社員の多様な働き方を実現する環境整備に注力する企業を特集するこの企画。今回は学術研究の発展をITサービスでサポートしている株式会社アトラスにお話を伺いました。同社では、研究者のニーズに応える革新的なソリューションを提供しながら、社員一人ひとりのライフスタイルに合わせた柔軟な勤務体制を整えています。
「研究者が研究に専念できる世界へ」:株式会社アトラスのビジョンとITサービス
株式会社アトラスは、「研究者が研究に専念できる世界へ」をビジョンに掲げ、学術団体向けに独自のITサービスを提供する企業です。学術研究の発展を最大化するため、学会活動に特化したITサービスを通じて研究者の業務効率化を支援しています。
株式会社アトラスは2015年からリモートワークを導入しており、働きやすい環境づくりに注力している点も特徴です。遠隔地からの勤務や育休明けの時短勤務など、社員の多様なライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を可能にする体制を整えています。
会社名 | 株式会社アトラス |
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住所 | 東京都港区南青山1丁目15-9第45興和ビル9F |
事業内容 | ・学術大会支援サービス ・会員管理支援サービス ・ジャーナル支援サービス ・ORCID関連サービス |
設立 | 1986年8月 |
公式ページ | https://www.atlas.jp/ |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
今回は社内の各部署に所属する堀田さん、中村さん、荒木さん、山下さんに、株式会社アトラスの事業の意義やリモートワークでの働き方、女性活躍の状況などについて詳しくお話を伺いました。
株式会社アトラスの独自ITサービス:学会活動の効率化で研究者を支援
▲学術研究をITサービスでサポートするアトラスさんの事業イメージ
編集部
まずは読者の方に向けて、アトラスさんの事業内容を簡単にご説明ください。
堀田さん
アトラスでは「研究者が研究に専念できる世界へ」をビジョンに掲げ、学術団体向けに独自のITサービスの開発・提供を行っています。学術研究は社会の発展に欠かせないものであり、我々の暮らしの多くの部分は学術研究の発展の上に成り立っています。しかし研究者は本業である研究活動の他に多くの業務を抱えており、それが研究活動の妨げになっているのが実情です。
研究以外の業務には様々なものがありますが、アトラスではその中でも「学会活動」に付随する事務作業に焦点を当て、業務効率化を図るITサービスを展開しています。学術の発展、ひいては社会の発展に貢献していくことがアトラスの事業目的です。
編集部
具体的にアトラスさんではどのようなサービスを提供されているのでしょうか?
堀田さん
アトラスでは「学術大会の開催」「ジャーナルの発行」「会員管理」に関する3つのサービスを提供し、学会活動に伴う管理業務や事務作業の負担軽減を図っています。加えて、学術インフラとして研究者に活用される研究者識別子ORCIDを支援する活動として、ORCID関連サービスも提供しています。
例えば「会員管理」について説明すると、学会は会員となった研究者から年会費を徴収することで成り立っている団体です。そのため学会運営では会員情報の管理と年会費の支払い管理が必要です。しかし、これをアナログで管理している学会も多く、支払いの有無を手作業で確認するなど、かなりの手間がかかっています。
この効率化のために提供しているのが、会員管理サービス『SMOOSY』です。『SMOOSY』を活用することで、クラウド上での名簿管理や、年会費の請求・支払い管理ができるようになります。
『SMOOSY』の他に、学術大会の開催を支援するサービス『Confit』、研究者の論文投稿から編集、公開までジャーナルに関する業務をサポートするサービスをそれぞれパッケージとして展開しています。将来的にはサービス間の連携も進め、さらに利便性を高めていくことも検討しています。
90%リモートワークの実現:株式会社アトラスの先進的な働き方改革
▲リモートワーク継続を見越し、縮小移転したオフィス
編集部
アトラスさんの働き方についてお伺いします。現在はリモートワークを主体とした働き方になっているのでしょうか?
