グローバルにビジネスを展開するのと同時に、社員が働きやすい環境を整え成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は「地域DX」に取り組む会津オフィスと、「人に楽しんでもらう」ことをコンセプトに最先端技術を駆使した体験型コンテンツを開発するXRオフィスの2つを持つ株式会社デザイニウムを取材。XRオフィスについてお話を伺いました。
次世代の体験型コンテンツを展開する株式会社デザイニウム
株式会社デザイニウムXRオフィスは、最新のAR技術とさまざまな先端テクノロジーを掛け合わせた次世代体験のR&D(研究開発)と、ARコンテンツの企画開発をしています。市場はこれから世界的に伸びていく分野であり、様々な国籍のスタッフがリモートワークしているという、まさにグローバルな会社です。
会社名 | 株式会社デザイニウム |
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住所 | 会津オフィス(本社) 〒965-0872 会津若松市東栄町1-77 ICTオフィスビルAiCT 3-2 XR XRオフィス 〒141-0021 東京都品川区上大崎3-5-2 リードシー目黒イーストビル C-22 |
事業内容 | ウェブサービス、モバイルアプリケーション、体験型アプリケーションの企画開発 |
設立 | 2005年2月8日 |
公式ページ | https://www.thedesignium. com/ |
働き方 | フルリモートワーク(XRオフィス) |
今回は、株式会社デザイニウムの特色であるグローバルな側面や、パフォーマンスを最大化するために実現されている柔軟な働き方にスポットを当て、PRのまちだかおりさんにお話を伺いました。
世界で需要が高まるAR・XRコンテンツをグローバルに展開
編集部
まずはじめに、デザイニウムさんの事業内容について教えて下さい。
まちださん
あらゆる先端テクノロジーと、ARやXRなどの没入型のテクノロジーを掛け合わせて創った新しい体験を、グローバルに展開しています。少し具体的に説明すると、『ポケモンGO』のような、現実の景色にデジタルを重ね合わせるAR技術を用いた体験型アプリケーションを製作したり、あるいは2024年2月に発売された『Apple Vision Pro』などのデバイス向けの、五感をデジタルと融合させるXRコンテンツを製作したりしています。
例えば「Magical Forest」というプロダクトは、AIを活用して制作した、ファンタジーの世界で虫を捕まえるARゲームです。Laval Virtual Experiencesという国際コンペティションの入選作品で、2024年4月10日〜12日にフランスで開催されるLavalVirtualで展示します。
編集部
最先端分野を手掛けていらっしゃるのですね。AR市場の国内外での需要はいかがでしょう。
まちださん
ヘッドセットなどの関連デバイスが続々発売されており、技術も日進月歩、年々市場規模が拡大しています。国内ではARやXR用の展示施設が増えてきています。昨年にラスベガスでは大型の没入型コンサートホール「Sphere」が新たに誕生しており、国際的にも成長過程の分野に位置づけられます。
当社でいうと、日本では大手企業、いわゆるナショナルクライアントと多く組ませていただいています。海外でも当社が手掛けたプロジェクト数は増えており、世界最大規模のXRイベント「AWE」など、海外の展示会にも積極的に出展。イベントへの登壇なども行っています。
海外ではSNS経由でデザイニウムのことを認知していただき、AR作品をご覧いただいているケースがよくあります。そこから弊社と一緒にお仕事をしたいというお話をいただいたり、クライアントとしてのお問い合わせに繋がっています。
編集部
ちなみに今後はどのような展望を描いていらっしゃいますか?
まちださん
我々はARの民主化を目指しています。…というと難しい感じがするかもしれませんね。
身近なところではTikTokやInstagramの写真フィルターなどもAR技術の一つです。他に、ネットショッピングで家具のシミュレーションに用いられたりしています。最近ではゲーム「Monster Hunter Now」のARモードが話題になりました。多くの可能性を秘めたXR技術の普及を促進するために、私たちを豊かにする新たな体験を生み出したいと考えています。
我々デザイニウムは、コンテンツ開発によって創り出した魅力的な体験を通してARを広めていきたいと思っています。
自社プロダクトもあり!提案型でコンテンツ製作を進められる面白さがある
編集部
デザイニウムさんでは、どのような流れでコンテンツを製作されているのでしょうか?
