自分らしい働き方を提供する株式会社manabyの「ダイアローグ」が導く自己成長

企業の成長を支える取り組みや、若手の活躍などを紹介するこの企画。

今回は働きづらさや生きづらさを抱える方々に就労支援サービス等を提供する株式会社manaby(マナビー)を取材しました。

株式会社manabyとは

株式会社manabyは、“一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる”をミッションに掲げ、就労支援を中心に事業を展開する企業です。

2016年の創業以来、eラーニングでITスキルを学ぶ仕組みを開発し、働くことに障害がある方に向けた就労支援サービスを提供してきました。2022年4月に上場し、様々な事業開発を進めています。

会社名 株式会社manaby
住所 宮城県仙台市宮城野区榴岡1-6-30ディーグランツ仙台ビル5階
事業内容 障害者総合支援法に基づく就労移行支援事業「manaby」
障害者総合支援法に基づく就労継続支援B型事業「manaby CREATORS」
一般向け eラーニング+カウンセリング事業「manaby WORKS」
システムエンジニアリングサービス(SES)事業「manaby TECHNO」
設立 2016年6月
公式ページ https://manaby.co.jp/

障がい者への就労支援事業で培った知見を活かし、障がいの有無に関わらず、就労支援を必要とする全ての方に向けたオンラインサービスや、SES(※)事業などを展開するmanabyには、“ダイアローグ(対話)”を大切にするカルチャーが存在します。
※SES:System Engineering Service。クライアントに対して労働力を提供する契約形態

そこで今回は、manabyのカルチャーやTOKYO PRO Market上場に至った背景、未経験者からエリアマネージャーになった若手社員の活躍などについて、創業メンバーの1人であるHR部長の早川さんにお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社manabyの早川さん

株式会社manaby
HR部長

早川さん

就労支援事業を軸に、全ての人に“らしく生きる”学びを提供

株式会社manabyが事業にかける想い
▲“manabyは就労支援事業を通し、多様性を生かせる社会を目指している(公式サイトから引用)

編集部

はじめに、manabyさんの事業内容についてお聞かせください。

早川さん

当社は“働きづらさや生きづらさを抱える方々に対する支援サービスなどの提供”を軸に、事業を展開しています。

主力となるのが就労支援事業で、具体的には就労に向けてスキルを身につけることを目的とした就労移行支援「manaby」と、生産活動の機会を提供し、就労に向けた仕事の理解を深める訓練や支援を行う就労継続支援B型「manaby CREATORS」を運営しています。

株式会社manabyの就労支援事業
▲一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくるためのmanabyの事業(公式サイトから引用)

編集部

manabyさんでは、障がいの有無に関わらず、働きづらさや生きづらさを抱える全ての方に向けたサービスも提供されていると伺っております。こちらはどのような事業内容となっているのでしょう。

早川さん

「manaby WORKS」というサービスを提供しています。オンラインでITスキルを学びながら働き方について相談ができることに加え、24時間いつでも学ぶことができるeラーニング「マナe」が利用できるサービスです。

独自で開発したコンテンツは、利用者様の声を反映しながら改良を重ねた内容になっており、たくさんの選択肢から自分に合うものを選び、自分のペースで学べるのが特徴です。

また、2023年にはエンジニアの労働形態のひとつであるSES事業「manaby TECHNO」をスタートしました。ダイアローグ(対話)を大切にして納得値を上げながら無理なく仕事に向き合える、そんなエンジニアを増やしたいという思いで始めた事業です。

編集部

なるほど。「manaby WORKS」や「manaby TECHNO」は、就労支援事業で培った知見があるmanabyさんだからこそ確立できたサービスと言えますね。

どんな職種・職場においても、自分らしく働ける環境を支援

manabyの事業所の外観
▲一人でも多くの方の自分らしい働き方を応援していくことが、manabyの使命

編集部

manabyさんが包括的なサービスを提供するに至った背景には、どのような理由があるのでしょう。

早川さん

manabyはミッション実現に向け、その一つの手段として、就労支援事業を中心にサービス提供をしてきました。その中で、事業所が近くになかったり入院中であるなどの様々な事情で就労移行支援を利用できない方がいると気付いて、誰もが利用できるサービスとして「manaby WORKS」を始めました。

また「manaby TECHNO」も、ITエンジニアの働き方の問題について考えたことがひとつのきっかけでスタートしています。いずれも、創業当時から私たちが目指している「一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる」ことが軸となっていますね。

事業所で就労支援をするmanabyの社員の様子
▲manabyではeラーニングとダイアローグ(対話)を重視した就労支援を提供し、一人ひとりの能力や志向に合わせた「自分らしい働き方」の実現に取り組んでいる

