魅力的な事業を展開する成長企業を紹介する本企画。今回は「すべての人を非効率な仕事から解放する」というミッションのもと、IT知識の有無に関係なく、クラウド上で誰もが簡単に使用できるアプリケーションの開発を行う、トヨクモ株式会社を取材しました。
トヨクモの社会貢献:能登半島地震後の安否確認システム無償提供と生活支援サービス開発
トヨクモ株式会社は、2010年にサイボウズ株式会社の100%出資により設立されたIT企業です。2014年の独立後も、クラウド型プラットフォーム「kintone」に連携する業務改善アプリやオリジナルのスケジューラーなどを開発し、現在は8つの製品を提供しています。
成長を続けるSaaS市場において、生産性向上と時間の有効活用につながるサービス開発に注力し、世界規模で利用される新製品の開発にも挑戦しています。
同社の「安否確認サービス2」は、3,000社以上に導入されており、直感的に使用できるシンプルな設計が特徴です。2024年1月の能登半島地震発生直後から、被災地4県の企業に無償提供し、安否確認や情報共有のための掲示板・メッセージ機能が活用されています。被災地の方々の負担軽減のため、通常は利用者が行う設定作業も、トヨクモ株式会社が無償で代行しています。
■トヨクモスケジューラー
https://www.toyokumo.app/scheduler
■安否確認サービス2
https://www.anpikakunin.com/
会社名 | トヨクモ株式会社 |
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住所 | 東京都品川区上大崎3丁目1-1 JR東急目黒ビル14階 |
事業内容 | ・クラウドサービスの開発/提供 ・新サービスの開発と運用 |
設立 | 2010年8月 |
公式ページ | https://www.toyokumo.co.jp/ |
今回は、同社のサービス特徴や独自制度、社員の雰囲気について、代表取締役社長の山本裕次さんと経営管理本部採用グループの増田朋実さんにお話を伺いました。
トヨクモの製品開発理念:シンプルで使いやすいITサービスで企業のデジタル化を支援
編集部
まずは、トヨクモさんの開発する製品の特徴についてお教えください。
山本さん
私たちの製品の特徴は「安くて簡単」というところです。通常、導入先でのセットアップや初期使用方法の説明を開発側のエンジニアや営業担当が行いますが、当社の製品はお客様自身で行っていただいています。セットアップも使い方もとても簡単なので、ITに詳しくない方でも問題ありません。そのため、低価格で提供できているのです。
ITの知識がなくても、やる気のある方なら誰でも使える、成功体験ができるものを開発しています。これが私たちのビジネスモデルです。
編集部
製品名も「トヨクモスケジューラー」「安否確認サービス2」とシンプルで分かりやすいものになっていますね。ユーザーは、求めているサービスを「これだ」とすぐに見つけられそうです。
山本さん
おっしゃる通りです。私自身も非効率なことは避けたいと考えているので、同じ労力を使うのであれば、効率よくシンプルに目的にたどり着きたいと思います。
生産性の上がるサービスには価値があると考えています。特にパソコンに詳しい人がいない会社や団体様の「これからITの第一歩を踏み出す」決意を支援できるような、サービスをつくっていきたいですね。それがトヨクモが開発を続ける意義だと考えています。
増田さん
私は採用業務にスケジューラーを使っています。自社製品ながら、非常に助かっています。例えば、面接予定を登録してもらうときには、応募者の方が自身の空いている時間と私の空いている時間を見て、希望する面接日時を直接登録できます。これまでは、何度もメールで候補日の確認や時間の調整をやり取りしていました。
自社製品を使い始めてから、作業量が大幅に減りました。応募者の方との対話などにより多くの時間を割けるようになり、とても良いと感じています。
編集部
なるほど。応募者の方にとっても、手間のかからない便利なサービスなのですね。応募者の方は入社前にトヨクモさんの製品の使い勝手を知って「お!すごく便利だ」と実感できるわけですね。
SaaS市場の活況を背景に26%成長を達成
▲トヨクモ株式会社のキャラクター「トヨクモちゃん」を持つ代表取締役社長の山本裕次さん
編集部
トヨクモさんは年々右肩上がりで利益を伸ばしていらっしゃいますね。事業が好調な理由をお聞かせください。
山本さん
私たちの成長の理由は、正直ビジネスモデルにあると思います。国内のSaaS市場自体も、年平均約13%の成長率を維持すると言われ、好調が続いています。
