エンジニアの成長を後押しし、グローバルに事業を展開しながら成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は、自動化ロボットシステムパッケージやロボットを活用した教育サービスを展開している株式会社アフレルにお話を伺いました。
ロボットを活用したサービスを展開する株式会社アフレル
株式会社アフレルは、20年以上、ロボットを活用した教育サービスを展開しています。企業向けに新人エンジニアのシステム開発体験研修などを提供しているだけでなく、大学や高等専門学校などの教育機関、民間スクール事業者にもロボットと先端技術を組み合わせた教育支援を続けています。
また、近年力を入れているのが自動化ロボットシステムパッケージ事業です。現場作業の一部の自動化を検討している企業に対し、オーダーメイドのサービスではなく、自動化ロボットシステムをパッケージ化して展開しています。パッケージ化することで、ロボットによる自動化導入に壁を感じている企業の心理的なハードルをなくしているのです。
会社名 | 株式会社アフレル |
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住所 | 【本社】 福井県福井市中央3丁目5-15 フロンティア福井 5F 【東京支社】 東京都中央区日本橋蛎殻町1-7-9 TQ茅場町7F 【大阪事業所】 大阪府大阪市淀川区西中島3-7-8 NLC新大阪17号館701 |
事業内容 | ロボットを活用した教育サービス、自動化ロボットシステムパッケージなど |
設立 | 2006年2月22日 |
公式ページ | https://afrel.co.jp/ |
同社には先端技術を用いた教育サービスを展開してきた歴史があるため、優れたエンジニアを育てるノウハウが蓄積されています。また、ハード・ソフトともに経験のあるエンジニアが在籍しているため、お互いの知見を共有することで、いわば社内で「リスキリング」ができることも特徴です。
同社でのエンジニアの働き方やインターン生の活躍ぶりなどについて、経営戦略室事業創造・連携責任者の谷口花菜子さんにお話を伺いました。
製造現場の業務の一部自動化を実現するソリューションを提供
▲アフレルでは、協働ロボットのロボットソリューションパッケージ提供に力を入れている
編集部
初めに、アフレルさんの事業内容について伺わせてください。
谷口さん
アフレルは20年以上、ロボットやAIをはじめとする先端技術を用いたデジタル人材の育成サービスを展開しています。企業のエンジニア向け研修サービスなどを展開しているだけでなく、高等専門学校や大学などの高等教育機関に対しても教育の手を広げています。
もちろん、今もこれらのサービスは継続しているのですが、今最も力を入れている事業が協働ロボットのロボットソリューションパッケージの提供です。
生産現場や製造工場などの一部工程を自動化するために、パッケージを導入していただいて、提携先企業の自動化や省力化といった点に貢献していくことを事業の目的としています。
編集部
「協働」とお話しいただきましたが、アフレルさんが目指していくのは業務の完全自動化ということではなく、人とロボットが協働していく姿ということでしょうか?
谷口さん
おっしゃる通り、私たちはロボットによる生産ラインの全行程や全業務の完全自動化というのは目指していません。製造現場の完全自動化、完全無人化を目指すということになると、生産ラインを大きく変えなければなりませんので企業にとってはハードルがかなり高くなってしまいます。
ですので、アフレルのサービスは「今の現場環境をできるだけ変えずに一部を自動化できる」というのがポイントだといえるでしょう。
編集部
実際には、どのように製造現場の一部自動化を実現しているのでしょうか?
