事業内容や働き方などで新しい時代をつくっていく企業を紹介するこの企画。今回は、ピルのオンライン処方サービス「メデリピル」や、女性社員のヘルスケアをサポートする法人向けの福利厚生パッケージなどを提供しているmederi株式会社(mederi Inc.)を取材させていただきました。
mederi株式会社とは
▲mederi株式会社のビジョン(公式サイトより引用)
mederi株式会社(mederi Inc.)は、日本ではまだ普及が進んでいないピルを始めやすく、続けやすいものにするオンライン処方サービスなどを提供している会社です。
「より女性が生きやすく暮らしやすく、働きやすい社会にむけて」というビジョンに基づき、女性の心と体のバランスを整えるヘルスケアサービスを個人向けのみならず、企業の福利厚生パッケージとしても展開しています。
会社名 | mederi株式会社(mederi Inc.) |
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住所 | 東京都目黒区大橋2-22-6 唐木ビル5F |
事業内容 | 女性の心と体のバランスを整えるヘルスケアサービスの提供 ・オンラインピル処方サービス「メデリピル」 ・メディカルケアブランド「メデリベイビー」 |
設立 | 2019年8月1日 |
公式ページ | https://mederi.jp/ |
この1年で会員数が約40倍にもなったという成長フェーズにいるmederi株式会社では、入社まもない若手社員がマネジメント層の近くで重要な仕事を任されることも多いそうです。スタートアップならではのスピード感にあふれた企業カルチャーや若手の活躍、採用などについて、取締役の大池優貴さんにお話を聞かせていただきました。
「メデリピル」など女性向けヘルスケアサービスを展開
編集部
まず、mederiさんの事業内容について教えてください。
大池さん
ピルのオンライン診療・処方サービスである「メデリピル」や、妊娠や出産に向けて自宅でできるメディカルケアプロダクトを提供する「メデリベイビー」など、女性の健康問題にかかわるサービスを展開しています。
編集部
ピルをオンライン処方するという事業を始められたのはなぜですか。
大池さん
弊社の「mederi」という社名には、女性が自分自身をもっと愛(め)でるようになってほしい、お互いが愛であえる社会にしたいという思いが込められています。
女性が自分を愛でて心と体のバランスを整える上で、生理の問題は避けて通れません。「受験日などの大事な日に生理が重なってしまう」「集中力が落ちるなど日常生活に支障が出る」といった悩みを抱えている女性は多くいらっしゃいます。
生理に関するトラブルの改善や自分の体を守るためにピルは重要な役割を担っていますが、日本での普及率はいまだ低いのが現状です。欧米諸国ではピルの服用率(※)が30%前後の国があるのに対して、日本での服用率は3%くらいだとされています。
(※)国連の「Contraceptive Use by Method 2019」によると、女性の避妊具使用におけるピル服用率の推定値は日本2.9%、フランス33.1%、ドイツ31.7%、カナダ28.5%
日本の普及率を上げるため、ピルを初めて使う方が安心・手軽に始められるよう、オンライン診療・処方というサービスを展開することにしました。
今までピルを使ったことがない女性や企業にも利用が拡大
編集部
mederiさんのユーザー様にはどういった方が多いのでしょうか。
大池さん
今までピルを使ったことがなかったという方のご利用が想定以上に多く、驚いています。メデリピルを使ってくださっている個人ユーザー様の50%以上が、ピルを服用するのは初めてだという方たちです。
登録・診療予約・診療までLINEで簡単に行える手軽さ、診療代および初月ピル代無料という始めやすい価格設定、診療する医師はすべて産婦人科医という安心感が、初めての方たちに選んでいただける、またはピルを始めてみようと一歩踏み出していただける理由ではないかと思います。
編集部
対象は、個人ユーザー様だけでしょうか。
大池さん
いえ、最近は一般ユーザー様だけでなく、mederiのサービスを福利厚生として取り入れてくださる法人のお客様も増えています。
生理が仕事に影響を及ぼしていると感じておられる女性は多く、明治さんが2021年に行ったアンケート調査(※1)では、働く女性の80%が仕事をする上で生理によって困った経験があると回答したそうです。また、経済産業省ヘルスケア産業課の報告(※2)では、「女性特有の月経随伴症状による労働損失は4,911億円」とされています。
(※1)株式会社明治「20代~40代男女1万人に聞く、生理の悩み実態調査」(2022年)
(※2)経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」(2019年)
