魅力的な企業カルチャーをもち、エンジニアが活躍するスタートアップを紹介する本企画。今回は、株式会社Sapeet(サピート)にお話を伺いました。
同社は「ひとを科学し、寄り添いをつくる」をミッションに掲げ、AIを活用して身体やコミュニケーションを分析・可視化するソリューション及びプロダクトを開発・提供しています。
具体的には、ヘルスケア業界など幅広い事業者向けに展開しているAI姿勢分析システム「カルティ シセイカルテ」をはじめ、店舗運営の生産性向上・スタッフ育成に用いる「カルティ マルチカルテ」などの自社プロダクト開発・販売、アパレル業界に向けたデジタルミラーを使ったパーソナルカラー診断・骨格診断システムや対面接客業界向けにスタッフの接客スキルを向上させるロープレを生成AIで実現するソリューションなどです。これらの技術はさまざまな業界で活用されています。
今回は、株式会社Sapeetのユニークな組織文化や働き方、エンジニアチームの特徴、そして同社が求める人材像について、人事責任者の町田さんにお話を伺いました。
ミッション「ひとを科学し、寄り添いをつくる」の背景とは
編集部
最初に、Sapeetさんのミッションについてお聞かせください。
町田さん
私たちのミッションは、「ひとを科学し、寄り添いをつくる」です。
このミッションは3年前に当時の社員から意見を聞きながら決定したのですが、その背景には、AIを含めたテクノロジーの活用により各領域の専門的なナレッジやノウハウをデジタル化することで、現場のコミュニケーションを最適化し、顧客体験を最大化したいという想いがあるんです。
そのために、ヘルスケアや小売業など幅広い業界を対象として、これまで人に頼っていたサービスをオンライン化し、現場で働くスタッフによる接客の標準化や店舗DX・OMO型店舗の実現など、顧客の課題をデジタルで解決するソリューションを提供しています。
プロダクトの中には、自社プロダクトであるAI身体分析技術の「カルティ シセイカルテ」があります。これは治療院やフィットネス施設などを利用するエンドユーザーに対して、現在の姿勢を可視化し、とるべき対策を伝えることができるプロダクトです。また、「カルティ マルチカルテ」を利用することでハイパフォーマーの接客・サービスの流れをデジタル化して、再現性のある高い品質のサービス提供が可能になります。このように、人に蓄積されてきたスキルやノウハウを科学して誰でも使えるようにし、社会へ還元していくことが私たちの取り組んでいることです。
お伝えしたいのは、我々は決して「AIや3Dアルゴリズムを使った身体分析だけの会社」ではないということですね。培ってきた前述の技術を活用して、多種多様なビジネスをサポートしていきたいと考えています。
「部活感」と「研究室感」がキーワード。Sapeetのカルチャーとは
編集部
Sapeetさんはどんな人が集まっているどんな会社なのか、企業のカルチャーについて教えていただけるでしょうか。
町田さん
当社のカルチャーを理解するには、私たちが大切にしている5つの行動指針をお話しするのが良いかもしれません。
「By Name(プロチームたれ)」「With Customer Win(顧客の価値と伴に)」「Fact Driven(事実駆動)」「Respect all(いいやつであれ)」「Sync(脳内同期)」の5つが行動指針で、先ほどのミッション同様に、全社員に浸透しています。
なかでも「Respect all(いいやつであれ)」は、Sapeetの特徴を端的に表していると思います。新しく入った社員からも、「いい人が多いですね」という感想をもらうことが多いですね。
手前味噌ではありますが、細やかな気遣いができたり、感謝の言葉を伝えたり、そういったことがきちんとできるメンバーが集まっているのが特徴だと感じています。
編集部
どんな雰囲気で働かれているのでしょうか。
町田さん
ミッションや行動指針と同様に、代表取締役の築山が大切にしているのが「部活感」と「研究室感」です。
まず、「部活感」というのは、みんなで熱い気持ちをもって一つの目標に向かっていくことを指します。築山は学生時代に起業した経歴をもっており、アメリカンフットボール部に所属していました。現役時のトレーニング・飯トレで体型が変化して似合う服がなかなか見つからなかったことが、起業のきっかけ(※)だったと聞いています。
(※)設立当初はアパレルEC向けのネット試着サービスを開発・提供していた
