独自のサービスと若手の活躍で大きな成長を遂げている企業をインタビューする本企画。今回は、社会人向けの話し方、伝え方トレーニングサービスを手掛けている株式会社カエカにお話を伺いました。
株式会社カエカとは
▲伝えることについて課題を感じているあらゆる人をサポートしている(公式ページより)
「すべての人生にスポットライトを」をミッションに掲げる株式会社カエカは、AIを活用して話す力を数値化し、社会人向けの話し方・伝え方トレーニングをおこなうサービス「kaeka」を展開しています。
同社の受講生は企業の役員やコンサルタント、政治家など幅広いです。「伝える」ことを生業にしているあらゆる人のサポートを手がけています。
会社名 | 株式会社カエカ |
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住所 | 東京都中央区銀座3丁目14-10 第一恒産ビル3F |
事業内容 | ・スピーチライティング事業 ・スピーチトレーニング事業 ・スピーチスクール事業 ・ライブ・イベント事業 |
設立 | 2019年12月 |
公式ページ | https://kaeka.jp/ |
kaekaの受講生を指導するトレーナーの人数は、約1年で6倍に増えました。20代前半の人材がマネージャーを務めるなど、多くの若手メンバーが活躍しています。
成長の背景や若手が活躍できる要因について、トレーナー・人事部長の小倉琳さんにお話を伺いました。
社会人向けの伝え方トレーニングサービスを展開するカエカ
▲伝え方トレーニングサービスのほかAIを活用して話す力をスコア化する「kaeka score」を展開している
編集部
初めに、カエカさんの事業内容についてお教えください。
小倉さん
カエカが展開しているのは、社会人向けの伝え方トレーニングサービス「kaeka」です。声の出し方やスピードといったところから、価値観の言語化など、人に何かを伝えるにあたって必要な力を育むオフライン・オンラインレッスンを運営しております。
受講者の年齢層は高校生から70代までと幅広いです。私は約20人ほどのクラスを担当していますが、さまざまな年齢の方が一緒に学んでいます。
編集部
コミュニケーションに関するレッスンで幅広い年齢層の方が一堂に会して学ぶというスタイルは珍しいですね。レッスンコースはどのようになっているでしょうか?
小倉さん
3ヶ月と6ヶ月の2つのコースがあります。スタンダードなのは6ヶ月ですが、ご状況によっては3ヶ月をご受講される方もいらっしゃいます。受講料は3カ月のコースで約25万円ですね。
編集部
3カ月学ぶとどのぐらいのレベルに達するのでしょうか?
小倉さん
カエカで3カ月学べば、自信を持って魅力的に人前で話せる状態にまでなれます。「話すことについて何も考えられなかった」「緊張でどうしようもなかった」という方にも準備の方法を学んでいただいて、しっかりと人前に立って話せるようになるというイメージです。
6ヶ月間学んでいただくと、準備時間がない状況でも即興でしっかりと話せるようになります。また、より継続的に学習をしていただけるため、全体的なレベルもさらに高まりますね。
編集部
3カ月でそのレベルになれるとは魅力的なサービスです。伝え方について学ぶ上では自分の現状のレベルを知ることが大切だと思うのですが、話し方のレベルについてはどのように可視化しているのでしょうか?
小倉さん
カエカは話す力を可視化する「kaeka score」というサービスを展開しています。これはオンラインで受けていただける「伝える力のweb診断」で、お話しいただいたデータをAIと専門家が採点するサービスです。
編集部
自分の現状のレベルを知り、納得感を得たうえでレッスンに臨めるのですね。
顧客から感じるコロナ禍のコミュニケーションへの影響
▲レッスンの受講者の7割ほどは人前で話すことが苦手な人だという
編集部
受講者はどのような課題感を持ってカエカさんのサービスを利用されているのでしょうか?
小倉さん
ひとつは「人前で話すことが苦手」という方ですね。話すことが苦手なため仕事に対して自信が持てなかったり、プレゼンの予定があるたびに不安になったりという方が多いです。
一方で、受講者の中には人前で話すことが得意という方もいらっしゃいます。そのような方は「話す力について改めて学びたい」「自分の話す技術がどのぐらいのレベルにあるのか確かめたい」というニーズを持っていますね。
編集部
「人前で話すことが苦手だから学びたい」というニーズだけでなく、伝える技術のレベルアップを図って受講される方もいらっしゃるのですね。コロナ禍でオンラインによるコミュニケーションが増えましたが、改めて伝えることの難しさを実感されている方が多いのでしょうか?
