七尾市役所で働く魅力|石川・能登の復興を支える職員のやりがいと働き方に迫る

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、石川県の七尾市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。

七尾市役所は職員の働きやすさに配慮しており、計画年休制度やNO残業デーの導入、男性の育児休業取得推進など、ワークライフバランスの充実に力を入れています。また、建築・土木といった技術職では資格不問で採用を実施するなど、意欲ある人材の積極的な採用を行っています。

なお、石川県七尾市は、全国的に有名な和倉温泉や歴史のある祭りなど豊かな観光資源を持つ地域ですが、2024年1月の能登半島地震で大きな被害を受けました。現在、復旧・復興に向けて、市民の生活基盤の再建や地域の再生に全力で取り組んでいます。

今回は、七尾市役所での働き方や職場環境について、秘書人事課の坂本さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
七尾市役所の秘書人事課の坂本さん

七尾市役所
総務部秘書人事課・専門員

坂本 真一さん

震災復興に直接貢献、七尾市役所職員の使命と働きがい

七尾市役所の土木技師職員が湾岸部の現地調査をする様子

編集部

土木や建築関連業務における、七尾市役所ならではの意義ややり甲斐、魅力について教えてください。

坂本さん

公共工事に携わることになりますので、道路、上下水道、港湾など、市民のライフラインに関わる公共施設の整備を担当する重要な役割を担うことになります。社会基盤づくりの下支えとして、多くの職員がやりがいを感じていると思います。

能登半島地震で甚大な被害を受けてしまいましたが、実際にこのような職員たちの存在があるからこそ、復旧作業も順調に進んでいます。

編集部

復興関連の業務も多いのでしょうか。

坂本さん

そうですね、復旧・復興関連の業務が中心になっているのが現状です。上下水道、道路、港湾、公共施設など、被害を受けた施設の復旧に取り組んでいます。単なる復旧だけでなく、今後また発生するかもしれない地震にも耐えられる強固な基盤づくりという観点からも、非常に重要な業務です。

被災からの復旧・復興事業はかなり大きなプロジェクトで、現在は被災状況の調査段階です。調査完了後、本格的な復興に向けて設計や管理を進めていく予定なので、複数年にわたる事業規模になっています。

七尾市役所職員の現場での仕事風景
▲被災調査の様子。被害を受けた施設の復旧に取り組んでいる。

編集部

職員の方々のモチベーションに繋がったエピソードがあれば教えてください。

坂本さん

事務職員のエピソードになりますが、現在、七尾市役所とは別の会場で震災に関する総合支援窓口を設置しています。そこには住宅被害を受けたり、生活に困難を抱えている市民の方々が来られます。

支援メニューの説明だけでなく、被災を通じて経験された様々な出来事についても相談を受けることがあります。そういった方々が相談後に安心した表情で帰られる姿を見ることができて良かったと、この仕事の意義を感じたそうです。

こちらは事務職員のエピソードですが、復旧・復興の最前線で活躍する技術系職員も、被災された方々から感謝や労いの言葉を頂き、励みになっていると思います。

七尾市役所の受付業務の様子
▲丁寧で暖かな対応で市民の生活と心を支える七尾市役所の職員。

他自治体の応援派遣職員と共に働く、七尾市役所ならではの職場環境

七尾市で開催されている青柏祭の様子

編集部

職場の雰囲気や働く環境について教えてください。

坂本さん

震災直後からしばらくの間、正直に申し上げますと重苦しいと言うのか、職員同士の関係も緊張感が強く、時にはちょっとしたことで対立してしまうことがありました。しかし同年4月以降、他の自治体から多くの職員の方々が応援に来ており、職場の雰囲気が好転しました。例えば、応援に来てくださった職員の方々の歓迎会や懇親会を開催する機会が増えて、職場の雰囲気も随分と良くなってきたと感じています。

編集部

応援派遣の職員の方が来られて、職場の雰囲気が好転したエピソードがあれば教えてください。

坂本さん

七尾市役所は2024年度から通年でノーネクタイになり、夏季はクールビズを推奨しているのですが、クールビズ期間に入る前、ある応援派遣の職員の方から「ポロシャツを作りましょう」という提案がありました。職場独自のデザインを考えてくれて、実際にポロシャツを作成しました。

