【人事のプロ監修】年収を上げる2つの方法とは?市場価値と社内価値の仕組みを徹底解説

年収を今よりも上げたい!」と考えている方は多いのではないでしょうか。とはいえ、実際に行動してみるとなると、何からすればいいのかわからないですよね。

そんなモヤモヤを解決すべく、本記事では、株式会社人材研究所代表で人事・採用のプロである曽和利光氏に監修を依頼。企業が年収を決める裏側の仕組みである「社内価値」と「市場価値」の観点から、確実に年収を上げるための戦略を解説してもらいました。

監修者

株式会社 人材研究所

代表取締役社長 曽和 利光

リクルートやライフネット生命など多種多様な業界で人事トップを務め、2万人超の求職者と対峙してきた採用のスペシャリスト。企業が「誰を採用したいか」という評価基準や、組織心理学に精通している。現在は人事コンサルタントとして活躍中。人事のプロの視点から、後悔しないキャリア選択と内定獲得のための戦略について監修を行う。

更新履歴

2025年11月27日

  • 監修者曽和氏のプロフィール文を修正しました
  • 各章に結論まとめを追加しました

2025年11月25日

  • 本サイトの運営会社情報を追加しました

すべてを見る

粕尾英行のプロフィール写真
編集者

ミライのお仕事編集部

粕尾 英行

「ミライのお仕事」を運営するMoreJob株式会社にて、記事の企画立案や編集を担当、編集歴は8年。今まで金融・通信・小売・WEBの4つの業界を渡り歩き、リゾートバイトをしながら日本一周をしたこともある。これまで4回の異業種転職を活かして、転職希望者が即実践できるノウハウ記事が好評!

年収は「社内価値」「市場価値」で決まる

曽和氏の結論

まずは「戦う場所のルール」を知れ

年収を上げるために、闇雲なスキルアップはNGです。 あなたの会社が「市場価値(希少性)」で給与が決まるのか、「社内価値(貢献度)」で決まるのか。この見極めなしに努力しても、給与は1円も上がりません。

ー編集部
ふんわりと「もっと稼ぎたいな、給料上げていきたいな」と考えている人は多いと思います。ですが、実際に行動に移そうとしたとき、何をどう考えて行動に移すべきかイメージがつかない人も多いと感じます。そこで、今回は「年収を上げる」をテーマに人事・採用目線から、年収が上がっていく人がやっていることなどを教えていただければと思います。

ー曽和氏
まず、会社の報酬の決まり方には「市場価値」と「社内価値」の2つがあります。

市場価値というのは、マーケットにおける需給関係で、希少価値が出ると市場価値が高まるようなものです。一方で、社内価値というのはマーケットの需給関係は関係なくて、実際に今携わっている仕事の中での貢献度合いです。

そして、どちらを重要視しているかは会社によって全然違ってきます。例えば日本の伝統的な会社で、新卒中心で徐々にポジションが上がっていく、流動性を前提としていない会社だったりすると、社内価値の比重の方が大きくなります

逆にIT企業やベンチャー企業、外資系企業などの流動性が高い会社は市場価値の方が大きくなります。流動性が高いということはマーケットから人を頻繁に取ってこなくてはいけないため、年収の決定方法に市場価値の要素を加味することが必須になるからです。

例を出すと、会社側から「社内価値がこうだからこれぐらいの値段しかうちは出せません」と言われたら、働き手は「ああそうですか。では別の会社に行きます。」となりますよね。だからこそ流動性の高い会社は、基本的には市場価値をベースに年収が決まっていくことになります。

これによって何が変わるかというと、自分がどの組織に属しているかによって年収の上げ方が変わってくるということです。
年収は「社内価値」「市場価値」で決まる

「社内価値」を高めて年収を上げていく方法

ー曽和氏
社内価値を上げて年収を上げる場合、会社の評価基準や昇進のルールが何かを知るのが重要です。

例えば、個人プレーでいい会社もあればチームプレイじゃないと駄目という会社もありますよね。このように働く側は、会社の社内価値を決める評価基準をもとに仕事を行なっていく必要があります。

つまり「行動で評価される場合は、どういう点を評価するのか。」「能力を評価される場合は、何の能力が必要なのか。」、こうした評価基準は必ず定まっているはずなので、それらを理解した上でスキルや能力を身につけていく努力をする方が早いということです。

