時代を捉えた独自性のある事業で注目される企業を紹介する本企画。今回は、企業が経営状態や財務状況などを広報する「IR活動」の支援や、上場準備中企業や上場企業を対象にしたコミュニティ運営などを行う「株式会社IR Robotics」にインタビューしました。
株式会社IR Roboticsとは
株式会社IR Roboticsは、IR活動の支援などを通じて「成長企業のさらなる成長」をサポートする会社です。
企業の決算や経営戦略などを動画で紹介するサービス「IRTV」のほか、上場準備中企業や上場企業を対象とした会員制コミュニティの運営、ハイクラス人材と成長企業のマッチング事業などを手がけています。
会社名 | 株式会社IR Robotics |
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住所 | 東京都千代田区麹町5-3-23 We Work日テレ四谷ビル |
事業内容 | ・IR DX事業 ・エデュケーション事業 ・CxO人材紹介事業 |
設立 | 2013年11月 |
公式ページ | https://ir-robotics.co.jp/ |
働き方 | ・フレックスタイム制(コアタイム10時〜15時) ・ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
事業拡大に伴って社員数が増加するなか、株式会社IR Roboticsでは重要な経営戦略の1つとして社内コミュニケーションの強化を図っており、「ハピコミ」と呼ばれるユニークな取り組みや動画を用いた社内報の活用などを通じて相互理解を深めています。
今回は、成長の秘訣や社内カルチャー、人材育成の取り組みについて管理本部の前田さんにお話を伺いました。
IR領域の支援を通じて「成長企業」のさらなる成長を支援
▲株式会社IR Roboticsは「成長企業がより成長するためのビジネスプラットフォームになる」というビジョンを掲げている(公式サイトから引用)
編集部
まず最初に、IR Roboticsさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
前田さん
弊社は、「成長企業がより成長するためのビジネスプラットフォームになる」をビジョンに、成長企業を支援する事業を行っています。
私たちが定義する「成長企業」とは、「上場企業」、「監査法人契約済の上場準備中企業」、「将来的な上場を考えている企業」の中でも、積極的な人材への投資や意欲的な事業拡大などを通じて企業価値の向上に積極的に取り組んでいる企業のことです。
弊社では、このような企業の成長を支援するために「IR DX事業」、「エデュケーション事業」、「CxO人材紹介事業」の3つの事業を行っています。
編集部
ひとつめの「IR DX事業」はどのような事業でしょうか?
前田さん
企業のIR活動(※)を支援する事業で、主にIR関連動画のサブスクリプション型撮影配信サービス「IRTV」の運営を行っています。IRTVでは、企業のトップや担当者が出演して、「経営戦略」や「決算速報」などテーマごとにIR情報を発信することができます。
(※)企業が株主や投資家に対して経営状態や財務状況、業績などを広報する活動
編集部
IRTVで配信された動画を投資家が見ることで、企業のIR情報を正しく理解し、投資判断に役立てることができるのですね。
前田さん
はい。この20年ほどで情報のデジタル化が急速に進み、IRについても情報公開のスピード化や効率化が実現しました。しかし私たちは、IR分野におけるテクノロジーの活用にはまだまだ可能性があると考えています。
弊社は国内最大規模のPR会社「株式会社ベクトル」のグループ会社として、PRやマーケティングのノウハウを取り入れながらIRのDX化を推進したいと思っています。
編集部
「エデュケーション事業」と「CxO人材紹介事業」についても教えてください。
前田さん
エデュケーション事業では、本気でIPO(※)を実現したい企業のための「Next IPO Club」、IPO後も継続的な成長をしたい企業のための「上場企業倶楽部」などの会員制コミュニティ運営を行っています。「Next IPO Club」では、上場2年未満の企業の経営者を講師に招いてIPOに役立つ知識を提供したり、証券会社や監査法人などIPOに必要な専門機関の紹介などを行っています。
(※)Initial Public Offeringの略語で、未上場企業が証券取引所に株式を公開し、一般投資家に売り出すこと
また、2023年7月からは、売り手と買い手の理想的なM&Aを目指す「M&Aスタディクラブ」という新しい会員制コミュニティも開始しました。
CxO人材紹介事業(※)では、ハイクラス人材と成長企業のマッチングサービス「CxO人材バンク」や、上場企業のCxO経験者のキャリアや仕事論などを紹介するYouTubeチャンネル「CxOの履歴書チャンネル」を運営しています。
(※)CxOは、企業活動における業務や機能の責任者の総称
編集部
「成長企業がより成長するためのビジネスプラットフォームになる」というビジョンの通り、成長を目指す企業を支える重要なサービスを展開しているのですね。
IR Roboticsの業績拡大を支えるのは市場ニーズと社員の成長意欲
編集部
成長企業を支援するIR Roboticsさん自身も、順調に成長を続けていると伺いました。
前田さん
はい。多くの上場前後の企業様に弊社のサービスをご利用いただいており、売上高は毎年30%以上増加しています。主に既存3事業の成長によって業績を拡大しており、ここ数年間は毎年10名ほどのペースでメンバーを増やしています。
編集部
右肩上がりで成長している要因は何だとお考えですか?
