エンジニアが活躍できる環境を作り、成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は、サービスデザインの視点と技術を活用し、事業開発・組織開発支援事業などを手掛けている株式会社コンセントにお話を伺いました。
株式会社コンセントの事業領域:あらゆる分野に及ぶデザインの可能性
▲コンセントの事業領域。デザイン経営支援からクリエイティブ開発まで幅広い領域を手掛けている。
「デザインでひらく、デザインをひらく」をミッションに掲げている株式会社コンセントは、あらゆる物事をデザインの対象としています。
デザイン会社である同社は、WEBサイトの構築や紙媒体の制作にとどまらず、事業や組織、業務もデザインの対象と捉え、事業開発・組織開発支援事業も手掛けています。クライアントの経営という根本的な部分から、クライアントが抱える顧客の体験まで、包括的にデザインを提供しているのです。
会社名 | 株式会社コンセント |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿南1-20-6 第21荒井ビル |
事業内容 | 事業開発・組織開発支援などサービスデザイン/UXデザイン/UIデザイン/ウェブサイト構築・設計・運営支援/ウェブサイトガバナンス支援/印刷情報媒体の企画・編集・制作/雑誌、書籍のエディトリアルデザイン/デジタル教材開発/動画・VRなどインタラクティブコンテンツ開発/インクルーシブデザインなど |
設立 | 1973年(1971年創業) |
公式ページ | https://www.concentinc.jp/ |
同社では、エンジニアやディレクター、デザイナーなどが円滑にコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めています。職種や立場、プロセスの壁がないからこそ、幅広い分野でデザインを手掛けられているのです。
同社のカルチャーや働き方について、Service Design部門Design Engineering groupチームマネージャーでありUX/UIデザイナーの見野伸太郎さんと、同じグループのフロントエンドエンジニアである長瀬佳奈江さんと平良優乃さんにお話を伺いました。
コンセントの成長環境:豊富な知識共有の場と多様な専門性の融合
編集部
初めに、長瀬さんのご経歴を伺わせてください。
長瀬さん
私は2016年頃にコンセントに派遣社員として入社し、2019年に契約社員、2021年に正社員となりました。主にWEBサイト制作に携わっており、ディレクターやデザイナーと緊密に連携しながら制作を進めています。
編集部
さまざまな雇用形態で勤務されてきた長瀬さんから見て、コンセントさんでエンジニアとして働く魅力は何だと感じていらっしゃるでしょうか?
長瀬さん
エンジニアとしてスキルアップする機会が多いことが大きな魅力です。例えば、私の所属部署では週に一度ライトニングトーク会が開催されており、新しい知見を得られています。
他のエンジニアから情報を得られるだけでなく、自分が発表する機会もあるため、良いアウトプットの場にもなっています。
会社全体で生きた知識や情報を得られる機会があるというのは、一人でインプットする場合に比べて幅広い視野を持てる点で非常に有益です。
▲Design Engineering groupで開かれたオンラインライトニングトーク会のようす。互いに知見を持ち寄りスキルアップを目指せる。
編集部
エンジニアとしての知見をインプット、アウトプットする機会に恵まれているということですね。コンセントさんの社内の雰囲気についてはいかがでしょうか?
長瀬さん
コンセントは社員それぞれが支え合いながら成長し合う雰囲気があります。チームでの活動が多く、週に一度のチーム会議もあるため、社員同士で気軽に話し合える環境が整っています。
編集部
チームの結束力が高いというのがコンセントさんの一つの特徴なのですね。
多様な職種の協働:幅広い経験値を獲得できるコンセントの強み
編集部
平良さんのご経歴についてもお聞かせください。
平良さん
私は2020年4月に中途で入社しました。今はフロントエンジニアとして、クライアントはさまざまですがWEBサイト構築のプロジェクトに関わることが大半の業務です。
最近ではテクニカルディレクターとして、指示や要望を受けた内容を実装するといった業務だけではなく、クライアントやプロジェクトチームからの要望や課題を解釈した上で技術方針の提案をしたり、実装フェーズの進行管理をしたりといったディレクション業務を担当することもあります。
編集部
中途で入社された平良さんから見たコンセントさんの特徴は何でしょうか?
