ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、電力システムやオートメーション技術のリーディングカンパニーで、世界100カ国以上に拠点を持つABB株式会社にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同社で働く魅力をご紹介します。
ABBの特徴は、さまざまなバックグラウンドを持つエンジニアが集まり、それぞれの強みを活かしながら世界基準の技術でサービス提供に取り組んでいることです。また、入社2週間で海外研修に参加できるなど、早期からグローバルな経験を積める環境が整っていることや、スピーディーかつ社員一人ひとりが裁量を持ち挑戦できる組織風土も魅力です。
今回はエレクトリフィケーション事業本部でマネージャー職として活躍する佐藤さんにインタビューを行い、世界基準のエンジニアとして成長できる機会を中心にお話を聞かせていただきました。
ABBのエンジニア職:多様性のある組織で個々の強みを活かす
▲インタビューにご対応いただいた佐藤さん。エレクトリフィケーション事業本部のマネージャーとして国内・海外で活躍している
編集部
ABB株式会社はロボティクス事業をはじめとして高い技術力が世界的に知られていますが、それを支えるエンジニアの特徴を教えてください。
佐藤さん
エンジニアと一口に言っても、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。その特徴は、多様なメンバーがそれぞれの強みを活かし合いながら業務を進められることです。
私が所属するエレクトリフィケーション事業本部だけをみても、競合他社の電機メーカーから来た人もいれば、コンサルタント経験者、また工事会社やエンジニアリング会社出身の方もいます。ABBでは型にはめずにそれぞれの個性を尊重する文化があるため、協調し、ときには刺激を与え合いながら業務に取り組んでいるんです。
編集部
ちなみに、佐藤さんご自身はどのような経歴を持っていらっしゃるのでしょうか。
佐藤さん
私は日系の石油精製関係の会社の出身で、6年前にエンジニアとしてABBに転職しました。前職では設備の計装電気保全を担当する傍ら、信頼性コーディネーターという、さまざまな部署の要望を取りまとめて製油所全体の信頼性を向上させる職務を担当していました。
現在所属するエレクトリフィケーション事業本部では、発電所からコンセントまで、非常に幅広い電気関連機器の販売およびサポートを手掛けています。あらゆる機器の開発のベースとなる「電気」を取り扱っていることに加え、昨今脱炭素の流れから電気消費が増加していることもあり、今後も継続した成長が見込まれる事業です。
編集部
前職の経歴が今の仕事に活きていると感じる瞬間はありますか?
佐藤さん
ABBでもプロジェクトの遂行には部署全体の意見の取りまとめが必要な場面が多くあるため、前職で培ったコーディネーションのスキルが現在の仕事にも非常に役立っているなと感じます。技術を突き詰めるだけでなく、コーディネート力など多様なスキルを活かして業務を進められるのは、多様性を尊重するABBだからこその魅力ですね。
世界基準の最先端技術に触れ、確かなやりがいと成長を得られる
▲エンジニアの現場での勤務の様子
編集部
エンジニアの視点から、ABBならではの魅力はどのようなところにあると思われますか?
佐藤さん
成長とやりがいを感じられる環境であることは、自信を持って断言できます。電力技術とオートメーション技術の中枢を担う世界的なリーディングカンパニーとして、グローバルな最先端技術を学べる環境は他にはない魅力といえるでしょう。
編集部
グローバル基準で技術面に強みがあるという点について、詳しく教えていただきたいです。
佐藤さん
例えば私のチームが担当している、産業用の配電盤「スイッチギア」と呼ばれる機器は、日本の他企業の製品と比べて2/3程度のサイズで、非常に競争力のある価格で提供できています。特にサイズは、日本のお客様にはみんなに驚かれるくらいのコンパクトさです。
その背景には、海外で蓄積された高電圧配電の技術とノウハウがあります。近年、日本では産業用施設や大規模な商業施設などを中心に高圧配電が広がってきています。高圧で配電することで所内の電流を抑えることができ、細く軽量な配線での施工や配電ロスの削減が可能となり、コストの削減が実現できるためです。
ABBのスイッチギアには世界中で培われた経験と技術が凝縮されており、特に特別高圧(7,000Vを超える電圧帯)に関しては優位性があります。
加えて、スイッチギアに搭載される保護継電器にも世界の最新技術が搭載され、ABBのデジタルソリューションの一環として提供されています。このソリューションは産業用受配電システム向けに最適化されていまして、あらゆる配電ネットワークの保護や制御、監視が可能なマルチリレーとして、高い信頼性と効率を実現しています。これは国内企業にはない、我々ならではの技術的強みといえます。
また、日本にはない発想で積み上げられたノウハウを学べるのもエンジニアとして非常に刺激的です。ヨーロッパと日本では設計思想が根本から異なっています。ミスのない機器設計を目指す日本に対して、ヨーロッパでは世界中で使用されることを前提に万一の事故も想定した安全性に重点が置かれているため、安全性の担保に関する洗練された技術を学ぶことができます。
グローバルな環境:海外で直接学ぶのが“当たり前”の風土
編集部
御社はスイス本社ほか世界中に拠点があるかと思いますが、海外での業務や研修を受ける機会も多いのでしょうか?
