IT分野で活躍するエンジニアにフォーカスし、業務への向き合い方や働き方、成長機会などを紹介するこの企画。
今回は“テクノロジーで、人と企業が高め合う関係を作る”をミッションに、Webサイトやアプリにおける成果創出コミットメントサービスを提供する、株式会社Sprocket(スプロケット)を取材しました。
CX改善で企業の成果創出にコミットする株式会社Sprocket
株式会社Sprocketは、コンバージョン向上プラットフォームと経験に裏打ちされたコンサルティングを組み合わせて、ユーザーに理想的な顧客体験を提供する会社です。
CX改善プラットフォーム「Sprocket」では専任のコンサルタントがPDCAサイクルを回し続けることでCXを改善。タグを入れるだけでWebやアプリでOne to Oneコミュニケーションが可能となり、CVR改善だけではなく顧客育成やLTV向上を実現しています。
会社名 | 株式会社Sprocket |
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住所 | 東京都品川区西五反田7-24-4 K.U.ビル6階 |
事業内容 | CX改善プラットフォーム「Sprocket」の開発・運用とコンサルティングによる成果創出コミットメントサービスの提供 |
設立 | 2014年4月1日 |
公式ページ | https://www.sprocket.bz/ |
株式会社Sprocketのエンジニアは全国からジョインし、約9割がリモートワークで開発を行っています。独自のカルチャーと自主性を持った働き方で、円滑に業務を遂行する背景には、どのような工夫があるのでしょう。
そこで今回は、CTOの中田稔さんとコーポレート本部長の鈴木諭さんに、株式会社Sprocketで活躍するエンジニアの特徴や機会成長、円滑なコミュニケーションを図る同社の文化についてお話を伺いました。
「テクノロジーで、人と企業が高め合う関係を作る」をミッションに、理想的な顧客体験を提供
編集部
はじめに、Sprocketさんの業務内容についてお聞かせください。
鈴木さん
当社は「テクノロジーで、人と企業が高め合う関係を作る」をミッションに、Webサイトやアプリにおける成果創出コミットメントサービスを提供する企業です。
顧客とクライアントが相互にスパイラルを描きながら高みを目指す“グッドスパイラル”を標榜とし、デジタルマーケティングの領域で主にECサイトの購買率や会員獲得率の向上を目指すクライアント様に向け、理想的な顧客体験を提供しています。
編集部
高倍率や会員獲得率を上げるために、Sprocketさんではどのようなサービスを提供されているのでしょう。
鈴木さん
例えば、クーポンを発行して高倍率を上げる手法ではなく、顧客と良い関係性を築き、ファンを作ることをコンセプトとしたサービスを提供しています。
成果を出し続けることを目的とした当社のCX改善プラットフォーム「Sprocket」を活用し、お客様が実際に持っているKPI(※1)やROI(※2)に、当社のコンサルタントが伴走しながら一緒に成果を上げるサービスとなっています。
※1KPI:Key Performance Indicator。ビジネスの目標を達成するために必要なプロセスが正常に機能しているかを評価するための定量指標
※2ROI:Return on investment。投資した費用に対して得られた利益や効果を表す指標
A/Bテスト(※)を繰り返し、どういうお客様にどのような情報を提供すれば購買率がアップするかを分析し、レポートとして提出、専任のコンサルタントがPDCAサイクルを回し続けることでCXを改善していくことが当社の強みです。
※A/Bテスト:Webサイトなどで複数の表現を用意し、どれが最も多くのユーザーにクリックや申し込み、資料請求、会員登録といった狙い通りのアクションをしてもらえる確率が高いかを比較する手法
データとテクノロジーで顧客心理を解明し、求める情報をベストタイミングで提供
編集部
事例をご紹介いただけると読者もわかりやすいと思われます。Sprocketさんのサービスを導入したクライアントはどのような成果を上げていますか?
