企業の成長やテレワークなどによる新しい働き方を紹介するこの企画。今回は最先端XR(※)技術を駆使したライブエンターテインメントのプロデュースを手掛ける株式会社LATEGRA(ラテグラ)にインタビューをさせていただきました。
※XR:クロスリアリティ。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)など、現実と仮想の世界を融合して疑似体験を提供する空間を創り出す画像処理技術の総称
株式会社LATEGRAとは
株式会社LATEGRAは、VR(※1)やAR(※2)など最先端のデジタル技術を駆使し、リアルとバーチャルが融合する拡張した世界を創るエンターテインメントカンパニーです。
ライブイベントやメタバース(※3)の開発などさまざまな事業展開を通し、人々の感動を呼ぶLIVE体験を提供することで、 誰も体験したことのない“面白い世界”の創造を目指しています。
(※1)VR:Virtual Reality。仮想世界を現実世界のように体験できる技術
(※2)AR:Augmented Reality の略。現実空間に仮想世界を重ね投影して見せる技術
(※3)メタバース:インターネット上の仮想現実空間を利用し、ユーザー同士のコミュニケーションや現実さながらのライフスタイルを送ることができる世界
会社名 | 株式会社LATEGRA |
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住所 | 東京都中央区晴海4-7-4 CROSS DOCK HARUMI 402 |
事業内容 | ・ライブ/イベントの企画制作 ・CG/映像の企画制作 ・AR/VRを活用したリアルタイムグラフィック特化型サービスの提供、サポート、コンサルティング ・モーションキャプチャー、ライブ配信スタジオの運営 ・メタバースの企画、プロデュース ・デジタルプロモーションの企画制作 ・空間デザイン、プロデュース ・ライフスタイル商品/サービスの企画、プロデュース、販売 |
設立 | 2017年5月 |
公式ページ | https://lategra.co.jp/ |
働き方 | ・専門型裁量労働制(テレワークを含む) ・フルフレックス制 |
株式会社LATEGRAは、ライブイベントプロデュースに加え、近年では豊富なコンテンツを持つ株式会社小学館との共同事業で誕生した新しいメタバース「S-PACE」を展開。技術の進展とサービス開発によって拡大傾向にあるXRなどを主力に、さまざまなコンテンツや空間を世に送り出しています。
今回は、株式会社LATEGRAの魅力あふれる事業内容や将来性、社内カルチャーやテレワークによる働き方などについて、同社経営管理部人事担当の松崎さんにお話を伺いました。
リアルとバーチャルの融合で、「面白い」「楽しい」「快い」世界を創造
▲株式会社LATEGRAでは高杉晋作の言葉である「“オモシロキ コトモナキヨヲ オモシロク」をミッションに掲げている(公式サイトから引用)
編集部
近年、ゲームやエンターテインメントなどを中心に、XRやメタバースといった言葉を耳にする機会が増えています。最先端のデジタル技術を活用するLATEGRAさんの事業内容についてまずはお聞かせください。
松崎さん
当社は、エンターテインメントの領域で、仮想と現実を融合するXR技術を用いたイベントの企画やCG・映像の制作、メタバースなどを手掛けるエンターテインメントカンパニーです。“オモシロキ コトモナキヨヲ オモシロク”をミッションに、現実世界とバーチャル世界の融合によって、「面白い」「楽しい」「快い」世界を創造しています。
近年、ライブ会場と、動画配信サービスによる生(ライブ)配信を同時に行うニーズが増えています。当社では会場のお客様向けのライブコンテンツに加えて、インターネットを通してライブを楽しむ方に向けて、ライブ映像にCGでつくられた3D映像やキャラクターなどのARが載った映像を配信しています。
松崎さん
最近では、株式会社小学館との共同開発で、メタバース「S-PACE(スペース)」のβ版をリリースしました。
「S-PACE」は、未就学児童に大人気のキャラクターや昔から親しまれている人気のコミック、若い女性向けの雑誌など、さまざまな世界観をエリアごとに再現しており、老若男女問わず仮想空間の中で楽しく遊ぶことができるコミュニティプラットフォームになっています。
▲小学館との共同開発によって誕生した、メタバース「S-PACE(スペース)」では誰もが気軽に仮想空間を楽しむことができる
編集部
