働く人たちのワークライフバランスを大切にし、エンジニアが活躍できる職場づくりを進めている企業にインタビューする本企画。今回は、ネットワーク機器メーカーのFXC株式会社にお話を伺いました。同社では、従業員の仕事と生活の調和を重視し、特にエンジニアが能力を最大限に発揮できる環境整備に力を入れています。
FXC株式会社:光ネットワーク機器の企画から販売までを手掛ける総合メーカー
FXC株式会社は、光ネットワーク機器の「WDM」「光メディアコンバータ」「無線アクセスポイント」「スイッチングハブ」を企画・開発・製造・販売しています。「地球上のすべての人々が円滑な"コミュニケーション"を」というビジョンのもと、200種類以上の製品・サービスを提供しています。
会社名 | FXC株式会社 |
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住所 | 本社/東京都台東区浅草橋三丁目20番15号浅草橋ミハマビル7F 関西営業所/大阪府大阪市東淀川区東中島2-8-8ワークステーション新大阪8F 九州営業所/福岡県福岡市博多区博多駅南1-7-14BOIS博多8F |
事業内容 | 光ネットワーク機器の製造・販売・リセール、導入支援サービス |
設立 | 2001年1月 |
公式ページ | https://www.fxc.jp/ |
働き方 | 一定の条件のもとリモートワーク可能 時差出勤制度(7:00~19:30) |
また、同社はテレワーク、時差出勤、産休・育休の取得など、従業員の働きやすさを重視した制度を整えています。
今回は、システム統合チームのO.Tさん、アプリケーション層チームのY.Jさん、マーケティングコミュニケーションチーム兼経営管理部のK.Sさん、経営管理部のM.Kさんに、エンジニアの学習環境や、テレワークなど働きやすい社内制度についてお話を伺いました。
FXC株式会社が新製品発表:低コストで長距離・高速通信を実現
▲FXC株式会社では数々の賞を受賞している
編集部
FXCさんでは、最近どういったトピックがありますか?(取材は2024年2月)
K.Sさん
2024年1月に、10G SFP+モジュール「iSFP+10G-T」という新商品が発売されました。これは、IEEE 802.3anに準拠した10G SFP+対応のモジュールです。カテゴリ 6A以上のUTPケーブルを使用することで、最大100mの伝送距離を実現できます。
現在、10Gネットワーク環境の構築では光ファイバケーブルの利用が主流ですが、新発売の「iSFP+10G-T」と弊社の10G対応スイッチを組み合わせることで、LANケーブルの使用も可能になりました。
これにより、既存のLANネットワーク環境でも、低コストで長距離化と高速化を実現できるようになりました。
編集部
新商品の登場で、ますます効率的なネットワーク構成ができるようになるということですね。
2024年1月から新体制のエンジニア
編集部
FXCさんで活躍しているエンジニアの皆さんについてお伺いしたいと思います。FXCさん全体としては、エンジニアはどれぐらいの比率を占めるのでしょうか。
O.Tさん
幹部を含め社員の半分以上が技術系です。現在は、30人ほどのエンジニアが在籍しており、営業系のSIチーム、開発系のALチーム等に分かれて業務を行っています。エンジニアは、これらのチーム以外にも複数のチームに所属しています。
編集部
チームの規模感、業務内容などを教えてください。SIチームから伺ってもよろしいでしょうか。
O.Tさん
SIチームのメンバーは、私を含めて5名、うち1名は産休中です。主な業務内容は、いわゆる技術営業ですね。お客様からの技術的なお問い合わせに答えたり、案件ごとに機器の検証を行いつつネットワーク構成の提案をしたりしています。
それ以外にも、SIチームという名前の通り、いわゆるSI(System Integration)事業、導入支援も含めてお客様によりコミットしていくことを目指しています。実はSIチームが編成されたのが2024年1月からなので、これから本格的に業務の一環になる段階です。
O.Tさん
販売促進を目的にしたお客様先での出張勉強会や、他の社内チームと協力したセミナーなども積極的に開催しています。展示会などでの技術的な質疑応答を担当することもSIチームの業務です。FXCで働くエンジニアの中では、一番お客様に近い立場で業務を行っています。
編集部
SIチームでは、お客様とのコミュニケーションも重要になってくるのですね。もうひとつのALチームは、どういった業務を担当されているのでしょうか?
Y.Jさん
一言でいうと、開発です。これまでは開発全体で1つのチームだったのですが、2024年1月からナレッジベースに分けて業務を行っています。アプリケーションレイヤ(AL)、フィジカルレイヤ(PL)、ネットワークレイヤ(NL)があります。メンバーは合計20名ぐらいです。
編集部
ALチームのメンバーであるY.Jさんご自身はどういったお仕事をされているのでしょうか。
Y.Jさん
私はソフトウェアの部分を主に担当しています。ネットワーク機器内のファームウェア(機器を制御するソフトウェア)が当社の仕様通り動作しているか確認することがメイン業務です。また、SIチームに来た問合せに対し、開発側の視点から見解を示したり検証したりすることも行います。
編集部
開発を主担当することもありますか?
