様々な企業の取り組みや新しい働き方をお伝えするこの企画。今回は、急成長を遂げているSaaS(Software as a Service)市場において、SaaSの活用・価値向上を進める上で課題となる穴を埋める存在として注目を集めています。SaaSの連携開発や導入支援を専門とするITベンチャー企業、株式会社ストラテジットにお話を伺いました。同社は、企業がSaaSを効果的に活用し、業務効率を高めるためのサポートを行っています。
株式会社ストラテジット:SaaS活用を推進するITベンチャー企業
株式会社ストラテジットは「SaaSのチカラを全ての企業に」をミッションに掲げ、SaaSの普及・推進を進める上で課題となる部分を補完する存在として、SaaS事業者向けシステムの開発やSaaS導入コンサルティング事業を展開しています。
また、SaaS連携アプリストア「SaaStainer(サーステイナー)」の開発・運営も行い、設立からわずか3年で売上高が6倍になるなど急成長を続けている企業です。
会社名 | 株式会社ストラテジット |
---|---|
住所 | 東京都港区芝5-31-17 PMO田町7F |
事業内容 | SaaS事業者向けシステムの連携(iPaaS)開発、SaaS連携アプリストアの開発・運営、SaaS導入コンサルティング、ERP導入の支援 |
設立 | 2019年7月 |
公式ページ | https://www.strategit.jp/ |
働き方 | フルフレックスタイム制、全国リモートワーク・在宅勤務可能 |
今回は、株式会社ストラテジットの代表取締役社長である加藤史恵さんにお話を伺いました。
事業展開:SaaS連携開発から導入支援まで
編集部
まずはストラテジットさんが行っている事業内容について、簡単にご説明いただけますか?
加藤さん
弊社が行っている事業は大きく3つあります。
まず一つはSaaSとSaaSの連携開発です。弊社は独自に、連携に必要なノウハウを集約した開発プラットフォーム「Master Hub(マスターハブ)」を開発しています。このプラットフォームを利用して開発することで、一般的な受託開発よりもスピーディーに高品質なシステム連携を実現しています。また、手動連携によるミスや不正を防止し、安定的な運用を可能とすることで、企業様は業務の効率化を図ることができます。
二つ目はストラテジットが得意としている、SaaSとSaaSの連携開発を行った際の連携アプリストアの開発・運営です。システムとシステムを直接繋げるわけではなく、システムとシステムの間に連携アプリを実装することによって、多くの企業様に汎用的に使っていただけるような連携アプリを提供しています。
この連携アプリを提供する場所として「SaaStainer」というアプリストアを展開しています。SaaStainerはプログラミング知識不要でのデータ連携を実現する連携アプリストアで、掲載されているアプリは専門的なノウハウがなくても簡単に連携することができます。
そして三つ目、SaaS導入支援サービスを行っています。SaaSのメリットを最大限活用し、企業課題を解決するため他社のERPやSaaS製品を扱っており、これらの導入支援事業となっています。ストラテジットでは、豊富な経験を持つSaaS連携開発のプロが、導入後のサポートまで一貫して支援しています。
編集部
リモートワークが広まったこともあり、近年SaaSを導入する企業が急激に増加しています。クラウド化が進む中で、SaaS製品の多様化に伴い「どんなものを導入すべきか」「既存システムとの連携に悩んでいる」といった企業も多いと思います。ストラテジットさんはこうした企業の課題や悩みを解決し、SaaSの活用と普及を進めていらっしゃるのですね。
働き方改革:フルフレックス・フルリモートで実現する自由な勤務
編集部
次にストラテジットさんでの働き方についてお伺いしたいと思います。全国からフルリモートでの勤務が可能とのことですが、実際どのような働き方をされているのでしょうか?
加藤さん
ストラテジットではフルフレックス・フルリモートでの勤務態勢としており、特にコアタイムも設けておりません。
国内では北海道から沖縄まで、社員が分散しています。中には季節によって居住地を変える社員もいます。例えば、夏は北海道、冬は沖縄で過ごし、移動の途中で東京のオフィスに立ち寄るといった具合です。また、以前はアメリカやロシアなど海外に拠点を置いていた社員もいました。
社員の勤務場所に関しては、国も地域も特にこだわりはありません。業務に支障がなく、成果を出せれば、働く場所は社員個人の裁量に任せています。
編集部
フルリモートとなると、社員間のコミュニケーションや情報共有は対面時とは異なるやり方になってくると思います。ストラテジットさんではどうされているのでしょうか?