実は、自社の人事制度について理解している人は非常に少ないです。どうなったらポジションが上がり、年収が増えていくのかを知ることがファーストステップ。ファーストステップで理解したことを踏まえて、必要な能力を開発していくのがセカンドステップのイメージです。

また上記の2つのステップに加え、評価者に認められる関係性を作っていくことも非常に重要です。

新卒すぐならば、成果を出していけば自動的にポジションは上がっていきます。ただ、組織はピラミッドのようになっているので、上に行けば行くほどポジションの枠が少なくなり、その結果「能力がある人は5人いるけど、枠は3人しかない」という状況が発生。能力だけでは昇格できなくなっていくのです。つまり、高いポジションに行くためには、誰か引き上げてくれる人がいない限り難しいということです。

同じ能力や成果の5人から3人を選ぶ状況になったとき、能力以外で差をつけられる部分は、仕事のやりやすさやコミュニケーションの部分だったりします。なので「あいつがいいと思う」と言ってくれる人がいるかどうかは、意外と重要なのです。そのためにも、社内で自分のことをきちんと理解し、期待してくれ、ポジションを引き上げてくれる人を見つけることが、ポジションアップを狙う際の鍵になります。

また、そういった人を見つけるために、まずは自分の上司にしっかりと自分の可能性や力を見てもらうことが重要です。ただ、場合によってはもう1個上の立場の人かもしれませんし、だいぶ飛んで経営陣かもしれません。そういった自分より上のポジションの人たちとうまく交流し、自分のやってることをきちんとわかってもらうのも戦略の一つだと思います。

こうして考えると、社内価値を高めていく方法と市場価値を高めていく方法は方向性がだいぶ違いますね。
社内価値を高めて年収を上げる方法

社内価値でどこまで年収が上がるか調べるには?

ー編集部
市場価値は客観的に判断をしてもらいやすいので、転職エージェントやキャリアアドバイザーに、どのくらいの年収を目指せるかを聞くことができると思います。

一方で、社内価値を上げていく場合、どこまで年収が伸びるかは理解しづらいのではないかと思います。
例えば「上司のポジションだったら、どのくらいの年収になるのか」など。そこを知る方法はあるのでしょうか?

ー曽和氏
すぐにできる方法としては、オープンワークなどの口コミサイトで情報収集をする方法ですよね。あとは役員報酬が公開されていれば、そこからなんとなくイメージはつけられるんじゃないでしょうか。

ただ、年収のテーブルは明らかにしていない会社は多いです。リクルートのような会社ですら、年収テーブルを明かしていないので、何歳になってどのポジションでどのくらいの年収かは知ることができません。

なので、うまく情報収集する方法で言えば、人材紹介会社とかを使う方法ですね。自分の会社に来る中途採用の人がどのくらいの年収なのか、といった情報を聞けないこともないです。逆に、自分の会社から出ていった人の情報も知っているわけですから。

だとしたら「僕って会社でどれぐらいのポジションなんですかね。今の会社にそのままいたら、ポジションって上がるんですかね」と聞いてみてもいいのです。自社のことを人に聞くのってちょっと変な感じがするかもしれないですが、自分が持っている情報とエージェントが持っている情報は違うので、聞いてみるのも一つの手段です

もしかしたら「御社ならご紹介してる身からいうとマネージャークラスで1000万とかは当たり前ですよ」や「マネージャーでも600万ぐらいですかね」など、ざっくりとした情報を教えてくれるかもしれませんよ。

実は、外部の人の方が横断的に見ていたりするので、社内の人よりも市場価値・社内価値、両方の目線で客観的な情報がもらえる場合もあります。

エージェント自体は転職者の年収の何%で商売してる人たちだからこそ、いろいろと知ってると思いますよ。なのでそういう意味で言うと、彼らに対して聞くのは全く問題ないと思います。

社内価値でどこまで年収が上がるか調べる方法

「市場価値」を高めて年収を上げる方法とは

曽和氏の結論

「100万人に1人」の人材になる計算式

人と同じことをしていても市場価値は上がりません。 あえてマイナーな分野を攻める「逆張り」と、異なるスキルを組み合わせる「キャリアの掛け算」を駆使してください。「100人に1人」の希少性を3つ掛け合わせれば、理論上は「100万人に1人」のレア人材となり、年収は確実に跳ね上がります。

ー曽和氏
流動性が高く、市場価値で年収が決まる会社で年収を上げようと思う場合は、希少性の高いスキルや経験を身につけることを目指すと良いでしょう。ただ、単に希少性が高ければ良いわけではなく、需要を考える必要はあります。例えば、何か特殊な言語を習得しようとしても、世界で数万人しか話者がいないような言語だとそもそも需要がないですよね。

