新しい働き方を取り入れている企業の方に、詳しいお話をお聞きしているこの企画。今回は、金融機関や保険会社に属さず、中立な立場を保ちアドバイスする独立系FP(ファイナンシャルプランナー)の集団「FPサテライト株式会社」にインタビューをさせていただきました。
FPサテライト株式会社とは
FPというと「個人相手の相談業務」というイメージがあるかと思いますが、FPサテライト株式会社の業務はそれだけにとどまりません。
さまざまな分野でFPの能力を発揮して利益をあげていくため、そしてFPの地位を向上させるために、記事の執筆・監修やセミナーの講師派遣、法人向けのコンサルティングなど、総合的に専門家の知見を生かした事業展開をしています。
会社名 | FPサテライト株式会社 |
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住所 | 東京都中央区銀座6-6-1銀座風月堂ビル5F |
事業内容 | ライフプランおよびマネープランの設計に関するコンサルティング 記事および書籍等の執筆・出版・販売 セミナーおよび各種講座の企画・運営・受託 など |
会社設立 | 2018年4月10日(創業は2016年11月24日) |
公式ページ | https://fpsatellite.co.jp/ |
今回は代表取締役である町田さんに、働き方やコミュニケーションに関する工夫、FPの活動を広めるための学生・社会人の受け入れについてなど、いろいろなお話を聞かせていただきました。
中立なFPの立場から、正しい情報を広めるための事業を展開
編集部
FP(ファイナンシャルプランナー)といえば、銀行や保険代理店、不動産会社で資産に関する相談をするときに、相談員が持っている資格というイメージがあります。
FPサテライトさんはそういった方々とは異なる「独立系FP」ということですが、その立場を取られている理由はなんなのでしょうか?
町田さん
金融系で働いているFPの場合、自社の商品を販売するようノルマが課されていることも多いので、どうしてもお客様の要望に沿った提案を優先できないケースがあります。
私たちは「中立なファイナンシャルプランナー集団」という肩書きのとおり、どの企業にも属さず中立の立場にいます。保険や証券の販売を扱わないので特定の商品を勧めるようなことがなく、お客様にベストな提案をすることができるんです。
▲お金に関する記事の執筆も主力事業のひとつ(FPサテライトさんの公式ウェブサイトより引用)。
編集部
なるほど。業務内容はどのようなものになるのでしょうか。
町田さん
一般的なFPのイメージどおり、個人の方のライフプラン・マネープランの相談に対応することも多いです。お客様が幸せな人生を送るために、最善な選択をしていただけるようアドバイスしています。
ただ、それだけだと会社としての事業の幅は狭いままですし、私たちの理念を広げるにも限界があります。なので、さまざまな媒体で記事を執筆および監修し、セミナーにも講師として登壇することで、「中立で正しい情報」かつ「お客様の問題を解決する情報」を提供しています。
また、弊社は経済産業省の「経営革新等支援機関」にも認定されていて、中小企業の財務アドバイスなど法人コンサルティングも実施しています。
こういった事業展開が可能なのも、弊社には理念に共感した多くのFPが所属しているからです。それぞれの経験や得意分野に沿って仕事を依頼することで、クライアントに満足していただき、FPの地位を向上していけるように日々努力しています。
創業時からテレワークを継続。育児中でも活躍できる環境
編集部
FPサテライトさんは、すべての所属FPがテレワークをされていると伺いました。いつから導入しているのでしょうか。
町田さん
創業した2016年からずっとテレワークですね。当時、テレワークを導入しているのはほとんどが先進的なIT企業でしたが、異業種でもテレワークを導入することによって働き方に多様性を持たせられますので、これからの時代は肝要になってくるだろうと考えていました。
実際、現状として弊社の所属FPは全員が業務委託で、働き方もバラバラです。さらに、インターンの学生も定期的に受け入れているのでなおさら勤務スタイルが違ってきます。
そのような条件だと、住んでいる場所や対応できる時間も人により異なるので、テレワークが一番自然で効率のよい働き方となっています。
編集部
働き方は人によりさまざまということですが、たとえばどのような方がいらっしゃるのでしょうか?
町田さん
所属FPは全員が女性なんですが、子育てをしながら働いてくれている人はかなり多いですね。全体の約6割が育児中です。また、本業を別に持ち、副業として弊社でFPをしている方もいらっしゃいます。なかには、ESGアナリストやドローンインストラクターなどの仕事と弊社のダブルワークをしているなど、さまざまな方がいらっしゃいますよ。
編集部
なるほど。FPの資格をお持ちで、かつ働く時間や場所が限られている人に活躍していただくために、早い段階でテレワーク環境を整備されたんですね。
メタバースオフィス導入でコミュニケーションがスムーズに!