Y.Jさん
まさに数か月前、「ひとつの製品を作る舵取り役をやってみないか」と社内で声が掛かり、仕様を固めて製作・検証し、量産体制を固めるところまで任されています。プロダクトマネージャーと一緒に、製品の発売に向けていろいろな部署・団体と連携して取り組んでいます。
O.Tさん
SIチームもALチームも新結成したばかりなので、会社全体で新しいチャレンジをしている段階です。今年は、変革の1年になるかもしれませんね。
開発手法はウォーターフォールがベース。エンジニアが新開発を任されることも
編集部
社内でエンジニアがハードウェアの開発を手がけることもあるのでしょうか。
Y.Jさん
基本的には設計図を作成し、工場などに提示します。機器本体だけでなく、梱包する箱やインストールガイドなどについても仕様を作成します。
編集部
製品を開発する上で、どういった手法を取ることが多いですか。
Y.Jさん
基本的にはウォーターフォール(Waterfall)と言われている開発手法に近いと思います。滝のように上から下へ、つまり上流工程から下流工程へ順番に進めていく手法です。ただし、ハードウェアも含む開発なので、テスト時に修正が必要になることもあります。状況に応じて工程の順序を変えたり、並行して進めたりすることもあります。
編集部
その中で、新しい製品の舵取りを任されるなど、いろんなチャレンジができるのでしょうか。
Y.Jさん
エンジニアの実績によって異なります。私の場合、入社後に中心となって開発した製品が成功したため、次は新製品開発の初期段階から任せてもらえることになりました。
編集部
製品の開発段階で、社内やお客様からのフィードバックも反映されるのでしょうか。
O.Tさん
SIチームや営業がお客様の要望を聞いてきて、ハードウェア機能の追加などを反映してもらうことはよくあります。
編集部
SIチームとALチームが同社内にいるメリットを生かしているんですね。
実践的な光ネットワーク機器学習で未経験者も成長
編集部
O.Tさんはお客様に近い立場でエンジニアとして働いていらっしゃるとのことですが、働く上でのやりがいを教えてください。
O.Tさん
私の場合、大学ではコンピュータのプログラミングが専門で、主にPythonやJavaを使った研究をしていました。そのため、ネットワーク関連の知識が全くない状態で入社しました。
仕事をしていく中で、ネットワーク関連の勉強も同時に進めていく必要がありましたが、実務があるからこそ「この知識をこう使うのか」とか「お客様がこういう部分で困っているのか」と実感できるとき、学びが深まりやりがいを感じます。
O.Tさん
学びの観点から、もう一つやりがいがあります。FXCは光ネットワーク機器の企業としては中堅規模なので、営業のスタイルとしてはニッチな部分のアピールが必要になります。
単に「FXCにはこんな製品があります」と紹介するだけでは、なかなかお客様の心に響きません。そのため、他社製品の勉強が重要となります。
「他社製品にはない、FXC独自のメリット」を伝えたり、FXCならではのサポート体制をアピールしたりしています。このアプローチにより、他社機器に関する知識や効果的な営業手法が自然と身につきます。
資格取得サポートと自社ラボでの実践的学習
編集部
資格の取得に対する支援や研修などの機会はありますか?
O.Tさん
はい、社員の資格取得に熱心な会社です。社内全体で資格取得のための勉強会を開催したり、参考書を気軽に貸し出したりしているので、非常に勉強しやすい環境です。
エンジニアのための参考書が社内にたくさんあるので、業務上の問題解決や自己学習に活用できます。私自身もCCNA(Cisco Certified Network Associate)という資格の参考書を本社から借りて、自宅でのテレワーク中に大変役立ちました。
編集部
スキルアップに対するサポートについて、Y.Jさんのお立場ではいかがですか。
Y.Jさん
IT分野では、実務経験が重要な資格が多いのですが、FXCでは自社のラボに本物のネットワークの機器があるので、参考書の内容を実際に試すことができます。無線LANの機器やスイッチングハブなどを使って、参考書に記載されている構成を実際に組んで確認できるのです。
実機を使って「本当に動作した!」「このコマンドを入力するとこういう動きをするんだ」といったことを目で見て確認できるので、非常に効果的な学習ができました。
編集部
参考書の内容を実際に試せる環境があるのは、FXCさんならではの強みですね。
FXC株式会社のテレワーク制度:柔軟な働き方と適度な出社の両立
編集部
FXCさんで働く皆さんのワークライフバランスについて伺いたいと思います。テレワークは可能でしょうか?