そこに対して何かケアをしていきたいと考えておられる企業様は非常に多く、お問い合わせも多数いただいていますし、実際に何社もの大企業様にmederiのサービスを導入していただいている状況です。
編集部
手軽に始められるピルのオンライン処方は、女性が健やかでいるためにも、女性の仕事上のパフォーマンスを上げるという意味で経済的にも意義のある、社会貢献性の高い事業であるわけですね。
1年でmederiの従業員数は8倍、会員数は約40倍に
編集部
「メデリピル」のリリースで会社の状況というのは変わりましたか。
大池さん
そうですね。2022年の1月に「メデリピル」をリリースしたのですが、ここ1年でmederiの従業員数は3名から8倍になり、会員数も約40倍になりました。
編集部
それだけの急成長を遂げられた要因は何だと考えていらっしゃいますか。
大池さん
「メデリピル」というプロダクトの良さと、前澤友作さんがやっておられる前澤ファンド(※)からの出資によって注力できたマーケティングの効果ではないかと思います。
(※)前澤ファンドは「社会課題の解決」や「趣味の追求」をテーマにしている起業家や団体に出資を行っている。mederi株式会社は2021年に「13の事業」(2023年4月時点では16の事業)に選ばれた。
編集部
では最初に、プロダクトのどういった部分が急成長につながったのかを教えてください。
大池さん
まずは、事業ニーズの高さでしょうか。「より女性が生きやすく暮らしやすく、働きやすい社会にむけて」というmederiのビジョンに基づいて選んだピルのオンライン処方サービスが、女性活躍という時代が求めるニーズにマッチしたということだと思います。
診療や処方がインターネットですべて完結するという「メデリピル」のサービス設計も、事業が急成長した大きな要因です。ちょうど社会情勢的にオンライン診療に対する需要が高まっていたことが、追い風になりました。
そして、ブランディングです。ピルというデリケートな商材だからこそ無機質にしない、気持ちが上がるような可愛い世界観をつくるということにウェイトを置きました。サイト、パッケージ、ピルケースをはじめとする同梱物など、どれもブランドディレクターがかなりこだわってつくっており、個人ユーザー様にも企業様にもご好評をいただいています。
メデリピルとピル自体の認知度をあげるマーケティング戦略
編集部
成長要因の片翼であるマーケティングについてもお聞かせいただけますか。
大池さん
マーケティングにあたっては、mederiのブランドである「メデリピル」をアピールして新規の会員を獲得することはもちろんなのですが、ピル自体の認知度をあげることにも力を入れました。
日本では、ピルとは何なのかということが正確にわかっていない方も少なくありません。ピルを正しく知ってもらい、認知度をあげていくということは、我々のパイを広げることにもつながりますし、女性にとってもメリットがあります。
編集部
具体的にはどういったマーケティングを行ったのか教えてください。
大池さん
いちばん効果があったのはテレビCMです。フワちゃんに出演していただき、「フワちゃんがCMしていたピル」ということでずいぶん認知していただけました。
CMを打つときには、費用をかけてさまざまな媒体で一気に広告を出して、クロスメディアのような形をとっています。認知度を掛け合わせて高めていくためです。毎月CMを打つわけではありませんが、CMをやっていない期間も広告のPDCAを回して「どの媒体がいいのか」「どういう出し方がいいのか」ということを常に試行錯誤しています。
また、法人利用のお客様は「こういう福利厚生を始めました。企業負担があるため、ピルを安く利用できます」ということを従業員様に発信してくださいますし、ときにはプレスリリースなどで一般に向けても発信してくださいますので、認知度アップという点においても非常に有難いです。
編集部
まずプロダクトの良さというのが大前提にあって、それをアピールするためのマーケティングをアグレッシブに行うことで、短期間に急成長を遂げたというわけですね。
若手が臆せず活躍できるmederiのカルチャー
編集部
社内のカルチャーや雰囲気について教えていただけますか。
大池さん
スタートアップならではのスピード感と自主性はありますね。自分で考えて、進めて、能動的に動いて、スピーディにクローズするという仕事の仕方を意識しているメンバーさんが多いです。
例えば、「予約がとりにくい」「サービスが使いづらい」というようなユーザー様の声があがってきたとします。すぐにサービスフローや案内テキストを変えるなどの改善を図るのですが、お声をキャッチしたその日のうちに改善策を反映させるというくらいのスピード感となっています。
もちろん、すぐ変えられないものもありますし、ある程度の時間をかけて行うべき業務もありますが、可能な限り最短のスケジュールで納品して、ユーザーにすぐ提供していくというのが、皆が意識しているところです。
編集部
皆さんが、かなり積極性を持って仕事をされている環境ということでしょうか。
