経験・経歴・スキルより人柄重視。スマテンのカルチャーと求める人材とは

独自の企業理念と事業内容で社会に新たな価値を生み出す企業にインタビューするこの企画。今回は「全ての建物に安全な安心を」というビジョンのもと、消防設備分野での日本の社会課題に挑む株式会社スマテンを取材しました。

株式会社スマテンとは

株式会社スマテンは建物の法令点検のためのプラットフォームを開発・提供している会社です。業界初の建物管理者のためのWEBツール「スマテンBASE」や、日本初の消防点検者向けのアプリ「スマテンUP」で、課題の多い消防設備点検の業界に革新の風を起こしています。

会社名 株式会社スマテン
住所 愛知県名古屋市中区栄1-16-15伏見DOビル7F(本社)
東京都豊島区池袋2丁目66−2 小林ビル3F(東京支社)
事業内容 インターネットサービスの開発・運用
(法令点検管理ソフト「スマテンBASE」・消防点検アプリ「スマテンUP」)
設立 2018年4月
公式ページ https://corp.sumaten.co/

今回は代表取締役CEOの都築さんに、株式会社スマテンのフラットな社風や人柄重視の採用方法、求める人材などについてお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社スマテン代表取締役CEO都築さん

株式会社スマテン
代表取締役CEO

都築啓一 さん

震災の痛み、教訓を風化させないために。スマテン設立を決意

株式会社スマテンの看板

編集部

スマテンさんは建物の消防設備点検をはじめとする、法令点検のためのプラットフォームの開発・提供をされているということですが、なぜその事業に着目したのか、スマテンさんの設立の経緯から教えてもらえますか。

都築さん

弊社の設立のきっかけは、東日本大震災です。当時私は飲食店の経営をしていたのですが、震災直後、トラックを借りて被災地へボランティアへ行きました。そこで見た凄惨な光景は忘れることができません。しかし一方で震災から時間が経ち、人々の意識から震災で受けた痛みや教訓が薄れつつある気がしています。若い人の中には、あの震災をリアルタイムで経験していない人達も増えてきています。

もちろん、震災を乗り越え、前に進むことは大切です。けれど、前に進むことと忘れること、風化させてしまうことは別です。私は震災で受けた痛みを胸に刻み、同じ過ちを繰り返さないため、教訓を活かすことが前に進むことだと思っています。何故なら、いつまたあのような災害が起きるかわからないからです。その「いつか来る、次の災害」に備えるためにできることとして立ち上げたのがこの会社です。

消防設備点検報告率49.8%。この現状をITの力で打開する

編集部

具体的に、スマテンさんの事業がいざという時の社会の「備え」にどのように繋がっているのでしょうか。

都築さん

先ほど仰っていただいたように、弊社は建物の法令点検のための総合プラットフォームの開発・提供をしています。

このプラットフォームにより、消防設備点検でいえば、コストの適正化と、点検の依頼から実施までをワンストップで行えるようになりました。消防設備点検へのハードルが下がり、点検を実施している建物が増えれば、災害時に火災などが発生する建物を減らすことにも繋がります。

編集部

スマテンさんのプラットフォームを活用し、消防設備点検など建物の法令点検の実施率が上がること、それが社会全体の安全にも繋がっていくということですね。

都築さん

弊社が消防設備の点検実施にこだわるのは、消防法で義務付けられているにもかかわらず、日本の建物の消防設備点検の報告率が50%を切っているためです。実質、世の中に建っている建物の2棟に1棟が点検未実施の法律違反状態ということになります。

こんな状況ではいつどんなトラブルが起きるかわかりません。ビルや商業施設など、法令点検が必要な規模の建物には多くの人が出入りしています。そこでひとたびトラブルが起きれば多くの人を危険にさらすことになります。

弊社はITの力を活用し、スムーズな点検を阻害する業界の古い体質を改善し「法令点検未実施のない世界を創る」というミッションの達成を目指しています。

業界初と日本初、2つのプラットフォームで業界と社会の課題を改善

株式会社スマテンが開発運営するプラットフォームのイメージ図
▲スマテンさんが開発・提供するプラットフォームは現場の声を取り入れたシンプルで使いやすい仕様になっている

編集部

日本の建物に消防設備の点検が義務付けられていること、その点検実施報告率が50%を切る状況であることを初めて知りました。この社会課題解決のために、スマテンさんが提供しているプラットフォームというのはどのようなものなのでしょうか。