結果的に夏場はそのポロシャツを着て仕事をする機会が多かったのですが、七尾市役所に今までなかった文化や考え方、アイデアなどを応援派遣の職員の方々が持ってきてくれて、仕事の面だけでなく、チームワークという面でも貢献頂いています。

編集部

七尾市役所には、どれくらいの方が応援・派遣されているのでしょうか。

坂本さん

現在(2024年12月時点)、中長期派遣として47名の職員の方々が、県内外21の自治体から支援に来ています。また、震災以降、短期的な人的支援という形では346の自治体からご支援をいただきました。様々な自治体が持っているノウハウが集結することで、市役所の業務の効率化やスキルアップ、知識のアップデートという側面でも貢献頂いています。

職員同士で業務をカバーすることでワークライフバランスを実現

中長期派遣の保健師が仮設住宅に訪問をする様子

編集部

震災からの1日も早い復旧・復興を目指すお忙しい状況と思いますが、ワークライフバランスについて、どのような取り組みや工夫をされていますか。

坂本さん

七尾市役所では、職員ひとり当たりの年次有給休暇取得日数が昨年度13.6日で、他の企業や自治体と比較すると良好な数字でした。その要因として、計画年休制度を設けており、ひと月に1日は年次有給休暇を取得することを推奨しています。また、NO残業デーという取り組みも実施しており、毎週水曜日と毎月19日は、なるべく残業せずに帰宅するよう促しています。

また、退勤管理や休暇申請を今まで紙媒体で行っていましたが、現在はシステム上で管理を行うようになりました。職員の日々の勤務状況、具体的には出社時間や退社時間、時間外勤務の状況、年休の申請状況などを管理職が把握できる仕組みになっています。

例えば、時間外勤務の申請をせずに遅くまで残っている職員がいれば、業務量の見直しを図るなど、業務全体の見える化を進めています。時間外勤務や年休の申請もスムーズになったので職員たちからも好評です。

その他では、七尾市役所では全職員が年度当初に年間の業務スケジュールを作成します。これを元にして所属長が毎月、各職員の業務進捗を確認します。職員の業務内容と状況を把握できるので、都度、業務の振り分けや調整が行えるメリットがあり、結果的に全体の最適化を図ることができます。

編集部

その他で取り組んでいることがあれば教えてください。

坂本さん

男性の育児休業取得が増加傾向にあります。一般職の職員ですが、今年度は現在2名の職員が既に育児休業を取得しており、さらに3名の職員が今後取得予定と、一般職に限っては育児休暇取得率が100%になります。休暇を取得する際は、お互い助け合う体制が必要になります。

増加した要因は不明ですが、職員同士で日常業務から助け合っていこう、業務をカバーしていこうという協力的な雰囲気が醸成された結果なのかもしれません。

プロフェッショナルを育てる研修サポート体制

七尾城からみた七尾市の様子

編集部

職員の方々のスキルアップや知識習得に関して、取り組んでいることがあれば教えてください。

坂本さん

管理職向けの研修や、職種を問わない全体研修など庁内で様々な研修を実施して、多様な学習機会を提供しています。また、eラーニングシステム研修も導入しており、職場のパソコンや自宅のパソコン、またはテレワーク用のパソコンなどで、各課に付与されたIDを使い、手軽に公務員向けの研修内容を学ぶことができます。

また、先ほど土木や建築などの技術職は入庁時に資格不問とご説明しましたが、入庁後、日々の業務と並行しながら資格取得に向けた勉強を進め、建築士や建築主事などの資格を取得した職員もおり、キャリアアップを図る風土もあります。

編集部

七尾市役所ならではの特徴的な研修があれば教えてください。

坂本さん

毎年、新規採用職員向けに研修を行っていますが、今年は震災の影響で職場がバタバタしている中で働くという特殊な環境でした。そのため、周りの先輩職員との認識や予備知識などのギャップを埋めて、職場に早く慣れるようにと、採用前に数日間、被災者向けの総合支援窓口で職場体験をしていただきました。七尾市役所で働くという心構えを作る良い機会にもなったのではないかと思います。