そういった経緯もあって、みんなでスクラムを組んで一直線、といった熱い思いがあるのだと思います。同時に、冷静でロジカルな意志決定も大切にしており、熱い心と冷静な頭を武器にみんなでトライしていく、そういった姿勢を「部活感」と表現しています。
もうひとつの「研究室感」は知的好奇心を満たすことができる環境のことです。技術や事業づくりをはじめさまざまなことに興味・関心をもつ人に仲間になってもらいたいですし、今在籍している社員にもそういったタイプのメンバーが多いと感じています。
例えば、最近の生成AIブームについて、社員たちが情報をシェアし、業務への活用方法を議論するなど、当社では常に積極的な意見交換が行われています。
社員の発案を積極的に採用していくような土壌や、失敗しても挑戦したことを称賛するような環境を整えていきたいという意味を込めて「研究室感」と言い表しています。
裁量の大きさと適切なフォローで、スキルアップがかなう環境
▲共有したい事案などがあれば、気軽にスタンディングミーティングを実施。コミュニケーションを大切にする社風も特徴のひとつ
編集部
とても働きやすい環境だと感じたのですが、入社後にどのように成長していけるかというエピソードがあれば、ぜひ伺いたいです。
町田さん
当社は業務を個人の裁量に大きく任せるスタイルなので、スキルアップの機会は多いと思います。
例えば最近入社したマーケティングチームの若手メンバーは、前職でコンテンツマーケティングを専門にしていたのですが、マーケターとしてもっと成長したいという思いをもって、当社に入社してくれました。
これまではデジタルマーケティングという領域のなかの一部を担当していたそうですが、Sapeetでは広告の運用やウェビナー開催といったオンラインでの企画から、展示会の開催といったオフラインでの企画まで、さまざまなリソースを駆使しながらマーケティング戦略全般を担当してもらっています。
また、バックオフィスのメンバーにも、今まさに新しい経験を積んでいる社員がいます。前職では大手企業で経理業務の中でも限られた部分を任される環境だったそうですが、現在は経理業務の一連のフローを経験し、決算作業も担当しています。
このように、自分の強みを活かしながら、未経験の領域での実績を積むことができる環境だといえます。
編集部
とはいえ、未経験の分野を任されるとプレッシャーも感じてしまいがちですよね。御社ではどのようにフォローしているのでしょうか。
町田さん
おっしゃるとおり、我々も入社後のフォローは大事だと考えています。せっかく入社してくれたのに、「お手並み拝見」とばかりに業務を投げるだけというのは無責任ですし、活躍の幅が狭まるほか、短期離職にもつながりかねません。
そこでSapeetでは、全社でのオンボーディングプログラムを実践しています。約3ヶ月間、段階的にさまざまなタスクを設定・実施してもらい、その一連の取り組みを終える頃には、当社のことをしっかりと理解することができる内容になっています。
さらに、既存の社員が、その新入社員の人となりや前職で得たスキルなどについて知ることもできる仕組みになっているので、業務への参加もスムーズです。
本業に取り組みながら実践していくので大変な面もありますが、このプログラムによって本業のほうでも既存の社員からサポートが受けられたり、心理的な安全性が高まったり、補って余りあるメリットがあると考えています。
編集部
新しい経験を積める環境やオンボーディングプログラムの実施は、大きな魅力ですね。
町田さん
そうですね。会社をより良いものにしようという意識は常にあります。行動指針にも「By Name(プロチームたれ)」や「Respect all(いいやつであれ)」「Sync(脳内同期)」と掲げている通り、自社の発展のために、社員同士で気づきや改善点などをフィードバックし合うことを大切にしています。
例えば、オンボーディングプログラムに関しても、結局は社内で作成しているものなので、作成者のエゴにならないよう常に改善する必要があると考えています。そのため、プログラムのなかに「作成者に対して改善点をフィードバックする」という項目も設けています。
新入社員の視点は、ある意味で外部の評価そのままです。だからこそフィードバックを重視しており、実際、入社したてのメンバーが組織について意見することはよくあります。
また、入社1ヶ月後をめどに、私が面談を行うことで、忌憚ない意見を聞かせてもらったり、現時点で感じていることなどをヒアリングする機会も設けています。