M.Kさん
一定の条件のもとテレワークが可能です。週1~2回程度の出社を推奨していますが、業務上必要に応じて出社する形です。ただし、新卒入社の方は入社後1年間、キャリア採用の方は入社後半年間は原則として出社となっています。
K.Sさん
実際に、このオンライン取材も私は在宅で対応しています。2015年に新卒で入社しましたが、テレワークができる環境に加えて、一緒に働くメンバーも良い人ばかりなので働きやすい職場だと感じています。
編集部
エンジニアのメンバーも、ワークライフバランスの取れた働き方ができますか。
O.Tさん
エンジニアもテレワークは可能ですが、実際に機器を操作してパフォーマンスを確認する必要があるため、事務系に比べると出社の頻度は高くなります。私の場合、週1~2回は出社しています。
休暇は取得しやすく、出社やテレワークを選択して柔軟な働き方ができるので、働きやすい環境だと感じています。
チャットツールを活用し、テレワーク中の社員ともスムーズにコミュニケーション
▲オンラインだけではなく、リアルで交流する機会も設けている
編集部
メンバーのみなさんの出社が週1回程度という状況で、コミュニケーションの面ではどのような工夫をされているのでしょうか。
Y.Jさん
私は週2~3回ぐらい出社をしていますが、出社したときには一緒に働いているメンバーが何人かいるので、議論も雑談も含め、いろいろと話しながら作業をするようにしています。そうすることで、1人ではできなかった発見があったりするんですよね。
在宅で仕事をするときも、チャットツールで同じように仕事の話や何でもない話もします。タスク管理については業務用のツールがあるので、そこにコメントを残して、一緒にいるときと同じ形でやりとりを共有できるよう工夫しています。
編集部
チャットツールはどんなものを使っていますか。
Y.Jさん
エンジニアのチームではSlackを使っています。
O.Tさん
社内全体ではGoogleチャットも使っています。営業関連はセールスフォース社のツールで案件の内容をまとめています。
編集部
チャットツールで積極的なコミュニケーションをすることで、在宅ワークが多くても問題なくやり取りできるということですね。
FXC株式会社の福利厚生:育休取得実績と時差出勤制度でライフスタイルに対応
編集部
FXCさんでは産休・育休を取得されている方も多くいらっしゃるんですか。
M.Kさん
現在、産休取得者が1名います。また、過去に女性2名の取得実績があります。会社としては従業員に長く勤め続けてほしいので、産休・育休はとりやすい環境だと思います。
編集部
その他にも、仕事と家庭を両立させる上で好評な社内制度はありますか。
M.Kさん
時差出勤制度があります。通常の勤務時間は9:00~17:30ですが、早い場合は7:00~15:30、遅い場合は11:00~19:30と、個人の事情に合わせて勤務時間を調整することが可能です。
この制度により、通勤時の混雑を避けたり、仕事とプライベートのバランスを取りやすくなっています。
編集部
社内の雰囲気に何か特徴はありますか。
K.Sさん
全体的には明るいムードですが、比較的落ち着いた方が多いと感じます。活発なコミュニケーションを取る方もいて、バランスが取れています。チームごとのコミュニケーションも円滑で、風通しのいい環境だと思います。
FXC株式会社が求める人材:質問を恐れず積極的に成長を目指す方
編集部
それでは最後に、この記事を読んでFXCさんに興味を持った方に対して、採用に関連するメッセージをいただければと思います。
M.Kさん
FXCはチーム制度なので、主体的に行動したり、積極的に質問したりする方が活躍している印象です。自分から何でも聞いて、動いていくことで仕事をスタートさせる意識がある方が向いていると思います。
O.Tさん
営業系の業務の場合は、仕事は自分から探していくことも、お客さんからオーダーが来ることも両方あります。いずれにせよ、積極的な姿勢だと頼もしいですね。
編集部
自分から動ける方が向いているということですね。エンジニアの皆さんからのメッセージはいかがでしょうか。
O.Tさん
僕はほぼ未経験というか、何の知識もない状況で入社したケースなのですが、例えばそういう方でも、他のチームも含めて自分でどんどん質問できる人が成長しやすいと思っています。チームを跨いだコミュニケーションも頻繁に行われているので、わからないことはわかる人に自分から質問できる環境です。
営業ならではの視点、マーケティングならではの視点もありますので、技術職以外の人にもどんどん気になるところを質問して、知識を集約していける人が活躍しやすいと思います。かなり質問しやすい雰囲気なので、そのあたりは心配しなくて大丈夫です。
編集部
O.Tさん自ら、ネットワーク関連の知識がなくても成長できることを体現されていますよね。
O.Tさん
そうですね。私もどんどん社内の人に聞いた結果、入社して1年経った頃には業務上必要なネットワーク関連の知識がある程度身についていたので、専門外の方もついていけると思います。ぜひ一緒にがんばりましょう。
編集部
専門性の高い業務内容にもかかわらず、開発系エンジニア、営業系エンジニア、事務職とそれぞれのチームがリスペクトし合いながら、自然とコミュニケーションを取っているFXCさんの温かい雰囲気がわかりました。本日は、ありがとうございました。
■取材協力
FXC株式会社:https://www.fxc.jp/
採用ページ:https://www.fxc.jp/recruit/