開発した製品が増えて契約が増える、そして利益も増えてお客様に安心していただける体制を維持していく、そのようなビジネスモデルです。特別なことをしているわけではありません。
編集部
全ての製品において、安定して多くのユーザーに支持され、それが口コミなどで広がり、さらにユーザーが増えていくという安定した成長をされているのですね。社員数についてはいかがでしょうか。
山本さん
少数精鋭のメンバーで対応しています。現在は役員を除き57名のメンバーがおり、職種はエンジニア、デザイナー、プロモーション、セールス、カスタマーサポート、経営管理などがあります。
契約が増えれば、それに応じて採用を行っていきます。現在26%の成長ですので、メンバーも20%くらい増員したいと考えています。
編集部
着実に、足元を固めながら成長されているのだなということが分かりました。今後もメンバーの増員が続きそうですね。
組織文化:20代が68%を占める若手主導の環境づくり
編集部
トヨクモさんのメンバーの皆様は、どのような年齢構成でいらっしゃいますか。
山本さん
57名のメンバーのうち、20代が39名、30代が13名で若手が多い組織です。
特に年齢にこだわって採用をしてきた結果ではありません。結果的に、私たちのような挑戦を続けるベンチャー企業には、チャレンジ精神の旺盛な若い方がたくさんご応募くださっていて、ご縁があったという状況です。
編集部
トヨクモさんのどのようなポイントに惹かれて、若手の皆様は応募されているのでしょうか。
増田さん
入社の決め手となったポイントとして、よく耳にするのは「ビジネスモデルに惹かれた」という声です。また、私たちがバリューとして大切にしているものの中の「公明正大」という価値観も重要です。採用の場面でも「公明正大」であることを重要視しています。
お互いに、嘘いつわりのない話をして、納得し合えるのが理想です。そのような姿勢でお話させていただいているのを、応募者の方から評価いただいています。
編集部
入社された若手の皆様が、トヨクモさんで働き始めてから感じた思いなども聞かれていますか。
増田さん
社内のスピード感と、経営層との距離の近さについて、皆さん高評価をくれます。「こういうふうにやりたい」と発言すれば、すぐに行動できることや、会社を動かしている経営陣の生の声がすぐに聞ける環境は、当社ならではのカルチャーがあればこそだと思います。
私も前職では、社長をスクリーン上でしか見たことがありませんでした。当社のように、若手でも気軽に経営陣と対話ができる環境は、自分の中にない考え方を吸収できるなど「学びが多くて嬉しい」という意見をよく聞きます。
独自制度:「社長とランチ」で深まる社内コミュニケーション
編集部
トヨクモさん独自の社内制度や取り組みはございますか。
増田さん
実は、始まったばかりだというのに大人気の取り組みがあるんです。現在2ヶ月待ちの状況です。
山本さん
それは「社長メシ」といって「毎週火曜に社長とランチをしませんか」という企画です。1対1、もしくは1対2で、メンバーとゆっくり話をする時間を設けたいと思って始めました。もちろんランチ代は私が負担します。
編集部
なぜ、そのような制度を始められたのでしょうか。
山本さん
以前はメンバーが少なく、私も多くの会議に参加して話をする機会がたくさんありました。しかし、それが減ってきたんです。会議に毎回私が出席するのではなく、メンバー同士で様々な検討や決め事を進めてもらい、それぞれの成長を促すようにしています。極力私は関与せず、メンバー中心で活動してもらいたい、そういう段階に来ているんです。
コミュニケーションの機会が減っていると感じれば、増やす努力が必要なので「社長とランチしませんか」と呼びかけています。日常的にメンバーに声をかけることはありますが、もっと詳細な話をしたいですし、会社の状況をよりよく把握したいと思っています。コミュニケーションが減ると、寂しさも感じてしまいますからね。
編集部
ランチタイムに業務のことだけでなく、気軽な話もできるのですね。メンバーの皆様が楽しみにして、予約が殺到しているのも理解できます。
給与戦略:世界基準を目指す平均年収1,000万円への挑戦
編集部
トヨクモさんでは、給与の制度はどのようになっているのでしょうか。
山本さん
平均年収を上げる取り組みをしています。2023年12月時点で、社員の平均年収は852万円。2018年からの5年で310万円アップはしましたが、1,000万円を超える平均年収にしたいですね。
世界的な視野でみると、IT人材の給与ってもっと高いんですよね。今後、世界で戦って勝てる会社をつくりたいと思っているので、それに見合う生産性を確立したいという思いがあります。世界相手に戦える人材を確保していくためには必要だと思っています。
編集部