まちださん
我々は開発会社ですので、受託したアイデアを開発してクライアントに納品することがメイン業務です。ですが、実は新しい技術を活用する場合、クライアントのほうから「こういうものを作りたい」と相談されたり、具体的な指示をいただくとは限りません。新技術の場合、『何が出来るか』が認知されてかったり、技術検証されていないことが多いので、こちらから提案するケースも多いのです。
そのため、最初にクライアントが体験できる環境、いわゆるデモを造ることから始めることもあります。技術に関しては口頭で説明するよりも、実際にデモを見たり触ったり出来るほうがイメージが掴みやすいためです。また、それにより、面白いコンテンツやそこから得られる体験づくりに繋がっていきます。
私たちがSNSで公開したプロトタイプ(研究開発のデモ)を見て、「この技術を使ってアプリや番組を制作しましょう」という話に広がることも多々あります。
編集部
受託開発企業ではあるものの、自分たちで考え制作したものをクライアントに提案し、そこから形にしていけるというのは仕事のやりがいにも繋がりそうですね。
まちださん
先にクライアントありきで製作すると、どうしても一定の制約が生じます。でも私たちは、逆に我々が先に作ったものを、世の中に対してどうですかと問うていく形です。そこからクライアントのご要望に合わせて、技術やデバイスを臨機応変に変更を行ったりしながらコンテンツを創り上げていきます。
当社はARを軸に置いていますが、五感をフルに使うMRなど、あらゆる最新技術と組みあわせる可能性も視野に入れています。特定の技術に縛られず、「人に楽しんでもらう」をコンセプトに開発しているデザイニウムならではの特徴ですね。
編集部
ちなみにデザイニウムさんが主体で製作し、クライアントに提案したコンテンツにはどのようなものがありますか?
まちださん
一般的な大手の受託会社は自社のプロダクトを持っていないことも多いのですが、弊社はさまざまな試みを行いながら自社プロダクトの制作も行っています。その点は弊社の強みだと思います。
例えば「観光ARコンシェルジュ(仮称)」というアプリは、我々自身がサービスを考え、製作まで行ったものです。このアプリには、AIがユーザーの好みに合ったツアーを自動生成し、その時間帯や天候、混雑状況に合ったナビゲーションをしてくれる機能が搭載されています。
「デジタルと現実世界には境界がある」と思っている状態から、境界がどんどんなくなることを体験・体感できるところが醍醐味です。現在は、このアプリの持つ機能に興味を示していただけそうな企業や自治体に、導入に関するお声がけをしています。
開発への投資は惜しまない。最新技術のインプットや新しいデバイスの導入に積極的
編集部
デザイニウムのメンバーの方は、最新技術をどのようにキャッチアップされているのでしょうか。
まちださん
展示会やイベント、セミナーなどの最新技術を吸収する機会への投資に対して積極的です。書籍の購入も支援しています。
もうひとつ積極的に投資しているのがデバイスです。機能を実体験するために、新しいデバイスの導入も頻繁に行っています。
開発した技術をどのデバイスでアウトプットするかによって、作り方も変わってくるためです。簡単に言うとiPhoneとAndroidでアプリの作り方が異なるように、コンテンツの出力先がディスプレイか、スマホか、それともヘッドセットなのかで仕様も変わります。
デバイスはどんどんと新たなものが出てくるのですが、アウトプットできるデバイスを増やすためにも、まずは導入してデバイス機能を使いこなして仕組みをインプットしています。
グローバルな労働環境が魅力!多国籍な組織だから最新情報も入手しやすい
編集部
デザイニウムさんには外国籍の社員が多数在籍しているそうですが、どのような国籍や言語の方がいらっしゃるのでしょうか?
