リモートワークなど働きやすい環境を整え、女性など多様な人材が活躍している企業にインタビューする本企画。今回は、リボン徽章製造・販売のリーディングカンパニーでありながら、オンライン型業務代行事業を立ち上げ、発展を続けている株式会社米岡にお話を伺いました。
働く意欲を持つ方の「居場所」を創造する株式会社米岡
▲事業を通じて働きたい人が楽しく働ける「居場所」を創り出している。(Wantedlyから引用)
株式会社米岡は、「自分の『価値』を感じる『居場所』創造」を経営理念として掲げ、眠っている労働力をアクティブにすることを目指している会社です。
昭和46年の創業以来、リボン徽章製造・販売のリーディングカンパニーとして、主婦を中心とする内職スタッフの生産管理マネジメントを行ってきました。
さらに女性が活躍できる環境を提供したいという想いから、2019年にはオンライン型業務代行事業「Web特命係」を立ち上げました。事務・デザイナー・ライターなど在宅で働きたい人と、人材不足に困っている企業や個人事業主のお客様とをつなぎ、事業者の業務改善・効率化をサポートしています。
会社名 | 株式会社米岡 |
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住所 | 愛知県名古屋市南区天白町4-15 |
事業内容 | ・リボン徽章製造・販売事業 ・オンライン型業務代行事業(Web特命係) ・葬祭物販事業 |
設立 | 昭和46年9月 |
公式ページ | https://www.yoneoka.co.jp/ company/ https://tokumei-gakari.com/ |
働き方 | フルリモート フルフレックス |
今回は、株式会社米岡が実現する働きやすい環境や、女性メンバーの活躍などにスポットをあてて、Web特命係事業部事業部長の石田さんにお話を聞かせていただきました。
企業のノンコア業務をオンラインで代行する「Web特命係」
▲企業や個人事業主のノンコア業務をオンラインで代行し、業務改善・効率化を支援している。(「Web特命係」公式サイトから引用)
編集部
まずは、米岡さんの事業について教えていただけますか?
石田さん
弊社は、中小企業、ベンチャー企業、個人事業主の方向けに、オンラインアシスタントサービスを行っている会社です。経理作業や、データ入力、事務作業のような、「ノンコア業務」と呼ばれる、売り上げに直結しないような業務をオンラインで代行しています。
例えば、現在進行中の広告代理店様の事例だと、広告の企画・費用の決定やお客様との打ち合わせなどは広告代理店様で対応していただきますが、それ以降の入稿用のデータ作成や入稿作業などについては、弊社で対応しています。
ほかにも、ECサイトの運営管理や、お客様からの問い合わせ対応など、従来はBPOのコールセンターに頼んでいたような業務もお引き受けしています。BPOはコストがかかるので、低コストでミニマムに外注したいという中小ベンチャーに利用いただいている事例が多いですね。
編集部
判断が必要な業務や、深い理解が必要な業務以外の、社員さんでなくてもできるような業務を代行されているということですね。
米岡さんの社内では、引き受けた業務をどのような体制で行っているのでしょうか?
石田さん
お客様とは、「月20時間、弊社の人員を使う」というような形で契約を行っていて、その契約時間の中で、お仕事をお引き受けしています。弊社側に窓口となる担当者がついて、依頼されたお仕事の内容によって、誰に割り振るかを判断しています。
弊社には、事務・デザイナー・ライターなどの業務委託やアルバイトの在宅ワーカーが多数在籍していますので、例えば「この名刺データをリストに入力してください」という依頼であれば、事務ができる方にお願いしますし、「このバナー作って欲しいです」といった依頼であれば、デザインができる方にお願いするといった流れです。
編集部
社員の皆さんは、主にマネジメントのお仕事をされているということでしょうか?
石田さん
そうですね。カスタマーサクセス職としてフロントに立っている方と、営業をやっている方がメインです。Web特命係については、私を含めて社員はまだ5名しかおらず、一部、社員を目指して業務委託や在宅アルバイトで働いている方数名にも、業務を担っていただいています。
リボン徽章を作る内職スタッフとともに歩んできた歴史が強み
▲創業以来リボン徽章の製造・販売を行う株式会社米岡は、主婦を中心とする内職スタッフと共に歩んできた。(公式サイトより引用)
編集部
米岡さんは、もともとはリボン徽章の製造業から事業を開始されて、現在も続けられているとお聞きしていますが、どのような経緯でWeb特命係の事業をスタートされたのでしょうか。
石田さん
リボン徽章の製造は、基本的には内職さんで成り立っています。主婦の方を中心に、自宅で、リボン徽章を小さく手縫いしてもらうという作業をお願いしています。
そのような方々と、50年以上お付き合いをさせていただいていている中で、弊社は、働きやすい環境作りやマネジメントに力を入れてきました。このような、「家で働きたいっていう人たちを大事にする」という文化が、私たちの強みだと考えて、開始したのがWeb特命係です。
編集部
ただ仕事を依頼するだけでなく、しっかりとマネジメントをしてともに歩んでこられたのですね。リボン製造業の内職さんのマネジメントとは、具体的にどのような取り組みを行っているのですか?
