先進的な働き方や社内カルチャーで注目を浴びている企業の魅力や社内制度についてお届けする本企画。今回は、日本のフードロスを削減していくことで、フードロスのみならず、さまざまな社会課題の解決に向けて挑戦し続けている株式会社クラダシにお話を伺いました。
株式会社クラダシとは
▲株式会社クラダシが掲げるミッション(クラダシさん公式HPより引用)
株式会社クラダシは、ユーザーが楽しく買い物をすることでフードロス削減や社会貢献につながっていくソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の運営を通じて、様々な課題を抱える社会構造とビジネスの間に立ち、利益と社会的価値創造の両方が実現する仕組みづくりに取り組んでいます。
社会課題の解決に対して、新たなアプローチを生み出し続けている同社では、壮大なビジョンの下に集まったメンバーたちが日々挑戦と成長を繰り返す、成長フェーズ真っ只中のスタートアップらしい勢いのある社内カルチャーが醸成されています。
会社名 | 株式会社クラダシ |
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住所 | 東京都品川区上大崎3-2-1 目黒センタービル 5F |
事業内容 | ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の運営 |
設立 | 2014年7月 |
公式ページ | https://corp.kuradashi.jp/ |
働き方 | 原則出社 ※リモートワークは規定に則り一部実施 |
創業から10年の節目を目前に控え、新たなフェーズへと邁進する株式会社クラダシ。次々と革新的なアイディアを生みだし、挑戦を鼓舞する社内カルチャーや、各種制度・福利厚生に対する考え方などについて、CHRO(最高人事責任者)の徳山耕平さんにお話を聞かせていただきました。
社会性・環境性・経済性の3つを実現するソーシャルグッドカンパニー
▲株式会社クラダシさんが運営するソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」
編集部
フードロスの削減を主軸として、様々な社会課題の解決に取り組んでいるクラダシさんですが、御社の具体的な事業内容について教えてください。
徳山さん
クラダシの主軸事業は、ECサイト「Kuradashi」の運営です。
私たちは「楽しいお買い物でみんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る」というブランドパーパスを掲げています。誰もが気軽にフードロス削減に取り組む「輪」に加わり、さらにはその先にある社会が抱える様々な課題の解決にまで参画することができる場の提供を目指して運営しているのが、このKuradashiです。
編集部
クラダシさんがKuradashiを立ち上げるに至った経緯についてもお教えいただけますか?
徳山さん
わかりました。クラダシは「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」をミッションに、「日本で最もフードロスを削減する会社」をビジョンに掲げ2014年に創業しました。
様々な社会課題をビジネスの力で解決していく会社を目指す姿として定め、アクションを起こしていったという感じです。
編集部
なるほど。2015年に採択されたSDGsの中でも、「2030年までにフードロス半減」という目標が掲げられていますが、それよりも一足早く、クラダシさんではフードロス削減に取り組み始めたんですね。
フードロスを削減する新しい買い物の形を提案
▲日本では、様々なルールや商慣習によって多くのフードロスが生まれている(クラダシさん公式HPより引用)
編集部
日本におけるフードロス解消のための糸口として、ECサイトを始めるというのは新鮮なアプローチですよね。なぜECサイトだったのでしょうか?
徳山さん
最大の理由は、事業系フードロスの多くが食品サプライチェーンの上流である、食品製造業や卸売業、小売業で発生しているためです。
日本の食品業界では、食品のブランド価値や品質を非常に厳格に守る傾向が強いため、ちょっとした歪みや傷があるものはもちろん、季節を過ぎた食品やパッケージの汚れ、また、1/3ルールなどの商慣習により賞味期限が近い食品も、通常の流通から外れてしまい、廃棄される可能性があるのです。
編集部
「1/3ルール」など、厳しい商慣習がいまも残ってしまっているんですね。
徳山さん
そうです。このような課題を解消するために、品質に問題がなく、まだ食べられるのにさまざまな理由で廃棄される可能性のある商品を弊社が買い取って、一般消費者向けにECサイト「Kuradashi」で販売するというビジネスモデルを立ち上げました。
購入金額の一部が寄付され、社会貢献活動にもつながる
▲クラダシさんではステークホルダーと共に、フードロス解消を介して社会貢献が常に身近にある新たな社会のあり方を提案している
編集部
サイトを拝見すると、「Kuradashi」での売り上げの一部を様々な社会課題解決を目指す団体へと寄付されているという内容がありました。こちらはどのような仕組みとなっているのですか?
