さまざまな企業の新しい働き方をお伝えしていく企画。今回は子どもの学びの環境を整えるため、学校教育現場のDXを進めるClassi株式会社を取材させていただきました。
Classi株式会社とは
「Classi株式会社」は、株式会社ベネッセホールディングスとソフトバンク株式会社のジョイントベンチャーとして2014年に設立された会社です。子どもの学びを支える教育プラットフォーム「Classi(クラッシー)」や保護者と学校の連絡を円滑にするためのツール「tetoru」の開発・運営をしており、学校(School)× テクノロジー(Technology)を組み合わせた「SchoolTech」を推進しています。
「Classi」はこれまでに210万人以上の生徒の学びをサポートしており、「tetoru」は全国の小中学校1,700校以上で利用されている他、2022年度グッドデザイン賞を受賞しています。
会社名 | Classi株式会社 |
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住所 | 東京都新宿区西新宿2丁目1-1 新宿三井ビルディング14階 |
事業内容 | 教育プラットフォームの開発・運営 |
設立 | 2014年4月4日 |
働き方 | リモートワーク中心 フレックスタイム制度(フレキシブルタイムは7時〜22時) |
公式ページ | https://corp.classi.jp/ |
学校における様々な課題解決のために、デジタル技術を活かした様々な取り組みを進めるClassi。その根底にあるメンバーの教育への想いや、多様な働き方ができるフレックス・リモートの勤務体制、そしてリモートワークメインだからこそ大切にしているコミュニケーション支援などについてお話を伺いました。
学校のDXにより子どもの無限の可能性を支える企業
編集部
Classiさんの業務やサービスについて、具体的に教えていただけますでしょうか。
椎葉さん
教育と一口に言っても、周囲の人間や社会など子どもを取り巻く環境は様々なのですが、Classiではその中でも「学校」という公教育領域に向き合っていることが特徴と言えます。
私たちが現在提供しているプロダクトは「Classi」と「tetoru」の2つで、「Classi」は主に中学校・高等学校で使っていただく総合的な教育プラットフォームであり、「tetoru」は小中学校の保護者と先生のコミュニケーションを支援するツールです。
▲子どもの学びを支えるサービス「Classi」
▲保護者と学校のコミュニケーションを支えるサービス「tetoru」(引用:Classi便り1月号)
編集部
私も中学校と高校に通う子どもがいるのですが、確かに学校とのやり取りなどに不便を感じている部分があります。学校のDXというのは、進んでいないものなのでしょうか。
椎葉さん
そこはおそらくいろいろな見方がある部分だと思いますね。政府はGIGAスクール構想を打ち立てて、デバイスとITインフラを活用した学びやコミュニケーションの環境を整備してきているので、DXという側面から前進した部分は大きくあったと思います。
一方、今後の進展が望まれている領域でいうと「個別最適な学び」の実現があると認識しています。例えば特に高校では、少子化の影響を受けて学校統合が進み、自分の学力に合わせた学校選びが難しくなる中で、授業の内容がフィットしない子どもたちの存在が明らかになってきています。ITを通じて、子どもたちそれぞれの学力に対応できる、個別最適な学習をサポートする必要性が高まってきているのです。
「Classi」は、こうしたことを含めて変化の中にある学校を、さまざまな側面からサポートするために開発した教育プラットフォームです。
またおっしゃったように、保護者の方の中にも学校とのやり取りに不便を感じている方がいらっしゃるかもしれません。さらに言えば、学校現場では先生の働き方の課題もあります。そのために小中学校では「tetoru」を、中学校高等学校では「Classi」を活用していただくことによって先生と保護者のコミュニケーションをスムーズにし、子どもの学びの環境づくりに総合的に貢献していきたいと考えています。
編集部
学校を取り巻く環境においては、少子化やDXの浸透に対応できていない部分が少なからずあるので、Classiさんはその状況を改善しようとされているんですね。学校教育に関する社会的な課題を解決するという理念・事業内容に共感する人は多いと感じました。
メンバーに浸透している3つのバリュー
▲Classi株式会社の3つのバリュー
編集部
Classiの掲げる3つのバリュー、「Love Difference」「Unlearn & Learn」「Make Happen」についてお教えいただけますか。
椎葉さん