まちださん
社員の出身国はイギリス、中国(香港)、台湾、フランスの4か国です。業務委託を含めるとさらに多国籍になります。東京では、社員の約4割が外国籍です。母国語が中国語、フランス語、ドイツ語、英語などの人もいれば、複数言語を操れる社員もいます。
編集部
そのような多様性のある組織になった背景を教えて下さい。
まちださん
国籍にこだわらず採用した結果です。ARやXRなどの最先端分野に携わるエンジニアは世界中にいるので、日本人という点にこだわりはありません。日本好きの海外クリエイターも多く在籍しています。ただし、正社員としての雇用は国内在住の方を対象としています。
多様性のある組織になったことは意図的ではないのですが、AIなどの最先端技術はアメリカを筆頭とする海外諸国で開発されているからこそ、英語圏からもすぐに情報を得られる状況はとても重要です。
弊社では複数の海外の企業とパートナーシップ締結をしています。新しい技術が出たときに、その情報をいち早く入手するためです。最近で言うとApple社のVision Proも、すぐに手にいれられるように手配をしました。開発プラットフォームやVPS、AIの技術などは、各社が国際的にどんどん開発している状況なんです。
編集部
最新の先端技術に関する情報を得やすい環境であることも、エンジニアにとってはメリットが大きいのではないかと感じました。
英語が話せなくてもOK!翻訳機能や相互フォローでコミュニケーションも円滑
編集部
言語の壁がコミュニケーションの壁になることはありますか?
まちださん
コミュニケーションに困ることはあまりありません。実際のところ、日本語が全くできない社員もいますが、翻訳機能などをうまく活用しながらコミュニケーションを図っています。
コミュニケーションのほとんどが、Slackなどを使ったテキストで完結することが多いということも、その理由の1つだと思います。採用では日本語スキルも重視していますが、実際にチャットで流れてくる言語は、感覚的には英語の方が多いくらいです。
編集部
ちなみに、日本人の社員さんは全員英語を話せるのでしょうか。
まちださん
私を含め、全員が英語を話せるわけではありません。例えばWeb会議なら、字幕を下に表示しておけば、音声だけで理解できなくても支障ありません。英語が喋れても、居住地によって訛りや言い回しの違いがあるので、そのような面もカバーできます。こうした技術とお互いの気遣いやフォロー、つまりハード面とソフト面を併用しながらコミュニケーションを図ってるような状況です。
みんなの「お互いの意図を汲み取ろうとする意志や能力が高い」からこそ実現できているのかもしれませんね。語学力を磨きたい人にとっても良い環境だと思います。
ワークライフバランスが取りやすい!休日や勤務時間も柔軟に変更できる
編集部
デザイニウムで働くみなさんの働く環境について教えてください。
まちださん
XRオフィスでは全員、フルリモートで勤務しています。都心からちょっと離れた広い家でリモート環境を十分に整えているような方や、コワーキングスペースを借りて勤務している人もいます。コワーキングスペースに関しては、必要に応じて契約の補助が可能なため、様々な場所で働くことが可能です。
また特に髪型や服装に関する規定がないため、アフロヘアーで勤務している人や、全てのWebミーティングをメタバースのアバターで参加している人もいます。
編集部
とても自由度が高いのですね。働く環境でも多様性が感じられます。勤務時間はいかがでしょうか。
まちださん
コアタイムのあるフレックスタイム制がベースです。夜型・朝型など様々なタイプのスタッフがいるので、勤務時間はかなり融通の利く環境といえるのではないでしょうか。
また、休憩も適宜取ることが出来ます。業務効率が落ちてきたときに、少し仮眠を取ってから仕事をする人も少なくありません。業務内容としては、オフィスに出社して、常に誰かが隣にいて仕事をする環境よりも、自分のペースである程度仕事できるほうが、結果的にアウトプットも良くなると考えています。
編集部
子育て中の方にとっても、その環境はありがたいですね。
まちださん
そうですね。家族のために少し席を外したり、休暇の取得に対しても理解が得やすい環境です。あと祝日やお休みの日は、プロジェクトの状況などが許す限り、自由に動かすことが出来ます。仕事とプライベートの両立がしやすいと感じている社員も多いです。
編集部
ちなみに社員同士が対面で顔を合わせる機会もありますか?