鈴木さん
金融業界を例に挙げると、銀行がマイカーローンの申し込みを増やしたい、カード会社はリボ払いを勧めたいといった場合にCX改善プラットフォーム「Sprocket」が活用されています。
A/Bテストによるレポートをもとに顧客の心理状況を分析し、ログ解析に基づきベストなタイミングでポップアップを出すことで、顧客に寄り添った情報を提供した結果、申し込み件数が倍増したというお喜びの声をいただいております。
中田さん
例えば高額商品を購入する場合、不安から判断に迷ってしまうことってありますよね。従来のECサイトの場合、自分で調べたり、情報を得る必要があります。それに対し、Sprocketはメリットとデメリットも含め、顧客が知りたい情報をポップアップでお伝えすることで、シームレスに不安を払拭する効果があります。
この他にもECサイトでは商品の情報をより詳しく知ってもらうための案内をすることで、顧客満足度や理解度が上がり、リピートにつながる事例などもあります。
編集部
なるほど。顧客が知りたいことをサイト上で提供するSprocketさんのサービスを導入することで、まさにスパイラルのように顧客とクライアントが良好な関係を築くことができるのですね。
エンジニア組織と即戦力を重視した採用ポリシー
編集部
Sprocketさんでは、エンジニアの方は全社員の何割を占めているのでしょう。また、その年代についても教えていただけますか?
鈴木さん
全スタッフの約3分の1がエンジニアで、現在はソリューションエンジニアを含め、21名が在籍しています。年代は基本的には30代前半までのメンバーが多いです。
編集部
若手が活躍されている印象ですが、採用においても若い方を雇用する方針を取られているのでしょうか。
中田さん
特に意識して若手を採用していることはないのですが、CX改善プラットフォームが比較的新しい分野ということもあり、チャレンジする意欲とポテンシャルがある若いメンバーが自然に集まっていると思われます。
当社のエンジニアは特定の領域を担うのではなく、広い範囲の知識と技術が求められます。そのため、採用は即戦力を重視した中途採用が基本となっています。
募集職種としてはフロントエンド、バックエンドと分けていますが、内部的には明確な境目はなく、どちらかというとフルスタックで仕事ができるメンバーが多く在籍しています。
テクノロジーと顧客心理のバランスを重視したエンジニアが活躍
編集部
CX改善プラットフォームSprocketの開発には、テクノロジーだけではなく、顧客の心理を理解することが求められるように思われます。エンジニアはどのようなスキルを持った方が業務にあたっているのでしょう。
中田さん
エンジニアはベースとしてテクノロジーにフォーカスをしているメンバーが多く在籍しています。
単にシステムを構築するのでなく、自分たちが作るものがどのような効果をもたらすかという点にも関心を持ち、技術的な視点でプラットフォームの改良などのアイデアを出せることが当社のエンジニアの特徴です。エンジニア以外のメンバーともディスカッションをしながら、現在の機能の改修や新機能などを議論しています。
編集部
Sprocketにジョインするエンジニアはいわゆる“技術屋”ではなく、顧客が求める機能や得られる効果に注力しながら開発をされているのですね。
スクラム開発プロセスと自主的な運用改善
編集部
Sprocketさんでは“スクラム開発”を実践されていると伺っております。こちらについてもご説明いただけますでしょうか。
中田さん
スクラム開発とは、ラグビーのスクラムが語源となっており、ラグビー選手がスクラムを組むようにして、チーム一丸となって開発に取り組む、コミュニケーションを重視した手法です。
チームメンバーが目的を達成するために協力し合いながら作業を進めることを特徴としており、プロジェクト期間中にすべての機能を一気に制作するのではなく、短い期間(スプリント)ごとに機能をいくつか開発していきます。
当社の場合はAチームとBチームがあり、Aチームは今現在、2週間が1スプリントという形で回してます。それに対し、Bチームは1週間でスプリントを回しています。
チームの中で「自分たちはこういうサイクルでやる方が動きやすいだろう」ということをディスカッションしながら決めている状況で、以前はAチームも1週間でしたが、ディスカッションの結果、2週間に変更されました。
編集部