加藤さん
まず、各チームで議事録を公開することを当然のこととしています。仕事に対して高いプロフェッショナル意識を持つメンバーを採用しているため、業務情報の共有は自主的に行われています。
データの共有はクラウド上で行っています。IT業界の特性上、メンバーのITリテラシーが高く、ITツールを活用した情報共有が日常的に行われています。
日常的なコミュニケーションは基本的にSlackで行っています。メッセージのやり取りだけでなく、ハドルミーティング機能も積極的に活用し、リモート環境でもすぐに相談できる状態を作っています。これにより、オフィスで一緒に働いているような感覚でリモートワークを実現しています。
興味深いことに、一部のメンバーはオフィスでの対面コミュニケーションよりもSlackでのやり取りを好んでいます。Slackであれば、自分のペースで連絡を確認し返信できるため、コミュニケーションがより円滑になると感じているようです。
リモートワーク下でのコミュニケーション促進策:オンラインランチ手当の導入
編集部
業界柄、ITを活用した情報共有やコミュニケーションに社員の皆さんが慣れているのですね。社員さん同士のコミュニケーションを活性化するため、何か工夫などはされていますか?
加藤さん
社員間のコミュニケーションを円滑にするため、オンラインランチを積極的に推奨しています。オンラインランチをした場合、月2回1,500円まで手当を出すようにしています。オンラインランチは頻繁に行われており、ほぼ毎週どこかのチームで実施されています。
そのほか、年に1回は忘年会のような形で全社員が顔をあわせる場を設けるようにしています。その際は、出張手当を出すようにしています。
編集部
会社として社員同士のコミュニケーションを促すための場所を提供されているのですね。部署やチーム単位では、何か交流の場はあるのでしょうか?
加藤さん
各チームで、仕事以外の時間に勉強会が行われています。内容としては、今後の業務の進め方や改善点をテーマにしています。会社のKPIは売り上げだけでなく、事業部としての成長も重視しています。これらのKPIを達成するために、従業員一人ひとりが意識を高められるよう勉強会を運用しています。
柔軟な勤務体制:個人の事情に寄り添う多様な働き方の実現
編集部
ストラテジットさんではフルフレックス・フルリモートを導入されているとお伺いしました。そこで、ワークライフバランスを重視して働かれている方の具体例を教えていただけますでしょうか?
加藤さん
子育て中の社員は、学校の送り迎えや授業参観などの行事に合わせて、午前休を取得したり、仕事時間を中断したりと、個人の裁量で自由に仕事と私生活を両立しています。家族の体調不良や急用が発生した場合も、会議で共有いただければ迅速に調整が可能です。
このような柔軟な対応ができるのは、フルリモートでオンラインを活用しているからだと考えています。オフラインの会議と異なり、オンラインでは場所の確保が不要で、URLの発行だけで済むため、予定を合わせやすいのです。そのため、多くの社員が自身の業務や会議のスケジュールを調整しながら、家庭や個人の予定を大切にしています。
また、体調や様々な事情により週4日しか勤務できない場合は、契約自体を週4日に変更して働いていただくことも可能としています。
編集部
社員一人ひとりのライフスタイルや事情に合わせて、柔軟に対応できる仕組みを整えているのですね。
ストラテジットの3つのバリュー:課題解決指向・スピード・成果主義の真意
▲ストラテジットさんが掲げる行動指針。(公式サイトから引用)
編集部
ストラテジットさんでは「課題解決指向(提案力×実現力)・スピード・成果主義」をバリューとして掲げられています。なぜこの3つをバリューとされているのか、ご説明いただいてもよろしいでしょうか?
加藤さん
まず成果主義についてですが、この言葉を聞くと個人で頑張って成果を上げるとイメージされる方もいると思います。しかし、私たちの考える成果主義はそうではありません。会社は一緒に働いている仲間がいるからこそ成果が出せるものだと考えています。
創業メンバーには、子育て中の方や、フルリモートで働く方、海外在住の方など、多様なバックグラウンドを持つ人材が複数いました。このような環境で個人事業主ではなく会社として事業を行うのであれば、自分一人の努力だけで成果を出せるわけではありません。
組織で仕事をするということは、自分の実力だけでなく、同僚への気遣いや時間調整など、協調しながらアウトプットしていくことが非常に重要です。成果を出すために適切に行動し、さらに自分のワークライフバランスにも配慮できることも、仕事に対する重要な能力だと考えています。
自律的な課題解決能力の育成:社員に求める主体的な行動指針
編集部
チームや関係する人たちとの関係性を含め組織として動いた上で、成果を上げることを大事にされているということですね。では、残りの2つのバリューについてもお聞かせいただけますか?
