宇城市役所の組織文化:女性管理職が活躍、中途入庁からの成長など挑戦を導く風土

ミライのお仕事『注目企業へのインタビュー』企画。今回は、熊本県宇城(うき)市役所にインタビューしました。この記事では、転職を検討されている方に向けて、同市役所で働く魅力をご紹介します。

宇城市役所は、職員の約半数を女性が占め、女性管理職の活躍や、若手主導での市役所改革プランや人材育成基本方針の改訂など、性別や年齢に関係なくチャレンジできる組織づくりを進めています。また、育児との両立支援制度も充実しており、職員一人ひとりのライフスタイルに寄り添った働き方を実現しています。

今回は、宇城市役所の多様な人材が活躍できる職場環境やキャリアについて、土木部用地管理課の浦島さん、教育部学校施設課の大塚さんにお話を聞かせていただきました。

本日お話を伺った方
宇城市役所土木部用地管理課の浦島さん

浦島 未央さん

宇城市役所に入庁後、福祉部高齢介護課などの部署を経て、7年前に土木部用地管理課に配属。現在は課長を務める。

宇城市教育部学校施設課の大塚さん

大塚 脩平さん

病院で勤務した後、地域に根付いたまちづくりに参加したいという想いから宇城市役所に入庁。現在は入庁6年目で教育部学校施設課に所属。

約半数が女性職員。キャリアの制限はなく、土木部での活躍も

宇城市役所土木部用地管理課の浦島さん
▲土木部用地管理課で課長を務める浦島さん

編集部

宇城市役所の職員の男女比率や、管理職における女性の割合などをお教えいただけますでしょうか。

浦島さん

職員全体における女性の比率は44%、管理職の比率は現在15%程度となっています。

なお、私が所属する土木部用地管理課は、道路工事や河川工事に必要な用地買収や道路などの管理を担当する部署です。用地買収を担う職員に関して、以前は男性中心だったのですが、現在は11名の職員のうち、会計年度任用職員を含めて女性が4名在籍しています。

編集部

現在は同部署で課長を務められているとのことですが、入庁から現在に至るまで、女性の活躍状況などの変化はありましたか?

浦島さん

私が入庁した頃は、女性職員は窓口業務など、いわゆる雑務を担当することが多かったように思います。しかし今は時代の流れもあり、性別に関係なく業務が割り振られています。力仕事など物理的に必要な区別以外は、個人の適性を見て担当業務が任されており、管理職も含めて性別での業務分担という考え方はされていません。

実際に土木部用地管理課で働いていても、やりづらさは感じないですね。異動した当初は、外部の業者さんが「女性の担当者で大丈夫かな」と不安に感じている様子もあったのですが、関わっていくうちに「性別は関係ない」と認識してもらえました。

また、用地管理課や土木課など業務上関わる男性職員も、やっぱり最初は不安を抱いたと思うんです。でもそれを態度に出したりすることは一切なくて、異動して新しい職務に挑む1人の職員としてフラットに支えてもらったので、すごく働きやすかったです。

勤務時間の調整などで育児と仕事の両立をサポート

編集部

ライフステージの変化に関しては女性が関心を持つポイントだと思います。育児との両立支援など、どのような制度がありますか?

浦島さん

出退勤時刻を調整できる早出遅出勤務制度や、週5日勤務を3日や4日に調整できる育児短時間勤務制度、また、保育園の送迎に合わせて1日の勤務時間を短縮できる制度があります。また、深夜・時間外勤務に関する制限も設けています。

最近では男性の育児休業取得にも力を入れており、2024年度は80%の男性職員が育児休業を取得しました。

編集部

その他の取り組みはありますか?

浦島さん

人権啓発課から「職員の育児介護両立支援ブック」が発行されており、出産や育児に関して利用できる制度が一元的にまとめられています。これを見れば、必要な支援制度を簡単に確認できるようになっています。

転職による入庁後も、周囲の支えで安心して業務に取り組める

宇城市教育部学校施設課の大塚さん
▲中途採用で宇城市役所に入庁した大塚さん

編集部

続いて、前職は病院で勤務されていた大塚さんに伺います。市役所への転職においては大変なこともあったと思うのですが、どのようなサポートがありましたか?

