にとって、心に響く素敵なエピソードですね。ありがとうございます。
求める人物像:技術を愛し、楽しめる人材を歓迎
編集部
最後に、タイムインターメディアさんが採用で重視されていることや、求める人物像についてお聞かせください。
小宮さん
当社は明確な採用基準を設けていませんが、実際に採用されたメンバーを見ると、技術が好きで楽しんでいる人が多いと感じます。
仕事において技術を活用して楽しむことを大切にしていますので、プログラミングやシステム開発を楽しめる方と一緒に仕事ができることを望んでいます。
上田さん
先ほど紹介した代表の大矢の言葉からもわかるように、当社はエンジニアを大切にする会社です。また、さまざまなイベントを通して、エンジニア同士が親睦を深めながら成長できる環境を整えています。当社の制度を活用して自己成長を目指したいと考える方にぜひ参加していただきたいと思います。
編集部
タイムインターメディアさんが、社員の皆様を大切にしている組織であることがよくわかるインタビューとなりました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社タイムインターメディア:https://www.timedia.co.jp/
採用ページ:https://www.timedia.co.jp/recruit/