お話をお聞きしているだけでワクワクします。LATEGRAさんではライブ演出とデジタル技術による仮想空間の演出を融合させることで、これまでにない世界を創造されているんですね。
松崎さん
おっしゃる通りです。当社では、XRやメタバースのようなワクワクする空間をリアルの世界に再現することを目的に、オフィスや商業施設などのスペースデザインのプロデュースも行っています。プロジェクトを担うスペースデザイン部門では、そこで過ごす人が心地良く感じられる空間の創造を目指しています。
▲スペースデザイン部門では、オフィス、飲食、宿泊などの空間デザイン、設計に関わる全てをトータルプロデュース・サポートしている
成長の背景にある高いXR技術と時代の流れ
編集部
新型コロナウイルスによる変化をきっかけに、近年ではゲームやエンターテインメントの領域のみならず「VRミーティング」などビジネスシーンにおいてもXR技術は注目され、市場においても高い将来性が見込まれています。その理由についてLATEGRAさんの見解をお聞かせください。
松崎さん
XR市場の高まりに最も深く関係しているトピックとして、バーチャルキャラクターやVtuberの流行が挙げられます。ゲームの人気に火が付き、そこからキャラクターが独立してXRライブを行ったり、VTuberが行うバーチャルライブも増えています。
また、ここ数年リアルで人々が集まることが制限されていた中で、ライブは現地開催に加え配信とセットになったハイブリッド型のエンターテインメントの供給が非常に増えていることも、XR市場が高まっている要因と考えます。配信でライブに参加する方は、実際の映像にARを重ねた映像を見ることで、プラスの演出を楽しむことができます。
編集部
なるほど。配信は現地のライブ会場の臨場感を味わいつつ、ARが加わることで楽しみ方に付加価値をつけられるというわけですね。そのようなニーズが高まっている実情の中、2017年の創業以来、LATEGRAさんが成長し続けているのは、どのような理由があるとお考えでしょう。
松崎さん
企業成長の背景には時代のニーズやXR技術の需要の高まりなどさまざまな理由があると思われますが、当社の強みとして挙げられるのが、リアルのライブイベント制作に携わってきたプロデューサー、ディレクターとデジタル技術のスペシャリストが集まっているという総合力です。
代表である山形(代表取締役の山形龍司さん)は元々リアルのライブイベントのプロデューサー・演出家であり、ライブイベントのノウハウや経験、観客にどんなメッセージを届けるのかを常に考えています。
そこに、AR・VRを活用したリアルタイムグラフィックの技術力や、CG・映像のプロデュース力を持つスペシャリストたちが融合したことにより、ライブエンターテインメントの更なる発展と、新規事業創出が可能となりました。
デジタル技術を得意とする企業は、一般的にライブ会場の熱量をバーチャルでどう再現するかの知見は浅く、課題となるケースが多いです。しかし、当社はその両方を兼ね備えているので、これまでになかったライブエンターテインメントを提供できることが、成長の一番の理由と考えます。
編集部
リアルなライブプロデュースや演出を得意とするメンバーと、高い技術力を持つメンバーが融合することで、ライブエンターテインメントの世界はさらに面白くなりますね。とても楽しみです。
3倍に増えた社員数。事業のコアになるメンバーが集結
▲2021年3月に新オフィスに移転。社員は明るく開放的な雰囲気の中で業務にあたっている
編集部
近年、規模が大きくなったLATEGRAさんですが、それに伴い、企業として成長を実感していることはありますか?
松崎さん
当社は、2017年の設立当時は社員数20名からスタートしました。6年が経過した現在は、合併も経て社員は60名にまで増えています。また、ビルの小さな1室だったオフィスも、事業拡大と共に徐々に拡大しました。ほかにもいろいろとありますが、社員数が増えたこと、事業やオフィスが拡大したことで成長を実感しますね。
編集部
LATEGRAさんの現在のオフィスはとても広いですよね。
松崎さん
ありがとうございます。2021年3月に移転したばかりの新オフィスは、おしゃれで開放的な雰囲気になっています。
オフィス内には大規模モーションキャプチャースタジオを設け、豊富な機材を使用して気軽に検証を繰り返しながら開発できる環境があります。
▲大規模モーションキャプチャースタジオでは豊富な機材を使用。開発に取り組んでいる
編集部
LATEGRAさんは、今後企業としてさらなる成長を遂げるために何が必要と考えておられますか?