大塚さん

確かに、現在担当している学校施設の工事関連の業務は経験がない分野でしたが、入庁後は上司を初め先輩職員が丁寧にフォローしてくれる環境だったので、すごく助けられました。特に印象に残っているのが、上司自身が自らの経験や失敗談などを共有してくれることです。

工事を進める際の準備段階では、例えば防水工事であれば専門的な知識が必要ですし、学校という場所柄、工事会社との調整だけでなく、学校運営に支障が出ないような配慮も必要です。そういったさまざまな準備や決定に至るプロセスや過去の反省点について、具体的な経験を共有してもらえるので、安心して業務に取り組むことができます。

宇城市教育部学校施設課の大塚さんの仕事風景
▲大塚さんは建て替えを含む学校教育施設の管理業務を担う

編集部

教育部の学校施設課という部署では工事の手配等も担当されるのですね。現在の業務についてもう少し詳しく伺えますか?

大塚さん

学校教育施設の管理業務がメインで、学校の建て替えや大規模改修工事、修繕などの維持管理や施設台帳の作成などに携わります。また、施設や設備機器の財産の取得や処分に関する事務手続きとして、工事費用に関わる国の補助金申請なども業務範囲です。

近年でいうと、小中学校の建て替えについては、検討段階から実際の完成まで長期的な事業として携わっています。現在、宇城市には17の小中学校があり、その中で統合や施設の老朽化のため建て替えられるものが4校あるので、その関連業務を担当しています。

若手職員の声:未経験の分野でもフィードバックを受けて成長

宇城市教育部学校施設課の大塚さんの勤務風景

編集部

自身の成長を実感されたエピソードがあればぜひ、お聞かせください。

大塚さん

以前に比べて担当する工事件数も増えたのですが、プロジェクトのスタートからゴールまでの全体像が見えるようになりましたね。そのため、業務を進めやすくなったと感じています。

また、建築の分野は聞き慣れない専門用語がすごく多かったのですが、徐々に理解できるようになってきました。その成長の背景にあるのは、やはり周囲のサポートです。

例えば業者さんとのやり取りの際、先輩職員が先行して話を進めてくれた後に、必ずフィードバックがあるんです。専門用語や業務の段取りなどについて、「わかっているはず」という前提ではなく、私の目線に立って丁寧に説明してくれます。

また、自分なりの意見や段取りについて、否定から入るのではなく、間違いに気づかせるアプローチをしてくれます。そういった寄り添った対応が、自身の成長につながっていると感じます。

職場の雰囲気が良く、若手中心の市役所改革など意見も出しやすい

宇城市土木部用地管理課の浦島さんの仕事風景
▲宇城市役所では性別に関係なく、個人の適正を重視し、業務が割り当てられている

編集部

宇城市役所は、どのような雰囲気の職場なのでしょうか。

大塚さん

アットホームでとても働きやすい環境です。特徴としては、意見に対して否定から入らないという文化です。良い意見も、間違った意見も、さまざまな意見を出せる環境があり、たとえ間違っていた場合でも、否定するのではなく気づきを促すような工夫をしていただけます。

加えて、他部署との交流機会も多いので新鮮な話が聞けることも大きいですね。本当に職場の雰囲気が良いからこそ、素直に思いを伝えられ、チャレンジできる環境が構築されているのだと実感しています。

編集部

職員のチャレンジについて、具体例があれば教えてください。

大塚さん

一例を挙げると、現在宇城市役所ではいわゆる行財政改革に相当する「市役所改革プラン」という計画を立案・実行していて、それを推進しているのが各部署の若手職員たちなんです。2025年度からはまた新しい4カ年計画を立てていくのですが、その作業班も16人の若手で構成されています。

また、それ以外では人材育成基本方針の改訂についても、若手職員が中心となり実施しています。公務員はどうしても「縦割り組織」というイメージを持たれているのですが、私たちは横のつながりを大事にしていることもぜひ知っていただければ嬉しいですね。

宇城市役所の市役所改革プランのワークショップ風景
▲市役所改革プランのワークショップの様子。若手職員からはさまざまなアイデアが提案された

編集部

若い力とアイデアでチャレンジされているということですが、改革の中ではどんな提案があったのでしょうか。

大塚さん

例えば市民サービスの向上のため、デジタルディバイド(スマートフォン利用可・不可などの格差)の解消や、申請時に複数の窓口を回らなくても済むような仕組みづくりなどの意見が出ました。現在も改善を続けているところです。

求める人材:チャレンジ精神と多様な視点を持つ方を歓迎

宇城市役所の職員の皆さんと工事業者さん

編集部

宇城市役所ではどのような人物像を求めているのでしょう。また、どのような方が活躍できると思われますか?