平良さん
コンセントの特徴はエンジニアだけでなくさまざまな職種の人が在籍しているため、自分の知らない視野を得られる点だと感じています。
これまでエンジニアとして働いてきた環境の中では、同じような職種の人が集まっていたり、他の職種のメンバーがいても一緒にやるというより開発指示書をもとにプロダクトを作ったりといったケースが多かったです。
コンセントの場合はデザイナーや全体を統括するディレクターも在籍しているので、これまで関わったことのなかった職種の人とコミュニケーションを取ることで自分の経験値が上がっていると感じます。
それぞれが得意分野を持っていて、互いに助け合うという雰囲気はどのチームにもありますので、とても仕事がやりやすい環境にあると思います。
編集部
さまざまな役割を持った方と交流することでこれまでにない刺激を得られているということですね。それ以外に、特徴として挙げられるものはございますでしょうか?
平良さん
コンセントの社員は会話がしやすい人が多く、コミュニケーションがとりやすいのが特徴だと思います。また、今までエンジニアとして働いてきた会社は、どちらかというと男性が多い職場でしたので、同性がいる安心感もあります。
「CONNECT」が体現するコンセントの理念:デザインとエンジニアリングの融合
▲「CONNECT」の提供ツール。UI設計からデザイン、HTML制作までをシームレスに行うことができるのが特徴(コンセントの公式サイトより引用)
編集部
長瀬さんと平良さんのお話から、さまざまな職種の方々が活発に交流しているコンセントさんの特徴がわかりました。職種間の交流を活発化させるために工夫していることはございますでしょうか?
見野さん
いろいろありますが、例えばコンセントで開発したWEBサイト構築パッケージ「CONNECT」も、職種間のコミュニケーションを活発化させるために活用しています。
コンセントはプロジェクト単位でさまざまな専門分野を持つ社員が集まり、チームを編成してプロジェクトに取り組みます。その際、設計する側と実装する側で認識にずれが生じがちです。
CONNECTは、WEBサイト制作の現場で共通理解を作るためのツールです。WEBサイト制作に必要なUIパターンやテンプレートコード、それらをルール化するためのひな型を用意しています。
単に制作の手間を省いてコストを下げることを目指したツールではなく、コミュニケーションツールとしての役割が強いものとなっています。
サイトの画面設計・デザイン・実装の担当者をつなぐ構造となっているので、それぞれの担当者が一つの方向を向きながらプロジェクトを進められます。
編集部
コンセントさんの思想が表れているツールといえますね。やはりチームになって動くということがコンセントさんの文化として根付いているのでしょうか?
見野さん
コンセントはプロジェクトに対し、「どうすることが今最適なのか」を、さまざまなバックグラウンドを持った専門家たちがアイデアを出し合いながら考えていくことを大切にしています。
特定の誰かが決める、作るではなく、一緒に考えて一緒に作っていくという文化があるのです。
私と長瀬、平良が所属しているDesign Engineering group(DEG)は、エンジニアとデザイナーが集まり、お互いの知見を融合させてプロジェクトに当たることを目指す組織として、2023年7月に立ち上がりました。
デジタル社会の中で、あるべき体験やサービスをデザインするためには、エンジニアリングの力が不可欠です。デザインとエンジニアリングが両輪としてプロジェクトを推進するために、お互いがそれぞれのフィールドを理解し、考えをぶつけ合い、共創していくことが必要だと考えています。
編集部
デザインとエンジニアリングをつなぐ。ツールの「CONNECT」という名前にコンセントさんの姿勢が表れていると感じました。
コンセントの人材育成戦略:「技術マトリクス」が実現する明確な成長ビジョン
編集部
さまざまな職種の人材が在籍されているコンセントさんですが、人材育成の仕組みとしてはどんなものを採用されていらっしゃるのでしょうか?