中村さん
はい。アトラスでは出社率が約10%と、90%近くがリモートワークの働き方になっています。コロナ禍に先駆けて2015年からテレワーク制度を導入していたのも、アトラスならではの特徴ですね。
編集部
かなり計画的にリモートワークの導入を進められていたんですね。リモートワークの導入にはどのようなきっかけがあったのですか?
中村さん
それまでにも家庭の事情で都内から離れなければならず、やむを得ずアトラスを退職するケースというのがありました。働く場所が遠くなることで退職につながってしまうのはもったいないということで、まずは試行運用という形でシステム開発グループの一部メンバーからリモートワークを導入しました。そこから徐々に適用範囲を広げていき、コロナ禍を契機として一気に全社的なリモートワーク体制が進んだという経緯があります。
そして2021年3月には、それまでオフィスを構えていた神保町から今の乃木坂へ、オフィスを縮小移転しました。コロナ禍が収束した現在も、リモートワークを主体とした働き方を続けています。
編集部
なるほど。場所にとらわれずアトラスさんで活躍し続けてもらえる環境を整備するために、世間に先駆けてリモートワークを導入していらっしゃったんですね。
柔軟な勤務体制:個人裁量のリモートワークと遠隔地勤務の実現
編集部
アトラスさんでの現在のリモートワークの運用状況を教えてください。出社や在宅勤務のルールなどはあるのでしょうか。
堀田さん
アトラスでは対面コミュニケーションの機会も大切にしています。そのためフルリモートにはせず、全社共通ルールとして2か月に一度の出社を定めています。
しかしそれ以外の運用状況は部署によってさまざまです。システム開発グループのエンジニアやデザイナーメンバーは月に1回程度の出社ですが、セールスや導入コンサルタントなどお客様とのやり取りが多いメンバーはより頻繁に出社しています。部署内でも共通のルールを定めているわけではなく、個々の仕事の状況と裁量に任せています。
荒木さん
私は現在四国に居住し遠隔地勤務をしているため、2か月に一度の出社日以外は完全にリモートワークです。出社デーでは皆で集まって議論したり、1対1のミーティングをしたりと、顔を合わせるからこそできるイベントを実施しています。
堀田さん
荒木の他にもう1名、遠隔地勤務をしているメンバーがいます。一定の条件を満たせば、遠隔地でも働けるような環境を整えています。
リモートワークを支えるツール活用:グループ朝礼、Slack、バーチャルオフィス
編集部
リモートワーク主体の働き方において、アトラスさんで工夫されている点や取り入れている制度があれば教えてください。
山下さん
リモートワーク導入前からSlackでのコミュニケーションや、毎朝のグループ朝礼を実施していましたが、これらの取り組みがリモートワーク下でも非常に効果的だと感じています。
Slackでは話し合いや議論、ちょっとした質問など、テキストコミュニケーションが活発に行われています。絵文字のスタンプなどで反応も見えるので、在宅勤務でもコミュニケーションがスムーズに取れる環境が整っています。
Slackには雑談チャンネルもあり、旅行のお土産や昼食の話題など、日常的な会話も活発です。同時に、仕事に役立つ記事なども共有されているので、プライベートな話題から業務関連の情報まで、幅広い交流の場となっています。
▲何気ない日常風景も多く発信されているというアトラスさんのSlack
▲ほっこりするような情報発進も気軽にできるのがアトラスさんのSlackの魅力
山下さん
また毎朝のグループ朝礼では、各自がその日の業務予定を共有しています。これにより、チーム全体の業務状況が可視化され、必要に応じて適切なサポートを提供できる体制が整っています。
中村さん
朝礼もSlackでのコミュニケーションも、リモートワーク以前から実施していたものです。これらの取り組みがオンラインでも継続できており、結果的にリモート環境下でのコミュニケーション促進につながっているのが、アトラスらしい特徴だと考えています。
リモートワークに伴い新たに導入したのは、バーチャルオフィスツールです。グループ朝礼もこのツールを使って実施しています。社員の在席状況や、コミュニケーション可能な状態かどうかをツールで確認できるようにしています。このような最新のツールを活用しながら、従来の働き方をリモートワーク環境でも継続・発展させていきたいと考えています。
編集部
荒木さんはほぼフルリモートの形で働かれていますが、これらの施策があることで働きやすくなっていると実感されることはありますか?