まず「Love Difference」は「お互いの違いを理解し尊重し、喜ぶ」ということです。そして「Unlearn & Learn」は「自分の知見をいったん横に置いて新しい考えを受け入れ、そのことによって元の学びを再びブラッシュアップしていく学び方」、「Make Happen」は「自らの想いを勇気をもって形にしていく」ということを意味します。
編集部
今お話しいただいたような教育に関するプロダクトを開発していく上で、バリューはどういった点に活きているのでしょうか。
椎葉さん
「Love Difference」の精神はもちろん前提にありますが、メンバーと話していて特に感じるのが、学校をより良いものにしていきたいという情熱ですね。それが会社のバリューの一つでもある「Make Happen」に繋がっていると思います。
教育に対する情熱は、Classiという会社の自信でもあるし、誇りでもあります。プロジェクトに関わっているメンバー全員に、その想いはあると感じています。
また、「Unlearn & Learn」についても、そもそも学ぶことに前向きなメンバーが多い中で、「学校を良くしたい」という情熱が浸透のベースにあると実感しています。
学校現場をデータやデジタル技術によってDXすることは、他の誰かが既に取り組んでいて勝ちパターンがあるというものではなく、社会全体にとって未曾有のもの、新しいことだと思います。だからこそ、これまで培ってきた知識や経験を大事にしながら「新しいことを取り入れる」という姿勢が大切で、それを教育に対する情熱が支えているのだと思います。
教育に対する情熱と思いやりにあふれた社内風土
▲「図書室」のミーティングルームなど、社内にも学校の要素が
編集部
Classiさんの会社全体の雰囲気はいかがでしょうか。
田中さん
今話に出たように、教育に対する想いや情熱が真っすぐにある方はすごく多いなと思います。あとは、ありふれた言葉にはなってしまいますが、すごく優しい人が多いんです。
会社に新しく入った方がSlackに一つ質問を投げたらいろいろなところから回答が来たり、「こういう協力をしてほしい」と話すと積極的に協力してもらえたりしますね。周りに対して自然に手を貸してくれる方が多いので、お互いに協力しやすい環境だと思います。
編集部
バリューを行動の指針としながら、お互いに思いやりを持ってお仕事ができているのはすごく魅力的ですね。
フレックス・リモートメインの柔軟な働き方
▲出社の機会は少ないものの、オフィスには集中できる環境を整備
編集部
Classiさんの働き方についても教えてください。現在はフレックス、リモートメインの勤務体制とのことですが、コアタイムはあるのでしょうか。
田中さん
会社の制度として「フレキシブルタイム」を設けています。朝の7時から夜の22時までの間で裁量を持って働く時間をコントロールしていただく、という形を取っています。
編集部
朝の7時から夜の22時までであればかなり柔軟に時間を取れるので、自分が最もパフォーマンスを上げやすく、成果を出せる時間に働くことができるんですね!
田中さん
そうですね。ただチームでの仕事も多いので、大体皆さん10時から18時くらいまでの間でうまく調整しつつ、ちょっとした送り迎えに出たりお子さんとの夕食で少しだけ抜けたりと、それぞれの状況に合わせて仕事をしていると思います。
編集部
働き方について、社員の方から何か意見を聞くことはありますか?
田中さん
「Classiでは自分の働き方を思った以上に尊重してもらえる」という声をよく聞きます。というのも、お子さんが生まれたり、学校に進学されるタイミングでClassiに興味を持っていただき、入社していただくというケースがとても多いんですね。
そのため、家庭の状況に合わせやすい制度があるということと、その制度がきちんと活用されているというのは、弊社を選んでいただく大きな理由のひとつになっているのではないかと思います。
例えばお子さんが熱を出して急遽お休みを取らなければならない場合でも、社内メンバーの理解が得られやすい環境だと思います。みんないろいろな状況がある中でも、最大限成果を発揮してくれるという信頼感のもとで、それぞれの働き方が尊重されていると感じます。
編集部
そうなんですね。生活と仕事のバランスが取りやすいというのは、多くの方にとって理想的な職場なのではないかと思いました。
リモートメインでのコミュニケーション不足を補う経営ランチ会
編集部
リモートメインとなると、社員同士のコミュニケーションも課題になるのではないかと思います。何か工夫をされているのでしょうか?
椎葉さん
Classiでは、社長・副社長とメンバーとのランチを実施しています。我々の事業は、いろいろな契約形態の方が仲間になって作っていますが、この施策を含めて、社内のほぼ全てのコミュニケーションに関わる施策には、社員だけでなくアルバイトや業務委託、派遣社員なども含めた全メンバーに参加していただいています。
編集部
ランチでは、どのようなことをお話しされるのでしょうか?