つまり、市場価値に需要があり、かつ希少なスキルを持ってるかどうかで決まる以上、希少性を高める方法が一番年収を上げられるという考え方になってきます。

もう少し具体的にお話しすると、資格を取ったり、珍しい経験や知識を身につけて唯一無二の人になっていくということです。

そのやり方が2つあって「逆張り」と「掛け算」です。

「逆張り」は、みんなが行くようなところじゃない方を目指す。例えば英語を勉強するんじゃなくてスペイン語を勉強するとか、その方が希少価値が高くなってくるわけですよね。プログラミング言語もJavaやPythonではなく、GOやKotlinを学んでみるとか。仕事自体はあるけれど、どちらかと言えばマイナーなスキルを習得する方法です。

もう一つの「掛け算」というのは、1個1個の能力を持った人はいるんだけれども、それを掛け合わせた能力を持っている人

具体例を出すと、営業もできる人事担当などが当てはまりますね。人事で必要な能力だけじゃなくて、ビジネス戦略も出来たり、あるいは財務関係のことも出来る人事担当者だと、唯一無二の存在になっていくという感じです。

なので、逆張りで100人に1人など希少価値の高いスキルを持ち、そのスキルが2つあれば単純計算で1万人の1人しかいない希少価値になるような掛け算、こうして自分の価値を高めることで、転職時に今よりも年収を上げていくことができると思います。

「市場価値」を高めて年収を上げる方法

自分の「市場価値」を高くみてくれる会社を探すには?

ー編集部
もし市場価値を上げて転職を目指していく場合、同じスキルでも会社によって報酬額は、変わってくると思います。そういった場合、できるだけ収入アップが期待できるような会社を選ぶためにはどういうところに着目すればよいでしょうか?

ー曽和氏
給料の原資というのは利益ですので、まず業界の利益率が高いのか、また成長性はどうかを考えてみてください。

これはマーケットの成長率もあります。10年〜20年前のITベンチャーは、今ほど給与が高くありませんでした。

でも、サイバーエージェントの初任給は伸びていますし、ユニクロも年収を最大で4割上げるという報道も出ているので、ベンチャーの給与も高い方の部類になってきてるわけですよね。でもそれは業界の成長性みたいなものが結実したということなのです。

単純に利益率が低い会社は給料水準も低くて、利益率が高い会社は給料も高いですよね。つまり、成長してる会社は将来的にわたって給料が高くなる可能性が高いですし、衰退していってる会社は給料低くなる可能性が高いということです

例えば、昔は高給取りで知られた銀行員も、今でも高いとはいえ、他の会社と比べて手が届かないほどではなくなってきてますよね。テレビ局だって同じ。今となっては、IT業界で給与水準がかなり高い会社が出てきていますし、見るべきところというのは業界の利益率や成長性であると考えます。

自分の「市場価値」を高くみてくれる会社を探す時のポイント

年収が増える業界を探す方法

曽和氏の結論

個人の努力より「業界の構造」が勝つ

給料の高さは「あなたの能力」ではなく、「業界の利益率」でほぼ決まります。 稼げない業界で必死に努力するより、「稼げる業界(成長産業)」に身を置くこと。これが最も確実で、最も早い年収アップの手段です。

ー編集部
利益率の高い業界を探すための具体的なリサーチ方法はありますか?

ー曽和氏
個別の企業の利益率を知ることは難しいため、『会社四季報 業界地図』や厚生労働省や中小企業庁などの公的機関が出しているデータを活用し、業界全体のマクロな数字を見るのが確実です。

どの個社を選ぶかももちろん大事なんですけど…なぜ、どういう業界に身を置くかが重要かというと、給料が高い会社というのは、給料の高い会社同士で採用を取り合うので、引っ張られて相対的に全部高くなってくるからなんです

例えばアパレル業界は給与の平均が低めですよね。それってやりたい人がいっぱいいて、それに甘んじてどこの会社も「これぐらいでも取れるから」と業界全体で平均が作られていくわけです。そういうことを知っておくと調べやすいですよね。

