ロールモデルとなるような女性が数多く活躍する企業を特集するこの企画。今回は着物や振袖の販売・レンタルをはじめとする和装事業、ウエディング事業を手掛ける株式会社一蔵にお話を伺いました。
呉服業界のトップランナー・株式会社一蔵
1991年に創業した株式会社一蔵は、呉服業界でトップクラスの売り上げを誇る業界のトップランナー。着物の販売やレンタル、着方教室の運営などの和装事業だけでなく、結婚式場の運営などのウエディング事業の展開を通じて「晴れの日」をプロデュースしています。
会社名 | 株式会社一蔵 |
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住所 | 東京本社:東京都千代田区神田須田町2-5東京神田須田町ビル7階 埼玉本社:埼玉県さいたま市北区大成町4丁目699番地1 |
事業内容 | ・和装事業 ・ウエディング事業 |
設立 | 1991年(平成3年)2月5日 |
公式ページ | https://www.ichikura.jp/ |
「和装」という日本の文化を受け継ぎつつ、時代に合わせた数々の新しい取り組みを進める株式会社一蔵。そんな一蔵の躍進を支える社員は約7割が女性で、管理職も約4割を女性が占めています。幅広い年代の女性がさまざまな舞台で活躍しているのが一蔵の特徴です。
今回は株式会社一蔵の人事部人事課主任である三津谷さんに、女性活躍を支える制度やカルチャーなどについて詳しくお話を伺いました。
業界トップの和装事業、「本物志向」のウエディング事業を展開
編集部
一蔵さんでは和装事業、ウエディング事業と大きく2つの事業を展開されていますが、 まずはそれぞれの事業の特徴を簡単に教えていただけますでしょうか。
三津谷さん
和装事業は弊社が創業した1991年から続く中核事業で、売上も業界トップクラスです。創業当時の1990年代には一般的ではなかった振袖のレンタルをいち早くスタートし、ここまで成長させてきたパイオニア的存在でもあります。
また着物の販売においても、現在に続くような新たな商習慣を導入しています。呉服業界で一般化していた「在庫商品を小売店が製造元に返品する」という慣例を変革し、「現金買取」という仕入制度を取り入れたのは、一蔵が最初なんです。そうすることで質の良いものをリーズナブルにお客様にお届けする仕組みを可能としました。30年以上の歴史の中で、新たな取り組みにも挑戦しながら業界のトップを走っているのが一蔵の和装事業の特徴です。
▲業界トップを走る一蔵さんの和装事業
ウエディング事業には2000年に進出し、現在は国内4か所、海外2か所で結婚式場を運営しています。ウエディング事業の強みは「本物志向のファシリティ」と「内製化したおもてなし」。結婚式場は実存した建築や技法をモチーフにした設計をし、ステンドグラスや外壁のレンガを海外で買い付けてくるなど外装・内装ともに“本物志向”を追求しています。また料理や装花、ヘアメイク、写真撮影など結婚式における一連のサービスを一蔵のスタッフが対応する“内製化”により、新郎新婦のご希望に沿ったおもてなしを提供しています。
▲「本物志向のファシリティ」と「内製化したおもてなし」を強みに晴れの日をプロデュースする一蔵さんのウエディング事業
オリジナル振袖など、革新的な取り組みが生まれる背景に「変化を恐れない」価値観
編集部
和装事業、ウエディング事業の双方に共通するような、一蔵さんで大切にされている価値観はありますか?
三津谷さん
弊社の社長、河端が重んじているのが「昔から受け継がれるものを大事にしながら、変化を恐れず、ときに大胆に新たな価値を創造する」という思いです。この思いは一蔵の社員にも、大切な価値観として浸透しています。
編集部
まさに先ほど和装事業の説明の中でお話いただいたような、新たな取り組みへの挑戦に通じる価値観ですね。最近一蔵さんで実施されている新たな取り組みなどがあれば教えてください。
三津谷さん
一蔵では呉服業界で革新的な取り組みが次々に生まれています。最近の例でいうと、SPA(※)として自社で振袖制作を行っています。振袖は制作できる工房が限られていたり、売れる商品をつくる必要があったりでどうしてもデザインや形などが画一的になりがちなのですが、自社で製造することでオリジナリティのあるものを制作できるのが特徴です。
※SPA…Speciality store retailer of Private label Apparel(製造小売業)の略で、小売業がオリジナル商品の製造に携わること。
編集部
社内スタッフで新たな振袖デザインを考えているということですか?