加藤さん
「課題解決指向」は、お客様がやりたいことや課題に対して、自分たちで考えて動いて解決まで至るようにしてほしいという意図があります。
私達は連携開発とERP導入を事業として行っていますが、連携開発は領域が定まっているものではありません。どこと連携するかはお客様とその相手先、連携する元と連携先のソリューションで毎回異なります。そのため、毎回自分たちでお客様の製品、お客様が何をしたいかを理解しなければなりません。毎回同じ営業トークでは売れませんし、エンジニアも毎回同じ開発をしていてはお客様が望むものを作ることはできません。
お客様の要望や課題は多岐にわたるため、テンプレート通りの対応では収まりきらないことがほとんどです。実績を積んでいけば、多くのテンプレートができて対応できるようになるかもしれませんが、現在は自分たちで課題解決できるように考えて動いていく必要があります。
この考え方はお客様に対してだけでなく、会社の中でも同じことが言えます。自分が任されている仕事に対して、どう解決して実現していくかを自ら考えて動いていただきたいです。社内でも社外でも、この姿勢を持つことが重要です。
課題解決指向で仕事に取り組み、成果を出すことができれば、ベンチャー企業としての「スピード感」も必要となります。この3つをバリューとして掲げています。
編集部
お客様のやりたいことや抱えている課題に対してはもちろん、自分が任された仕事についても課題解決指向を持ってアプローチすることを大事にしてほしいと考えていらっしゃるのですね。
多様な経験を持つプロフェッショナル集団:ストラテジットの組織構成
▲株式会社ストラテジットの旧オフィスでの仕事風景。
編集部
カルチャーや雰囲気を重視して、会社選びをされる求職者の方も一定数いらっしゃいます。そこで、ストラテジットさんのカルチャーをいくつかご紹介いただけますでしょうか?
加藤さん
ストラテジットは設立5年目になりますが、いわゆるベンチャーのような和気あいあいとした雰囲気ではありません。仲間意識は高いですが、バックオフィス寄りの業態のため、落ち着いた雰囲気の会社です。年齢層も30代後半と高めで、落ち着いたメンバーが多いですね。
また、弊社はお客様の業務に関わる重要なシステムに携わっているため、責任感の強いメンバーが揃っています。私たちが担当するコア業務の連携やERP支援が止まってしまうと、お客様の業務や売上に直接影響する恐れがあります。そのため、自分の仕事に対して高いプロ意識を持って業務にあたっています。
加藤さん
業務知識が豊富な方、多様なスキルセットを持った方など、経験値の高いメンバーが多く在籍しています。
元々自分で会社を経営して社長も経験したという方も3分の1ほどいらっしゃいます。短くても1年は自分で企業の立ち上げをしていた方や、アメリカで起業された方など、本当に多様な経験をされてきて、かつ実力を持った方が多い会社です。
データ連携の領域はまだまだ成長の余地があり、弊社はこの領域で国内外でトップになれる会社だと考えています。そこにフルコミットできることを魅力に感じて、ご入社いただいた方もいらっしゃいます。
ストラテジットが求める人材像:成長市場で挑戦したい方へのメッセージ
編集部
最後に、ストラテジットさんに興味を持たれた方に向けて、メッセージをお願いします。
加藤さん
ストラテジットは、会社の目指すところとして、日本でトップのソフトウェアベンダーになりたいと思っています。私たちの目標は、まだ日本には少ない、海外にも通用するソフトウェアベンダーになることです。
SaaSは国内外の調査で今後の拡大が見込まれている市場です。これは、優れたソリューションが登場し、個々の企業のソリューションが急成長しているためです。そのような状況下で、弊社は必然的に生じる連携領域の課題に対応する事業を展開しています。
弊社はSaaSの連携だけでなく、ERP導入や基幹システムの導入支援も行っており、豊富な知見を持つメンバーが揃っているのが強みです。弊社の強みと市場の動向を考えると、私たちが提供しようとしているものは社会のニーズに合致しており、5年、10年と持続的に成長できる事業を展開していると確信しています。
ストラテジットは設立から4年で多くのSaaSベンダーとの実績を築き、上場企業かつARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)上位の企業のほとんどと取引または協業関係を構築してきました。2023年は新製品開発に着手し、そのための資金調達も完了し、優秀な人材も確保しています。
新製品を開発し、市場に投入するこの時期は、私の経験上、過去10年で最も刺激的な段階だと考えています。
現在このタイミングで弊社で働くことは貴重な経験になると確信しており、一緒に挑戦していただけるメンバーを募集しています。
編集部
御社にとって大きな変革期の一つとなる今年、その時期にジョインできるということですね。新しいことに挑戦したい方や、このような状況を面白いと感じる方にはぴったりだと感じました。
本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社ストラテジット:https://www.strategit.jp/
採用ページ:https://www.strategit.jp/recruit/