小倉さん
お客様と接していて、コロナ禍は多くの方のコミュニケーションに影響を与えたと実感しています。オンラインでのコミュニケーションの難しさは、対面だと感じられていた雰囲気や空気感が感じられないところにあるのではないでしょうか。
また、オンライン、オフラインを頻繁に行き来することによって課題も発生しています。オンラインに慣れすぎたことで対面のコミュニケーションに難しさを感じる方もいらっしゃるようです。
編集部
オンラインでのコミュニケーションツールは今後必須になってくるというなかで、カエカさんのサービスへの需要もますます高まりそうですね。
トレーナーは1年で6倍に。さまざまな「話のプロ」が揃う体制
編集部
設立から2023年で4年目を迎えられるカエカさんですが、現在どのようなペースで成長されているのでしょうか?
小倉さん
私たちのサービスは受講者が増えればそれだけトレーナーも必要となります。なので、トレーナーの人数の変化が成長度合いの指標としてわかりやすいと思いますが、2022年3月ごろはトレーナーが3人でしたが、現在は18人となっています。
編集部
トレーナーの人数が約1年で6倍増というのは、すごい成長の速さですね。話し方のトレーニングをする場所といえばアナウンサースクールなどが挙げられますが、類似サービスと比較してカエカさんの強みとして挙げられるのは何でしょうか?
小倉さん
カエカの強みは、体系化されたトレーニングカリキュラムとさまざまなバックグラウンドを持つトレーナーです。
カエカは、これまで4,000名の方々にトレーニングを提供してきました。その中でこだわってきたのは、「このカリキュラムをしっかりと学べば、話す力を伸ばすことができます!」といえる体系化されたカリキュラム作りです。
例えば、カエカでは話す力を14要素に分解して、詳細にスキル定義をしています。要素別に分解するからこそ、「できている、できていない」をしっかりと判断して前に進むことができるようにしています。
編集部
「うまく話せない」という共通の悩みでも、その実態は人により異なるでしょうから、要素別に分解することで改善することができるんですね。ちなみに、どのようなトレーナーの方々がいらっしゃるのでしょうか。
小倉さん
例えばアナウンサースクールだと、元々アナウンサーだった方が指導しますよね。カエカはアナウンサーの方にも関わっていただいておりますが、それ以外にも演劇出身の方や弁論を得意分野とする方、営業部門のマネージャーをされていた方、大学の教員を務められていた方など、さまざまな話のプロフェッショナルが集まっています。
彼らがカエカ独自の育成プログラムを経て、トレーナーとして受講生のレッスンに向かっていきます。さまざまなバックグラウンドを持つ人材がいるからこそ、幅広いニーズにお応えすることができるんです。
編集部
自分の課題に合わせたトレーナーからレッスンを受けられるというのは、受講生からすると魅力的ですね。ほかにも、AIを活用したサービスを展開しているのは一つの特徴だと思いますが、その点はいかがでしょうか?
小倉さん
カエカは「話す力、伝える力を科学する」というメッセージを受講生に発信しています。話す力を大切だと多くの方が思われていますが、いざトレーニングするとなると感覚的な話になってしまいがちです。
その点、カエカではAIを活用して人の話す力を数値化し、しっかり分析しながら「こうすれば人の話す力は伸びる」と根拠を示しながら指導していくことを大切にしています。
プロとして一歩踏み込んで受講生に課題を伝えられることが強み
▲徹底して顧客の視点に立つことで多くの受講生からサービスが支持されている(公式noteより)
編集部
大きな成長を遂げられているカエカさんですが、サービスについて受講生からはどのような反応があるでしょうか?
小倉さん
受講生からは「話し方に関する課題が解決したことで人生が変わった」「前向きになれた」というお声をいただいております。私もトレーナーを務めていますが、このような声をいただくとやはり嬉しいですね。
また、レッスンから卒業されて2~3年後の受講生から「あの時kaekaで学んでおいてよかった」という言葉をかけられることもあります。最近も、サービス初期にご受講いただいた方から、2年ぶりにご連絡いただいて「プレゼンテーション大会に優勝したよ!」とご報告いただきました。
受講生の皆さんと長い付き合いができていると実感でき、とても嬉しかったです。
編集部
ここまで受講生に愛される理由は何でしょうか?
小倉さん
カエカのサービスが受講生に愛される理由は、徹底して受講生の成長にこだわったサービス作りをしているからだと思います。
私たちは、受講生の方の課題をしっかりと言語化し、改善のための練習方法をご提案します。決して安くない金額と貴重なお時間を頂戴しているからこそ、「成長」にこだわってサービス設計をしています。
編集部
受講生への提案は、どんな事例があるのでしょうか?