三津谷さん
はい。このSPAでさらに特徴的なのが、新卒社員の意見も取り入れて制作していることです。
若い世代の社員のアイディアは、これまでの慣習からすると驚いてしまうような斬新なものも多々あります。レースの着物だったり、ギンガムチェックの振袖だったり(笑)。でも実際に振袖を着るのは20歳の若い世代ですよね。その感覚に近い社員から出たアイディアを活かしていくことは大切なことだと考えています。実際に、新卒入社1年目の社員のアイディアを取り入れた振袖がとても人気になった例もありますよ。
編集部
新たな視点を取り入れることで、より魅力的な商品を生み出すことにつながっているんですね。
社員のアイディアも「やってみよう」ですぐ実行
編集部
一蔵さんで新しい取り組みをする際、社員の方が発案したものを実現されることもあるのでしょうか。
三津谷さん
もちろんありますよ。逆に、社員のアイディアに反対されることはほとんどないかもしれません。「ブランドイメージがあるからやめておこう」というのではなく、「やってみよう」という姿勢があるのが一蔵の魅力です。
例えば私が所属する人事課が「採用活動にTikTokやYouTubeを活用したい」といったときも、すぐにOKをいただきました。他にも、これまで一蔵ではショッピングセンターや百貨店などに店舗を置かず自社店舗を中心に展開していたのですが、中途入社した社員から出た「新しいチャネルに出店したい」という意見を受けて、実際にららぽーと海老名に店舗をオープンさせたという例もあります。
一蔵では、実行までのスピード感があるのも特徴です。大企業では承認プロセスが複雑なためにどうしても検討に時間がかかるイメージがありますが、一蔵では社員と経営陣との距離感がとても近く「良いね」というアイディアがあればすぐにやってみよう、というスピード感があるんです。大企業でありながらベンチャーのようなスピード感を持っているのが一蔵の特徴ですね。
編集部
自分のアイディアが尊重され、さらにスピーディーに実行される環境で働くことは、モチベーションにつながりそうです。
女性割合約7割!女性の活躍が「当たり前」の職場環境
編集部
続いて一蔵さんでの女性活躍の状況について伺っていきたいと思います。一蔵さんでは非常に多くの女性が活躍されているとのことですが、具体的な男女比などはお分かりになりますでしょうか。
三津谷さん
一蔵では全従業員に占める女性割合は約68%、管理職に占める女性割合は約37%と、現場の社員にも管理職にも非常に多くの女性社員がいます。和装事業・ウエディング事業共にジェンダー平等を掲げ、多くの女性活躍の機会を創出してきた一蔵の取り組みが評価され、2023年には女性活躍推進企業として「えるぼし認定(※)」の2つ星を取得しました。
※えるぼし認定…女性の活躍推進を評価する5項目「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の一定基準を満たした優良な企業を認定する制度
編集部
全体の約7割が女性で、管理職の中でも約4割が女性というのはかなり高い数字だと思います。一蔵さんでは女性の働きやすさ、活躍をサポートするための特徴的な制度などはあるのでしょうか。
三津谷さん
一蔵は人生の節目のお祝い事に関わる仕事ということもあり、社内に「プライベートでも自分の重要なライフイベントは大切にしましょう」というカルチャーが育まれています。そういった機会にお休みを取ることに対して、周囲の理解も浸透しているのは、男女問わずプライベートと仕事を両立していく上で大きなポイントになっているのではないでしょうか。
制度としても、産休や育休、時短制度といった一般的な制度は一通り整っています。ただ、あえて「女性のための制度」ということを強調しているわけではありません。むしろ、「女性社員がいることが当たり前」「女性の活躍が当たり前」と受け止められている空気感が醸成されていることこそが、一蔵の特徴なのではないかと思っています。
編集部
そういった空気感があると、女性社員の方が新たに一蔵さんにジョインする上でも安心材料になりそうですね。
三津谷さん
その通りです。一蔵では各部署に必ず女性がいて、その女性が皆活躍しているという環境があるので、私自身も入社したときにはすごく安心しました。ジェンダーレスに活躍できる環境があるのが一蔵の魅力ですね。
各ステップに活躍している女性がいることで、自分のキャリアイメージもしやすい
編集部
一蔵さんで多くの女性が管理職に登用されている背景にはどういった理由があるとお考えですか?