荒木さん
はい、非常に実感しています。何か困ったことがあってもSlackで質問すると、皆さんが丁寧に回答してくださるので大変助かっています。オフィスで働いているときと変わらず、効率的に業務を遂行できていると感じます。
リモートワーク下の交流促進策:全社的な「雑談タイム」の導入
編集部
その他にも、アトラスさんがリモートワーク下の社員間のコミュニケーション施策で取り入れていることがあれば教えてください。
堀田さん
アトラスでは週に一度、15分の「雑談タイム」を設けています。リモートワークだと業務上のコミュニケーションは取れても、どうしても気軽な雑談が減ってしまう傾向があります。この雑談タイムでは、仕事以外の話題も含めて自由に会話をすることで、社員同士の気軽なコミュニケーションや相互理解を深めています。
アトラスではチームで仕事を進める意識が強く、チーム内での情報共有やコミュニケーションは活発に行われています。しかし、リモートワークになると、業務上関わりの少ない他のチームのメンバーとのつながりが希薄になりがちです。雑談タイムは部署の垣根なく行っているため、全社的な交流機会になっています。これにより、普段接点の少ない社員同士でも交流を図ることができ、会社全体の一体感を醸成しています。
ダイバーシティの実践:60%の女性比率と女性エンジニアの活躍
編集部
アトラスさんの女性活躍の状況についてお伺いします。現在の組織の男女比率はどのようになっていますか?
堀田さん
現在は女性が約60%、男性が約40%となっています。一般的にはエンジニアは男性が多い傾向がありますが、アトラスではエンジニアの女性比率も高くなっているのが特徴です。
編集部
女性エンジニアを積極的に採用している背景などがあるのでしょうか。
堀田さん
いえ。特に性別は意識しておらず、自然と女性が多くなっているというのが現状です。逆に言うと、男性だから、女性だからということで区別することなくフラットな環境があるのがアトラスのカルチャ―といえるのかもしれません。
育休復帰支援:キャリア継続を可能にする手厚いサポート体制
編集部
アトラスさんには、出産や育児など女性ならではのライフスタイルの変化をサポートする制度はありますか?
堀田さん
子育て中のメンバーは時短勤務を利用している者が多いですね。山下がちょうど今年育休から復帰して、まさに時短勤務をしています。復帰してみて、働き方などはどう感じますか?
山下さん
私は元々の勤務時間から1時間早めて、時短勤務をさせていただいています。まず、リモートワークで在宅で仕事ができているのが大変助かっています。お昼休みに夕飯の準備をしたり、家事をまとめてできたりと、自宅にいるからこそ時間を有効に使えていると感じます。
またアトラスでは中抜けや遅刻早退など、かなり時間の融通を利かせていただいているのがありがたいですね。急に子どものお迎えに行かなければならなくなったときなども相談すると柔軟に対応してもらえるので助かっています。
編集部
育休からの復帰の際に不安を感じられる方も多いと思いますが、その点はいかがでしたでしょうか。
山下さん
確かに復帰前は、自分がどの程度業務を覚えているのか不安もありました。しかしアトラスでは復帰前に働き方や希望の部署などの意思を確認する面談があったり、復帰後も常に分からないことを聞けるサポート体制があったりしたので、不安を解消しながら進めることができました。
また復帰して時短勤務になる際に、ただ業務量を減らすだけでなく、徐々に通常勤務に近づけていくためのスケジュールも立てていただきました。それに沿って業務を進めているので、業務量は減っていますが、育休前と変わらず仕事に関わることができていると感じています。
編集部
働き方が変化してもキャリアを継続できる環境があるのは素晴らしいですね。アトラスさんでは、一人ひとりの希望に寄り添って働く環境を整備しているんだなと感じました。
開発の質を高める基盤:全社で共有するビジョンと方向性
編集部
アトラスさんでは「研究者が研究に専念できる世界へ」という明確なビジョンを掲げてサービスを展開されていますが、このビジョンや事業への思いを組織全体に浸透させるために行っている具体的な取り組みはありますか?