佐藤さん
はい。エンジニアが海外に行く機会は主に2つあって、1つ目が入社後すぐに行うトレーニング、2つ目が工場での製品試験です。
まず1つ目については、トレーニングセンターのハブがあるシンガポールや製造拠点の中国、その他ノルウェー、ニュージーランド、イタリア、スイス、ドイツ、チェコなど連携している世界中の拠点でトレーニングが受けられます。
ABBでは職種や入社年次にかかわらず「海外で学ぶことが当たり前」という文化が浸透しているため、エンジニアだけが対象ではないですし、入社してすぐに海外で研修を受けるのも通常のことです。また、それ以降も年に複数回海外の工場に行って研修を受ける機会があります。
2つ目の製品試験は、ABBの現在の主力製造拠点である中国で実施します。製品を日本に輸入する前に現地で試験を行うのですが、若手エンジニアがその試験に立ち会うことで、製造工程や製品構造についての理解を深めています。
海外でのトレーニングで理論を学び、製品試験の場で実践的な知識を得るこの体制がエンジニアの成長を支えています。
編集部
佐藤さんが印象的に残っている海外での経験を教えてください。
佐藤さん
入社後はエンジニアとしてUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)に関わっていたのですが、世界的なビッグイベントに弊社の装置を大量に納めることになったので、そのプロジェクトがとても印象に残っています。
このときは24時間の監視システムを立ち上げ、イベントの運営側とシフトなども調整しながら正常に稼働させていきました。また、作業にあたるエンジニアは各国から集まっているので、国民性を考慮して対応する、日本のクライアントとの会話を翻訳するといった作業もこなしながらイベントの成功に貢献できたのは、ものすごく良い経験になりましたね。
会社に感謝しているのは、イベントの開催前、入社後2週間の段階でスイスのUPS製造工場に出張に行かせてもらったことです。拙い英語で現地のエンジニアとやり取りをした経験は、イベントの現場でも役に立ちましたね。
前職でも海外出張に行った経験はありましたが、年に1回だけという、いわゆる“ご褒美”的な位置づけでした。ABBでは「あなたが担当なんだから、あなたに任せる」と入社間もない私を海外出張に送り出してくれたので、責任感とともに大きなモチベーションとなりました。
社内に多国籍のメンバーが在籍。英語力も鍛えられる
▲オフィスに飾られた品々。ロボティクスを含め多分野に業務展開していることが伝わってくる
編集部
社内に外国籍の方はいらっしゃいますか?
佐藤さん
はい、たくさんいます。私のチームは、正社員と応援で来てくれているメンバーを合わせた14人の内、6人が外国籍メンバーです。
アジアパシフィックチームとのつながりで日本に興味を持って応募してくれるケースが多いため、出身国はマレーシア3人、フィリピン1人、ベトナム1人、中国1人とアジア圏中心となっています。
編集部
外国籍メンバーとのコミュニケーションは基本的に英語を使用されていますか?
佐藤さん
日本語や英語の習熟度は人によって異なるためケースバイケースですね。エンジニアで特徴的なのが、言語でのコミュニケーションが十分できない場合でも、技術を共通語として会話ができることです。技術に関する会話を取っ掛かりにコミュニケーションを取る内に、英語の力も自然と伸ばしていける環境があります。
編集部
海外の方とのやり取りも多いと思いますが、入社時点でネイティブレベルでの高い英語力はそこまで必要ないということでしょうか。
佐藤さん
その通りです。入社時点での英語力よりも、むしろ英語を学びたいという意志や新しいことを学ぶ意欲(ラーニングアジリティ)があることを重要視しています。
カルチャー:オープンでフラットなコミュニケーションが浸透
編集部
ABBならではの雰囲気や特徴的なカルチャーはありますか?