石田さん
例えば他社さんのケースだと、工場に材料を自分で取りに行って、自宅で作業して、納品物をまた持っていって、また資材をもらって帰ってくるというケースが通常なんです。
内職をされている方は、子育てや家事、病気など、何か優先することがあって在宅で仕事をすることを選択されている方がほとんどです。家で働きたいのに、結局外に取りにいったり納品したりしなければならないというのは、内職さんにとって本当に望ましい環境なのかということを考えて、弊社では、内職さんのもとに材料を持って行って、持って帰るという仕組みを作っています。
その際に、コミュニケーションを取って、顔色を見たりとか、体調が悪くないかを確認しながら、商品の品質などについてもお話をしたりして、マネジメントも行っています。
編集部
「事情があって外に出て働くことはできないけれど仕事をしたい」という方々に寄り添い、働きやすい環境を整えてこられたのですね。
石田さん
そうですね。そして、これからの時代に同じようなことをやっていきたいなって考えたときに、内職だとどうしても物のやり取りが発生してしまって、近場でないと難しいですので、オンラインでリモートワーカーさんに活躍してもらえるような事業を始めることになったんです。
編集部
オフラインで事業を展開していた企業がオンラインの事業を始めるとなると、ハードルが高いようにも感じますが、何かノウハウのようなものがあったのでしょうか?
石田さん
私は弊社でWeb特命係の事業を立ち上げる前は、フリーランスとして仕事をしていて、営業代行や簡単なバナー作成といった業務を行っていました。また、前職は人材系の業界にいたので、派遣法や営業向けの法律、紹介の資格なども取得しています。特別なノウハウがあったわけではありませんが、こうした経験や知見は生きていると思います。
当時、フリーランスとして働くうちに、自分だけだと対応できる量に限界があるので、チームを作って受注量を増やし、メンバー全員が安定した収入を得られるようになりたいと考えるようになっていました。そのような時に、偶然弊社の代表と知り合う機会があり、お話をしたところ、理念が合致したため、「Web特命係」の事業をスタートすることになったんです。
編集部
リボン徽章の製造とWeb特命係の事業は、オフライン・オンラインの違いはあれど、「自分の『価値』を感じる『居場所』創造」という理念は共通しているということですね。米岡さんが創業以来大事にしてこられた理念がよくわかりました。
子育てと両立したいママなど、全国の在宅ワーカーが活躍
▲全国の在宅ワーカーがバーチャルオフィスに集って業務を行っている。
編集部
続いて、メンバーの皆さんの働き方についてお伺いします。「Web特命係」の事業では多くの在宅ワーカーが活躍されているとのことですが、社員の皆さんを含めて、フルリモートでお仕事されているのでしょうか?
石田さん
はい。弊社の本社は愛知県名古屋市にありますが、私自身も広島県に住んでいますし、石川・長野・群馬・北海道など、全国各地、さまざまなところからリモートで仕事をしています。
編集部
フルリモートでお仕事をすることについて、どのようなメリットを体感されていますか?
石田さん
やはり家庭との両立がしやすいということですね。特に子育て中の世代にとっては、リモートで働くメリットはとても大きいと思います。
日本の現状では、保育園に入れないなど、預け先の確保が困難なケースもありますよね。弊社では、お子さん次第ではありますが、子どもが隣にいる状態でもお仕事をすることも可能です。お子さんが体調を崩すたびに、窮屈な思いをしてお仕事を休まなければならないということもありません。
基本的には業務委託契約でお仕事をお願いしているので、働く時間、場所ともに自分で自由に調整できます。ご家庭の都合を優先したい方にはとても働きやすい環境だと思います。
バーチャルオフィス活用で、リモートでも円滑なコミュニケーションを実現
▲バーチャルオフィス上で一緒に働けるため、リモートでも円滑なコミュニケーションを実現している。
編集部
リモートワークで稼働時間も異なると、コミュニケーション面での課題も生じやすいと思いますが、米岡さんでは、何か工夫されていることはありますか?