編集部
テレワークで仕事のやり取りをされる際は、どのようなツールを使われているのでしょうか。
町田さん
いくつか併用しているんですが、チャットツールはChatwork、ウェブ会議の際はZoomを採用して、あとはGoogleカレンダーでスケジュールを共有したり、Googleドライブでデータの受け渡しをしたりというところですね。あとは、進捗管理にBacklogというツールも使ってます。
まだまだリソースもないので、いろいろなツールをリサーチして導入したり、コストをかけすぎず運用したりするにはどうすればいいか考えるなど、かなり工夫してやってきましたね。
編集部
仕事でさまざまなツールを使っていても、ちょっとした会話などのコミュニケーションはなかなか取りづらいというのは、多くの企業が抱える悩みだと思います。何か工夫されていることはあるでしょうか。
町田さん
おっしゃるとおり、テレワーク環境でのコミュニケーションに関してはすごく課題感がありました。オンラインの懇親会を開催することもありますが、それですべて解決できるわけでもないですし。
そこで、つい2ヶ月前ですが「MetaLife」というメタバースオフィスのツールを試験導入しました。これはレトロゲームのような2Dのアバターを操作してオフィス内を移動するもので、アバター同士が近づくと会話ができ、大勢集まれば会議をすることもできます。
他の会社さんの事例を見ていると、常時Zoomをつなぎっぱなしにするようなところもあったのですが、弊社だとPCのスペックも人により異なるのでなかなか厳しい。その中でMetalifeは動作も軽いですし、同時接続25人まで無料なので、コストも規模感も合っていました。
アバターが近づけば気軽に話すこともできますので、コミュニケーションが円滑になりました。少しずつ参加するメンバーを増やしている段階ですが、体験した人からは非常に好評ですね。
編集部
メンバーの方々は、具体的にはどんな感想をおっしゃっていましたか?
町田さん
「実際のオフィスと同じように、ちょっとした相談がすぐできる」「時間をあわせるまでもない会議をすぐに開ける」という声が多かったです。やっぱり気軽に話しかけられるのは他のツールでは難しいですから、その点がスムーズに受け入れられました。
会話なら一言で済むのにチャットしたり、空き時間を調整してZoomを設定したり、細かいことが積み重なると、結構コミュニケーションロスが発生するんですよね。それを防ぐ意味でも導入してよかったです。
編集部
新しいツールを積極的に取り入れて、コミュニケーションを取りやすくされているんですね。リモートの環境でも、気軽に他人に質問して違う視点を取り入れられるのは、仕事にも好影響を与えそうです。
社会貢献の一環として学生インターンを受け入れ
編集部
先ほどインターンについてのお話がありましたが、専門職であるFP関連の事業を展開されている会社としては、少しめずらしいケースなのではないかと感じました。最初に受け入れを決断された理由はなんなのでしょうか。
町田さん
まず、学生の選択肢を広げたいという思いがありましたね。FPが扱うジャンルは非常に幅広くて、保険のみならず不動産や資産投資などさまざまな知識が必要ですし、さらに学んだことを人に伝えるためにアウトプットする能力も必須となります。
アウトプットは、文章にすることだったり、相談業務だったり、他のメンバーと会話することも当てはまります。勉強してインプットするだけではない体験を早い段階でしてもらうことで、驚くほど学生の視野が広がるんですよ。それは、必ずしもFPの道に進むということではなくてもです。
私も学生時代にFPを目指していたんですが、当時はFP資格があっても卒業後の求人は少なく、もちろんインターンの場もありませんでした。なので、自分が学生時代に「あったらいいな」というプログラムを実現していますね。
また、「役に立つ資格」として一定の知名度を得ているとは思うのですが、それでもFPという職業を詳しくご存じない方もまだまだいらっしゃいます。なので、FPの知名度を高めたいという理由もあります。
編集部
単純にインターン受け入れといっても、企業側は時間やコストを割く必要がありますし、目的なしにできることではありませんよね。FPを志す学生を支援すること、そしてFPという職業を広めることに対する強い気持ちを感じました!
インターンの卒業後、独立系FPの仲間になるケースも
編集部
インターンはどのようなペースで受け入れているんですか?
町田さん
毎年3月と9月の5日間、それぞれ3人程度を無給で受け入れています。インターンがスタートしてから丸3年になりますね。インターンの場合はオフィスに出社してもらうので、基本的に都心近郊の学生さんが多いんですけど、本気度の高い人は地方から来るケースもあります。過去には札幌や北九州から参加した人もいましたね。
というのも、弊社のように金融系の企業に所属せず独立してFP業務をやっている会社自体が少ないですし、仮にあったとしてもインターンをやっているところはほとんどないです。その中で弊社に来てくれるのですから、FPに対する思いが強い学生さんが多いですね。
編集部
学生の方は、どのような目的で来るケースが多いのでしょうか。
町田さん
FPの勉強をしたいというのは大前提として、独立系FPの実務を体験したい、先輩FPの話を聞きたいという目的もあるみたいです。あとは、大学と連携することで単位として認定されるケースもあるので、学校経由で来る学生さんもいますね。
みんな感想をしっかり書いてくれるんですが、多いのは「視野がすごく広がりました」とか「これからも学んでいこうと思いました」という声ですね。卒業後はFPの資格を活かす学生さんや、金融とは関係ない企業に就職する学生さんもいますが、その後に長期インターンや所属FPとして仕事をお願いするケースもあるんですよ。
編集部
インターンを体験された学生さんが、FPサテライトさんで学んだことや「独立系FP」の理念をもとに活躍されるケースもあるのは、すごく心強いですね。
ボランティアや企業の研修など、社会人も受け入れ可能
編集部
学生以外では、社会人を受け入れることはあるのでしょうか?