小倉さん
例えば、受講生の話し方の課題として「抑揚がない」ということが挙げられるとします。この課題について「抑揚がありませんね」と伝えるだけでは改善をすることができません。私たちは、そもそも「抑揚」とはどのようなもので、なぜ抑揚がないように聞こえるのかをご説明します。
「抑揚」は「話の高低」「話のスピード」「声の大きさ」「間の取り方」という4つの要素で構成されています。この定義に従って、より具体的に「どの要素に注力して練習をしたら、抑揚がつくようになるのか」についてアドバイスしていくのです。
いわば「なんとなく捉えている課題」について向き合うことが、受講生の成長にこだわったサービス作りだと思っています。
編集部
「伝える」ことのプロとしてあいまいな言葉でアドバイスを送るのではなく、受講生にとってわかりやすい表現で改善点を伝えていく。カエカさんのプロフェッショナルな姿勢が伝わってきました。
20代前半でマネージャー。情熱ある若手が活躍するカエカ
編集部
さまざまな専門分野を持つ方が働いていらっしゃいますが、若手のメンバーも活躍しているのでしょうか?
小倉さん
カエカでは20代前半のメンバーがチームリーダーを務めているなど、若いメンバーが活躍しています。トレーナーをまとめているマネージャーも20代前半です。代表の千葉(佳織さん)も20代後半ですし、若手が活躍できる環境が整っているといえるでしょう。
編集部
活躍している若手メンバーに共通していることは何でしょうか?
小倉さん
若手に限りませんが、カエカで活躍するメンバーは3つの特徴があります。
まず一つ目が「話すことについて情熱を持てるようなバックグラウンドがある」ということです。カエカのメンバーはもともと話すことが得意なメンバーだけでなく、苦手だったというメンバーもいます。苦手だったからこそ、カエカのサービスの重要性を伝えられるのです。
次に、「受講生の成長にこだわる」ということが活躍しているメンバーの共通点になります。常に受講生と向き合う立場にいるので、どれだけ顧客の視点を意識できるかということが重要になってきます。
最後に、「自分の考えていることを素直に口に出す」ということも活躍しているメンバーの共通ポイントです。私たちの仕事は「伝える」ための方法を教えることです。なので、自分が会社に対してどう思っているのか率直に伝えられる方は活躍できると思います。
編集部
オープンマインドにある方が活躍されているということですね。
幅広い世代が在籍、メンバーの間で築かれているフラットな関係性
編集部
会社全体で見ても、カエカさんには若いメンバーが多いのでしょうか?
小倉さん
カエカは決して若いメンバーだけで運営している会社ではありません。50代の方がトレーナーとして働いていたり、30~40代の部長レイヤーもいたりと、年齢に関してはフラットだといえます。会社として求めることと、メンバーたちのアウトプットが積み合わさった会社ですね。
編集部
若手だけでなく、幅広い年齢層のメンバーさんが活躍されているのですね。異なる世代間でのコミュニケーションも円滑に行われているのでしょうか?
小倉さん
もちろんです。年齢が上の方であっても、年下のメンバーにリスペクトを持って接しています。「役職が上だから従わせる」というのもありません。
そもそもですが、カエカのメンバーは人の話に強い関心を持ってよく聞く方ばかりです。話というのは仕事に関するものだけでなく、プライベートに関するものも含みます。お客さま一人ひとりに関心を持って話を聞くという姿勢は、メンバー同士でも同様です。
編集部
メンバー間でフラットな関係性を築けていることも、若手の方が活躍する要因といえそうですね。
新しい教育の概念を創ることに興味がある方と働きたい!
▲「カエカだからこそ生み出せる価値がある」と話す小倉さん
編集部
最後に、カエカさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
小倉さん
カエカは日本において、非常に珍しい事業を展開している会社です。私たちが目指すのは、誰もが自分の思いを言葉にして、一度きりの人生を主人公として生きられる社会です。そのために、「伝え方学習」を全国に広げる挑戦をしています。
「人の成長を見られる仕事がしたい」「話す力は重要だと思っている」「大きな野望を持ったスタートアップで挑戦したい」など、カエカに少しでもご興味を持っているならば、ぜひ一度お話をさせてください。
編集部
国内では珍しいサービスを展開しているからこそ、カエカさんでは大きな学びが得られると感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社カエカ:https://kaeka.jp/
採用ページ:https://herp.careers/v1/kaeka