谷口さん
私たちが提供しているロボットには、ロボットアームや搬送ロボットなどがあります。ロボットアームの場合、例えばピッキングや仕分け作業といった業務を担うようなケースがあります。
また搬送ロボットの場合は、国内メガネフレーム製造最大手の企業と導入実証実験を実施しています。今まで作業員の方が物を運んでいたところを自動化することにより、検品作業の仕事に集中できています。
また、ある病院では、検査技師の方が検査した検体を運ぶ業務も、搬送ロボットが担っています。搬送業務を自動化することで、より医療の専門知識が必要な業務に集中できるようになります。
編集部
専門性が必要であったり、人が得意な業務と、ロボットが得意とする業務で役割分担をするイメージですね。
中堅企業に選んでもらうため自動化のサービスをパッケージで提供
編集部
アフレルさんが提供されているのは「ソリューションパッケージ」ということですが、どういった意味で「パッケージ」という言葉を使われているのか伺わせてください。
谷口さん
ロボットを活用した業務自動化サービスを展開されている企業は数多くあると思いますが、そのほとんどがお客様の要望を伺ったうえでオーダーメイドのサービスを展開しています。しかし、アフレルではパッケージを開発して提供しているのです。
私たちは、まだ自動化に踏み切れていない中堅の規模の企業様にこそ自動化を進めていただきたいと考えています。
大企業であれば大きなコストをかけられますし、システム開発のノウハウをお持ちであるケースが多いためオーダーメイドでのロボット導入でもそこまでハードルは高くないと思います。しかし、中堅企業となるとそれほど大きなコストをかけられませんし、ロボットによる自動化のイメージがつきにくいという場合が多いです。
パッケージ化することでコストも下げられますし、すでに完成されたロボットシステムなので導入イメージが想像しやすくなります。自動化が進んでいない企業は、多大なコストと長期の開発期間がかかるオーダーメイドロボットシステムを導入するより、人が動いた方が生産性が高いという現場もあると思いますので、できるだけ自動化に当たってのハードルを下げて提供したいと考えています。
編集部
企業様によってはシステム開発者がいないというケースも考えられますが、その点についてはどのように対応されていらっしゃるでしょうか?
谷口さん
私たちのサービスのコンセプトは「SIer(※)がいらない」です。
(※)システム開発の全工程を受託する企業のこと。
パッケージには、現場の方への講習会の実施やロボットの扱い方に関する動画資料も豊富に用意しています。また、アフレルはもともとロボットを活用した教育の知見を多くもっているため、提供先企業の社員のリテラシー醸成に向けた教育支援も可能です。
編集部
徹底して中堅企業様に寄り添ったサービスとなっているのですね。
機械系のエンジニアがソフトウェアのスキルも身に付けられる
編集部
アフレルさんに入社することで、エンジニアはどんなスキルを得られるでしょうか?
谷口さん
現在、機械系のエンジニアはリスキリングが求められていますが、アフレルに入社することで仕事をしながらソフトウェアの知識を身に付けることができます。
例えば自動車で考えたときに、自動車にもコンピューター制御の領域が増えてきています。ですので、機械系のエンジニアでもソフトを想定した設計が必要であったり、逆にソフトウェアの開発に機械系のエンジニアが入ることもあります。
弊社にはソフトウェアのエンジニアも在籍していますので、そういった方の知見にも触れながらエンジニアとしてキャリアアップできる環境があるのです。
編集部
エンジニアさんのなかには外部のスクールに通って学ばれる例もあると思いますが、アフレルさんに在籍すれば働きながらスキルアップができるということですね。
谷口さん
事業内容について説明した際もお話しさせていただきましたが、私たちはこれまで数多くのソフトウェア系のエンジニア研修も担ってきました。ですので、社内のエンジニア教育も高いレベルで実施できます。
アフレルのエンジニアにはこれまで培ってきた機械系のエンジニアとしてのスキルを生かしながら、ソフトウェアの領域も習得して活躍いただきたいなと考えています。
編集部
アフレルさんで働くことでエンジニアとしての可能性が広がっていくのですね。
福井本社だけでなく東京にもラボが。メンバーで壁打ちしながらサービスを作る
編集部
アフレルさんのエンジニアさんの働き方について伺わせてください。
谷口さん
アフレルのエンジニアは基本的にリモートワークは少なく、実際に顔を合わせながら働くという機会が多いと思います。また、福井にある本社だけでなく、東京にも開発のためのラボがありますし、各拠点で自宅とラボなど場所を変えながら働くことで気持ちも切り替えながら働ける環境にあるといえるでしょう。
現状、東京と福井どちらにもエンジニアが在籍しているという状況です。
編集部
実際に顔を合わせながら業務をすることで生まれるメリットは何でしょうか?