給与が上がっていくというのは、単純に社員の皆様のモチベーションアップのためだけではなく、先の未来を見据えた、世界を基準にしてのお考えからなのですね。
山本さん
そうしないと世界で勝てないと思っています。でも、給与をどんどん上げているのに、すごく節約しているところもあるんですよ。例えば、ウォーターサーバーやコーヒーマシンみたいなものは、当社では置いていません。
その辺りは割り切っていて、福利厚生で水や飲み物をオフィスに置く費用があるなら、給料を上げたいと思っています。まずは平均年収1,000万円を超えたいんです。メリハリをつけるというか、やるべきところに集中投資しようと思っています。
編集部
ほかの競合と比べて給与が高いということは、採用の場面ではどのような影響がございますか。
増田さん
特に新卒の方からは、喜ばれる前に裏があるのではないかと怪しまれることもあります。「残業が特別多いことはないし、家賃補助も支給されるのに、こんなに給与が高いのはなぜですか」というような質問をされる方が多いです。
ですので「トヨクモは、プロの集団を目指しています。選りすぐった人材、プロの素質がある人材を採用しているので、高い水準の給与を支給しています」としっかりお伝えしています。「頑張ってくださる方に報いたい」という私たち会社の思いを説明して「なるほど」と理解いただいています。
キャリア支援:個人の成長を促すグレード制度の導入
編集部
トヨクモさんの評価制度についてもお聞かせいただけますか。
山本さん
2024年の1月から人事制度にグレード制度を導入しました。上司の主観的な判断ではなく、明確な基準に基づいて評価を行う制度です。これにより、メンバーそれぞれが自身の未来設計をしやすくなると考えています。
山本さん
この制度では、短期的な目標と1年後や2年後といった長期的な成長目標を設定します。これらの目標は全員に公開されるため、お互いに刺激を受け合えます。また、仲間の目標を知ることで、その分野にチャレンジできる機会や情報を提供し合うこともできます。
人は成長を実感することで人生が楽しくなると思います。会社と個人が共に成長を実感しながらステップアップできれば、お互いに幸せになれるのではないかと考えて、このグレード制度を導入しました。
編集部
明確なグレード制度により成長が促され、その成長に応じて高水準の報酬を得られるのですね。また、目標の公開によってお互いの理解が深まり、チームワークの向上にもつながりそうです。
トヨクモの求める人材像:自ら考え行動できるチャレンジ精神旺盛な人材
▲採用のポイントを語ってくれた代表取締役社長の山本裕次さん
編集部
トヨクモさんでは約20%のメンバー増員を考えていらっしゃるとのことですが、どのような人材がトヨクモさんにフィットするとお考えでしょうか。
山本さん
自分で考えて行動できる方が、トヨクモにフィットすると思います。自分の課題を見つけ、それを解決するための行動を起こせる方は、トヨクモで成長できると考えています。
私たちは、常に新しい変化を受け入れ、生産性を高めるための改革を積極的に行っています。チャレンジしたい人が、実際にチャレンジできる会社であり続けますので、「自分を成長させたい、挑戦したい」という方は是非ご応募いただきたいと思います。
編集部
トヨクモさんのメンバーの皆様の雰囲気はどのような感じなのでしょうか。
増田さん
真面目で明るい方が多い印象です。ITベンチャーと聞くと、派手なイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、トヨクモはそれとは少し異なり、みんな基本的に真面目です。
ただし、寡黙なわけではなく、コミュニケーションに対してはみんな前向きです。部署を横断して会議をしたり話し合ったりすることも多く、若手が分からないことを様々な部署の先輩に聞きに行くこともあります。非常に活気のある会社だと思います。
20代でIT未経験という方でも、理想や目標がある方はトヨクモに入社して、それを形にしてほしいです。同年代の仲間たちがサポートしてくれると思います。私自身も、IT未経験でトヨクモに転職して「思い切って一歩を踏み出して本当に良かった」と感じています。
山本さん
実は、増田さんが担当する前は、採用担当という業務がなかったんです。増田さんの活躍によって、素晴らしい発想を持った、より優秀な人材が入社してくれるようになっています。若手たちの活躍は、増田さんのおかげだと言えますね。
編集部
お二人のお話を伺って、トヨクモさんの社内の雰囲気の明るさ・和やかさが伝わってまいりました。本日はありがとうございました。
■取材協力
トヨクモ株式会社:
https://www.toyokumo.co.jp/
採用ページ:
https://careers.toyokumo.co.jp/