なるほど。スプリントの回し方は現場のエンジニアが自主的に行動し、決定しているのでしょうか。
中田さん
チームメンバー同士でディスカッションをする際、メリットとデメリットを出し合って、最適な手法を自主的に決めています。通常だとスプリントを月〜金で実践するケースが多いと思われますが、当社ではスプリントの開始を木曜、締めを水曜という形を取っています。
月曜や金曜に休暇を取るとなると、スプリント終了後の締めの会議や、始まる際のディスカッションが抜けるため、非効率になるのがその理由です。週の半ばに開始と締めを設定することで、土日絡めた休みが取りやすくなりました。このような議論も自分たちで行い運用のアップデートをしています。
当社は、BtoCサービスではないので、開発が終わったら即リリースというのは難しいのですが、クライアント様にアナウンスが必要なので、基本的には次の水曜日をリリースとしたサイクルで開発を進めています。
信頼と自己裁量を重視するSprocketの組織文化
編集部
ここまでお話をお聞きし、Sprocketさんには上下関係などはなく、メンバー1人ひとりがルールや仕組みを理解し、意思決定をする文化が根付いているように感じます。 組織の体制を整えるにあたり、どのような工夫をされているのでしょう。
鈴木さん
“信頼し尊重する、探求し還元する、突破し結果を出す”をバリューとする当社では、スタッフにはある程度の自由な裁量を与えたいという考えがあり、上司と部下という関係はほとんどありません。
そのため、縦割りやトップダウンで指示が降りることはなく、各自がパフォーマンスを最大限発揮するにはどうしたらいいかという課題に常に向き合っています。これは創業以来、当社に根付く社風文化です。
編集部
Sprocketさんのスタッフは信頼し尊重しているので、ガチガチにルールを決めなくても各自が責任を持って業務に邁進することができるというわけですね。
全国からジョイン可能なリモートワークと柔軟な働き方がもたらす高い生産性
編集部
Sprocketさんでは2014年の創業時からリモートワークを導入していると伺っております。現在までに働き方や業務形態の変化はありましたか?
鈴木さん
現在、70名弱のスタッフが在籍していますが、リモートワークによる働き方を選択するエンジニアは約9割と、創業時から変わっていません。
エンジニアは日本全国どこからでもリモートで仕事ができ、出社の義務もありません。当社は完全成果主義なので、パフォーマンスを出せる環境であれば、リモートでも出社でも自由に選択ができるようになっています。
勤務時間においてはフレキシブルタイムやコアタイムを設けないフレックスタイム制を導入し、働く時間を自分で選択することができます。チームによってはクライアント様の都合に合わせることもありますが、基本的には、働き方を自由に設計できるようになっています。
中田さん
エンジニア組織に限っては、コアタイムなしのフレックスタイム制ではあるものの、チームとして1つのプラットフォームを開発してるので、実質的には日の出てる時間にみんな働いてます。
リモートではありますが、ペアプログラミングなど、画面を共有しながら仕様をディスカッションしたり、コードを書いたりといった共同作業が多いため、作業時間にバラツキがあると、効率が悪くなることがその理由です。
開始と終了時間、中抜けする時間は通知した上で、なるべく平日の日中に仕事をしようという、ゆるいルール決めをしているような感じです。
バーチャルオフィスを活用したライトなコミュニケーションがエンジニアの成長機会につながる
編集部
各自が裁量を持って業務にあたっているSprocketさんのエンジニアの方々の成長機会についてお聞きします。ナレッジを共有したり、お互いの意見を交換する場や機会はどのように設けられているのでしょう。
中田さん
オフィシャルなコミュニケーションツールとして活用しているのがSlackやGoogleのMeetです。ストックが必要な情報については「esa(※)」という情報共有ツールを使っています。また、リモートでのオフィスはバーチャルオフィスを活用しています。
※esa:合同会社esaの情報共有ツール。IT企業やエンジニアを中心に利用されている
あえて会議の場を設定しなくてもライトなコミュニケーションが常に行われているので、バーチャルオフィスはいつも活発な意見が交わされています。また、成長機会に関連するイベントとしては月に1回のLT(※)会と、毎週行っている輪読会があります。