椎葉さん
内容はその場に任せていますね。経営陣に対するメンバーからの質問もありますし、また逆に経営陣もメンバー全員と日々接しているわけではないので、いろいろな考えを聞ける機会となっています。
コラボレーションを生むための「テーマの部屋」
編集部
「テーマの部屋」があるというのも伺ったのですが、どういった趣旨のものか教えていただけますでしょうか。趣味などの会話をするためのものなんですか?
椎葉さん
実際に行われているアクションとしては、社員同士のコミュニケーションですが、会社がビジネスを行う場である以上、社内で費用や時間をかけて行う施策はコミュニケーションではなくコラボレーションが目的だと考えています。
コラボレーションを考えたとき、きっかけとしての偶然の出会いやそこから生まれるコミュニケーション、例えば「自動販売機の前でたまたま出会って話した」などはオフィス勤務では起こっていただろうと思っていたので、そうしたセレンディピティな出会いの機会として「テーマの部屋」を実施しています。
現在全社で200名を超えるメンバーがいるので、日頃しゃべらない人だったり、名前も顔もわからない人もいるかもしれません。共通のテーマがないと話しづらいと思うので、会社が決めた様々なテーマの中から皆さんに選んでいただいて、同じテーマを選んだ者同士で話していただくというものです。
編集部
チャットルームのような場が設けられるということですか?
椎葉さん
オンラインでもオフラインでも、実施形態は状況に合わせて判断してもらっています。参加は任意ですが、事前に3つまでテーマを選んでもらい、そのうち2つのテーマにアサインされる、という内容です。運営がカレンダーも押さえて、それを元にメンバー同士で日程を再調整し、各々ランチに行ったりオンラインで話したり、という形になっています。
テーマは映画や漫画、アイドル、マネー運用、サウナ、スポーツなど多岐にわたっています。全部で30近くあると思います。
編集部
すごく多いんですね!やはり今はサウナのお部屋なんかは特に盛り上がるのではないでしょうか。
椎葉さん
そうですね、サウナは結構盛り上がっていましたね。あとは海外ドラマなども今は人気があります。
情熱を持って、会社と同じ方向を見て歩める人を
編集部
先ほどもお話にあったように、教育に対して情熱を持っている方が多いとのことですが、どういった経緯で教育に興味関心を持つようになった方が多いのでしょうか。
田中さん
家族に先生をしている人がいらっしゃったり、過去に教員免許を取得された経験があること等を含め、元々教育に興味を持っていた方と、お子さんが生まれたり、進学されたりするタイミングで教育に関心が高まった方の大きく2つに分けられると思います。
元々学校教育が身近にあった方は、何か新しくチャレンジをしたいというタイミングでClassiを見つけてくださる、というパターンが多いですね。お子さんが生まれてから興味を持った方は、大きくなる過程で「こういうところを直したい、より良くしたい」という思いから応募される方が多いです。
編集部
その中でも、Classiさんにフィットする人材というのはどういう方ですか?
田中さん
職種関係なく、教育に対する想いが強いことは大切です。Classiのミッション・ビジョン・バリューへの共感は確認しています。それともう一つ、弊社では「ピープルマネジメントポリシー」を定めています。
「ピープルマネジメントポリシー」は、「成長」「チームワーク」「チャレンジ」「やってみる」の4つあるのですが、このポリシーに対して一緒になってやっていただけるかということを、仲間になってもらう上で大切にしています。
Classiからのメッセージ
編集部
最後に、Classiさんに興味をお持ちの求職者の方へ、メッセージをお願いします。
田中さん
会社として成長していくためにも、いろいろな方の力を借りたいと思っています。そのためにも働き方や働く場所を理由に機会を失いたくないので、会社としても制度を整えています。それらをうまく活用していただきながら、一緒に成果を出していただきたいなと思います。
椎葉さん
「未来の働き方」を改めて考えてみると、「所属ベースとプロジェクトベース」や「リモートワークとオフィス勤務」など環境や技術の変化、個々の意志によって異なる働き方が一つの組織の中に存在することが当たり前になりうると感じています。
そのような時代の中で、どのくらい多様な働き方を会社として取り込んでいくのかが問われると思うのですが、私たちはその判断軸に弊社のミッションである「子どもの無限の可能性を解き放つ」を据え続けながら、様々な方に活躍していただける組織を作っていきたいと思っています。
「子どもの無限の可能性を解き放ち、学びの形を進化させる」ことに貢献したいと思ってくださる方のお声がけをお待ちしています。
編集部
ありがとうございました!
■取材協力
Classi株式会社:https://corp.classi.jp/
採用情報:https://corp.classi.jp/careers/