佐藤さん
グローバルな環境をベースに、オープンでフラットなコミュニケーション文化が根付いています。エリアマネージャーやグローバルマネージャーなど高い肩書きを持つメンバーとも非常にフラットにコミュニケーションでき、問題が起こった場合にもすぐに相談してグローバルなサポートを受けられます。
また全体で600人超という大規模な組織でありながら、スピーディーでボトムアップな組織風土があるのも特徴的です。大きな仕組みやバックアップ体制のもとで、社員一人ひとりが裁量を大きく持ち、安心して挑戦できるという、大企業とベンチャーの「いいとこどり」な環境があります。
編集部
そういったカルチャーを体感したエピソードがあれば教えてください。
佐藤さん
オープンなカルチャーに関しては入社前から強く感じており、それが私が入社した一番の理由となっています。というのも、私の面接を担当した人事担当から選考段階ではっきりと「うちの会社は合わないと思う」と伝えられたんです。通常採用時点では候補者に伝えないようなことをストレートに言ってくれたオープンでフェアな文化に魅力を感じ、入社に至りました。
今でも、例えば部署間で問題が発生したときにはフラットに意見を言い合うなど、採用時に感じたABBの社風の印象は変わっていません。私自身もその心地よさを感じながら働いています。
逆にいうと困ったことがあっても自分で抱え込んでしまったり、積極的に発言できなかったりする方はやや苦労するかもしれません。問題が起きた際なども率直に意見を言い合える文化なので、遠慮なくspeak up(自分の意見をはっきり話す)できる人の方がフィットすると思います。
フレックスタイムを導入。個人の裁量に任せた柔軟な働き方ができる
▲本社オフィスのロビースペース
編集部
働き方に関しても、特徴的なことがあれば教えてください。
佐藤さん
当社では成果を重視し、個人が大きな裁量を持ち働ける環境があります。具体的にはフレックスタイム制を導入し、細かな時間管理をすることなく柔軟に働いています。
もちろんマネージャーの立場からオーバーワークになっていないかの管理はしますが、それ以外の部分はメンバーそれぞれが自己管理しながら働ける環境があるのが魅力です。
編集部
基本的にオフィスに出社して働く形になるのでしょうか?
佐藤さん
私のチームに関していうと、導入企業へのフォローやメンテナンス、新しいデータセンターや工場を建設した際の試運転対応のために、サービスエンジニアは現場に出向く機会が多くなっています。私自身も現場メンバーとのコミュニケーションを目的に現場に出向くことが多く、全体の7割くらいは国内・海外に出張しています。
マネージャーになった当初はリモート中心に運営していましたが、メンバー間の関係構築に支障を感じたこと、メンバーからも「現場に来てほしい」という声が多く挙がったことから、対面コミュニケーションの大切さを実感しました。今は現場の生の声を聞いたり顔を見て話したりすることで、チームの関係性の向上につながっています。
メッセージ:グローバルな環境への挑戦意欲を持つ方を歓迎
編集部
最後に、ABBでのキャリアに興味を持った読者の方に向けてメッセージをお願いします。
佐藤さん
グローバルにチャレンジできる環境のもと、やりがいと成長を自信をもって保証します。意欲はあるのに今の環境では発揮できないと感じている方は、ぜひABBでの挑戦を検討してください。
当社では若い世代のエンジニアも多数活躍しています。年齢に関わらずグローバルな環境で自己成長を目指したい方をお待ちしています。
編集部
佐藤さん、本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました!
編集後記
この記事のまとめ
事業の特徴 |
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グローバル環境 |
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働き方の特徴 |
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組織文化 |
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キャリア形成 |
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求める人物像 |
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ABB株式会社の基本情報
住所 | 東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower 22F |
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事業内容 | ・エレクトリフィケーション事業 ・プロセスオートメーション事業 ・ロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業 ・モーション事業 |
設立 | 1960年6月 |
働き方 | フレックスタイム |
公式ページ | https://new.abb.com/jp |
採用ページ | https://careers.abb/global/en/ graduates-and-entry-level_landing-japanese |
募集職種 | ・エンジニア ・セールス |