平良さん
コンセントでは職種ごとの成長指針にもなる「技術マトリクス」というものを2018年から運用しています。技術マトリクスは、コンセントのデザイン人材が身に付けるべき技術項目とその水準を職種ごとに定義したものです。
毎年更新を重ねており、2023年度版では「エジニアリングリサーチ」「情報設計」「テクニカルディレクション」など30以上の技術項目に対して、5段階の水準を定義しています。
とはいえ全ての技術項目を達成しなければならないというわけではなく、職種ごとに身に付けるべきスキルが定義づけされているのです。
ここまで細かく身に付けるべきスキルについて明示されていたことはなかったので、目指すべき方向性が見えて良いなと感じています。
▲「技術マトリクス2023年度版」。毎年更新を重ねている。
編集部
技術マトリクスがあることで実際に成長するためのアクションも起こしやすそうですね。
長瀬さん
技術マトリクスがあることで、社員は実際に自身の成長に向けて行動しています。例えば、社員で技術アップ推進チームを作って、自分のレベルアップに必要な活動についてインプット・アウトプットを繰り返していますね。
それぞれの技術項目については、レベル1は「業務理解と業務補助」、レベル5は「業界の推進と新価値創造」といったように習熟度について5段階で評価されています。
どういったスキルを身に付ければレベルが上がるのか明確なため、社員の成長へのモチベーションにもつながっているのです。
編集部
自分が成長している実感を持ちながら業務に当たれるのですね。
コンセントの柔軟な働き方:場所や時間にとらわれない自由な職場環境
編集部
コンセントさんの働き方についても伺わせてください。
平良さん
コンセントは多くの社員が裁量労働制を採用しています。複数のプロジェクトに同時に携わることも多いため、自分でタスクの優先順位をつけ、進捗を管理しながら業務に取り組んでいます。
編集部
基本的にはリモートワークで仕事を進めていくことになるのでしょうか?
長瀬さん
コンセントの社員はオフィスワークもリモートワークも本人が選択できるハイブリッド勤務です。出社の回数などのルールも設けられておらず、私の場合は誰かとランチに行くために月に1~2度ほど出社しています。
見野さん
コンセントは東京・恵比寿に、本社を含めて拠点を三つ持っています。出社する場合は業務状況や自分の目的に合わせて拠点を選びます。メンバーに会いたい社員は本社に、集中して業務に取り組みたい社員は静かな環境のオフィスに出社します。
▲東京・恵比寿にある本社オフィスのオープンスペース。イベントや交流会なども行われる。
見野さん
また、リモートワークを基本にすることもできるので、平良のように沖縄在住の社員もいます。
編集部
働く場所についても選択肢があるのですね。福利厚生制度についてもお教えください。
見野さん
コンセントには一人ひとりの「働き方のデザイン」を可能にするための福利厚生や社内制度があります。
例えば、勤続年数5年以上の社員に対し10日間の有給が付与されるリフレッシュ休暇制度があります。また、社員本人や家族の看護のために年間最大20日間取得できる「ケア休暇」もあり、比較的休暇を取りやすい環境です。
編集部
チームとして連携することは当然ですが、その上でタスク管理やリモートワークの選択、休暇のタイミングなど自分で働き方をデザインできるのですね。
コンセントが求める人材像:チーム志向で創造を楽しむクリエイティブな人材
編集部
最後に、コンセントさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
長瀬さん
コンセントは社員同士で高め合う機会が多い会社です。個人のスキルアップはもちろん、チーム全員でレベルアップしていきたいという考えを持った方とぜひ一緒に働きたいです。
平良さん
コンセントでは、一つのプロジェクトを進める上で、社員同士で積極的にコミュニケーションを取ります。エンジニアだけでなく、さまざまな職種の方たちと協力して仕事を進めていく必要があります。
多様な職種の人々と協力しながら仕事を進めることが好きな方は、ぜひ入社をご検討ください。
見野さん
コンセントはデザイン会社なので、作ること、考えることが好きな人が集まっています。特に、私たちが所属しているDEGには何かを形にすることをおもしろいと思う人が多いです。
物を作ることの楽しさは、エンジニアもデザイナーも共通しています。エンジニアはコードで、デザイナーは視覚要素で表現しますが、より良い機能、より美しい形、ユーザーに届けたい体験を考えるプロセスは同じです。
価値をどのように提供していくのか、一緒に考え、形にしていくことにおもしろさを感じる人材を求めています。
編集部
さまざまなプロフェッショナルが専門分野を発揮し、世の中に価値を提供していく。「つながる」ことの強さをコンセントさんの姿勢から感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社コンセント:https://www.concentinc.jp/
採用ページ:https://www.concentinc.jp/recruit/