町田さん
ありますね。直近の例だと、ワーキングマザーの支援をしている企業のサービス「ママボラン」経由で、ボランティアを受け入れました。FPおよびキャリアコンサルタントを目指している女性や公務員の女性などに、約6ヶ月間、弊社での業務を体験していただきました。
あとは、大企業の方の越境研修の受け入れもしてたりもします。ケースバイケースですが、普通に勤務しながら1ヶ月のうち約30時間を弊社の業務に割いてもらって、学んでいただくような仕組みになっています。
編集部
そういった方々は、どのようなニーズから参加されているんでしょうか。
町田さん
人によるとは思うのですが、たとえば企業の越境研修だと「大手の看板を外しても市場で通用するのか知りたい」「ベンチャーのスピード感を肌で感じたい」という思いがあったようです。また、ボランティアの女性のケースだと、FPの知識や経験を積むためであったり、異業種の業務を経験してみたかったりで参加されていました。
学生でも社会人でも、弊社ではFPに関心がある、実務を体験したいという人には幅広く門戸を開いています。
実務経験は問わない。学ぶ意欲と謙虚さが大事
編集部
「FPサテライトさんに所属して働きたいけど、FPとしての勤務経験がないから無理だろうな」という人は大勢いらっしゃると思います。そのような人も応募可能なのでしょうか。
町田さん
もちろんです。弊社は未経験の方も歓迎しています。一応FP2級以上という基準は設けていますが、実務経験は必須ではありません。
むしろ、保険や証券を販売していたFPの場合、中立の立場からアドバイスするという弊社の考え方と合わない場合が結構あるんです。もちろん、経験者が活躍できないかというとまったくそんなことはないんですけどね。
ただ、自信満々に「FPのことなら任せてください」と応募される人よりは、「未経験だけど頑張ります」という人のほうが合っている感じはしますね。
編集部
経験の有無のほかには、採用において重要視されているポイントはありますか?
町田さん
そうですね…。一番見ているのはやはり人柄ですね。話してみて、FPに対する想いや学ぶ意欲、謙虚な気持ちがあるかどうかです。本当に覚えることが多い仕事なので、「資格もあるし業務委託ならできるだろう」という考えの方だとちょっと難しいですね。弊社に所属してからも学びとアウトプットを続ける意欲のある方、FP業界を活性化させたい想いのある方を採用しています。
弊社の例でいうと、フリーランスの経験のある方は比較的活躍している印象です。フリーランスは会社に所属しているわけではないので、一回ごとの仕事の質で判断されるわけじゃないですか。だから、ひとつの案件にこだわる本気度と、しっかり研鑽を続けられるという点で有利なのかなと思いますね。
編集部
ただ「サラリーマンとして10年間FPの業務をこなしてきました」という人よりは、「実務経験はないけど、日々勉強を続けています」という人のほうが、フィットする可能性が高いということなんですね。
将来に不安があるなら、選択肢を広げて行動してほしい
編集部
町田さんは今年の7月に著書を出されていますね。FPの視点から世の中に伝えたいことはたくさんあるかと思うのですが、この記事を読んでいる方へのメッセージなどがあればお聞かせください。
※書籍の情報はこちら:PR TIMES-『よくばりに気分よく生きたい私たちに都合のいいお金の教科書』
町田さん
この本で皆さんにお伝えしたかったことは、突き詰めると次の2つしかないんです。まずは「選択肢を広げてください」、それから「行動してください」ということです。
書籍ではステップ形式で経済的自由を得るためのアクションプランを紹介しています。それらの知識を身につけることで「こんな方法もあったんだ」と選択肢が広がりますので、あとは自分でも調べて実践していただくだけなんです。
この記事をお読みの方の中にも、将来が不安な方や今の働き方でよいか悩んでいる方など、たくさんいらっしゃると思います。その不安がどこからくるかというと、知識や自分の軸がないことによる部分が大きいと思います。FPはお金の専門家なので、困ったらぜひ相談してもらいたいですし、自分でもFPの分野に興味を持ったら資格を取得してみてもよいでしょう。
また、現在資格を持っている方で、FPという職業をより良くし、FP業界に革命を起こす弊社の理念に深く共感いただけるなら、ぜひ求人にご応募いただければと思います。
編集部
お金に関する悩みを持たない人はほとんどいらっしゃらないでしょうし、FPサテライトさんが果たす役割も今後ますます大きくなっていきそうですね。
本日はありがとうございました!
■取材協力
FPサテライト株式会社:https://fpsatellite.co.jp/
採用ページ:https://en-gage.net/fpsatellite_career/