徳山さん
ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」では、売上の一部を社会貢献団体へ寄付したり、「クラダシ基金」として活用し、社会貢献活動を支援するというモデルを展開しています。
環境保護や災害支援など、フードロスに限らない、様々な活動を行っている団体を含む、16の選択肢の中から、ユーザーさんが自分で好きな支援先を選ぶことができる仕組みです。
このスキームを取り入れることで、ユーザーさんはフードロス削減に貢献するだけでなく、興味・関心のある社会課題の解決にも能動的に参画できる、そして、おトクに楽しくお買い物ができるという複数の体験ができます。
また食品メーカー様は、「Kuradashi」を介してエンドユーザーと繋がることで、「フードロス削減に取り組んでいます」という企業姿勢をアピールできる仕組みになっています。
「傍観者ではなく当事者であれ」自らが課題解決にコミットする
▲クラダシ基金は、社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」やフードバンク団体の活動支援の資金として活用されている
編集部
支援先の中で「クラダシ基金」というものを見つけたのですが、こちらではどのような活動に使われるのですか?
徳山さん
「クラダシ基金」は、その名の通り、クラダシが自社で社会貢献活動を行うために創設した基金です。地域経済の活性化や社会発展のために活用されます。
使い道の一例としては、地方創生やフードバンク支援、SDGs教育や食料問題に取り組む「食のサステナビリティ研究会」の活動資金などに使わせていただいています。
編集部
地方創生にも取り組まれているのですね。こちらはどのような形で行われているのですか?
徳山さん
社会貢献型インターンシップとして「クラダシチャレンジ」という活動を展開しています。
クラダシチャレンジは、少子高齢化が進み、特に一次産業の担い手不足が深刻化している地方都市と、地域創生や地域課題の解決に興味のある若い世代をマッチングして、実際に現地に滞在して課題の解決に取り組んでもらうプログラムで、現地滞在にかかる費用や旅費をクラダシ基金から拠出しています。
編集部
実際に田舎に滞在して農業体験ができるとなれば、希望者が多そうですね。
徳山さん
時期や活動内容によって差異はありますが、確かに多くの希望者から応募いただいています。またクラダシとして、単に地域の事業者と労働力のマッチングを支援することが当プログラムを立ち上げた意図ではないので、必ず参加者の選考を実施しています。
地域が抱える課題の中に身を置き、自分で行動して課題解決にコミットすることが本来の意図ですので、参加者は、滞在中にも首長をはじめとして地域の方々と話し合う機会を設けたり、終了報告会として活動報告をまとめ、滞在先の自治体や地域の方へフィードバックしたりする機会を設けています。こうした一連の活動に対して、「能動的に参加してもらえるかどうか」が選考における最大のポイントです。
単なる一時的な労働力の提供ではなく、あくまで学びの場として活用してもらえるようなプログラム設計という点がポイントですね。
前例がないからこそワクワクする仕事
▲クラダシさんの運営する「Kuradashi」は社会・環境・経済に大きなインパクトを与えている
編集部
ソーシャルグッドカンパニーとして、幅広い視野で社会貢献活動に取り組まれているクラダシさんですが、事業を進めていく中では、人から感謝される場面も多いかと思います。こういったお仕事をされていて、やりがいや充実感を感じられるのは、どのような瞬間でしょうか?
徳山さん
食品メーカー様から「行き場を失った商品を抱えて困っていたところで、クラダシさんに助けられた」といった言葉を直接いただくことも多く、そういった言葉はやはり心に響きますし、やりがいに繋がりますね。
もう少し粒度を上げてお答えすると、「フードロス削減」という看板を起点に、様々な社会貢献活動に関与していくという「クラダシが生み出すうねり」に、ビジネスとして社会課題を解決することに対して強い関心と実力を持った人々が集まってきているのは、非常に面白いなと感じています。
編集部
クラダシさんが壮大なビジョンの下でどんどん事業領域を広げながら、新しい価値観や仕組みを提案していく。その圧倒的な熱量というか、ダイナミズムにとてもワクワクします。
徳山さん
ありがとうございます。日本をはじめとして、産業が発展した国のフードサプライチェーンは、食品が余ることを前提に構築されています。世界的に見ても人口増加に伴い「食料が足りない」時代に突入しており、その課題の解決に各国が取り組んでいるわけです。
その中で、日本の国力や地方経済、これからの食料調達について、立体的な将来像を描いて理解し、フードロス削減事業で得た利益を、将来の日本のために再循環させていく仕組みづくりにクラダシは取り組んでいます。
この新しい社会の仕組みづくりという非常に難しいミッションに、あえて「明るく楽しく元気よく」というコーポレートバリューも掲げ、取り組んでいます。
ユーザーからのフィードバックで成長する
編集部
他にも、メンバーの皆さんが仕事のやりがいを感じる瞬間はありますか?