三津谷さん
着物やウエディングというのは、一般的に女性の方が興味や関心を持つ分野ですよね。だからこそ、仕事において女性ならではの視点を活かして活躍していける場が多くあるのではないかと思います。またその活躍を平等に評価する体制があるのも、管理職として多くの女性が登用されている大きなポイントです。
編集部
なるほど。三津谷さんご自身は、一蔵さんで働いている中で女性の管理職が多いことへのメリットや魅力を感じる瞬間はありますか?
三津谷さん
着方教室を運営しているボスが女性なのですが、オーラがあってとてもかっこいいんです!目標になるような憧れの女性社員がいることは、仕事をしていく上でとてもプラスに働くと思います。
また各ステップに活躍している女性社員がいることも、自分が長く働く上で安心できる要素になりますよね。そういうキャリアモデル的な存在が社内に多くいて、自分の今後をイメージしやすいというのはありがたい環境だなと感じます。
一生モノの知識とスキルを身に付けられる資格取得支援もあり
編集部
キャリアステップのお話が出ましたが、一蔵さんでは女性のキャリア支援も行っていますか?
三津谷さん
一蔵では和装協会認定の着付資格の取得支援を行っています。定年後も認定資格講師として着付教室で働くことができる、一生モノの知識とスキルを身に付けることができる資格です。一蔵の教室に通われている生徒さんが教室スタッフや講師になるケースも多くあるんですよ。
編集部
年齢の区切りなく活躍できる知識やスキルを身に付けられるというのは素晴らしいことだと思います!他にもキャリア支援として行っていることはありますか?
三津谷さん
パートタイム労働と正社員雇用の転換は積極的に行っています。一蔵では半年に一度、評価制度の軸となる「チャレンジシート(MBO)」を用いた面談を行っているため、その場で「自身のキャリアイメージをどう描いているのか」「どう成長していきたいか」を確認しながら、チャレンジしたい人を後押ししています。
10代から80代まで!幅広い年代の女性と同じ職場で働くことができる“面白い”環境
編集部
一蔵さんで働いている女性社員の方は、どういった年齢層の方がいらっしゃるのでしょうか。
三津谷さん
下は18歳から、上は80代の女性もいます。87歳の女性も着方教室で働いているんですよ!すごいですよね。
編集部
87歳で働かれているのは本当にすごいですね!先ほど言われていた、一生モノの知識やスキルが活かされているんですね。
三津谷さん
はい。着物自体も代々受け継がれていくものであるように、着付も年齢を問わず長く活躍できる仕事なんだな、と実感します。
87歳で働いているのは本当にすごいことですが、60代、70代の方も1店舗に1人くらいはいると思います。教室には本当に女性しかいないので、女性の園みたいになっています(笑)。日常的に30歳、40歳も上の方と話すこと自体が珍しいことだと思いますが、同じ職場で働くことで学べることも多いですし、自分もこうなりたいという目標の存在にもなりますよね。とても面白い職場環境だなと思います。
編集部
年齢を重ねて活躍し続けている姿が近くにあることは、本当に働く上での刺激になると思います。さまざまな学びを得ながら、自身の成長につなげていくことができそうでとても良い環境だなと感じました。
一蔵にフィットするのは「守るべきものを守り、挑戦する人」
編集部
採用のトピックについても伺います。一蔵さんにフィットするのはどのような人物像の方だと考えられますか?
三津谷さん
最初にお話したように、一蔵ではチャレンジする精神を大切にしています。その一方で、すべてを変えてしまうのではなく、古き良きものを愛し、伝統を紡ぎながら新しいことにチャレンジする姿勢も大切です。
守るべきものを守り、その上で新しいものに挑戦していくことを大切に思える人が、一蔵にはフィットするのではないかと考えます。
時代に合わせて進化する一蔵と共に成長し続けられる方を歓迎
編集部
最後に、この記事を読んで一蔵さんに興味を持った読者の方に向けて、採用メッセージをいただけますでしょうか。
三津谷さん
一蔵という会社は、創業以来ずっと和装事業を展開しながら、日本人が何百年もの間大切にしてきた文化や、そこに眠る美しい精神や価値観を一途に伝えてきました。
今後はその枠をさらに超え、それらを次の世代に受け継いでいく上で、ただ文化を守るのではなく「時代に合わせて進化させていく」ことに、とことん向き合っていきます。一蔵と共に成長し続けられる仲間がいれば、ぜひご応募ください。
編集部
幅広い年齢層の方が活躍する一蔵さんでは、自分のこの先のキャリアイメージを明確に描きながら成長できる環境があると感じました。本日はお忙しい中、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社一蔵:https://www.ichikura.jp/
採用ページ:https://www.ichikura.jp/recruit/