【人事のプロ監修】面接の「質問への答え方」完全攻略|評価の8割が決まる回答ロジックと志望動機の作り方

面接対策と聞くと、「よくある質問への回答」を必死に丸暗記しようとしていませんか?実は、その対策こそが、あなたの評価を下げる原因かもしれません。

採用担当者が知りたいのは、綺麗な回答ではなく「その回答に至ったプロセス(Why)」です。ここを無視して表面的なテクニックに走っても、プロの面接官にはすぐに見透かされてしまいます。

本記事では、累計2万人以上の面接を行ってきた人事のプロ、株式会社人材研究所の曽和利光氏が監修を担当。

面接官が本当に聞きたい「評価の8割を決める質問」への答え方や、ありきたりな志望動機を「刺さる志望動機」に変えるロジックを徹底解説します。

>>前編「”面接での自己紹介”攻略法」

監修者

株式会社 人材研究所

代表取締役社長 曽和 利光

リクルートやライフネット生命など多種多様な業界で人事トップを務め、2万人超の求職者と対峙してきた採用のスペシャリスト。企業が「誰を採用したいか」という評価基準や、組織心理学に精通している。現在は人事コンサルタントとして活躍中。人事のプロの視点から、後悔しないキャリア選択と内定獲得のための戦略について監修を行う。

更新履歴

2025年12月3日

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  • 各章に結論まとめを追加しました

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粕尾英行のプロフィール写真
編集者

ミライのお仕事編集部

粕尾 英行

「ミライのお仕事」を運営するMoreJob株式会社にて、記事の企画立案や編集を担当、編集歴は8年。今まで金融・通信・小売・WEBの4つの業界を渡り歩き、リゾートバイトをしながら日本一周をしたこともある。これまで4回の異業種転職を活かして、転職希望者が即実践できるノウハウ記事が好評!

面接官からの質問に対する「効果的」な答え方

曽和氏の結論

面接官が「評価しやすい」回答構造を徹底せよ

面接官があなたの情報を引き出す手間を軽減するほど、評価の精度は高まります。「質問+回答」のラリーを待つのではなく、「問題・対策・結果」を自ら提示してください。

自ら情報を開示してくれる候補者ほど、面接官にとっては評価しやすく、好印象に繋がります。

編集部

短い時間の中で、自己アピールを十分にするためには、面接官からの質問に対してどのように答えていけばいいでしょうか?

曽和氏

面接官がだいたい最初に質問するのは、「前職でどのような成果を上げましたか」「前職で困難を乗り越えた経験について教えてください」といったざっくりとした質問です。

それに対して、「問題・対策・結果」、つまり、「どんな問題があり、どんな対策をして、どのような結果になったか」を伝えると良いです。

そこが話せれば、面接官も質問がしやすく、「どんな環境だった?」「どう考えて対策を思考した?」「苦労したところはどこだった?」といった「環境・思考・苦労」深掘りの質問をしていくことができます。

もっと言えば、「こんな環境でこんな問題があって、それにこんな思考をして、実際にこんな対策を実行しました。そこにはこんな苦労があったんですけど、こんな結果が出ました」ここまでしっかり話せれば、面接官は聞きたいことは十分に深掘りできた!という感覚になります。

面接では喋りすぎちゃ駄目だと言う人が多いのですが、僕としては聞きたいことを勝手に喋ってくれることほど、簡単で楽な面接はないなと思います。

まとめると、まずは自己紹介で掘り下げて欲しい実績について言及しておく。その質問が来たときに、話が長くなったとしても、自分のエピソードを論理的かつ具体的にきちんと回答していくのが重要です。

自己アピールを十分にするための答え方の良い例

伝えたいことが伝わらないNGな答え方

曽和氏の結論

「端的に話す」の罠にハマるな

「手短にお願いします」と言われても、中身のない一問一答はNGです。

相手が知りたいのは事実の羅列ではなく、その場の情景が浮かぶ「ディテール(5W1H)」。映像が浮かばない回答は、記憶に残りません。

編集部

なるほど、よくわかりました。

逆に、こんな答え方はあまり良くない、といった注意すべきポイントはありますか?