松崎さん
ARはここ数年で一気に市場拡大したこともあり、現在の業界のフェーズは落ち着いた状態にあります。そのような状況の中で、今後企業としてさらなる成長を遂げるためには何が必要かを考えた時、単に人員を増員するのではなく、当社の新たな挑戦を牽引する、コアになるメンバーが必要という結論に至りました。
これは、メタバースのような新規事業だけでなく、海外市場においても同じです。
編集部
LATEGRAさんは、海外におけるXR市場も開拓されているのですね。
松崎さん
当社は、これまでも中国において人気のあるバーチャルキャラクターのライブやテレビコンテンツを手掛けてきているのですが、1年前から日本からの出向者と中国籍の社員が業務にあたり、更なる市場の開拓を目指しているところです。
編集部
日本国内のみならず、海外におけるXR市場にいち早く着目したLATEGRAさんの先見の明が、今日の企業成長を支えているとも言えますね。
作り手が楽しむことでエンターテインメントはさらに面白くなる
編集部
近年、新たに生まれた社内カルチャーなどがあればぜひ、お聞かせください。
松崎さん
当社がバリューとして掲げているのが、感謝や信頼です。互いの強みをしっかり認識し、尊敬していることが当社の魅力だと感じます。
エンターテインメントの存在価値はお客様を楽しませることですが、それを実現するためには作り手側も楽しまなければ、面白いコンテンツを作ることはできません。当社には自分だけではなく、共に働く人たちと「楽しい」「面白い」を共有することが社風として根付いています。
もちろん、意見の相違があったり、時にはぶつかることもありますが、面白いライブイベントを作り、お客様を楽しませる共通認識と、リスペクトをし合った上での摩擦なので、最終的にはお互いが納得した着地点に落ち着くことができます。
編集部
VR制作やイベント制作は、それぞれを単独で手掛ける企業が多いですよね。では、リアルライブの演出とバーチャル演出の両方を手掛けるLATEGRAさんならではのチームとしての強みとはなんでしょう。
松崎さん
先にも申し上げたように、デジタル技術によるバーチャル空間の演出を得意とするメンバーとリアルなライブ会場での演出を手掛けてきたメンバーがいること、そして全く新しい分野に挑戦している新規事業のメンバーなど、少人数ながらも様々な専門・経験をもったメンバーがいることが最大の強みですね。
リアルとバーチャル、それぞれの良さがわかっているからこそ、さまざまな視点から意見が出ることはとても良いシナジーだと思っています。どんなに意見がぶつかったとしても結果、それぞれの視点からユーザーが心から楽しんでもらえる世界を創ることができるからです。
編集部
それぞれの見地を誇りに、丁寧にお互いに見つめ合いながらライブエンターテインメントを制作されていることがよくわかりました。
パフォーマンスを最大限に活かせる働き方を自分で選択
編集部
ここからはLATEGRAさんの働き方についてお話を伺いたいのですが、勤務形態はどのようになっていますか?
松崎さん
制度としては専門型裁量労働制またはフルフレックス制を設けています。会社の規定にはめるのではなく、ライフスタイルや所属する部署、職種に合わせた働き方になっています。
専門型裁量労働制とは、仕事のパフォーマンスを最大限に出せる方法を自分自身で考え、実践するといった働き方です。場所や時間に制限はなく、「週〇日は最低出社」というような出社義務も設けていません。1人で作業をすることが多いCGデザイナーの中にはほぼテレワークで作業に集中し、スタジオで機材を使った検証を行う際には出社するというメンバーもいます。
また、クライアント様との打ち合わせ業務などが発生する制作チームは、進行管理なども含めてコミュニケーションが重要になってくるので、「この期間は出社をしましょう」といったように柔軟に対応しているのが実情です。
編集部
会社が社員を信頼しているからこそ実現できる働き方ですね。松崎さんのワークライフバランスはどのようになっているのでしょう。
松崎さん
人事担当の私の場合、事務的な業務は在宅で行い、面接がある日や対面でのコミュニケーションが必要と判断した時などは出社しています。平均すると週に1、2回出社、残りがテレワークといった勤務形態になっています。私を含め、バックオフィスを担う社員はほぼ同じようなワークライフバランスになっています。
編集部
テレワークに対する社員さんの反応はどうですか?