編集部

SESを導入する企業が増えている昨今、「manaby TECHNO」はどのような役割を担っているのでしょう。

早川さん

「manaby TECHNO」が生まれた背景には、SESのエンジニアの特異な労働環境があります。SESは顧客からの指示で動く派遣契約とは異なり、指揮命令権は雇用企業にあります。そのため、働きやすさは企業の考え方や環境によって大きく左右されます。

労働条件や人間関係に悩みを抱えていても、常駐先の社員や雇用企業との関係が希薄なことから、相談しにくく、心身に不調をきたす方は少なくありません。

「manaby TECHNO」のサービスイメージ画像
▲「manaby TECHNO」では、SESエンジニアのメンタルケアを「対話」によって支援をしている(公式サイトから引用)

当社は障がい者就労支援現場だけでなく、どんな職種職場においても自分らしく働くためにはコミュニケーションが重要であると考え、「manaby TECHNO」を立ち上げました。ITエンジニアの自分らしい働き方の実現という役割を担うことを目指しています。

編集部

企業のDX推進により、SESの需要はますます高まることが予想されます。「manaby TECHNO」ではエンジニアが長く働くことができ、スキルアップを目指すことができるのですね。

社会貢献事業の拡大を目指しTOKYO PRO Market上場

編集部

manabyさんは、2022年4月に東京証券取引所 TOKYO PRO Marketに上場されています。上場に至った経緯についてお聞かせいただけますか?

早川さん

2019年に宮城県仙台市が株式上場を支援する「仙台未来創造企業」の認定を受けた当社は、社会的信用と知名度の向上、優秀な人材と事業所物件の確保、持続的な企業成長を実現することを目指し、 TOKYO PRO Marketに上場しました。

創業から当社のミッションに共感するメンバーが続々とジョインしており、ミッションを中心に組織とカルチャーが形成され、チーム一丸となって目の前の利用者のために取り組んできたことが、上場の原動力になったと思います。

編集部

上場をすることでmanabyさんの存在を全国に知らしめることができ、それによって支援を求める方へのサービスをより多くの方に提供できるというわけですね。

全国31ヶ所の就労支援事業所を運営

manabyの事業所の様子
▲国の障害福祉サービスの1つ「就労移行支援」事業では障がいのある方が働くまでの道のりを包括的にサポート

編集部

現在(2023年7月時点)、パートナー企業による運営も含めて東北・関東・関西地域で31の就労支援事業所を運営されていると伺っております。その中で、manabyさんの社員数は何名ですか?

早川さん

現在、約120名のメンバーが在籍しており、7名からスタートした2016年の創業時から、毎年数十名単位で社員数が増えています。

編集部

社員数が高い水準で推移されている要因について、お考えをお聞かせください。

早川さん

増員の要因はまず、就労支援事業の成長が挙げられます。設立時は仙台市の1事業所から始まっているのですが、在宅で支援が受けられるサービスの需要は非常に高く、首都圏や関西方面からの問い合わせが相次ぎました。

当社が設立した2016年当時は、自分らしく働くことに寄り添ったサービスや、在宅で就労支援を受けられるサービスを提供する事業は少ない状況でした。そのニーズに応えるために事業を拡大し、ミッションに共感してくれる方も増えていきました。

平均年齢35歳で、若手も活躍中。経験よりも“価値観”を重視

manabyの若手社員の仕事風景
▲若手活躍が目覚ましいmanabyには、自ら学び続け、学んでシェアして挑戦して、仲間とともに成長できる文化が根付いている

編集部

続いて、manabyさんにジョインされている方の特徴についてお聞きします。平均年齢や職歴などについて教えていただけますか?

早川さん

平均年齢は約35歳(2022年度)となっており、20〜30代が多く在籍、9割近くが中途入社となっています。前職を見ると福祉事業経験者もいれば、異業種からジョインした方など多様です。

例えば、前職で法人営業の経験がある社員が当社を志望したのは、売上を達成してもそれがエンドユーザーにどのような価値を生み出しているのかイメージしにくいことに限界を感じ、直接対話ができ、寄り添える仕事がしたいという理由でした。

このように、バックグランドは多様ですが、直接人と関わり、支援できることに魅力を感じ、ジョインする方が多いと感じます。

編集部

業界未経験者も多く活躍されているmanabyさんですが、障がいのある方に寄り添うにあたり、未経験者では苦労されることもあるのではないでしょうか。

早川さん

就労支援事業は、障害者総合支援法という法律に基づいて運営されており、そこに紐づく社会資源や業界構造を未経験者が理解するにはある程度の時間がかかることは否めません。