ー編集部
となると…転職する場合、業界を選んでいきながら自分の市場価値を上げて、将来性などを見ながら転職活動を進めていくという形になっていくんですね。

ー曽和氏
その中でも、やはり業界の水準は重要になってきます。

社内価値も市場価値も両方に関わってくることなんですが、業界の水準は影響力がすごく大きいくて。例えば、同じ能力、才能・同じ採用・同じ努力をして同じアウトプットを出しても、その会社が利益率の高い事業をやっているのか、低い事業をやっているのかで、報酬として返ってくるものは天と地の差があります。この点は、自分の努力ではどうにもならない部分なので、業界の水準は重要になってきますね。

ー編集部
なるほど、そうですよね。でも普通の求職者で、そこまで考えて選んでいる人は多くないんじゃないかなという印象があります。

ー曽和氏
本当にそう思います。例えば、メーカーと金融だったら明らかに金融のほうが高いんです。メーカーの人で「個人として見たときにはこの人めちゃくちゃ優秀だな」というのと、金融の人で「うーん、大丈夫かな?」と思う人がいたとして、実は後者の人の方が給与が高いなんて話もあります。

さきほど言った市場価値も社内価値も同じような業界の中での相対的な話であって、業界間格差の方が大きいかもしれないですね。

ー編集部
そうなると、別業界への転職、いわゆるキャリアチェンジも考えた上での転職活動になっていくということですよね。

ー曽和氏
そうですね。例えば小売や流通の人事をやってる人が、ITのGAFAみたいなところの人事になるだけで急に2倍ぐらい給料が上がることもゼロではないです。同じ能力を持っていても、どこの業界かによってお給料はだいぶ違ってきます。

年収が増える業界を探す方法

副業で収入アップを目指すのはおすすめできない?!

曽和氏の画像

曽和氏の結論

「小銭稼ぎ」の副業はするな

生活費の足しにするための「時間の切り売り」なら、今すぐやめるべきです。 本業で成果を出せば年収は跳ね上がります。副業をするなら、「将来のキャリアチェンジへの投資」になるものに。

ー編集部
ちなみに、最近始める人が増えている「副業」で収入を上げるのはどうなんでしょうか?

ー曽和氏
あまりオススメしないですね。副業可にしているところは「うちは給料をあんまり払えないから副業してね」みたいな感じなんですよね。

実際、何のために副業やってるのか聞いた調査結果を見たりすると、生活費のためという人が多いんですよ。たまにニュースで取り上げられるような、バラ色の副業系もありますよね。あれはハイスペックな人が自分の能力を活かし、別のところへ展開することによって、学びにもなるし、収入も増えるし、という感じです。

しかし、能力がある人は本業でも稼げています。ほとんどの人は現職であんまり稼げないからそれを穴埋めするために副業をやってる人が、調査を見ても割合として多いんですよね。

なので、学びや経験のために副業をやるのは良いのですが、生活費のためにやるというのは僕はどうかなと思っています。というのも、年収を上げようと思うなら、先ほど説明した社内価値や市場価値を上げたほうが早いと思うんですよね。

そもそも、年収の上がり方って一直線ではなくて二次曲線的な伸び方をすると考えていて…例えば、社長の給料って上場企業だったら億超えてるみたいな感じじゃないですか。それって会社が急成長したから一気に収入も増えていったわけであって、一直線ではないですよね。

そうなると、同じ角度で伸びていく副業を組み合わせるより、1つの角度を高めていく方が最終的には伸びるんではないかなと思ってます

リクルートでは副業もOKしていたんですが、いつも僕は「リクルートの中で、もっと給料もらえるように頑張った方が早いよ」と伝えていました。月に10万を稼ぐのであれば、社内で良い評価取った方が給与が月でもっと上がることを知っていたからですね。そういう報酬制度のカーブを見ていてもそうだと思うので、給料を上げたいために副業するのは僕はそんなにおすすめしないですね。

なので、お金が欲しいから副業をするのではなく、自分の市場価値を上げる経験やスキルを得るためにやる副業をおすすめしたいですね。それこそ、成長している業界へキャリアチェンジするための副業だと思います。またその結果、本業での収入が上がるというのが理想ですよね。

運営会社について

ミライのお仕事は、転職エージェント事業者である株式会社MoreJobが運営しています。

会社名 MoreJob株式会社
公式ページ https://morejob.co.jp/
サービスページ https://morejob.jp/
本社所在地 〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿4-20-3
恵比寿ガーデンプレイスタワー13F
法人番号 2011001160813
有料職業紹介事業許可番号 13-ユ-316850
適格請求書事業者登録番号 T2011001160813
設立年月日 2024年3月15日