曽和氏

面接では意外と多いのですが、一問一答のような回答は避けた方が良いですね

「前職何やってたんですか」と聞いたら、「営業です」以上、みたいな感じです。これだとそれ以上の話が続かないし、ヒントがないので、次にどう質問していいか分からない。

「営業でどんなお客様にどんな製品を売っていて、1人で200社抱えてやってました」ここまで言ってくれれば、「200社もどうやって関わるのですか」と自然に深掘り質問が出てくるわけです。

よく「短めに、端的に」と言われますよね。でも、わかりやすい話というのは、端的にシンプルなことが重要なのではなく、イメージができるかどうかが重要です。

いろいろディテールを話してもらわないと、相手の話のイメージが湧きません。面接官側が想像できるくらいの情報を伝えないといけないのです。

例えば、「営業でMVPを結構取ってました。」とだけ言われても、「何のMVP?」「そのMVPってどれぐらいすごいの?」といちいち聞かないと、イメージが全くできないですよね。せめて5W1Hに当たる部分は明確に回答した方が良いです

面接で聞かれる「志望動機」の答え方

曽和さんと対談中の画像

曽和氏の結論

「御社絶対」という建前は捨てよ

「その会社じゃなきゃ絶対に駄目」という人はほとんどいません。

無理に運命を感じたフリをするより、「私の会社選びの基準は〇〇で、御社はそれに合致します」とロジカルに伝えたほうが、よほど誠実で信頼されます。

編集部

面接官が必ずすると言っていい、テッパン質問のようなものはありますか?

曽和氏

仕事の実績に関してはすでに触れた通り、「どんな場面で何をやってどんな成果を上げたのか」が必ず聞かれます。仕事の実績に関する質問で、評価の8割くらいは決まります

もう2割は「仕事や働くことに対する考え方、価値観」になります。これを知るための質問として、「志望動機」が聞かれます。「うちの会社入って何をしたいか?」とか「5年後10年後どうなりたい?」という形で聞かれることもあります。

編集部

「志望動機」って難しいなと思います。応募者の目線で考えると、正直、「強い志望動機を持っていてこの会社に全てを賭けている」という人は少ないと思うんですね。そうなると、志望動機はどうにか作り上げないといけないと悩む人もいるのではないかと思います。

曽和氏

確かに、志望動機が一番難しいかもしれませんね。その会社じゃないと絶対に駄目だという人なんてほとんどいないと思います。「たまたま受けただけ」もありますし、他に探せばあるかもしれないのが、本音だと思うので、みんなやりにくいと思うんですよね。

おすすめの解答としては「自分の会社を選ぶ基準が、これとこれとこれで、それが御社のこういう部分に当てはまると思ったので受けましたです。

「なぜ御社でないと駄目なのか」ではなく、会社選びの基準にちょっと付け足す形の志望動機の方が、自分にも素直になれますよね。なぜここじゃないと駄目なのかを無理に考えて「ロジックおかしいな」と思われるよりはいいと思います。
会社選びの基準が当てはまる部分を見つけて答える

「理念や事業内容に共感した」だけではNG

曽和氏の結論

会社の解説をするな、自分の「原体験」を語れ

「御社の理念に共感しました」と言うだけの人は落ちます。

必要なのは、「なぜ共感したのか(Why)」です。「過去にこういう悔しい経験があったから、この理念が必要なんです」と、自分の原体験とセットで語られて初めて、志望動機は本物になります。

編集部

よく「御社のこういう理念やこういう事業内容、社会への価値提供に共感した」という答え方があると思いますが、これはいかがでしょうか。

曽和氏

それだけだと良くないですね。多くの人が陥りがちなのが、その会社や仕事で、何が好きなのかだけ言って終わってしまうことです。

例えば「リクルートに入りたい」という応募者に「なぜ応募したのですか」と言ったら、リクルートのどこがいいか、リクルートの話をし出すんですよね。

「リクルートは人生の節目、人の人生の節目節目でいろんな情報を提供することによって、その人たちが自分らしい人生を生きるための応援をしている会社です。そこに共感をしたんで私は入りたいと思いました」みたいに。

これってリクルートの説明を、リクルートの人にしてるわけなんで、「そうだけど?」となるわけですね。"Why"が抜けるんですよ。何が好きは言うんですけど、なぜ好きかの"Why"が抜けているので、これをまずちゃんと言いましょう

