成長企業や若手が活躍する企業を紹介していくこの企画。今回は、M&Aマッチングプラットフォームを運営する「株式会社M&Aクラウド」をご紹介します。
株式会社M&Aクラウドとは?
▲従来の仲介モデルから発想を転換し、求人広告型M&Aプラットフォームを運営している
株式会社M&AクラウドはオンラインM&Aマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」を運営する企業です。「テクノロジーの力でM&Aに流通革命を」をミッションに掲げ、2015年12月に設立されました。
「M&Aクラウド」を使えば、買い手企業は求人サイトのように買収窓口を設置し、M&A方針や実績を発信することで売り手企業を集めることができます。一方、売り手企業は、売却手数料無料で買い手企業の情報を閲覧したり、直接コンタクトを取ったりすることができます。
同社はこうした求人広告型M&Aプラットフォームのビジネスモデルを構築したことで、スムーズなM&Aの実現を支援しています。
「M&Aクラウド」は、2018年4月のサービス開始後3か月で9.2億円のM&Aが成立。現在では買い手の登録企業数は2,600社以上、売り手の登録企業数が9,000社以上に達し、月間約300マッチングを生み出すなど順調に成長しています。
■「M&Aクラウド」のサービスページ
https://macloud.jp/
株式会社M&Aクラウドはこのほか、M&Aアドバイザリーサービスなども提供しており、テクノロジーの力でM&Aに流通革命を起こそうと挑戦しています。
会社名 | 株式会社M&Aクラウド |
---|---|
住所 | 東京都新宿区新宿一丁目34-16 清水ビル3階 |
事業内容 | M&Aマッチングプラットフォームの運営及びアドバイザリー事業 |
設立 | 2015年12月7日 |
公式ページ | https://corp.macloud.jp/ |
今回は、株式会社M&Aクラウドの事業成長と若手が活躍できる風土について、人事の戸澤さんとCSの齋藤さんに伺いました。
スピーディに売り手と買い手をマッチングし、M&A実現を支援
▲「M&Aクラウド」サービスサイトの一例。買い手企業は買収ニーズを登録できる
編集部
はじめにM&Aクラウドさんの事業概要について教えてください。
戸澤さん
私どもは主にスタートアップの資金調達やスタートアップM&A、そして事業承継M&Aに関わる支援として、4つの事業を展開しています。
1つめは「M&Aクラウド」というマッチングプラットフォーム事業です。M&Aの売り手と買い手のマッチングが日々アクティブに行なわれており、プラットフォーム上でM&Aが成立します。
2つめが、「M&A Cloud Advisory Partners」、通称MACAP(エムエーキャップ)と呼んでいるアドバイザリー事業です。現在20名ほどのアドバイザーが在籍しています。
3つめが、2022年11月に立ち上げた資金調達を支援するプラットフォーム「資金調達クラウド」です。こちらは事業会社・CVCからの資金調達に特化したサービスです。
最後の4つめが、「M&Aクラウドエージェント」です。これはスタートアップM&Aではなく、全国の事業承継に悩む企業のM&Aを支援するサービスです。
編集部
主力事業である「M&Aクラウド」では従来の仲介モデルと違う求人広告型のビジネスモデルを構築されたと拝見しました。従来の仕組みや他社との違いはどこにあるのでしょうか?
戸澤さん
M&Aプラットフォームの会社さんは他にもありますが、弊社が他と大きく違うのはターゲットと仕組みです。「M&Aクラウド」はIT業界に特化しており、IT上場企業の約35%が買い手として弊社をご利用いただいています。また、売り手のご登録企業様も約半数がIT企業という強みがあります。
また、求人広告で有名な「リクナビ」さんになぞらえて、「M&A版のリクナビ」とも言えるような、求人広告型の仕組みが特長です。「M&Aクラウド」には求人広告のように買い手の名前、M&Aニーズ、買収実績、インタビューなどが載っており、売り手は直接その記事を見てアプローチをすることができます。仲介業者が入る従来のM&Aの仕組みとは、まったく違うものになります。
編集部
これまではクローズドだった買い手の情報が開示されているのですね。売り手が直接アプローチできることで、売り手と買い手のマッチングがスピーディに行えるのでしょうか?