石田さん
弊社ではバーチャルオフィスを活用していて、正社員・業務委託・アルバイトなどの契約形態にかかわらず、業務をする際にはバーチャルオフィスに入っていただくようにしています。普段はカメラやマイクはオフでも構いませんが、わからないことがあったときには、バーチャルオフィス上で声をかけて、画面共有しながらコミュニケーションを取ることが可能です。
記録に残すべきことはSlackやプロジェクト管理ツールなどを使ってテキストでコミュニケーションを取りますが、記録に残さなくてもいいようなちょっとした疑問点の確認や、画面を見ながらの方がわかりやすい相談などについては、バーチャルオフィス上で会話する方が利便性が高いんですよね。
編集部
困ったときに気軽に聞ける環境は理想的ですよね。一番多い時間帯で何人くらいバーチャルオフィスにいらっしゃるんですか?
石田さん
主婦層が多いので、日中がやっぱり一番多くて、最近だとピークの時間帯は40~50人になりますね。夜中まで誰かがずっとバーチャルオフィスにいるような環境なので、雑談も含めて、自然と会話が生まれます。
オンライン上でラジオ体操や忘年会も。業務外の会話もフランクにできる
▲オンライン飲み会では、業務以外の話題で盛り上がることも多い。
編集部
リモートの環境下で、米岡さんが独自に実施している社内の取り組みやイベントがあれば教えてください。
石田さん
メンバーの健康面の意識付けを行うために、毎日オンラインでラジオ体操を実施しています。
また、コミュニケーションの活性化を目的として、オンラインで飲み会や忘年会も行っています。飲み会は全員参加というわけではありませんが、社員やアルバイトの方に加えて、業務委託のメンバーの中でも社員と同等に業務に貢献して稼いでいる方もいらっしゃるので、そういう方で集まって実施しています。
各自宅に同じ料理を配送するサービスを利用して、皆で同じ食事を食べながらお話をすることもあります。
編集部
そのような機会があると、仕事以外の話もしやすいですし、メンバー間のコミュニケーションもより円滑になりそうですね。
石田さん
そうですね。子育ての話や仕事の愚痴など、全然関係ない話もしやすいですよね。「いつも一緒に仕事をしているけど、どんな人かあまり知らなかった」という方についても知る機会になるので、とてもいい影響が出ているかなと思っています。
ワーケーションを推進する制度も。旅行先で仕事をすることも可能
編集部
米岡さんでは、旅行先などでお仕事をする「ワーケーション」を支援する制度もあるとお聞きしましたが、どのような制度なのでしょうか?
石田さん
福利厚生で、「リゾートワークス」という、ワーケーションを推進していらっしゃる会社さんのサービスを導入しています。例えばハイアットリージェンシー沖縄など、人気のリゾートホテルに半額ぐらいに近いような値段で泊まれるんです。制度を利用すれば、ワーケーションが実現しやすくなりますよ。
編集部
家を離れて、いつもと異なる場所で仕事をすると、気分転換にもなって働く意欲も増しそうですね。
石田さん
そうですね。お客様の情報を扱う場合などは制約はありますが、許可さえ取っていただければ家で仕事をする必要はありません。働く場所を自由に選択していただくことができます。
女性が生き生き働く米岡では、管理職も女性が大多数
編集部
続いて、女性活躍というテーマでお伺いします。まず、米岡さんで働く皆さんの男女比率はどのくらいなのでしょうか?
石田さん
リボン製造業も含めて、本社に勤務するメンバーについては、代表を含めて男性は4人で、残り20数名は女性というような比率です。
Web特命係の事業でバーチャルオフィスに勤務するメンバーについては、業務委託やアルバイトの方を含めて、例えば50人オフィス内にいても、そのうち男性は3、4人というレベルです。
編集部
リーダーや管理職も女性の方が多いのでしょうか?
石田さん
はい。本社に関しては、代表と工場長が男性で、総務部長や内職さんの管理の部長など、残りの管理職については全員女性です。
Web特命係の事業部に関しては、男性社員は1名しかいなくて、まだ入社したばかりなので、ほとんど女性で成り立っていますね。営業のリーダーも女性ですし、事業部全体を見ている私自身も女性です。
編集部
女性が多い要因としては、やはり働きやすさという観点が大きいのでしょうか?