都築さん

弊社が開発・提供している法令点検のプラットフォームは、建物管理者向けのWEBツール「スマテンBASE」と、消防点検者向けのアプリ「スマテンUP」です。「スマテンBASE」は業界初のツールであり、このツールを使うことで建物管理者は簡単に消防点検の管理や依頼ができます。「スマテンUP」も日本初の消防点検者向けのアプリであり、煩雑な点検票をアプリで作成できるようになっています。

今まで建物の消防設備点検には、依頼者である建物管理者と点検実施者の間に多くの仲介業者や下請けが存在し、発注額は高いのに、点検実施者の受注額は低いというコストの無駄が発生していました。弊社のプラットフォームを活用していただくことで、建物管理者と点検実施者をダイレクトに結びつけられるようになり、コストの削減と適正化も可能になりました。

編集部

ITを活用したツールにより、業界の構造的な課題と社会課題を同時に改善しているわけですね。

都築さん

はい。しかし、いくらITの力を使ったとしても「法令点検未実施のない世界を創る」という大きなミッション達成のためには、弊社だけでなく他の企業様の協力が不可欠です。そこで弊社では全国の約200社の企業様(点検者600名程度)とパートナー契約を結び、全国どこであっても、点検対象の建物へスムーズにアクセスする体制を整えています。

また、弊社のプラットフォームは消防設備以外の空調・防火・エレベーターなど建物のさまざまな法令点検に対応しています。

株式会社スマテンさんが提供するサービスのイメージ図
▲スマテンさんのプラットフォームは建物のさまざまな法令点検に対応する

編集部

建物の法令点検は、日々の暮らしの安全の根幹を担うものです。その点検業務を支え、推進させるスマテンさんの事業は、とても社会的意義が高いものだと思います。実際、お話からも責任感とミッション達成のための決意が伝わってきました。スマテンさんのミッションに共感し、社会課題解決のために志高く働きたい方にはやり甲斐を感じられるのではないでしょうか。

経営陣全員が育児中。リモートワークで育児と仕事を両立

株式会社スマテンの勤務風景(4名の社員が1つの机で話し合っている様子)

編集部

スマテンさんではリモートワークを導入しているとのことですが、いつ頃から導入しているのでしょうか。

都築さん

弊社は創業時からリモートワークを活用して業務を行っています。というのも、創業時から本社がある名古屋とは別に、システム開発はベトナムで行っており、さらに開発のとりまとめをする者はタイに住んでいたためです。

現在、弊社の社員は正社員とアルバイト合わせて30名程度ですが、そのうちの半分ほどがリモートワークを行っております。経営陣の中にもリモートワークを行っている者がいますし、働く場所は各自、自由にしてもらっています。弊社を目指す方にも、住んでいる場所が遠いからといった理由で諦めて欲しくないですね。

また、経営陣に全員子どもがいることもあり、子どもが熱を出したり、授業参観に参加したいといった理由で中抜けすることにも理解があります。実際、2022年に4歳のお子さんがいる女性が入社したのですが、この方もリモートワークで幼稚園に近い場所で仕事をされています。

もちろん、子どもの送り迎えなどで中抜けすることも問題ありません。そういったことが当たり前に受け入れられる雰囲気が弊社にはあります。

編集部

リモートワークを導入すると、どうしても社員同士の交流が少なくなりがちですが、そんな中でも、スマテンさんには社員同士がお互いを思いやる温かい心の交流があるのだなと思いました。こうした雰囲気の中であれば、子どもがいる方でも安心して働けそうです。

徹底したオープンなコミュニケーションと情報共有が連帯感を生む

編集部

リモートワークをする上で、設けているルールなどがあれば教えてください。

都築さん

はい。さきほど、弊社の社員には思いやりの気持ちがあると仰っていただきましたが、弊社では思いやりを持ったオープンなやり取りを心がけています。そして、オープンなコミュニケーションを実現するためにいくつかルールを設けています。

たとえば、リモートワークをする社員とはSlackでやり取りをしているのですが、その際、個人宛てのダイレクトメッセージの使用は禁止しています。必ず、皆が見ることができるチャンネルで発信するというルールを設け、オープンなコミュニケーションを徹底しています。

また、電話の使用も極力避けるようにしています。電話だと、どうしても対応した人にしか情報が伝わらないので、ツールを使ってしっかりテキストに残しておくということを全社的なルールにしています。

編集部

オープンなコミュニケーションが社内ルールで守られ、情報共有がしっかりされているから、リモートワークでも連帯感を持って仕事ができるのですね。Slack以外でも社員の方々がオンラインで交流する機会はあるのでしょうか。