39歳までOK、七尾市役所の幅広い採用制度

七尾市役所庁舎の外観

編集部

七尾市役所が採用に特に力を入れている部門を教えてください。

坂本さん

土木技師や建築技師といった技術職の採用に力を入れています。他の多くの自治体では、一級建築士などの資格保持を採用条件にしているケースが多いのですが、当市では大学で建築学や土木工学を専攻したなど、専門的な教育機関で学ばれた方であれば、資格がなくても受験が可能です。また、年齢についても幅広く設定しており、新卒の方だけでなく社会人の方も受験頂けます。

編集部

採用試験における年齢制限を教えてください。

坂本さん

今年度の試験では、土木技師や建築技師といった技術職については、39歳までの方を対象にしました。なお、一般事務職では30歳までの新卒枠と、31歳から39歳までの方を対象にした社会人枠を設け、民間企業や他の自治体などで培った職務経験を活かした応募を可能としました。

編集部

採用実績について教えてください。

坂本さん

2024年度は8名の方を4月に採用させていただきました。また、2024年6月に実施した採用試験では12名の方に内定を出させていただきましたが、市内在住の方もいれば、市外や県外、東京から来られた方もいます。皆さん志望動機は様々でしたが、被災地の力になりたいという想いを持って応募された方もいらっしゃいました。

人を想う気持ちを形にする、七尾市役所の仕事

七尾市職員の打ち合わせの様子

編集部

七尾市役所ではどのような人材を求めているのか、また、どのような方が活躍できる環境なのか、読者に向けてメッセージをお願いします。

坂本さん

七尾市は風光明媚で自然豊かな土地柄で、人情味あふれる地域です。温泉や観光、祭りなども盛んな地域です。現在はそういった観光や祭りなどの開催が難しい状況ではありますが、それらの復活に向けて取り組んでいます。

繰り返しになりますが、七尾市役所は現在も震災からの復旧・復興に向けて、長期的な取り組みを進めているところです。そのため、意欲のある方であれば、建築技師や土木技師に限らず、一般事務職でも、どなたでも歓迎です。まだまだマンパワーが不足している状況ですので、ぜひ力を貸していただきたいと考えています。

編集部

復旧・復興に携わり、地域再生に市民の皆さんと一緒に取り組めることも、職員としてのやり甲斐と言えそうですね。本日はありがとうございました。

編集後記

震災復興という大きな使命の中でも男性職員の育児休業取得率100%を実現しているという点に、職員同士の助け合い精神が見えた気がしました。また、他の自治体からの応援職員との協働を通じて、業務ノウハウの共有だけでなく、職場に新しい文化や考えを取り込む機会となり、図らずとも組織の活性化に繋がっていると感じました。

この記事のまとめ

働き方
  • 計画年休制度で月1日の有給取得を推奨(年間平均13.6日取得)
  • NO残業デー(毎週水曜・毎月19日)の設定
  • 男性の育休取得率100%(一般職)
  • 勤務管理システムによる労働時間の適切な管理
キャリア採用の特徴
  • 建築・土木職は資格不問で採用(専門課程卒業で応募可)
  • 一般事務職は新卒枠と社会人枠あり
教育・研修制度
  • 集合研修やeラーニングなど多様な学習機会を提供
  • 自宅からもアクセス可能な研修システムを完備
  • 新規採用職員向けの専門研修プログラムあり
働く環境
  • チームでの業務カバー体制が充実
  • 通年ノーネクタイ制を導入
  • 業務の偏りを防ぐ進捗管理制度あり
仕事の特徴
  • 市民のライフラインに関わる公共施設の整備を担当
  • 複数年にわたる大規模な復興プロジェクトに携われる
  • 地域の再生に直接貢献できる業務

七尾市役所の基本情報

住所 石川県七尾市袖ヶ江町イ部25番地
公式ページ https://www.city.nanao.lg.jp//
index2.html
採用ページ https://www.city.nanao.lg.jp/
shise/jinji/
募集職種 土木技師や建築技師など