徳山さん
ありますね。先ほどのクラダシチャレンジなどの地方創生事業をはじめとして、フードロス削減以外の社会貢献活動にも関わるKuradashiの仕組みについて、直接ユーザーさんと共創している感覚を得る機会が増えました。
編集部
ユーザーさんとの共創とは具体的にどのようなものがありましたか?
徳山さん
例えば、先日発生したトルコ地震に際しても、発生後すぐに「Kuradashi」の寄付先に「トルコ・シリア大地震緊急支援」を追加したところ、「Kuradashi」で買い物をする際の寄付先選択時に多くの方が選んでくださいました。
トルコ地震のケースはほんの一例ですが、「Kuradashi」のユーザーさんは、本当によく私たちの取り組みを見ていらっしゃって、いつもたくさんのご意見をいただけるので、そういった声というのは本当に嬉しいですし、貴重ですね。
編集部
ユーザーさんにとっても、クラダシさんのサービスを使うことで、購入体験以外の要素で満足度が高まっているんだろうなと、お話を聞いて感じました。
裁量権を持って自らが動くカルチャー
▲クラダシさんが掲げる3つのバリューは、社員一人一人が、社会貢献とビジネスを両立させるためにどのように行動すべきかを示す指針になっている(クラダシさん公式HPより引用)
編集部
クラダシさんのホームページを拝見すると、とても自由度の高い雰囲気の会社だなという印象を受けたのですが、実際に社内で皆さんが働かれている様子というのはどのような感じなのでしょうか?
徳山さん
クラダシでは、社員の行動指針に「前例を創ろう」「アクセル全開!」「明るく楽しく元気よく」という3つのバリューを設けています。
これは、クラダシがソーシャルビジネスで利益を上げながら社会課題を解決する会社を目指すうえで、みんなで大切にしたい姿勢を示しているものです。
まず、私たちは、日本の社会で大きな価値変革を起こそうとしているので、チャレンジやスピードは非常に重要です。新たな価値創造の実現に向かって一人一人が能動的・主体的に考えて動くことで、自らが「前例」となっていってほしいですし、それを実現するためにはスピード感が絶対的に必要です。
けれど、クラダシの目指す「誰もが気軽に社会貢献に参加できる社会」というのは、眉間に皺を寄せて、歯を食いしばって生きてる世界ではなく、もっとポジティブで明るく元気な世界であってほしい、そのためには自分たち自身も体現していたいという想いから、この3つのバリューを掲げています。
全社員が互いに評価し合う「バリュー賞」
▲クラダシさんの掲げる3つのバリューを評価軸に、全社員からの360度評価によって受賞者が決定する「バリュー賞」は、社内でのバリュー浸透に大きく貢献しているユニークな社内制度
編集部
成長フェーズの最中にあるクラダシさんですが、事業領域が広がり人が増えると、バリューが社内カルチャーとして浸透するまでにかなりのご苦労があるのではないですか?
徳山さん
そうですね。成長中の企業にはよくあることですが、クラダシでは、バリューを行動計画に紐づけ、且つ、社員に裁量を与えて仕事を任せることでカルチャー浸透と事業成長スピードを同時に加速させています。
バリューを行動指針として社員自ら考え行動できる機会を提供することで、事業の状況が刻一刻と変化する中でも個人のスピード感をむしろ磨きつつ、自然とバリューを浸透させることができたと思います。
また、会社のミッションやビジョンに共感して、それぞれが強い想いを持って弊社に入社しているので、正解が見えない状況の中でも、「みんなでなんとか乗り越えるぞ」みたいな団結した空気感があります。それもバリューをカルチャーとして浸透させることができた理由の一つだと思います。
編集部
クラダシさんの公式noteでは、社員同士が互いの働き方や仕事の成果を称え合う「バリュー賞」という表彰制度を紹介されていますが、こちらはどのような制度なのでしょうか?