齋藤さん
そうですね。売り手企業様は登録した当日からM&A活動が開始できますので、その日のうちに買い手企業様とのマッチングに至ることもあり得ます。
従来の仲介型のM&Aでは、まずアドバイザーが売り手企業とNDA(秘密保持契約書)を結び、IM(企業概要書)と呼ばれる売り手企業の詳細資料をしっかり作り、買い手候補先の企業に打診をします。そして興味を持たれたら今度は買い手企業とNDAを結び、アドバイザーが面談します。その後、ようやく売り手企業が面談に出てくるというステップで、買い手と売り手が会うまでに早くても1ヵ月半くらいかかるのが商慣習でした。
しかし、「M&Aクラウド」であれば、サービス登録時にNDAの締結は完了しており、買い手候補先の企業リストアップは10分ほどで完了します。過去にはマッチングから2週間で成約となった事例があります。仲介型のM&A支援会社さんが資料を作り込んでいる間に、弊社では成約ができてしまうのです。
■2週間でM&Aに至った事例はこちらから(公式サイト)
https://macloud.jp/interviews/22
社内のバリューの浸透とプロダクト志向が事業成長のカギ
▲株式会社M&Aクラウドの3つのバリュー
編集部
「M&Aクラウド」は、2018年5月にサービス開始後3か月で9.2億円のM&Aが成立したそうですね。直近の成約件数も伸びてきていますか?
齋藤さん
成約件数では、2023年は現時点で昨年比180%以上の成長率を達成しています。今年はまだ10月の段階の数値ですので、前年比はこれからもっと伸びる見込みです。
編集部
このように成長を遂げた理由はどこにあるのでしょうか?
齋藤さん
要因は主に2つあると思っております。1つは企業価値を最大化するバリューが浸透していることです。3つあるバリューのうち、特に顧客志向である「2nd Priority(セカンドプライオリティ)」という意識が非常に高く、無意識レベルで体現しているメンバーが多いと思っています。
2つ目に、テックカンパニーであることに誇りを感じているプロダクト志向のメンバーが多いことです。皆がテックへの感度が高く、プラットフォームでM&Aを創出する世界を作ろうと意気込んでいます。M&AアドバイザーでもSQLでサブクエリ関数まで書いてデータ抽出を行なえる人材が複数揃っている組織はそう多くないと思っています。
編集部
「2nd Priority」は「それ以外の都合は2番目に置いておき、まずはなによりユーザーを大事にすること」という価値観ですね。齋藤さんがバリューの浸透を感じる具体的なエピソードがあれば教えてください。
齋藤さん
私の所属するプラットフォーム事業部では、営業活動において分業型の組織形態をとっています。分業型組織の一般的な課題として、各チームが担当領域のKPIだけを追えばいいというような「部分最適」な組織文化が醸成されてしまうということがあります。
具体的にはチームのKPIが「アポ獲得」である場合、話を聞きたいと思っていないお客様であってもアポ1件と換算されるため、無理にでもアポを組んでしまうといったことが起きてしまうのが1つの例です。
しかし、弊社ではチームのKPIだけでなく、事業部のKPIに対しての達成意欲がかなり強いです。目先の1件のアポを獲得することについて議論するよりは、本質的にお客様にとって良い体験を生み出すにはどうしたら良いかという議論ができる環境です。
M&Aクラウドが目指す人材「10 Player」とは?
▲M&Aクラウドさんでは部門を超えて1つのチームとして戦うことを大切にしている
編集部
本質的な議論ができるのは、「2nd Priority」というバリューが浸透しているからなのですね。バリューについて、教えてください。
戸澤さん
1つが部門を越えて一つのチームで戦おうという「1 Team」です。M&A業界はインセンティブ文化のため、先輩が後輩に成功ノウハウを教えない、セクショナリズムが起きやすい業界です。
私たちのプラットフォームでは、エンジニアがM&Aのことを、M&Aアドバイザーがテックのことを教え合って開発をしていきます。ミッションを達成するためには、さまざまなバックグラウンドの人間がノウハウを共有してより良いものを作っていく必要性があります。
2つめが「2nd Priority」です。私たちはユーザーに一番高い価値を提供できているかを常に自問自答しています。そして、月ごと、四半期ごとに「2nd Priority」のバリューを体現できた人を表彰しています。ちなみに、齋藤は直近で受賞しましたし、表彰の常連なんですよ。