顔を合わせて各セクションの施策を共有するなど、情報共有の機会も多い
▲週に2度、全社員が集まって開かれるミーティングでは、セクションごとに現状の施策などを発表し、情報を共有する
編集部
そのほかにも、Sapeetさんの「働きやすさ」につながる取り組みはありますか。
町田さん
情報共有を密に行っていることも、働きやすさにつながっていると感じています。
我々は、会社の売り上げや各チームの施策など、知りたいときに自由にアクセスできる環境を作っています。また、情報共有の場として週に2回の全社ミーティングも実施しています。月曜日の午前と金曜日の午後、全員で現状を報告し合うことで、「会社全体のことを把握できる」と社員からも好評です。
副次的なメリットですが、全社員が同じ場所に集い、同じ目線で、同じ体験を共有する機会は、団結力を高めることにもつながると考えています。
編集部
リモートワークも実施されていると伺いましたが、社員の皆さんがオフィスに集まる機会があるんですね。
町田さん
そうですね。基本的には週3回出社、週2回リモートワークで、出社したタイミングで全社ミーティングを開催しています。なお、エンジニアは週1回、月曜日のみの出社で、リモートで参加することもあります。
オフィスは2023年11月に港区芝に移転していて、目の前に慶應義塾大学があるビルに入っています。全社員がワンフロアに集まることができる環境です。
私は人事担当ですが、目の前にはAIソリューションを担当するコンサルタントがいて、その向こうにはソフトウェアエンジニアやアルゴリズムエンジニアがいます。困ったことがあればすぐに声をかけ合える環境になっています。
自社開発を中心に、幅広い業界のAIソリューションも手掛けるSapeetのエンジニア
編集部
御社のエンジニア職について、業務内容や働き方などについてお聞かせください。
町田さん
現在、Sapeetのメンバーは業務委託スタッフを含めて約100名で、そのうちの40名ほどがエンジニアとして勤務しています。
業務の7〜8割は、AI姿勢分析プロダクト「カルティ シセイカルテ」や「カルティ マルチカルテ」などの自社プロダクト開発で、残りの2〜3割がさまざまな業種の顧客からのAIソリューション開発を担当しています。
AIソリューション開発では、ソフトウェアエンジニアリングと機械学習モデルを扱うアルゴリズムエンジニアリングの両方に携わっています。
具体的な事例を挙げると、デイトナ・インターナショナル様などのアパレル企業様向けに、骨格診断やパーソナルカラー診断を行うデジタルミラーを使ったシステムなどがあります。診断結果をもとに、これまで手に取ったことのないコーディネートを提案することで新しい購買体験を提供するというものです。
別の案件では小売業界のお客様から「スタッフの接客スキルを底上げしたい」というオーダーをいただき、生成AIをベースにしたロープレアバターを開発しました。ハイパフォーマーの接客フローを誰でも再現できるようにした結果、店長の教育工数の削減とスタッフの売上向上へと繋がりました。
このように、多種多様なDXニーズに対応する開発に携わっています。
チームで取り組むスクラム開発で、より良いプロダクトやシステムを生み出す
▲スクラム体験会の様子。チーム内でのペアプロやモブプロも実施しており、交流しながら成長できる環境がある
編集部
エンジニアの皆さんの働く環境や開発手法をお聞かせください。
町田さん
当社はスクラム開発を採用しており、1週間のスプリントでシステム開発を進めています。スプリントのプランニングから始まりレビューまで、開発環境やタスクの優先順位などを話し合いながら、チームで密な連携をとっているのが特徴です。
1人で黙々と作業するのではなく、お互いを知りながら開発を進め、フィードバックを受け合う環境といえます。社員・業務委託スタッフの垣根なくペアプログラミングやモブプログラミングを行うこともありますね。
そういった当社の方針もあり、オンライン、オフライン問わずオープンなコミュニケーションが日常的に行われているためか、PMやテックリードが積極的に採用面談に参加してくれるなど、「仲間集め」に非常にポジティブな雰囲気があります。優秀なエンジニア・PMのもとには優秀な仲間が集まってくるものだなと肌で感じています。
先端技術を使った開発に取り組めるほか、著名なアジャイルコーチの指導も
編集部
その他、エンジニアチームの特徴について教えていただけますか?
