女性が活躍しやすい田原市役所|育児とキャリアアップが両立できる職場環境

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、愛知県の田原(たはら)市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。

田原市役所は、育児休業からの復職率ほぼ100%、女性管理職比率19.2%という実績が示すように、女性職員がライフステージに関係なく長く活躍できる組織です。時間単位の有休など、制度面も整えられています。

また、民間からの転職者も多く在籍しており、互いの経験をもとに業務を進めることで良い循環が生まれていることも特徴です。『変革力を持つ個性豊かな職員』を職員像として掲げているとおり、一人ひとりが主体的に動き活躍しています。

今回は、田原市役所の女性職員のキャリアや働きがい、新卒・未経験であっても活躍できる風土や取り組みなどについて、農林水産部の大久保さん、企画部の洞口さん、都市建設部の中島さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
田原市役所の大久保さん

田原市役所 農林水産部農政課 課長補佐

大久保 加奈子さん

大学卒業後、田原市役所に入庁。現在は農林水産部農政課で課長補佐を務め、係全体のマネジメント業務を中心としながら実務にも携わっている。


田原市役所の洞口さん

田原市役所 企画部 企画課主事

洞口 陽子さん

愛知県内の高校で教員として10年間勤めた後、田原市役所に入庁。現在は企画部企画課主事として、ふるさと納税・ふるさと大使などシティセールス(まちの魅力発信)を手掛けている。


田原市役所の中島さん

田原市役所 都市建設部建築課 技師補

中島 優介さん

高校卒業後、田原市役所に入庁。都市建設部建築課で技師補を務め、主に補助金関連の業務や公共工事の管理業務、法律に基づく許認可業務に携わっている。

 

女性が働きやすい環境:女性管理職19%、育休復帰率ほぼ100%

田原市役所の洞口さんの仕事風景

編集部

田原市役所では、多くの女性職員が活躍されていると伺っています。具体的にお教えいただけますか?

大久保さん

まず組織全体のことからお伝えすると、課長以上の管理職における女性の割合は19.2%で、2025年度に25%以上を目標としています。

自分自身、現状では農林水産部農政課で課長補佐を務めているため監督職ということになりますが、男女の違いで昇進などに影響はなかったと感じています。実際に、私は入庁して25年目で、キャリアの中では3人の子育てで計5年半ほど育児休業を取得しましたが、同期の男性職員と同じタイミングで昇進することができました。

ちなみに昇進には一定の基準があり、勤続年数や役職在任期間などの要件に加え、能力評価も考慮される形です。ただし、能力だけでなく、最低限必要な経験年数なども設定されていますので、バランスの取れた制度だと感じています。もちろん育児休業を取得しても、その期間は在籍期間としてカウントされ、昇進に影響することはありません。

編集部

出産や育児、また家事をしながら仕事をすることは大変かと思いますが、両立しやすい環境なのでしょうか。

大久保さん

非常に両立しやすいと思います。育児休業からの復職率は、事務職でほぼ100%です。最近は男性も育児休業を積極的に取得していますね。

また、1時間単位での年次有給休暇が取得できるため、「子どもの送り迎えがあるので今日は少し早めに帰ります」といったことも可能となっています。そのため、出産や育児を理由とした離職はほとんどありません。

編集部

以前と比べて働きやすさについての変化などはありましたか?

大久保さん

私が入庁した25年ほど前は、女性がお茶出しをしたり、湯飲みを洗ったりといった暗黙のルールがありましたが、入庁後数年ほどでなくなったと記憶しています。今では女性であるがゆえに不利になったり、負担をかかえたりすることは全くなく、性別にかかわらず活躍ができる職場環境だと感じています。

女性職員が語る田原市役所での働きがいとは

田原市役所の大久保さん
▲取材に応じてくださった大久保さん。「外部から想像する以上にフレンドリーな組織で、市長が若手職員に声をかける場面もよく見る」と話してくれた

編集部

女性職員として活躍されている大久保さん・洞口さんが、田原市役所の勤務にどんな働きがいを感じているか教えてください。

大久保さん

「こういうことをしてみたい」といった職員の意見に耳を傾け、前向きに検討してくれる組織風土があり、自分の企画が採用されたときに大きなやりがいを感じますね。例えば、現在の部署では農家の方々への情報発信方法を見直し、公式LINEを立ち上げて補助金などの情報を発信できるようにしました。

以前市民課に所属していた際にマイナンバー制度が始まったときは、窓口の受付オペレーションの構築をメインで取り仕切りました。現在もその仕組みが活用されていてとても嬉しいです。