3つめが「10 Player」です。スペシャリスト×ゼネラリストの「T字型人材」という名前を聞くことはあると思いますが、弊社ではスペシャリスト×ゼネラリストにさらに投資家目線を身に付けた「十字型人材」を目指そうという思いがあります。
この3つを兼ね揃えた人は正しい意思決定ができると思っています。誰も成し遂げたことがないことに対して意思決定するのは躊躇するものですが、正しい意思決定ができる人が多い組織はミッション到達へのスピードが増すと信じているからです。
編集部
「十字型人材」を増やすことで強い組織となり、ミッションの「テクノロジーの力でM&Aに流通革命を」を実現しようとされているのですね。
戸澤さん
弊社が立ち向かおうとしているのは、日本の産業の持続的発展という巨大な課題です。そのためのソリューションがスタートアップM&Aであり事業承継M&Aです。
「時価総額10兆円企業」へ、志高く。時代が求める課題解決を目指す
編集部
ビジョンに「時価総額10兆円企業」を掲げる背景についても、教えてください。
戸澤さん
私たちがなぜ10兆円企業を目指すかというと、その時代が求める課題を解決できる会社は時価総額が高いからです。
例えば30年前には、世界の時価総額ランキングは日本の銀行が上位を占めていました。当時の課題を解決できる企業が日本の銀行だったということが伺えます。昨今はランキングが一新され、アメリカ・シリコンバレーのITベンチャー企業が占めています。現在の課題は、ITベンチャー企業が解決しているのです。
同じようにM&Aプラットフォームは、これからの時代が直面する課題解決の手段となり得ると考えています。M&A領域は10兆円の時価総額になりうるほど、課題が大きい領域だと思っています。
編集部
「10兆円」という数値は、M&Aクラウドさんが挑む課題の大きさを表しているのですね。
戸澤さん
はい。業界のゲームチェンジャーとして、志高く時価総額10兆円企業を目指します。
入社1年で社内表彰の常連、齋藤さんが感じるM&Aクラウドの魅力
▲自社の魅力について語る株式会社M&Aクラウドの齋藤さん
編集部
続いて、若手活躍のテーマでお話を伺います。M&Aクラウドさんで活躍する若手メンバーにはどのような方がいらっしゃいますか?
齋藤さん
M&A会社で史上最年少記録を記録したメンバーや、マネージャーから与えられた問いに対してしっかり向き合うことで複数の賞を受賞したメンバーがいます。また、新卒で入社した社員が26歳でマネージャーになったという事例もありました。
編集部
齋藤さんも社内表彰の受賞常連の若手メンバーでいらっしゃると思います。齋藤さんがM&Aクラウドへの入社を決めた理由を教えていただけますか?
齋藤さん
M&Aクラウドには2社目として入社し、1年8ヵ月が経過しました。入社理由はまずミッションへの高い共感で、「時価総額10兆円企業へ」という「達成しえなそうなビジョンを語っていたから」です。叶えられなさそうな数字を掲げているのを見て、社会に存在する大きな負を解決できるチャレンジングな企業だと、魅力的に感じました。
また、私自身がM&Aの当事者として、課題感を持っていたこともあります。実は昨年、個人で運営していた副業関連のWebメディアを売却しました。その際、売り手の私としては「どんな買い手が自分のメディアを適切に引き継いでいただけるのか」を判断するのが困難でした。結果として、譲渡した事業は私の力不足もありうまく引き継ぐことができず、そのWebメディアはサイト閉鎖されています。
買い手企業のM&A戦略や想いが事前に確認可能なビジネスモデルに驚きを感じ、M&Aクラウドに転職を決めました。
編集部
ビジョンに挑みがいがあると感じられたことと、ご自身の原体験から、M&Aクラウドさんに惹かれたのですね。実際に入社されて感じた魅力も教えてください。
齋藤さん
お客様との距離が近い点が魅力です。私は前職はFintech系の企業でデジタルマーケターをしており、結果がすべてWebで完結可能な世界でした。これは非常に効率化が進んでいる反面「お客様が自社サービスを使っている様子・反応」が一切見えないためどんな価値を提供しているかに悩む時もありました。
一方で、現在はテクノロジーを使いながらも売り手企業、買い手企業それぞれに対してヒアリングを行い、各企業に合う提案を行うことで、お客様の喜びを肌で実感することができています。
「M&A道場」での学びや経験豊富なマネージャーの存在が若手活躍を後押し
▲エンジニアイベントの一コマ。M&Aクラウドさんでは社内イベントが活発に行われている
編集部
齋藤さんのような若手が活躍できるのは、本人の実力に加え、M&Aクラウドさんのどのような企業風土があるからだと思われますか?