※LT:Lightning Talk。カンファレンスやフォーラムなどのプレゼンテーションで、3~5分程度の短い時間で発表する手法
編集部
わざわざ時間を決めて会議の場を設けずとも、エンジニアの方々は日常的に成長機会を得られていることがわかりました。
リモートワーク成功のカギはコミュニケーションと信頼関係
編集部
Sprocketさんでは自分の都合で相手にイエス・ノーを投げかけ、受け取る側も自分の都合で返す文化があると伺っております。無駄な工程を省きつつ、組織として円滑な運営ができているのは、どのような理由があるのでしょう。
中田さん
我々が“野武士”と呼ぶ、創業時からのメンバーは、もともと自分で判断をしてアクションを起こすプロフェッショナルが揃っています。マネジメントコストはかけたくないという考えがあり、自分自身で判断をし、周囲と調整をして動くのだから、そこに忖度も必要ありません。
リモートワークは相手がどんな状況にあるのか直接見ることはできないので、率直に聞くことしかできません。そのため、要望があれば、とりあえずなんでもぶつけてみようというマインドで相手に投げかけます。相手の状況を予測してアクションを躊躇するよりずっと話が早いからです。
相手が多忙などを理由に断った場合は代替え案を考え、次のステップに進みます。当社のメンバーは、「断られたことで嫌われているのでは?」と考えるような幼稚な考えは持っておらず、「じゃあ、どうする?」といったように、コミュニケーションで解決することを意識しています。
編集部
はっきりとした目標があり、あとはそれに向かって成果を出すことに重きをおいているため、そこに至るまでのコミュニケーションには幼稚な感情は不要であり、コミットしすぎる必要もないというわけですね。
中田さん
おっしゃるとおりです。コミュニケーションで解決するには信頼関係を築くことが重要です。特にリモートの場合は人間性を知らずに円滑なコミュニケーションを測るのは難しいので、エンジニアチームでは、定期的にリアルで集まることもあります。
普段は全国各地でリモートワークで業務にあたるエンジニアメンバーが全員出社し、直接対話をすることで信頼関係を築いていきます。このような機会をなるべく設けるようにし、リモートワークでもコミュニケーションがしやすい環境を整えています。
Sprocketのカルチャーにフィットし、個人とチームの成長機会を考えられる方を歓迎
編集部
Sprocketさんのミッションやバリュー、自主性を持った働き方、全国からジョイン可能なリモートワークなど、興味を持った読者は多いと思われます。今後、御社がさらなる成長を目指すにあたって、フィットする人物像や、求めるスキルについてお聞かせください。
鈴木さん
これまで申し上げたとおり、当社には独自のカルチャーがあります。まずはそこにフィットする方が当社には向いていると思われます。
自分で提案をし、みんなで協議して実行する風土が根付く当社では、縦割りの中で思うように提案もできないといったジレンマはありません。過去に志半ばで成し遂げられなかった経験があり、成果を出したいという方はぜひ、Sprocketにジョインいただければ幸いです。
中田さん
エンジニアの仕事は日進月歩です。経験のある技術だけをずっと使い続けるのではなく、より良い選択肢を模索し、試行錯誤を続けられるエンジニアを歓迎します。
また、自分自身の考えに固執せず、いろいろな角度から物事を見て、チームメンバーとコミュニケーションを図りながら選択できる方が当社にはフィットすると思われます。
自分自身をインプットして成長することはとても重要ですが、チームとして成長する視点を持ってアウトプットをし、みんなで学ぶ意識を持ってる方と一緒に働きたいですね。
編集部
チームメンバーによるディスカッションによる情報共有や、勤務地を限定しないリモートワーク、コアタイムを設けないフレックスタイム制度の根底には、揺るぎない信頼関係があることを今回の取材で知ることができました。
また、Sprocketさんに根付く自主性を持った働き方には、成長機会が多く存在すると感じます。
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社Sprocket:https://www.sprocket.bz/
採用ページ:https://www.sprocket.bz/company/recruit/