しかしながら、障害福祉に関する知識ももちろん大切ですが、それ以上に、自分も相手も尊重してコミュニケーションをとる姿勢が重要だと考えています。

時には、自分の理解の許容を超えたことに直面することがあるかもしれません。そこでシャットアウトするのではなく、相手を知る努力をし、興味を持って対話をすることで、寄り添ったサービスを提供することができます。

編集部

支援を求めている方に寄り添うためには価値観にとらわれず、オープンマインドで向き合うことが大切なのですね。

共に悩み、寄り添いながら価値を提供することがやりがい

manabyのスタッフのミーティングの様子
▲利用者1人ひとりの「自分らしい働き方」を実現するため、スタッフで話し合いながらサポートをしている

編集部

社会貢献事業を展開しながら企業としても成長されているmanabyさんですが、そこには難しさがあると思われます。そうした中、ジョインされる方がやりがいと感じるのはどのような業務になると思われますか?

早川さん

クルー(利用者)一人ひとりの目指す働き方・生き方についてともに考え、伴走することにやりがいを感じるスタッフが多いように思います。

支援には正解がないからこそ、スタッフそれぞれが圧倒的に考え、かつチームで共有し、あらゆる角度から考えます。クルー一人ひとりに「チームアプローチ」をすることで、多面的な支援を提供しています。

“自分らしい”価値を提供するダイアローグというカルチャー

manabyの社員の仕事風景
▲ 年齢や社歴、立場や所属など関係なく、全員が活発に意見交換をしながら、ミッションの実現に向けて必要な行動を取っている

編集部

manabyさんでは、“ダイアローグ”を大切にされています。カルチャーとしての対話についてもお聞かせいただけますか?

早川さん

企業として決断をする際、内容にもよりますがトップダウンが全てではないところに当社のダイアローグを重視した企業文化があります。

社員がダイアローグをキャッチアップするためのサポートとしては、年に数回ほど、ダイアローグ探究のイベントを開催しています。社員はイベントを通し、ダイアローグに関する取り組みや学びをシェアすることで、知識的にも体感的にも習得することができます。

当社ではダイアローグ(対話)を、「結論を出すのではなく互いの『違い』を明確に共有することで理解を深め考えるコミュニケーション」と捉えています。

組織の運営にあたっては、もちろんリーダーシップを取って進めていく事案もありますが、その場合もみんなはどうしたいのか、どうしたいと思ってるのかを部署内でヒアリングし、意見を聴き合いながら物事を進めています。

編集部

利用者によって異なる悩みや課題に対話をしながら寄り添うことと同じように、manabyさんでは企業としても社員一人ひとりと向き合い、対話をすることを大切にされているのですね。

成し遂げたいことと、キャリアが直結していることが成長につながる

編集部

manabyさんでキャリアを積むには、どのような思考やマインドが大切とお考えですか?

早川さん

キャリアを築く上で明確なビジョンを持つことは重要ですが、大切なのは自分が成し遂げたいことと、築くキャリアが直結していることです。自分が何をやりたいのか、実現するためにはどんなスキルが必要なのかを理解することで、困難に直面しても踏ん張ることができます。

編集部

早川さんから見て、manabyの社員の成長力はどこにあると思われますか?

早川さん

当社の事業は「人」と向き合う仕事です。明確な答えや正解があるものではないので、とても難しいことではありますが、manabyでは先ほどご説明したダイアローグを大切にすることで、その難しさと丁寧に向き合っています。

社員の中には、社内プロジェクトを立ち上げたり、国家資格取得に挑戦したりと、自発的にアクションを起こしているひとも多くいます。このような姿からも、manabyの成長力を感じますね。

IT業界からの転身。エリアマネージャーを務める社員の現在地

編集部

未経験からmanabyにジョインした方のエピソードなどがあればぜひ、ご紹介いただきたいです。

早川さん

現在、エリアマネージャーを務めるある社員は、創業2年目に当社にジョインしたメンバーで、福祉業界は未経験でした。

大学卒業後、IT企業の営業職に就いたものの、激務に加え、初めての社会人生活で気張りすぎたところもあり、気がついたときにはいっぱいいっぱいになっていたそうです。少し立ち止まって働き方を見直すために退職をし、シェアハウスに住みながら、フリーランスでweb制作などに携わっていました。

ダイバーシティに富んだ環境でいろいろな人と寝食を共にしながら、これから自分はどう働いていきたいかについて考えていたときに、manabyの存在を知ったそうです。

編集部

その方はどのようなキャリアパスを歩まれ、エリアマネージャーのポジションに就かれたのでしょう。

早川さん

入社後は支援員をしながら広報チームとして社内報やSNSを担当していました。その後、新しい事業所の立ち上げを何度か経験し、支援員としてのキャリアも順調に積んでいたことから、マネジメント職にチャレンジすることになり、現在に至ります。

