エンジニアが働きやすく、成長できる環境を作りながら成長を続けている企業にインタビューする本企画。今回は、メディアデータを活用したマーケティングソリューションを提供している株式会社ビデオリサーチにお話を伺いました。
株式会社ビデオリサーチの独自性：国内唯一のテレビ視聴率データ提供とマーケティングソリューション
株式会社ビデオリサーチは1962年、国内唯一の「テレビ視聴率データを提供する調査機関」として設立されました。
同社はテレビ視聴率調査で広く知られていますが、その事業領域は多岐にわたります。従来型メディア（ラジオ、新聞、雑誌）のデータ、動画配信プラットフォームのデジタルメディアデータ、さらには消費者の意識と行動を捉える日本最大級のシングルソースデータなど、幅広いマーケティングデータを取り扱っています。
このように、ビデオリサーチは単なるデータ調査会社ではありません。収集したデータを基にしたマーケティングソリューションやシステムを提供する「データ＆システム会社」として、独自の地位を確立しています。
| 会社名 | 株式会社ビデオリサーチ |
|---|---|
| 住所 | 東京都千代田区三番町6-17 |
| 事業内容 | テレビ視聴率などのメディアデータの調査、データを活用したマーケティングソリューション、視聴率などメディアデータや広告業界の基盤システムの企画・開発 |
| 設立 | 1962年9月20日 |
| 公式ページ | https://www.videor.co.jp/ |
同社の魅力は、視聴率や大規模マーケティングデータに基づいた大きなマーケットを扱っている点です。エンジニアの成長を支援する環境が整っているだけでなく、働きやすい職場づくりにも注力しています。
今回は、エンジニアの働き方や社内文化について、ITサービス推進ユニットITマネジメントグループシニアフェローの豊島潤一さんにお話を伺いました。
ビデオリサーチのエンジニア業務：社内IT推進から社外向けシステム開発まで
編集部
ビデオリサーチさんには何名のエンジニアさんが在籍されていらっしゃるのでしょうか？
豊島さん
ビデオリサーチグループのITテクノロジー部門に関わっているエンジニアは100名弱です。この人数には管理職も含まれています。
編集部
エンジニアさんの業務内容について伺わせてください。
豊島さん
私が所属しているITマネジメントグループでは、弊社グループ全体のIT利活用に関わる業務を担っています。具体的には、社内クラウド利用の推進や設計の標準化を行っています。また、新しいITツールを採用する際の技術やアーキテクチャの評価、審査なども担当しています。
社外のシステムとの連携や関連するシステム開発、サービス運用なども行っており、その過程でお客様やシステム担当者の方とコミュニケーションを取ることもあります。
編集部
システム開発というとどういった業務を担うのでしょうか？
豊島さん
IT部門は2023年7月に分社化し、視聴率システムの運用はグループ会社であるビデオリサーチコミュニケーションズに移管されました。分社化前は私も視聴率システムの開発や運用を支援していました。
現在でもビデオリサーチコミュニケーションズと連携して支援を継続しています。開発面では、プロジェクトマネジメントや技術選定、実装方法の提示などPMからテックリードまでの役割を担っています。運用面では、インシデント発生時の意思決定や問題解決に向けたオペレーション実施などを行っています。
さらに、社内外から寄せられるシステムやサービスに関する相談に対し、IT技術の観点から提案や課題解決のための助言も行っています。
編集部
社内外と活躍の場は広いのですね。
技術革新への柔軟な対応：新言語導入と幅広いスキル習得を促進する環境
編集部
ビデオリサーチさんの開発手法や使用言語についてお教えください。
豊島さん
ビデオリサーチではプロジェクトの特性やシステムに応じてウォーターフォールとアジャイルを使い分けています。開発期間は数カ月から数年単位まで様々です。
弊社は開発範囲が広いため、使用する言語も多岐にわたります。バックエンドではJava、Spark、node.jsなど、フロントエンドではReactなどを利用していますが、特定の言語に限定せず、各プロジェクトのQCD（品質・コスト・納期）に最適なものを選定しています。
新規の案件は基本的にクラウドネイティブなアーキテクチャになっており、既存のシステムもクラウド化やモダナイズを進めています。
フルスタックエンジニアもいますが、アーキテクト、インフラエンジニア、アプリケーションエンジニア、DBエンジニアなど、役割はある程度分業されています。
編集部
新しい言語技術を積極的に取り入れているようにお見受けしましたが、その点はいかがでしょうか？
豊島さん
弊社のITサービス推進ユニットの管理職は全員中途入社の社員です。そのため、外部の新しい考え方を受け入れる文化があります。
ただし、無計画に新技術を導入すると混乱を招くため、CCoE（クラウドセンター・オブ・エクセレンス）による標準化やサービス、機能の評価を行った上で導入を判断し、効率的な開発環境を整えています。
編集部
新しい技術は積極的に受け入れつつも、導入の基準はしっかり設けていらっしゃるのですね。エンジニアさんがスキルアップする機会についてはいかがでしょうか？
豊島さん
私の所属している部署では資格取得費用の補助のほか、資格取得のために必要なeラーニングを受けられる環境を整えています。
会社として身に付けてほしいスキルを「スキルマップ」という形で示しており、社員が業務に必要なスキルを自発的に選択し、キャリアデザインを描くことができるようになっています。
また、弊社のサービスの特性上、テレビ業界や広告に関する知識が必要なため、業界知識を身に付けるための勉強会なども実施しています。
編集部
キャリアアップのために幅広いスキルを身に付けられる環境があるのですね。
ハイブリッド勤務の実践：50%以上の出社率で対面コミュニケーションを重視
編集部
ビデオリサーチさんの勤務スタイルについてお聞かせください。
豊島さん
ビデオリサーチでは出社とリモートワークのハイブリッド勤務制を導入しています。対面でのコミュニケーションを重視しているため、出社率は最低50％以上とするルールを設けています。