齋藤さん
1つは投資銀行や経営コンサルティングファーム出身者らのM&A経験がすべて社内情報として蓄積・公開されていることだと思います。
弊社では「M&A道場」と呼ばれる研修が月1回開かれており、各メンバーがこれまで経験したM&Aのスキーム・ビジネスモデルなどを資料にまとめ、プレゼンが行なわれています。担当アドバイザーから実際にリアルな声を聞くことで、自分が携わっていないM&Aを追体験できるんです。
もう1つは、優秀で経験豊富なマネージャー陣が揃っていることです。例えば、プラットフォーム事業部を管轄するのはゲーム業界とフィンテック業界で合計2回のIPO経験がある部長です。チームマネージャーはWebコンサルの上場会社でIPOや部長職の経験があり、その後子会社で取締役を務めた経験者です。
このようにプロダクトをグロースさせた経験を持つマネージャーのもとで、私はすべて教えてもらうでもなく、すべて1人でやるのでもなく、「挑戦」と「サポート」の良い塩梅で実践できています。
編集部
「M&A道場」のような知見共有の場に加え、挑戦をサポートする文化があるからこそ、若手メンバーが成長するのですね。メンバーのフォロー体制についてはいかがでしょうか?
齋藤さん
弊社では「失敗した人が悪い」というより「仕組みが悪い」と考え、オペレーションの改善につなげるようにしています。何か失敗やミスが発生しても、後にオペレーションや仕組みが改善されるため、積極的に失敗を受け入れやすい体制が整っていると思っています。
編集部
失敗したことを責めるよりも、そこからの改善や学びを活かすことに注力されているのですね。
齋藤さん
はい。挑戦をサポートする文化で言うと、1年に1回、ハッカソンというエンジニア主体の全社員参加イベントも行っています。みんなでテクノロジーに触れ、発表するという機会です。
編集部
エンジニアだけでなく、さまざまな職種の社員が一堂に会して取り組むのですね。写真を拝見すると、皆さんとても積極的に参加されていることがわかります。
課題に対し「考え抜き、やり抜くことができる人」を募集
▲スタートアップイベントにも盛んに参加している
編集部
M&Aクラウドさんでは採用活動を積極的に行われています。一緒に働くメンバーに向けて、齋藤さんからM&Aクラウドで働くやりがいについて教えていただけますか?
齋藤さん
20代でキャリアを形成していくにあたり、M&Aクラウドでは事業会社と支援会社の「いいとこ取り」ができる点が大きいと思っています。弊社は「M&Aクラウド」「資金調達クラウド」というプロダクトを持つ事業会社であり、M&A・資金調達の課題解決を図る支援会社でもあります。どちらも深いレベルで業務に携わることができます。
編集部
事業会社と支援会社という2つの側面で、それぞれ手ごたえを感じていらっしゃるのですね。
齋藤さん
事業会社の側面では、自社がリーディングカンパニーであるという意識が非常に強く、どういった価値提供を届けるかを意識しつつ、プラットフォームビジネスに存在する課題をひたすら解き続けています。支援会社としての機能のみでは感じづらい「プロダクトに対しての手触り感」があります。
一方、支援会社の側面では、M&A支援を担当する企業の業態やスキームによって引き出しがかなり増えます。先ほどの「M&A道場」のように社内共有される文化もあるため、ノウハウを活用して売上をしっかり上げていくことが可能です。
このようにいいとこ取りをしながら、トップライン(売上高)を上げるPL思考と、中長期でプロダクト(資産)を伸ばすBS思考のどちらも身に付けられるのは弊社のやりがいだと思っています。
編集部
ありがとうございます。では戸澤さん、「こんな人と一緒に働きたい」というメッセージがあればお聞かせください。
戸澤さん
齋藤がうちを選んでくれた理由にも通ずるところがありますが、私たちが成し遂げようと思っている大きな課題にチャレンジしたいと思ってくれる方に来ていただきたいです。
私たちの仲間集めのキーワードは「気合が入っていて、いいやつ」です。課題に対してまず考え抜くこと、やり抜くこと、そしてみんなにシェアできる人です。企業価値を最大化できるかどうかという尺度で考えたり、動いたりできる人を求めています。
編集部
戸澤さん、齋藤さん、本日はありがとうございました!
「時代が求める課題を解決し時価総額10兆円企業へ」というM&Aクラウドさんのビジョンに共感した方は、ぜひ採用サイトをご覧ください。
■取材協力
株式会社M&Aクラウド:https://corp.macloud.jp/
採用ページ:https://recruit.macloud.jp/