編集部

なるほど。「事業内容に興味があります。」も”Why”の説明が十分にできてないですよね。

曽和氏

はい。さらに気をつけてほしいのは、"Why"には、良いWhyと悪いWhyがあるんです。

悪いWhyはいつまで経っても理屈の世界で回ってる人です。例えばさっきの「自分らしい人生を生きるために応援している企業だからいい」というお話があったときに、「なぜですか」とWhyを聞くと、「いろんな人が自分らしく生きれば、世の中の多様性により、創造的な社会になりますよね。グローバル競争にさらされてる日本においては、創造性が重要だと思います」みたいな感じです。

いわゆる一般論で理屈をこねるみたいなんですけど、「そうかもしれんけど、それはあなたと何の関係があるんだ」と思うわけです。結局その価値観が表面的なものなのか、その人に根付いている重要なものなのかはわからないので判断には使えないんです。

であれば、自分の人生のエピソードと絡めて回答するのが良いです。「何でそんな価値観になったかというと、こんな環境で生まれ育った、こういう出来事があった、こういう人に出会った、こういう仕事経験があるから」ですね。

「なるほどそんな経験、きっかけがあるんだったら、その価値観、確かにあるよね。根付いた価値観だね」そうすると「いいんじゃない」となるわけですね。

価値観が自分に根付いたものだと伝える

編集部

なるほど。

例えば、私がWEBメディアの編集をやりたいとなったときに、「世の中に価値のある情報を届けたいと思ったからです。」ではなく、「学生時代からブログやSNSで情報を発信し、それにアクションをもらえることに喜びを感じていました。だから、世の中の多くの人に価値のある情報を届けたいと思っています。」

こんな感じで言えばいいと言うことですね。

曽和氏

ええ、後者の回答だと印象はすごくいいですし、その人に根付いているものだと証明できると思います。

根付いた価値観がなぜ重要かというと、同じ能力の人だったら、根付いた価値観を持ってる人の方が仕事で困難が発生したときに頑張れることが多いんです

綺麗事や綺麗な言い方をするかどうかよりも、根っこが入った本物の価値観なのかどうか、それを本当に持った上で行動しているのかをチェックしているんですね。

先程の「アクションをもらえる喜びにやりがいを感じる」のであれば、納期が近く時間がなくても、完成した後のアクションを想像し、そこをモチベーションに良いものを作ろうと思ってくれるのではないかといった感じですね。

どんな価値観かの内容ではなく、その価値観が本人にどのような影響を与えるかを知りたいんです。

価値観の証明の仕方は他にも、その価値を持ってるからこそ、行動に移してることがあれば、それについて説明するという方法もあると思います。

ネガティブな理由で転職する場合の転職理由の伝え方

曽和さんと対談中の画像

曽和氏の結論

不満は「未来の希望」に変換せよ

前職の愚痴を言った時点で「他責思考」と判断され、試合終了です。

現職に「ないもの」や「不満」を理由にするのではなく、「未来で得たいもの(Will)」を明確に設定し、「もっと生産性の高い環境で挑戦したい」「成果に見合った正当な評価を受け、より大きな責任を担いたい」と、すべてのネガティブ要因をその実現へのポジティブな動機に変換して伝えてください。

編集部

「志望動機」は転職理由に近しいところがあると思います。叶えたい自分の未来があるから転職をすると言うのが理想でそれを語れればベストだなと思います。

一方で、ネガティブな理由から転職をする人が多いのも事実ですよね。こうした転職理由とかってどのように答えていくのが良いでしょうか。

曽和氏

そうですね。面接官は基本的に前職の状況を知らないわけですから、そこでネガティブな話をするのは他責な印象が生まれてしまいます。なので、ネガティブな話はしない方が良いと思います

ネガティブな理由も、逆に求めたいものとして言い替えることでポジティブな理由に変えることができると思います。「もっとこういうものを得たいから」「ここにないものを得たいから外に行きたい」という言い方もあると思いますし、「出たいわけじゃないんだけれども、こっちに行きたい」という言い方もありますね。実際に、僕もリクルートが大嫌いで辞めてではなくて、後ろ髪を引かれるような思いででも、ライフネットに行くことによって得られるものがあるからってことで移りました。

「未来でどうなりたいか」というところから、現職では得ることのできない、転職によって自分が得たいものを転職理由とするのが良いんじゃないかと思いますね。