石田さん
そうですね。やはり、家事・育児は女性の仕事という価値観が日本ではまだ根強く残っているので、家庭との両立のために柔軟な働き方を求めていらっしゃる方は女性の方が多いですよね。少し変わった事例だと、ペットと離れたくないから家で働きたいという方もいらっしゃいます。
編集部
女性が多いことで、業務面や職場環境面でプラスになっていると感じる点はありますか?
石田さん
やはり、気遣いができるとか、細かいところに目配り気配りができるっていう点は、やはり女性の方が得意な傾向にあると思いますし、メリットだと思います。
多くの方が子育てをしながら働いているというのもあり、同じ立場だからこそ他のメンバーのことを理解できたり、思いやりの気持ちを持てたりするというのもあると思います。とてもいい雰囲気でお仕事していただいていると感じますよ。
編集部
産休や育休などの制度を活用されている方も多いのでしょうか?
石田さん
もちろんありますが、実は今はあまり取得されている方はいらっしゃらないです。育児をしながらでも仕事ができるので、ご自身の意思でそのまま継続して働かれている方が多いというのと、本社に関しては、産休・育休を取る年代の方々ではないというのがその理由です。
ただし、制度としてはきちんとありますので、取りたい方は問題なく取得できますよ。
未経験も歓迎!周囲に配慮できる成長意欲のある方を募集
編集部
最後に、採用についてお伺いします。米岡さんでは、現在、Web特命係の事業のメンバーを募集されているとのことですが、基本的には業務委託という形態の契約になるのでしょうか。
石田さん
そうですね。どうしても社員を希望されるのであればそれでも構いませんが、まずは業務委託でスタートしたほうがいいのではないかと思っています。いきなり社員で入るのではなく、業務委託やアルバイトから始めてみて、弊社のことがいいなと感じていただけたら社員になることもできますし、実際にそのような事例もあります。
弊社としてはあまり最初の契約形態にこだわりはありません。
編集部
どのような方が、米岡さんにフィットすると思いますか?
石田さん
まずは、「自分の『価値』を感じる『居場所』創造」という、弊社の理念に共感いただけるということですね。
例えば、社会とのつながりを持てないことで、社会的価値がないというように感じてしまう主婦の方もいらっしゃるんですよね。ですが、そのような方でも、弊社で仕事をすることで、社会に貢献できて、家庭だけではない自分の居場所を持てることに喜びを感じていただいていると思っています。
また、弊社を利用してくださるクライアントさんに関しても、弊社がノンコア業務を代行することによって、より価値の高い仕事をしていただけることになりますので、その結果として企業価値が上がり、社会的な居場所も得ることができます。
こうした理念を理解し、自分さえよければいいというのではなく、周りの方々の状況を理解して動ける方に来ていただきたいと思いますね。
編集部
スキル面では、何か求めていることはありますか?
石田さん
特別なスキルは求めていません。最低限パソコンを使えて、ビジネスマナーが最低限ある方なら、やる気の部分で頑張っていけるような環境にはしています。未経験でも、さまざまなことにチャレンジする意欲があれば大丈夫です。
また、バーチャルな環境で見えないからこそ、「きっちりと仕事をする責任感がある」こと、「他責思考でない」ことは大事にしていますね。
資格取得サポートも。未経験でもやる気次第でスキルアップできる
編集部
未経験でも大丈夫とのことですが、お仕事の知識やスキルがない方のサポートはどのように行っているのでしょうか?
石田さん
経験豊富なメンバーがサポートをさせていただいています。例えば経理業務であれば、以前、会計事務所で働いていたような経理経験が豊富なメンバーがリーダーになるので、レクチャーを受けながら簡単な業務からスタートすることができます。
事務的な作業については、マニュアルが整備されていますし、動画でも作業手順をまとめているので、それらを見ればできるようになっています。
編集部
OJTのような形で指導を受けながら、スキルアップができるということですね。
石田さん
そうですね。また、簿記に合格したら会社が受験費用を負担するなどの資格取得サポート制度もありますし、クライアント様から、広告運用のスキルを弊社のワーカーさんに教えていただいて、実際に広告運用のGoogleの認定資格を取得するというようなこともやっています。
業務をスタートしてからスキルアップすることは十分にできますよ。
編集部
意欲があれば、成長できる環境があるということですね。
インタビューを通して、「ワーカーさんを大切にする」という米岡さんの文化を感じることができました。時間や場所にとらわれない働き方をしたいという方は、挑戦してみてはいかがでしょうか?
本日は、貴重なお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社米岡:https://www.yoneoka.co.jp/
採用ページ:https://recruit-tokumeigakari.com/