前田さん
日本経済を支えているのは、弊社がクライアントとする「成長企業」だと思っています。感染症や海外情勢の影響を受けて経済状況が変わったとしても、成長意欲のある企業様は必ずいるので、弊社は継続的に事業成長を続けられるのだと考えます。
また、IPOや投資をめぐる近年の環境が事業の追い風になっているとも感じます。例えば、日本のIPO件数はリーマンショックによって激減しましたが、近年は回復傾向にあるので、弊社が運営する「Next IPO Club」のようなIPOを目指す経営者向けコミュニティの重要性が増しています。
それに加え、投資に関心を持つ日本人が増えているので、IR情報を分かりやすく手軽に入手できる「IRTV」のような個人投資家向けの情報配信サービスもこれまで以上に求められていくと思います。
ほとんどが未経験からスタートし、研修や書籍でIRの知識を習得
▲社内の本棚にある書籍は自由に読むことができる。成長意識を高めるとともに、メンバー間の交流にもつながっている。
編集部
IRやIPOに関わる情報を発信するIR Roboticsさんには、このような分野の専門知識を持った方が入社されることが多いのでしょうか?
前田さん
実は、ほとんどのメンバーが専門知識を持たない未経験の状態で入社します。ただ、高い成長意欲を持つ社員が集まっているので、書籍などを利用して自己研鑽する社員がたくさんいます。
社内には「IR Robotics図書館」という制度があり、読んだ本をグループチャットに投稿し、おすすめし合ったり感想を言い合ったりして知識の習得につなげています。得た知識を自分のものにするだけでなく、組織やチームに還元しようとする姿勢が根付いていると感じます。
また、事業の性質上、成長企業の経営者と直接コミュニケーションをとる機会が非常に多いので、そこで様々な知識を得たり、自身の視座を高めるきっかけになったりすることもありますね。
編集部
人材育成に関する今後の戦略がありましたら、教えてください。
前田さん
弊社は2023年度に、「Professional」「Personality」「Hospitality」「Intelligence」「Teamwork」という5つのバリューを策定しました。
具体的には、お客様より圧倒的に「専門性」を高めること、仕事でもそれ以外でも成長するために「人間性」を磨くこと、先回りして相手を思いやる「気遣いの精神」を持つこと、自分をアップデートするために良質な「インプット」をし続けること、チームとして「お互い様精神」を持ち助け合うことを大事にしています。
これらのバリューを社員の行動指針としてだけでなく、採用活動や人材育成の場面でも意識しながら進めていく予定です。
編集部
未経験から成長できる環境がしっかりあることも、IR Roboticsさんが企業成長を続けられる要因だと感じました。
柔軟な制度設計が特徴。IR Roboticsが目指す「働きやすい職場」
編集部
ここからは、IR Roboticsさんでの働き方や、ワークライフバランスについて伺いたいと思います。こうした点で特徴的な取り組みや制度はありますか?
前田さん
まず、弊社では正社員にはフレックス勤務を導入しています。10時から15時をコアタイムとして、それ以外の時間帯についてはそれぞれが状況に合わせて柔軟に調整しています。
また、週3回を上限にリモートワークをすることが可能です。月曜日は全社ミーティングがあり出社が必須なので、それ以外の曜日から在宅勤務の日を設定することができます。弊社には子育中の社員もいますが、出社とリモートワークをうまく組み合わせながら仕事との両立を実現しています。
このほか、フリーアドレス制も取り入れています。シェアオフィスに入居していることもあり、固定の席を設けず、自分で好きな席を選んで業務を行っています。
編集部
お話しいただいたような働き方は、どのような経緯で導入することになったのでしょうか。
前田さん
フレックス制については創業当初から導入していましたが、フリーアドレス制やリモートワークはここ数年で新しく取り入れました。
フリーアドレス制は事業部間のコミュニケーションを促進する目的で導入し、リモートワークについては社員数が増え、多様な働き方に対応するために導入しました。仕事だけでなく働き方も自分で選択することができるような環境を作ることで、本当の意味での「主体性」を促していると考えています。
「ハピコミ」と「社内報」でコミュニケーションを促進
▲カジュアルなコミュニケーションがとれる「ハピコミ」は社内文化として根付いている。
編集部
社内コミュニケーションの促進というお話がありましたが、IR Roboticsさんがコミュニケーションを重視する理由や、具体的な取り組みについてお聞かせいただけますか?
前田さん
弊社には3つの事業部門がありますが、3部門全てで同じクライアント様と関わっています。そのため、事業部ごとの横の繋がりは経営戦略上とても大切であると考えており、様々なコミュニケーション施策に積極的に取り組んでいます。
代表的なコミュニケーション施策として、ハッピーコミュニケーションを略した「ハピコミ」があります。一言で言うと、社員同士がビール片手にカジュアルに会話することを会社として奨励する制度です。
シェアオフィス内にビールサーバーがあり、誰かがビールを飲んでいたらそこに他の社員が集まってきて自然と会話が始まったり、「今日ハピコミしよう」という感じで誰かが企画することもあります。
編集部
勤務時間内に行っているのですか?