浦島さん

現在、宇城市役所は若手職員の比率が高く、活力のある職場となっています。若い世代から新しい考え方や思いを積極的に発信してもらい、行政の仕事自体も変革していける環境があります。また、市民の方々の生活に直結する仕事なので、さまざまな分野について学べる機会も多くあります。チャレンジ精神のある若い方にぜひ来ていただきたいと思います。

また、先の見えない時代、社会情勢の変化に柔軟に対応し、かつイノベーションを起こしていくには多様な視点が必要です。さまざまな職種の方や地域貢献への意欲がある方に、ぜひ宇城市役所への応募を検討していただきたいと思います。

多様な人材が集まることを目指し、社会人採用も実施

編集部

宇城市役所では2023年度より一般事務職での社会人採用を開始されたと伺っております。社会人採用を行なったことで、どのような変化がありましたか?

浦島さん

以前は地元出身者が中心でしたが、この10年ほどで採用の幅が広がり、さまざまな地域から多様な人材が集まるようになっています。

編集部

社会人採用は一般の採用枠と条件が異なるのでしょうか。

浦島さん

従来の公務員試験では高卒程度か大卒程度の試験しかなく、社会人枠も情報、建築、土木といった専門職での採用に限られていました。しかし2023年からは、職種にかかわらず社会人経験がある方が受験できる枠を設けています。

宇城市役所から転職希望者へのメッセージ

宇城市教育部学校施設課の大塚さんの仕事風景

編集部

それでは最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

大塚さん

宇城市役所は本当に優しい先輩方が多く、気さくで話しやすいアットホームな職場です。私自身の経験からも、上司や先輩方が親身に寄り添ってくださる環境だと感じているので、どなたでも安心してチャレンジできると思います。

また、宇城市は「ちょうどいい」というフレーズを掲げていて、これは熊本県の中央に位置する立地と交通の利便性、そして程よい田舎感といった特徴を現しています。このような環境で働けることも魅力のひとつなので、興味を持った方はぜひ応募いただきたいです。

浦島さん

女性の立場からお話しすると、育児との両立支援制度が充実していることが大きな特徴です。現在も部分休業を利用しながら働いている職員がおり、育児や家庭生活を大切にしたい時期は、本人の意思を最優先に考えています。

市全体でこの考え方が共有されているので、休暇を取得する際も、職場復帰する際も安心して仕事と家庭の両立ができる環境が整っています。多様な人材の採用に特に力を入れている宇城市は、さまざまな経験をされてきた方々が入庁することで、組織全体が変革していくことを期待しています。

編集部

育児との両立支援や社会人採用など、組織全体の変革を実現する宇城市役所には、さまざまな可能性があることを今回の取材を通して感じました。特に若手が生き生きと自分らしく働ける環境は、転職を検討する読者にとっても大きな魅力になることでしょう。

本日はありがとうございました。

編集後記

先輩職員の打ち合わせに同席しアドバイスを受けられる環境や「否定から入らない」という対応からは、若手にとって働きやすい環境であることを感じました。また、土木部という比較的男性のイメージが強い職場で、課長を務めている浦島さんの事例は、性別に関係なく活躍できる組織風土の象徴であることを実感しました。

この記事のまとめ

働き方の特徴
  • 早出遅出勤務制度や育児短時間制度など、柔軟な勤務形態が整備
  • 育児休暇取得が当然の文化として定着(男性の育児休業取得も推進)
  • 性別に関係なく個人の適性で業務を割り振る体制を確立
職場環境・社風
  • 意見を否定せず、建設的な議論ができる環境
  • 上司が自身の失敗談を共有するなど、学びやすい雰囲気
  • アットホームで気さくに相談できる職場文化
キャリア形成
  • 若手の意見を積極的に取り入れ、新しい取り組みにチャレンジできる
  • 他部署との交流機会が多く、幅広い知識・経験を積める
  • 専門知識がない分野でも、丁寧な指導体制により成長できる環境
採用の特徴
  • 職種を問わない社会人採用を2023年度より開始
  • 地域や職歴を問わず、多様なバックグラウンドの人材を積極採用
  • 職員の44%が女性、管理職の女性比率は15%
求める人物像
  • 地域貢献への意欲がある人
  • チャレンジ精神を持ち、新しい考えを積極的に発信できる人
  • 多様な視点でイノベーションを起こせる人

宇城市役所の基本情報

市役所名 熊本県 宇城市役所
住所 熊本県宇城市松橋町大野85番地
公式ページ https://www.city.uki.kumamoto.jp/
採用ページ https://www.city.uki.kumamoto.jp/
gyousei/saiyo
募集職種 ・一般事務等
取材・編集
紫竹淳志のプロフィール写真

ミライのお仕事編集部

紫竹 淳志

元新聞記者として約10年間、地方行政や選挙、プロ・アマチュアスポーツなど幅広い分野の取材経験あり。ミライのお仕事では、ソフトバンク株式会社や東京商工会議所、株式会社オープンハウスグループなど、数多くの著名企業や教育機関への取材を担当。