堀田さん
2022年4月から組織デザインチームが社内に新たに発足し、組織文化の醸成、人材開発、情報発信を行っています。このチームを中心に、会社のビジョンや方向性を共有する機会を意識的に設けています。
中村さん
組織デザインチームが中心となって、事業の意義や会社の方向性を共有し話し合う機会を創出しています。正社員だけでなく、協力会社の方々も含めて会社の向かう方向性を共有できていると考えています。「研究者のために」というビジョンを全員が十分に理解した上で、同じ方向に向かってより良い開発を行える雰囲気が醸成されていると感じています。
ポジティブな組織文化:和やかな雰囲気で業務に取り組める環境
編集部
組織文化のお話も出たので、アトラスさんの会社全体の雰囲気についてもお聞きできればと思います。アトラスさんの社員に共通する特徴などはありますか?
中村さん
全体的な雰囲気として、とても和気あいあいと、和やかな雰囲気の中で開発ができているのではないでしょうか。
荒木さん
そうですね。うまくいかないことがあっても皆ポジティブに考えて、どうしたら良くできるかという方向で進める雰囲気があります。その点でも働きやすさのある会社だと思います。
株式会社アトラスが求める人材像:事業への共感とサービス成長への意欲
編集部
最後に、採用についてお伺いします。現在アトラスさんでは新卒、中途社員の応募は行っていますか?
堀田さん
はい。新卒採用ではエンジニア、セールス&マーケティング、導入コンサルタントの3職種で募集をしています。中途採用ではエンジニアは常時募集をしている状況です。
編集部
採用に際して、アトラスさんが求める人物像を教えてください。
堀田さん
アトラスではチームで成果を出すことを大切にしているので、人と関わることが好きな方や、周りを巻き込んで仕事を進めていただける方を求めています。将来的にチームを引っ張っていただける方であればなお良いですね。
あとはスキルももちろん大切ですが、やはりアトラスの展開する事業に意義を感じていただける方であることが最も重要です。研究者を支えることで社会の発展にも貢献していく、というアトラスの事業に興味を持っていただける方をアトラスでは求めています。
編集部
中村さん、荒木さん、山下さんからも、アトラスさんに興味を持った読者の方に向けてメッセージをお願いします。
中村さん
システム開発グループとして、私自身、アトラスのサービスをとても魅力的だと思っています。今のサービスをより良くしていくプロセスも学べるため、自分のスキルの幅も広げつつ、サービスの成長も楽しみながら仕事をしてくれる方を歓迎します。
荒木さん
私は元々身内に研究者がいて、研究者がいかに苦労しているのかというのを知っています。とにかく仕事量が多くて、研究活動にあてる時間が本当に確保できないんです。
だからこそアトラスのビジョンに共感して入社したという経緯があります。私と同じように、研究者の苦労を解消したいという思いがある方にぜひジョインしてほしいなと思います。
山下さん
導入コンサルタントとしては、相手が求めるものを先読みできるような方と一緒に働きたいと思います。導入先となる先生の中には、アトラスのシステムを使いこなせる方もいれば、そうではない方もいます。いろいろな質問をいただきますが、質問にただ答えるだけじゃなくて、なぜその質問をいただいたのかという背景や、その先に何がしたいのかというところまで見据えて回答できる方が活躍できると思います。
また、システムの導入により、お客様の業務効率化が図られる過程を喜べる方もアトラスでの仕事に向いていると思います。そのような方であれば、より楽しんで仕事ができるのではないでしょうか。
編集部
アトラスさんでは事業の意義を実感し、やりがいを感じながら働くことができそうだと感じました。柔軟な働き方ができることで、キャリアを継続できる環境があるのも魅力的です。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社アトラス:https://www.atlas.jp/
採用ページ:https://www.atlas.jp/recruit