まちださん
デザイニウムには常に決まったチームがあるわけではなく、スタッフの技術や関心などに応じて、様々なプロジェクトにアサインしていく形を取っています。だからこそ、チームメンバー同士のコミュニケーションは必要だと感じています。例えば展示や現地テストの際は、なるべく顔を合わせてコミュニケーションを取るようにしていますよ。
編集部
他にも企業としてコミュニケーション面で工夫している点があれば教えて下さい。
まちださん
年1回の忘年会と、月1回の納会を設定しています。月1回の納会は東京と会津で合同で開催しており、ランチ代の補助が出ます。東京やその他のエリアに住むスタッフはオンラインでの参加が多く、会津のスタッフは出社での参加が多いですね。参加は任意ですが、みんな積極的に参加しています。
デザイニウムの人事評価は、売上だけでなく「アウトプット」全般が対象
編集部
フルリモートだと人事評価が難しい面もあると思うのですが、デザイニウムさんではどのような点を重視して評価されているのでしょうか?
まちださん
人事評価に関してはまだしっかりと固まっている状態ではありません。ただ、納品物に対する売上高だけで評価することはなく、「アウトプット」を幅広く定義して評価しています。
というのも、デザイニウムではエンジニアといっても業務内容や役割が多方面に広がっています。製作して納品するようなクライアントワークもあれば、その前段階であるデモの開発もあります。さらにはデモをSNSで発信するような、マーケティングのようなこともエンジニアが担っています。
「エンジニアだから、ここだけやれば良い」という文化ではなく、自身の担当業務の周辺も拾ってチームプレーで仕上げていくことも求められるため、そのあたりもアウトプットの定義に含まれています。
エンジニアにとっては、システム開発とコンテンツ開発を分けず一気通貫で開発できるので、そのような部分に面白みが感じられるのではないでしょうか。
デザイニウムは「自らのアイデアを形にしたい」という人にフィット
編集部
デザイニウムさんでは、どのような方が活躍されていますか?
まちださん
弊社の社員は自ら進んでコミュニケーションを取り、率先して行動できる方が多いですし、そういう方が向いている業界でもあると思います。業界自体が、あるものから形を作るよりも、新しいものを実際にゼロから作っていかないといけない環境にあるからかもしれません。
また弊社では、我々がアイディアを出してそれを形にしていく試みもしています。何か自分で物を作っていたり、何か売り込みたいものがあったり、特技があったり、そういった方はデザイニウムに入っていただくと面白いかもしれないですね。
過去にダンサーの方が入社した際は、自分のダンスの動きをAIに学習させて、自身とダンスバトルするコンテンツを開発していたことがありました。ご自身の身体能力や体験を最新技術に掛け合わせた活かし方ですね。他にもデザイナーでしたら、製作した3Dデザインを実際の生活や体験に組み込むことで新たな価値をつくるという発想も面白いかもしれません。
編集部
様々な個性を活かすことが出来る環境なのですね。
まちださん
そうですね。ARやXRという軸に、何をかけ合わせるかはあなた次第です。面白い、感動コンテンツを共につくりたい方は、ぜひデザイニウムの門を叩いてみてください。
編集部
「ARの民主化したい」という思いに共感する方や、最先端の感動体験コンテンツを生み出したい方には、デザイニウムさんはうってつけではないかと感じました。本日はありがとうございました!
■取材協力
株式会社デザイニウム:https://www.thedesignium.com/
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