谷口さん
顔を合わせながら業務を進めることで、思考が散らかってしまうような事態を防ぐことができると思います。
アフレルの社員にはサービス提供においてターゲットを誰にするか、どういう活動を提供するのかなど企画から携わっていただいています。自分でこだわりを持って組み立てることができるのですが、やはり自分だけでは行き詰まることも多いです。
行き詰まったときに、メンバーと壁打ちができるというのはオフラインで業務に当たるメリットだといえるのではないでしょうか。
プログラミングトイ「toio」を世界に普及するべく活動を進める
▲パナマで開催されたワールドロボットオリンピアードで実施されたプログラミングトイ「toio」の体験会。パナマ大統領夫人も参加した
編集部
アフレルさんの海外との関わりについて伺わせてください。
谷口さん
まずは産業ロボットの領域において、ロボット海外メーカーと取引させていただいております。自動化という分野において、グローバルな視点を持って活動できるというのがアフレルで働く魅力の一つです。
また、プレイステーションなどを作っているソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)様が「toio」というプログラミングトイを展開されているのですが、toioを国内や世界に普及させていく活動にも取り組んでいます。
toioはかなりシンプルな仕様になっていますが、ロボットとしての性能が高いです。子ども向けにちょっとしたことでは壊れないようになっていますし、楽しみながらロボットプログラミングが学べます。
編集部
実際にどのような活動を実施されていらっしゃるのでしょうか?
谷口さん
世界の国々が参加している「ワールドロボットオリンピアード(WRO)」というロボットコンテストがあるのですが、弊社代表の小林(靖英さん)はWROの国際理事を務めております。小林の提案で、WROにてtoioを使ったプレゼンテーションを実施しました。
2023年11月にはパナマで国際大会が開催され、会場では各国でWROを主催している教育者や企業の方などに集まっていただき、toioの体験会も開催されました。体験会にはパナマの大統領夫人も参加されたそうです。
これらの働きかけによって、日本の企業が作ったもので世界標準の競技が実施されています。toioのプロジェクトについては、小林とSIEの開発者、そして弊社のインターンシップに参加している学生さんの3人が中心的な役割を担いました。
編集部
世界的な活動にインターン生が関わっていることが驚きです!
選考型のインターンシップを実施、国際プロジェクトに関わるインターン生も
▲toioの普及プロジェクトでインターン生が中心的な役割を担った
編集部
さきほどのプロジェクトに関わったインターン生について詳しく伺わせてください。
谷口さん
プロジェクトに関わったインターン生は東京国際効果専門職大学の学生さんです。とても優秀で、代表ともスムーズにコミュニケーションが取れていました。
彼が一番優れていたのは、解釈力です。我々が作りたいものや要求に対して自分で解釈して、その解釈が正しいのかを代表とディスカッションしていました。また、開発についても一連の作業ができましたね。
インターン生の場合は、会社側である程度情報を整えてあげないと解釈できないというケースが一般的だと思うのですが、正しい解釈のために積極的にコミュニケーションが取れるという点はすばらしいと感じました。
編集部
そんな優秀な人材も集まるインターンシップですが、インターン生については積極的に受け入れていらっしゃるのでしょうか?
谷口さん
アフレルではこれまで、学生の夏休み期間を活用して2~3カ月の長期インターンシップを実施してきました。そして、2022年から学生の間から長期間、企業で社員と同じように活動していただけるインターンシップ採用を開始しました。
当社でインターンシップとして仕事をしていただくにあたって、選考を実施しています。インターン希望者には企画を当社のメンバーにプレゼンし、その内容やレベルによって採用しています。今後も、選考型のインターンシップは積極的に継続して実施していく予定です。
編集部
アフレルさんのインターンシップはスキルがあれば活躍できるフィールドも広いと感じました。
求めるのは社会に影響を与えたいという志を持った人材
編集部
最後に、アフレルさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
谷口さん
アフレルは、社会に対して影響を与えたい、社会でこんなことを実現したいという視点を持った方を歓迎します。今困っている人やこれからの社会が必要とするサービスを技術で支えるという点にやりがいを感じる方と一緒に働きたいですね。
また、弊社にはエンジニアとしてスキルアップができる環境があります。例えば、機械系や電気系の専門性を持っていて、今後のためにソフトウェア開発もできるような人材になりたいという方は、ぜひ弊社にご応募ください。
編集部
自分のスキルを向上させ、そのスキルを持って社会に貢献したいという思いを持った方にとって魅力あふれる職場だと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社アフレル:https://afrel.co.jp/
採用ページ:https://afrel.co.jp/company/recruit/