また、週に一度全メンバーが実際に集まる「グループ会」を各部署で開催しています。
編集部
実際に会社で仕事をすることで得られる利点は何でしょうか？
豊島さん
弊社はフリーアドレスデスクを採用していますが、私自身も何となくいつも同じエリアにいます。実際に顔を合わせる機会を設けることで、特に若手社員はリモートよりも気軽に相談などができるようになったと感じています。
ビジネスチャットでは個別のやり取りになってしまうため、相談のハードルが高くなります。しかし、実際に会うことで雑談やちょっとした質問がしやすくなり、若手の成長につながったり、自分も新しい気づきを得られたりすることがあります。
同席の広報担当の金井さん
弊社は雑談の機会を大切にしています。雑談を通じて、チャットでは伝わりにくい相手の人となりや興味関心を知ることができると考えているのです。
充実した育児支援：高い男性育休取得率と柔軟な勤務体制
編集部
子育て中の社員さんのサポート体制について伺わせてください。
同席の広報担当の金井さん
ビデオリサーチは女性社員の育児休業取得率、育児休業からの復帰率ともに100％です。また、男性社員の育児休業取得にも力を入れており、2022年度の男性社員の育児休業取得率は71％に達しました。
取得期間には個人差がありますが、育児休業を取得した男性社員からは「貴重な時間を過ごせた」との声が上がっています。さらに、社内には「働きがい委員会」が常設されており、育児に携わる社員の意見が反映されやすい環境が整っています。
編集部
豊島さんの部署でも育児休業を取得された男性社員さんはいらっしゃいますか？
豊島さん
はい、私の部署でも育児休業を取得した男性社員がいます。育児復帰後もリモートワークや時間単位の休暇などを活用して、柔軟に業務に取り組んでもらっています。
編集部
男女問わず、子育て中の社員さんが働きやすい環境が整っているのですね。
大規模マーケットとシステムがもたらす成長機会：エンジニアの挑戦の場
編集部
豊島さんは中途で入社されたそうですが、前職でメディア管理に触れることはあったのでしょうか？
豊島さん
前職では取引先にテレビ局や広告会社がいましたが、視聴率という分野には全く関わっていませんでした。当社に中途でエンジニアとして入社するメンバーの中には、視聴率分野での経験やキャリア志向がない方もいますが、多くの方が活躍されています。
編集部
ビデオリサーチさんに中途で入社される社員さんはどういったところに魅力を感じられて入社されるのでしょうか？
豊島さん
弊社は歴史のある会社です。そのため、昔ながらのローカルな機材も多く存在します。多くのエンジニアは最先端技術に触れてきた方が多いと思いますが、弊社では旧来の技術に触れて最新化したり、システムを組み直したりといった貴重な経験ができます。
旧来と表現しましたが、現代的に言えば大量のIoT機器からのトランザクション処理やETL処理を、金融機関レベルの厳しいシステム要件の中で行っています。このような高度なシステムに関われる環境は珍しく、中途入社の社員はここに魅力を感じているのではないでしょうか。
編集部
実際に入社された社員さんからはどんな声が聞かれますか？
豊島さん
私たちの会社は「視聴率」というキーワードが強いです。そのため、日本の伝統的な会社として捉える方が多いのですが、「意外と新しいことや成長領域に挑戦する感度の高い会社だった」という声をよく聞きます。
入社前は、もう少し保守的なイメージを持っている方が多いように思います。
また、会社の規模は決して大きくありませんが、扱っているマーケットやシステムの規模が非常に大きいです。この規模の大きな仕事に挑戦できることを、大きな経験として捉えている社員も多いですね。
これまではテレビ局や広告会社がメインの顧客でしたが、最近ではIT業界の大手企業との関わりも増えてきています。
編集部
スケールが大きい新しい分野に挑戦する姿に魅力を感じ、社員さんが入社されているのですね。
フラットな組織文化と活発な交流：職位を超えたコミュニケーションの促進
編集部
ビデオリサーチさんの企業文化についてお聞かせください。
豊島さん
弊社は、IT領域に限らず中途入社のメンバーが多い環境です。そのため、職位に関係なく互いにサポートし合い、活発にディスカッションを行うカルチャーが根付いています。
編集部
社員同士がフラットにコミュニケーションを取っているのですね。社内の交流を促す具体的な取り組みはありますか？
豊島さん
はい、あります。社員同士の交流のための費用補助制度や、年末年始の懇親会費用の補助制度を設けています。さらに、社内交流を促進するために、ナレッジ共有システムやピアボーナス制度といった「コミュニケーションツール」も導入しており、これらは社員間で活発に利用されています。
ビデオリサーチが求める人材像：データ＆システム会社への変革を支えるIT人材
▲「今後はAIで担えない分野のスキルを磨く必要がある」と話す豊島さん
編集部
最後に、ビデオリサーチさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
豊島さん
当社では生成AIの採用も始めています。コーディングやシステム設計の一部が生成AIで代替可能になってきており、エンジニアに求められるスキルも変化しています。
当社には、限られた資源で大規模なビジネスを支える環境があります。これはエンジニアにとどまらず、幅広いIT人材として成長できる機会です。専門性を深めたい方も、多様な分野に挑戦したい方も、ぜひ一度ご応募ください。
編集部
長い歴史を持ちながら新しい分野への挑戦を続けるビデオリサーチさんならではの、スペシャリストとして成長できる環境が魅力的だと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社ビデオリサーチ：https://www.videor.co.jp/
採用ページ：https://www.videor.co.jp/recruit/
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