都築さん

毎週金曜日の17時から1時間、全社員が参加するオンラインミーティングを行っています。この会議では、営業や管理、クオリティアシュアランス(※)などあらゆる部署の人間が集まり、業務の進捗を報告し、課題について話し合っています。
(※)クオリティアシュアランス…商品・サービスの品質を管理すること

会社の仕事というのは連動しており、1つの部署では解決できないことも多いため、部署を越えた連携や情報共有の場としてオンラインミーティングを有効活用しています。

全社員との1on1で新入社員もスムーズに会社に馴染める

株式会社スマテンの勤務風景(都築さんと男性社員)

編集部

ここまでリモートワークなどオンラインでの社員の方々の交流や仕事の進め方について伺ってきましたが、オフラインでのコミュニケーションや交流はどのように取られているのでしょうか。

都築さん

弊社では実際に対面して話すことによる人間関係の構築も重視しています。そのため、毎年3月と9月の年2回、全社員参加のオフライン会議を開いています。

直近で行った去年の9月の会議では、全社員が全社員との1on1を行いました。全ての社員同士が1対1で話す機会を作ったわけです。朝から始めて、5~6時間かかりましたが、結果的に社員の連帯感が強まったと思います。

たとえば、入って日が浅い社員については、オンラインで働いていると、性格など中身まで知る機会はなかなかないものです。そういった社員に関しても、今回の会議で他の社員と1対1でじっくり話すことで、お互いを知り、親睦を深められたと思います。

編集部

全社員が全社員と1on1を行うのは大変そうですが、それだけスマテンさんが社員同士の交流や相互理解を大切にしていることが伝わってきました。新しく入る方も、こうした他の社員と話す機会が設けられていることで、スムーズに会社に馴染めそうです。

「今、会社に必要なこと」を共有するグループディスカッション

編集部

前回のオフライン会議では全社員同士の1on1をされたということですが、会議で行う内容はその時によって変わるのでしょうか。

都築さん

その時々の会社の状況や課題によって内容を変え、事前準備をして行っています。前回は1on1がメインでしたが、テーマを決めてグループディスカッションをすることもあります。

たとえば弊社の競合他社に自分が所属していると仮定して、弊社よりビジネス的に優位に立つにはどのようなことをすれば良いかということを話し合ったりします。一度、社外の視点から自分の会社を見ることで、弊社の強みや課題が明確になり、それを各自に自覚してもらう狙いがあります。

弊社は「全ての建物に安全な安心を」というバリューを掲げていますが、それを各自の業務にどう落とし込んでいくかという、ある意味、バリューの再構築のようなことを皆でディスカッションすることもあります。

編集部

なるほど。そうすると今はちょうど次の会議に向けての準備を進めているところでしょうか。

都築さん

そうですね。次回のオフライン会議では事業計画の発表を行うつもりです。弊社は今まで事業計画の発表はオンラインで行っていました。しかし、現在、弊社は今まで以上に売り上げなど数字にコミットしなくてはいけないフェーズに入ってきています。そこでオフラインでしっかり顔を合わせて今後の事業計画やビジョンを共有し、社内に浸透させる必要があるためです。

このようにオフライン会議については、数字など目に見えることから、ビジョンやミッションなど目には見えないけれど浸透させる必要があることまで、その時々で会社にとって必要なことを考えて行っています。

異業種から転職したメンバーが多数。未経験でも自由な発想で活躍できる

株式会社スマテンの勤務風景(オフィスでパソコンを操作する男性)

編集部

スマテンさんの社員には事業内容的に法律など専門的な知識が求められそうですが、実際、どのような方が働いているのでしょうか。

都築さん

たしかに弊社には消防設備士など専門的な知識を持っている者もいます。しかし社員の大半は飲食店など異業種から参入した者です。何より、私自身が元々は飲食店を経営していました。

弊社が携わる業界はまだまだ古い体質が残っており、「これはこうあるべきだ」といった硬直した考え方も強いです。そうした中で、異業種をバックボーンに持つITの専門集団として、自由で新しい発想で事業を展開できるのが弊社の強みだと思います。

ですから弊社に応募するにあたり、未経験であることはネガティブ要素にはなりません。未経験であっても明確に役割を与えられますから、それを達成すればしっかり評価されます。社歴や性別など仕事以外の要素が評価に影響することもありませんので、その点も安心してください。