田原市役所の洞口さん
▲取材に応じてくださった洞口さん。「たはらブランド」のあおさのりなど、出身地である田原市の特産品を多くの人に知ってほしいと話してくれた。

洞口さん

私は、ふるさと納税の返礼品を通じて田原市を知っていただけることにやりがいを感じています。市の特産品を初めて味わった方から「とても美味しかった」「今度は実際に足を運んでみたい」といった感想をいただくことも多く、仕事のモチベーションにつながっています。

業務の中では、事業者様から申請を受けた返礼品の認定や、中間事業者さんとの連携によるふるさと納税サイトのブラッシュアップを行っています。その際にはサイトに投稿されるレビューを定期的にチェックし、寄附者の方々の声を参考にしながら改善を進めています。

実は、私は県内の高校で教員として10年間勤務していました。「生まれ育った田原市に戻って長く働きたい」「田原市を良くするお手伝いがしたい」という想いをずっと抱いていたのと、福利厚生が充実していることもあり市役所に転職したんです。

前職の教職に比べると幅広い分野の知識が求められ、他部署の業務についても把握しておかなければならないため大変さもありますが、その部分も働きがいのひとつです。常にアンテナを張って情報を得るように心がけています。

OJTや研修など、充実の教育体制で成長をサポート

田原市役所の中島さん
▲取材に応じてくださった中島さん。実際に交流してみると職員はとても気さくで、接しやすい方ばかりだと話してくれた。

編集部

高校卒業後、田原市役所に入庁された中島さんはどのように業務を身に付けてきたのでしょうか。

中島さん

高校の建築学科を卒業してからずっと現在の建築課で勤務してきましたが、ビジネスマナーから仕事内容まで、すべて先輩職員のサポートのもとで学んでいきました。

臨機応変な対応が必要な業務が多いため、マニュアルが細かく整備されているわけではないのですが、その分、先輩職員から直接指導を受ける機会が多くあります。最初は先輩職員の補佐として業務に携わり、およそ1年かけて仕事を覚えていった形です。すぐに独り立ちして責任ある仕事を任されたわけではなく、段階的にステップアップしていける体制が整っているため、業務習得に集中できたと感じています。

なお、思い出に残っているのは、以前小学校のエアコン設置工事に携わったときのことです。工事後に学校を訪れて快適な室内環境へと変化していることを体感したとき、「頑張って良かったな」と実感しました。自分が直接工事をするわけではありませんが、市民の方々の生活環境の向上に貢献できていることに大きなやりがいを感じています。

編集部

入庁後の研修制度についても教えていただけますか。

中島さん

新入職員全体向けの研修に加え、愛知県が主催する建築技師向けの専門研修も受講できます。また、現在の部署では月1回程度、係長の指導のもとでの勉強会もあり、学ぶ機会がたくさんある職場です。

ノー残業デーや軽装勤務の制度あり。交流が盛んな風土にも注目

田原市役所の仕事風景

編集部

職員の働きやすさ向上に向けて、どのような取り組みが行われていますか?

大久保さん

約20年前から毎週水曜日がノー残業デーに設定されており、残業の軽減に注力している組織だと感じますね。実際の月平均残業時間は、2023年度の実績で14.2時間でした。

また、令和6年度には軽装勤務の通年化に向けた試行実施を経て本格実施となり、男性のノーネクタイはもちろん、女性もスニーカーやフラットシューズといった動きやすい靴で働けるようになる等、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。

洞口さん

休暇の取りやすさも挙げられますね。田原市役所では土日休みが確保されていることはもちろん、平日の休暇も取得しやすい環境です。ちなみに、2023年の年次有給休暇の平均取得日数は11.0日で、実績としてもしっかり表れていますね。

編集部

職場の人間関係や交流についてはいかがですか。

大久保さん

部署や年齢を超えた交流が活発で、旅行やスポーツ大会などのイベントを通じて職員同士の交流を深められる「職員互助会」という組織もあります。また、野球やバドミントンのサークル活動、年度末の懇親会など、自発的な交流の場も多いです。こうした活動を通じて、新入職員や中途採用の方もスムーズに職場に馴染んでいますね。

編集部

上長の方々との距離感はどうですか?