大池さん
そうですね。ただ、仕事のバリバリ感とは裏腹に、社内の雰囲気はとてもなごやかで落ち着いています。社員でいえば男女比は半々なのですが、パートさんを含めると女性の方が圧倒的に多いというのに加えて、女性用のサービスを取り扱っていることもあって男性もギラついた感じではなく穏やかな方が多いからかもしれません。
とてもフラットで先輩・後輩を問わずに意見を言い合える人間関係ができていますので、若手のメンバーさんでも委縮せずに仕事をすることができます。
27歳のブランドディレクターほか重要なポジションで若手が活躍
編集部
mederiさんにおいて、若手のメンバーさんがどのように活躍されているのかお聞かせいただけますか。
大池さん
例えば、先ほどお話したブランドディレクターは27歳の女性です。ブランディングの責任者として、mederiのサービスの世界観づくりは彼女にお任せしています。オペレーション部門というサービスの肝となる部門の担当は30歳の男性で、これまた若手です。
直近で2、3名ほど20代半ばの方が新入社員として入社しているのですが、その方々もマネジメント層と近い距離感でいろいろなことを吸収しながら仕事をしています。若手であっても、仕事ぶりによっては責任あるポジションで仕事を任せてもらえる環境です。
編集部
自分の意見が、実際のサービスやプロダクトに反映されるようなこともあるのでしょうか。
大池さん
あります、あります。最近でいえば、「メデリピル」が1周年を迎えたときに、ユーザー様に「もしメッセージがあれば送ってください」というようなメッセージカードを同封しました。これは、「お客様の声を聞きたいね」という社員さんの何気ない意見から生まれたものです。
編集部
せっかくですので、どういった声があったのか教えてください。
大池さん
ほんの一例ですが、「ピルを服用してからは、生理の量が減ってお腹の痛みも少なくなりました。肌の調子もいいので良かったです。1周年おめでとうございます」とか「通院なしで毎月お家にお薬が届くのが、本当に楽で助かっています」とか「カードやチラシのデザインがピンクで可愛いから、気分も毎月明るくいられます」といったお声をいただきました。
編集部
それは嬉しいですね。スピード感があって、マネジメント層とも近い距離でフラットにコミュニケーションがとれる環境下、若手でも自分の意見を述べて採用されたり、責任あるポジションで活躍ができたりする環境だというのが伝わってきます。
社会貢献性の高い事業で成長フェーズならではの経験を
編集部
女性向けのプロダクトを提供しているmederiさんですが、そのなかで男性社員はどのようなスタンスで事業に携わっていらっしゃるのでしょうか。
大池さん
私が男性社員第1号だったのですが、今では私以外の男性社員も増えました。確かにmederiは女性向けのデリケートなプロダクト・サービスを提供する会社ですが、個人的には男性が入ることで事業に安定感や多角性が増したのではないかと思っています。
男性のほとんどはピルについて無知ですし、どういったものなのか、なぜ必要なのかを正しく理解していません。ですが、意外に女性でもそういう方が多いというのが今の日本の現状です。
そこにピルを知っているという認識に基づいたマーケティングをしてしまうと、ピルを認知しているユーザー様だけにしか届かないということも十分あり得ます。何も理解していない男性からの目線が加わったことは、サービス開始からわずか半年弱で6万人を超える登録者を獲得した「メデリピル」の躍進の一助になったのではないでしょうか。
編集部
最後に、今回のインタビューを通じてmederiさんに興味を持たれた求職者の方にメッセージをお願いいたします。
大池さん
いまや弊社の事業の核となっている「メデリピル」ですが、まだサービス開始から1年と数カ月しか経っておらずいまだ成長の途中です。これから、さらにサービスが成長し、変革していく激動期に突入していくと思われます。
mederi自体の社員数もまだまだ少ないため、今、入社していただく方は、経営陣のスピード感や会社が成長・変革する激動のさまを中核に近い場所で経験することが可能です。若いうちにそういったフェーズに携われるというのは得難い経験ですし、自身の成長にもつながります。
頑張れば頑張った分だけチャンスがめぐってきますし、若くても頑張りに見合ったポジションが得られるというのはスタートアップならではの醍醐味です。また、社会貢献性の高い仕事ですので、女性・男性問わず働く意義や楽しみを見出しやすい会社だと思います。
編集部
社会的意義が高く、まさに今、事業と会社が成長・拡大・変革していく過程に立ち会えるというのは、女性・男性を問わず、とても魅力的な環境だと感じました。どうもありがとうございます!
■取材協力
mederi株式会社(mederi Inc.):https://mederi.jp/
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