編集部

未経験でもチャレンジでき、それに対する評価制度も確立されていることは、心機一転、スマテンさんで頑張りたいと思っている転職希望者にとっては心強い言葉だと思います。

社長のことも「さん」付け。社員は「同士」と捉えるフラットな社風

編集部

スマテンさんには様々なバックボーンを持つ方が在籍されているとのことですが、そうした方達が集まることで、どのような社風が形成されているのでしょうか。

都築さん

弊社の社員の経歴は様々なのですが、素直で誠実な方が多い印象です。また、役職などで壁がないフラットな社風だと思います。

弊社は20代半ばから30代半ばぐらいのメンバーが多いのですが、私と一般の社員も普通に話をしています。私が社員に呼ばれる時も「社長」というより「都築さん」というように、さん付けで呼ばれることが多いです。ですから、あまり社長、社長といった格式張った感じはないですね。

とはいっても、友達感覚というわけではなく、同じ目的を持って集まり、会社をともに成長させていく同士といった感覚なのですが、話しやすい環境ではあると思います。もちろん社内派閥のようなものもありません。

編集部

しっかり仕事としての緊張感を持った上で、フラットで話しやすい人間関係が築かれているのですね。会社として、社員同士が親睦を深めるイベントを開いたりといったこともあるのでしょうか。

都築さん

イベントではないですが、社内でゴルフ部を作り、部員は男性も女性も皆、初心者なのですが、一緒に練習に行ったりして楽しんでいます。楽しむ時は楽しんで、仕事に集中する時は集中するといったメリハリが効いているところも弊社の特徴だと思います。

編集部

一つの目的を持った仲間として、時には楽しみながら、みんなでゴールに向かって進んでいく雰囲気があるわけですね。緊張と弛緩のメリハリがある職場はとても働きやすいと思います。

採用は人柄重視。オファー面談で入社後のミスマッチを防ぐ

株式会社スマテンのオフィス内観

編集部

スマテンさんが求める人材というのも今伺った社風にマッチするような方ということになるのでしょうか。

都築さん

そうですね。スキルや知識はあるに越したことはありませんが、それよりも誠実さがあるかどうかなど、採用では人間性を重視しています。

編集部

なるほど。面接の中で人間性を判断するために工夫されていることはありますか。

都築さん

確かに面接という限られた時間の中で相手の人間性を判断するのは難しいものです。ですから、何回か面接を行い、お互い腹を割って正直に話をすることが大切だと思っています。体裁を取り繕ったところで、入社後にミスマッチが起きればお互い不幸なだけですから。

面接の際、弊社は会社としてまだ足りていない面やできていない面も正直に伝えています。これまで入社されたメンバーとの間でミスマッチがほとんど起きていないのも、会社としてオープンな姿勢で面接に臨んでいるからだと思います。面接を受ける方もぜひ正直に自分自身を伝えて欲しいです。

編集部

スマテンさんでは採用面接をお互いを理解し合い、認識のズレをなくす場として捉えているのですね。

都築さん

もちろん、面接は選考の場でもあるのですが、だからといって表面的なやり取りをしても意味がないと思ってます。見ているのは人間性ですから、別に服装もスーツで来ていただく必要はありません。いつものその人で来ていただきたいです。

また、採用したいと思った方には、ただ内定を出して終わりではなく「オファー面談」を受けてもらっています。初めは弊社に応募してきていただくことで採用面接が始まるわけですが、最後は逆にこちらからオファーを出すわけです。

「オファー面談」では、私や役員が弊社のビジョンや「将来的にはこういうことを成し遂げたいと思っていて、そのために今、こういったことに取り組んでいる」といったことを1時間程度、結構熱く語らせていただいています。その上で、弊社の想いに共感していただける方に内定を出すという形を取っています。

編集部

最後のオファー面談でもしっかり時間を取って、目指す方向が同じかどうかの確認をしているからこそ、入社後のミスマッチが少ないのですね。転職活動中の方にとって、入社後のミスマッチは不安要素の1つだと思いますが、面接の時から本音で話せるスマテンさんであればその心配はなさそうです。

求職者の方へのメッセージ

編集部

最後に、スマテンさんに興味を持たれた方へ改めてメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。

都築さん

成長意欲があり、誠実な方に来ていただきたいです。私自身、まだまだ経営者としてやり切れていない部分もあり、社員の方から学びたいと思っています。だからこそ、一緒に成長していける方と働きたいです。もちろん、成長といっても、仕事をする上で壁にぶつかることは何度もあると思います。けれど、そうした時でも愚痴を言うのではなく、どうしたら乗り越えられるか考え、実行できる方がいいですね。

また、採用において過去の経歴はそれほど重視しないので、過去何をしていたかより、今とこれからに期待できる人と出会いたいです。

編集部

本日はお忙しい中お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

■取材協力
株式会社スマテン:https://corp.sumaten.co/
採用ページ:https://corp.sumaten.co/recruit/