前田さん
はい。ハピコミは勤務時間中に開催して良いというルールになっています。
ビール片手に、という雰囲気の方が自然にコミュニケーションを始められますし、堅苦しくない方が何でも話せると思います。もちろんお酒を飲めない社員はソフトドリンクで参加しています。
▲動画による社内報を撮影しているようす。
編集部
とてもユニークな取り組みだと感じました。もし他にも取り組んでいることがありましたら、教えてください。
前田さん
社内報にも力を入れており、現在2つのテーマで定期的に動画でコンテンツを発信しています。
ひとつは「みんなの履歴書」といって、MC役の社員とゲスト役の社員が対談をするという形式で、ゲスト役の社員の経歴やどんな人生を歩んできたかを深堀りするコンテンツです。CxO人材紹介部門が運営するYouTubeチャンネル「CxOの履歴書チャンネル」の社内版を作ってみようというアイデアから始まりました。
編集部
社員の得意なことや興味があることがわかると、その人にあったプロジェクトに起用したりすることもできますね。
前田さん
はい。社内のコミュニケーションのきっかけになることはもちろん、人材の抜擢や最適配置にも生かしていきたいと考えています。
もうひとつ、「Leader's Voice」というコンテンツがあり、ここでは弊社の代表取締役を務める金が社員に向けてさまざまなことを発信しています。
人材育成のために取り組みたいことなど、金が経営者として考えている内容もあれば、親孝行の大切さなど、バリューとして掲げている「Personality」や「Hospitality」を高めるような内容について話すこともあります。
編集部
社員が増えて組織が大きくなると、社内カルチャーの浸透が難しくなったり、社員の結束が弱まったりすることがありますが、さまざまなコミュニケーション施策を行うIR Roboticsさんならそのような心配もいらないのではないかと感じました。
「業務効率の重視」と「風通しの良い風土」で残業時間を短縮
編集部
成長が著しいベンチャー企業には「残業が多い」というイメージを持つ人もいますが、IR Roboticsさんではいかがですか?
前田さん
弊社ではほとんどの社員が遅くても19時には退勤しています。おっしゃる通り、「ベンチャー企業なので残業時間が長そう」というイメージを持たれることが多いので、弊社では採用の際などに働きやすい環境であることをしっかりとアピールするようにしています。
編集部
集中して短時間で成果を上げているということですね。生産性を上げるために意識していることはありますか?
前田さん
業務効率を意識して働く風土が社内に浸透していると感じます。また、弊社は20代の若手社員が多い会社ですが、アイディアを遠慮せずに発信でき、議論し合うことができる風通しの良さがあるので、この点もスムーズな業務進行につながっているのではないかと思います。
編集部
率直に話し、行動することで、ムダのない働き方ができているのですね。
IR Roboticsでは営業を経験するインターンを検討中
編集部
IR Roboticsさんでは、これからインターンの受け入れにも力を入れたいということですね。
前田さん
はい。現在アルバイトとして働いてくれている学生さんはいるのですが、今後はインターンの受け入れも検討したいと思っています。
編集部
インターンとして参加する場合、どのような業務を経験してほしいとお考えですか?
前田さん
まずは営業活動に携わるようなお仕事を体験してもらいたいと思っています。その理由は、営業を通じてビジネスの全体を把握することができるからです。
編集部
インターンの重要性を感じたきっかけはありますか?
前田さん
これまでに3名、アルバイトから社員になってくれた方がおり、3名全員がとても活躍してくれていることが大きな理由です。
3名はアルバイトの仕事を通じて社内の雰囲気や事業内容への共感を深め、面白そうだと思って入社を希望してくれました。入社前に弊社のことを深く知ってもらうことの大切さを実感したので、今後はインターンでもそのような取り組みができればいいなと思っています。
編集部
IR Roboticsさんの事業の独自性やカルチャーを魅力に感じるインターンはきっと多いと思います。
経営者との仕事を通じて自己成長したい人を歓迎!
編集部
最後に、IR Roboticsさんで働くことに興味を持つ方に向けたメッセージや、求める人物像についてお話いただけますでしょうか。
前田さん
私たちは、自己成長をしたいと本気で思っている方、勉強や自己研鑽に時間を惜しまず、「活躍できるビジネスマンになりたい」という思いを持ちながら20代を過ごしたい方を歓迎します。
IR Roboticsならではのポイントとして、若手社員であっても上場前後の企業の経営者の方と直接コミュニケーションをとったり、一緒にビジネスをしたりする機会を持つことができます。これは他の企業ではなかなか経験できないことなので、この環境をご自身の成長のためにフルに生かしていただきたいと思っています。
IRやIPOに関連した事業を行っていますが、ほとんどが未経験からのスタートです。今後は社内研修会などの教育サポートも強化したいと思っていますので、成長意欲がある方ならきっと活躍できると思います。
編集部
上場前後の成長企業支援という、ユニークな事業で成長を続けるIR Roboticsさん。社内コミュニケーションを推進するカルチャーがあるので、新しくメンバーになる人も安心して働くことができるのではないでしょうか。
本日は、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社IR Robotics:https://ir-robotics.co.jp/