大久保さん

とてもフレンドリーで距離が近いです。メンター制度として、先輩職員に業務以外の相談ができる「ワークライフサポーター」制度が整っているため、部長までの上長の方々ともワークライフサポーターが緩衝材となり、初対面でも気軽にコミュニケーションをとれる職場だと感じています。

また、市長も互助会の旅行に参加されたり、若手職員に声をかけてくださったりします。

改革意識を持ち、業務効率化を進めていける人を歓迎

田原市の自然風景(赤羽根ロングビーチ)、田原市の自然風景(太平洋)、田原市の自然風景(日出の石門)
▲赤羽根ロングビーチや太平洋、日出の石門の風景。田原市には豊かな自然があふれている。

編集部

採用に関して、求める人物像についても教えてください。採用ページで「変革力を持つ個性豊かな職員」を求めていらっしゃいますが、具体的にどのような人材を期待されているのでしょうか。

大久保さん

田原市役所が掲げる職員像は「変革力を持つ個性豊かな職員」です。地方自治体も時代に合わせて変革していく必要があるという意識から、そうした変化に柔軟に対応できる職員や、他人任せではなく自分事として考え、主体的に行動できる職員を求めています。

編集部

具体的な部署での視点から見て、どのような人材が活躍できそうでしょうか。

中島さん

建築課の例でお話しすると、自分が使う建物ではなくても、自分の家のように細部までこだわりを持って携われる人材がフィットすると思います。また、様々な業務に関われるため、好奇心旺盛な方が向いていると思います。

さらに、私たちの業務では長い歴史の中で培われた慣習もありますが、常にアンテナを張り、新しいツールや方法を積極的に取り入れて業務効率化を図れる方が重宝されます。

一例として、本市はDX推進の一環でペーパーレス化を進めており、令和6年度は4〜11月の8ヶ月間で47万枚分の印刷量が減少しました。より良い市民サービスにつなげていくための改革意識を持った人材が大きく活躍できると感じますね。

田原市役所から転職検討者へのメッセージ

編集部

最後に、転職を考えている方々へのメッセージをお願いできますでしょうか。

大久保さん

田原市役所の特徴として、若手職員でも積極的に意見を出せる環境があり、上司もしっかりと耳を傾けてくれることがあります。民間企業での経験や、外部から見た田原市の印象を基に提案するなど、それぞれの経験・知識を活かせるチャンスが豊富にある職場です。

「田原市をより良くしていきたい」という想いを持った方々のご応募をお待ちしています。

中島さん

私がいる建築課には、民間からの転職で入庁した職員が複数名います。業務の中で、私はその人から民間での豊富な経験から培った知見を教えてもらい、逆に自分からは公務員ならではの経験からいろいろと伝えているので、良い相乗効果が生まれていると感じます。

このように専門性を活かせる環境があるので、ぜひ民間企業を経験している人に応募をご検討いただきたいです。

編集部

本日はありがとうございました!

編集後記

育児休暇を取得してもキャリアを中断せずに昇進できる仕組みや、女性だけでなく男性も育児休暇が取りやすい環境など、働きやすさの改善に積極的に取り組んでいる田原市役所様。職員間の交流を大切にされている組織風土も魅力的で、取材時にみなさんが和気あいあいとお話しされている様子からも雰囲気の良さを肌で感じました。

この記事のまとめ

働き方の特徴
  • 月平均残業時間14.2時間、年次有給休暇平均取得日数11.0日
  • 毎週水曜日はノー残業デー制度を導入
  • 通年軽装勤務導入で服装の自由度が高い
女性活躍・両立支援
  • 管理職の女性割合19.2%(2025年度までに25%以上が目標)
  • 育児休業からの復職率はほぼ100%
  • 育休取得による昇進への影響なし
  • 保育園送迎などの早退・休暇取得が容易
キャリア形成
  • 未経験でも約1年かけて段階的な業務習得が可能
  • 専門研修や部署内勉強会などの学習機会あり
  • 昇進は勤続年数と能力評価のバランスを重視
職場環境・社風
  • 部署や年齢を超えた活発な交流あり
  • 若手職員の意見も積極的に採用
  • ワークライフサポーター制度で相談体制が充実
求める人物像
  • 社会情勢の変化に柔軟に対応できる人
  • 業務改善に積極的で主体性のある人
  • 地域をより良くしたいという思いを持つ人

田原市役所の基本情報

住所 愛知県田原市田原町南番場30-1
事業内容 田原市の行政業務全般
公式ページ https://www.city.tahara.aichi.jp/
採用ページ https://www.city.tahara.aichi.jp/
seisaku/kyuyojinnji/1001635/
募集職種 土木職

【応募要件】
1級土木施工管理技士・1級建築施工管理の資格保持者の場合:40歳くらいまで
無資格の場合:28歳まで
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。