町田さん
モダンな開発言語を使用する環境なので、最新の技術やスキルを習得する機会にもなり、エンジニアとしても学び多き職場だと思いますね。
自社プロダクトは導入企業数、アカウント数も非常に多いですが、どんどん新機能の開発を進めています。また、AIソリューション事業では、生成AIに関連した開発やアルゴリズム開発に携わることもできますし、顧客のさまざまなDXニーズを捉えて開発していくので、案件によっては数千人、数万人に影響を与えるような仕事を請け負うこともあります。
特徴として挙げられるものとしてはまだありまして、とても著名なアジャイルコーチの方に外部からフィードバックをいただいています。検索すればすぐに書籍が出てくるような方ですので、良質なフィードバックを受けながら、とてもレベルの高い開発ができる環境だと自負しています。
ユニークな福利厚生も魅力。エンドユーザー体験に補助金も!
▲月に一度開催される懇親会では、セクションの垣根をこえて交流している
編集部
御社の福利厚生のひとつ「With Customer Win手当」とは、どのような制度なのでしょうか?
町田さん
「With Customer Win手当」はSapeet独自の制度で、3ヶ月に1回、従業員が利用できるものです。お客様に価値を提供するには、お客様の現場やエンドユーザーの体験を理解する必要があるという考えから生まれました。
具体的には、当社がターゲットとする業界(治療院、フィットネス、パーソナルトレーニング、ピラティス、マッサージなど)の店舗で体験し、レポートを書くと5,000円が支給される制度です。当社のプロダクトが導入されていなくても構いません。
全ポジションを対象としており、エンジニアも含めて、どの部署の社員でも利用することができます。
編集部
おもしろい制度ですね。実際に利用している社員の方は多いのでしょうか?
町田さん
非常に多いですね。利用した社員はレポートを社内に投稿する必要があるのですが、内容を見ると、「説明が口頭だけで一部分かりづらかったので、シセイカルテがあれば役に立ちそう」「こういう説明を受けて納得感があったので、マルチカルテで再現性を持たせたい」など、「Sapeetがその店舗にどのように貢献できるか?」という目線でみんな体験してきてくれていることが分かり、心強いです。
編集部
ほかにも月1回の懇親会があるとか。
町田さん
はい、月1回の懇親会では、部署やチームの垣根を越えてコミュニケーションを取る機会として活用しています。楽しくお酒を飲みながら仲を深める、いわゆる「飲み会」です(笑)。
Sapeetでは、新たなプロダクト開発に携わりたい方を募集!
編集部
採用に関して、特に力を入れているポジションはありますか?
町田さん
ソフトウェアエンジニア・アルゴリズムエンジニアです。これからもどんどん新しいプロダクトをリリースしていく予定ですので、Sapeetの充実した開発環境で、エンジニアとしてのこれまでの経験を活かし、開発に携わってみたいと考えている方にはぜひご応募いただきたいですね。
エンジニアチームには経験豊富で優秀なメンバーも多く在籍しているので、さまざまな刺激を受けながら自己成長ができる環境だと思います。
編集部
御社が求める人材像について教えていただけますか?
町田さん
各ポジションで必要なスキルは異なりますが、共通して求めるマインドがあります。それは「自分で会社を変えたいと思える人」「会社のせいにしない人」です。
当社はベンチャー企業なので、制度が整っていなかったり、大企業に比べると使える予算が限られていたりします。そのような中で、不満を感じるのではなく、それを楽しみながら改善していける人を求めています。
また、日常生活のなかで不便に感じていることや、世界をこう変えられたら面白いだろうなという「わくわく」をもっている人、そしてそれを自分の力で具現化してみたいという方を歓迎します。「部活動感」「研究室感」のある環境だからこそ、そういったアイデアにトライしていただけると思います。
気になる点があれば、ぜひお声がけください。積極的にご応募いただけると嬉しいです。
編集部
さまざまな「仕事の現場」でのデジタル活用を後押しするSapeetさん。同社が大切にする「部活動感」と「研究室感」は、同社の連帯感や熱い思い、真摯に仕事に取り組む雰囲気を的確に表す表現だと感じました。
また、エンジニアとしてのキャリアやスキルを積むことができる環境はとても魅力的だと感じました。本日は貴重なお話をありがとうございました。
株式会社Sapeetの基本情報
住所 | 東京都港区芝5-13-18いちご三田ビル8階 |
---|---|
事業内容 | AI身体分析技術や生成AI技術を活かした接客・営業DXソリューションの開発・提供 |
設立 | 2016年3月 |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
公式ページ | https://sapeet.com |
採用ページ | https://sapeet.notion.site/Sapeet-28dc9d93bf8e4aaba2f548d6a4b74d3d |
募集職種 | エンジニア |