松崎さん
導入するまでは、在宅で仕事は難しいと考える社員が多かったのですが、実際にやってみると、意外と仕事がはかどるといった反応が返ってきました。
会社で作業をしていたクリエイターの中には集中するあまり、業務が夜間にまで及ぶメンバーもいましたが、テレワークに切り替わったことで通勤時間がなくなり、家族との時間が取れるようになったそうです。
当社がもともと導入している専門型裁量労働制とフルフレックス制は、自由度が高い働き方ではあったのですが、全社員が出社してる時は中抜けなどができにくい雰囲気があったように思われます。テレワークを本格的に導入することで、自分で働く場所、時間を決めるという意識が根付いたことは良い傾向だと感じます。
子育てとキャリアの両立がLATEGRAでは常識
▲女性の育児休暇取得率100%の株式会社LATEGRAでは、男性社員による育児休暇も推奨している
編集部
LATEGRAさんにおける、子育て世代のワークライフバランスについてもお聞かせいただけますか?
松崎さん
2人の子供がいる広報担当の社員のワークライフバランスを見ると、学校行事がある時は早朝や夜間に作業をするといったように、ライフスタイルに合わせて勤務時間を調整していることが伺えます。
ワークライフバランスが改善されたことで、子育て世代でもキャリアを諦めず、子育てとの両立が可能となりました。もちろん、育児に専念したい場合は育児休暇を取ることも可能です。
中国、タイ、マレーシアの国籍を持つ社員も在籍する当社は、働き方にも多様化を促進しています。例えば、男性の育児休暇取得の推奨、家族との時間を優先したい時期はテレワークといったように、みんなでそれを理解するといった風土があります。
ただし、テレワークによるコミュニケーション不足といった課題があるのも事実です。リアルとデジタルの融合を基幹事業としている当社は、事業と同じようにそれぞれのメリット・デメリットを理解した上でベストな在り方を模索しています。
例えば、全社会議を月に一度実施し情報共有の場を設けたり、リアルで集まった際には社員は有志でランチを作って一緒に食べたりと、コミュニケーションの活性化を図っています。
編集部
ライフスタイルに合わせて働き方や育児休暇を選択できる制度は、結婚や子育てを控える若い世代にとっても安心感がありますね。LATEGRAさんの企業成長の背景には、ハイブリッドな働き方が大きく関係していると感じました。
仕事を楽しみ、共に会社を創るマインドを持った方を歓迎
編集部
将来性のあるXR市場の中でも成長著しいLATEGRAさんですが、採用にあたり、求める人物像や重視されているのはどんなことでしょう。
松崎さん
当社のミッションである“オモシロキ コトモナキヨヲ オモシロク”が表すように、エンターテインメントを仕事にするからには、自分自身が仕事を楽しめる方が絶対条件としてあります。
業務の性質上、ライブイベントに合わせたスケジュールとなるため、納期の遅延は絶対に許されません。そのような緊張感のある局面を迎えても、“やらされている”のではなく、“どんな状況でも楽しもう”と思える方が向いている仕事だと思います。
また、設立から間もない当社では現在、組織を構築している段階です。これまでは組織文化を意識せずにやってきたのですが、会社の将来を見据えた今、組織や会社としての文化をしっかり作っていこうという意識が芽生えています。
そのフェーズにあるLATEGRAに今、ジョインすることは、共に会社を作っていくことでもあります。会社が与えてくれるのを待つのではなく、自律駆動して、自分自身も会社を作っていくというマインドを持った方と共に「面白い」「楽しい」「快い」世界を創造していきたいですね。
編集部
LATEGRAさんが誇る最先端の技術と、エンターテインメントへの熱き思いを今回の取材で感じることができました。XR市場を牽引するLATEGRAさんの一員になることで、観客はもとより、自らも楽しみながら仕事に向き合うことができますね。
本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社LATEGRA:https://lategra.co.jp/
採用ページ:https://lategra.co.jp/recruit/