また、未経験から入社3ヶ月でマネジメント職に就いた社員もいます。その者はもともと支援活動の経験もあり、かつ当社のミッションに共感し行動してくれていたので、早い段階でマネジメント職を任せることができました。

編集部

若いうちにキャリアを積めることは、働く上でのモチベーションにもつながりますね。

優しさ・強さ・賢さが評価のポイント

編集部

経験や社歴に関わらずキャリアを築くことができるmanabyさんにはどのような評価制度があるのでしょう。

早川さん

前提として、当社のミッションに共感し、その上でアクションに起こす姿勢がポイントになります。当社のような福祉サービスは抽象的な部分も多く、軸がブレると全く異なるサービスになってしまうことがあります。

ブレることなく、一貫した姿勢を貫くことは、事業や組織を強くしていく上でとても重要です。1つの事業所に6〜7人ほどいるメンバーの関係性を構築し、マネジメントをすることでエンパワーメント(※)ができることもまた、評価のポイントの1つになっています。
※エンパワーメント:組織にいる1人ひとりが力をつけていくことや、1人ひとりが力を出せるように権限を与えること

これらを統括するのが社内でよく交わされる“優しさ・強さ・賢さ”という3つのワードです。

編集部

とても魅力的な言葉ですが、それぞれの意味をご説明いただけますか?

早川さん

誰もが自分らしく働ける支援がしたい、困っている人の力になりたいといった“優しさ”は、当社の事業においてとても重要です。そして、その方の生きづらさや働きづらさを解消していくためには、寄り添いながらも改善を進める“強さ”も必要です。

今、自分にない感覚を受け入れたり、根気強くコミュニケーション取ったりできる“強さ”を持ちながらも、冷静に状況を見た上で問題の原因を分析し、改善ができる“賢さ”を備えてることが、当社のミッションの実現には必要と考えます。

編集部

優しさを持ち、時に強さを持って行動に移し、客観的な視点で物事を見るスマートさが大切ということがよくわかりました。manabyさんにジョインされる方も、この言葉をバランス良く体現されている方が多いのでしょうか。

早川さん

当たり前ですが、社員一人ひとりが大切にしている価値観や個性は様々です。性格や、得意不得意にも個性がある中、ダイアローグという文化を軸に相互理解をし、リンクする部分を模索し続けることで各事業所の土壌が作られていると考えます。

編集部

manabyさんにジョインするメンバー自身も、自分らしく働ける文化を構築されているのですね。

自分らしく生きられる社会のため、自らも成長できる方を歓迎

株式会社manabyの早川さん
▲「自分が持つ能力を最大限に活かすマインドと、成長意欲を持った方を歓迎」と、メッセージを送る早川さん

編集部

今回の取材記事を通し、御社の理念やミッションに共感した読者は多いと思われます。ダイアローグを大切にされているmanabyさんにジョインするにあたり、事前にマインドセットできることはありますか?

早川さん

ダイアローグに関する書籍を読んでいただくことで、当社が大切にしているポイントなどをご理解いただけるかと思います。ダイアローグを探究するにあたり、社内で参考図書として活用する「ダイアローグ対話する組織」と、「ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ」という2冊を、お時間があるときにお読みいただけると幸いです。

■株式会社manabyの参考図書
ダイアローグ 対話する組織
ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ

編集部

manabyさんのミッションや事業に興味を持った読者や、現在、転職を検討している方に向け、採用に求める条件、人物像などについてお聞かせください。

早川さん

私たちは、自分らしく生きられる社会づくりに貢献したい方を歓迎します。

また、社会貢献をすることで自分自身を知り理解することで、能動的に活躍するには何をすべきかといった視点を持つことができることも、採用では重視したいと考えています。自分が持つ能力を最大限に活かすマインドと、成長意欲を持った方をお待ちしております。

自分以外の生き方や働き方に関することを仕事とするのは、難しいこともあると思います。そのため、大変な局面に立ったときは“踏ん張る力”を持つことが大切です。生きづらさや働きづらさを抱えてる方に対し、支援をするためにはどうするとよいかを常に考え、行動できる方とご一緒できたら幸いです。

編集部

manabyさんの事業やミッションに共感する方はもちろん、現在、生きづらさや働きづらさを抱えている方にとっても、御社の取り組みは希望であると感じました。

本日はありがとうございました。

■取材協力
株式会社manaby:https://manaby.co.jp/
採用ページ:https://manaby.co.jp/recruit/