徳山さん
バリュー賞は、先ほどの3つのバリューを社内に浸透させることを目的に始めた表彰制度です。
ただしこの賞は、会社が始めたのではなく、一部の社員がバリューを浸透させるために「カルチャー浸透委員会」を設立し、表彰制度を起案したことがきっかけで生まれました。半年に1度、全社員が自薦他薦によりエントリーすることができ、最終的には投票数で受賞者を決定します。
評価基準はシンプルで、3つのバリューそれぞれを最も体現した社員に贈られます。
編集部
一方的に押し付けられるバリューではなく、自分たちでバリューを取り込んでいくという社内カルチャーは素晴らしいですね。
事業と人の成長を加速させる働き方
▲クラダシさんのオフィスでは、和気あいあいとした雰囲気の中でも、一人一人がミッション達成に向かって日々挑戦し続けている
編集部
リモートワークやハイブリッド勤務、フレックスタイムなど、働き方の多様化が進んでいますが、クラダシさんの社員の方々はどのように働かれているのですか?
徳山さん
基本的には、出社することを推奨しています。理由は、企業自体が大きく成長している今の状況では、対面で会話した方が圧倒的に情報交換量も多く、コミュニケーションスピードも上がるからというのが一つです。
もう一つの理由は、そういった対面でスピード感のあるやり取りを重ねていくことで醸成されていく社内カルチャーや空気感が、クラダシにとっては非常に重要であると考えているためです。
編集部
対面でのコミュニケーションによる効果を高めるために設けられている社内制度やイベントなどはありますか?
徳山さん
月に一度、全社員が集まるマンスリーミーティングを必ず開催しています。
単なる報告会ではなく、今の会社の状況や、「このプロジェクトでは〇〇さんが頑張ったよね」など、部門や事業にとらわれず、みんなで社内の様々な情報を共有する場として活用しています。
先ほどの「バリュー賞」にも通じますが、クラダシにはチャレンジ精神豊富な人が集まってくれているので、そういった人がやりがいを感じられるような、「挑戦したい」という想いに応えるための環境を提供することが大切だと思っています。
社員それぞれが働きやすさとやりがいを感じられる人事制度
編集部
コミュニケーションを重要視されることから、出社勤務を推奨されていますが、働き方の多様化という点で、クラダシさん独自の柔軟な制度などはありますか?
徳山さん
はい。社員数が50名を超え、エンジニアの数も増えたあたりから、一律の働き方で同じアウトプットを求めるやり方が適さないフェーズを迎えていると感じ、それぞれの社員が働きやすさとやりがいの両方を感じられるような人事制度設計を始めました。
編集部
制度としては、臨機応変に対応されているという感じでしょうか。
徳山さん
そうですね。どうしたら長く、一緒に働き続けることができるかを常に模索し続けている状態で、今は基本的に半年に1度の人事制度の見直しを繰り返しながらアップデートしています。
例えば今は、キャリアのウィルにあわせて働き方も選べるように設計していて、正社員のコースとして、マネジメントコース、エンジニアコース、業務限定コースの3つのコースを用意しています。
マネジメントコースの人は原則出社ですが、エンジニアコースと業務限定コースの人は、ハイブリット勤務やフルリモートも認めています。
ただし、育児や介護などの事情がある場合は、マネジメントコースでもハイブリット勤務を認めるような柔軟な制度設計となっています。
クラダシのメンバーになることに興味が湧いた方へ
▲インタビューでは終始、事業に対する想いと「ソーシャルグッドカンパニー」としての使命感を熱く語ってくれたCHROの徳山さん
編集部
それでは最後に、本記事を読まれてクラダシさんの一員となってみたいなと思われた方に対して、メッセージをお願いします。
徳山さん
クラダシでは、2014年の創業から約5年経過した2019頃から、事業拡大・組織拡大へと大きく舵を切って、今日まで突き進んできました。
この大きな決断の背景には、少数精鋭で育ててきた事業モデルが創業以来右肩上がりの成長で結果を出し続けているところに、SDGsの採択という時代の追い風が吹き、組織拡大してリソースを投入することで、一層大きく成長できるという判断がありました。
私たちは、事業会社としてソーシャルグッドな取り組みを推し進め、そこで得た利益を再循環させることで社会課題を解決していくという、利益と社会的価値創造の両立を目指しています。
クラダシに集まったメンバーは皆、弊社のミッションやビジョンに強く共感するとともに、誰かのために何かを成し遂げたいという利他性と、社会的価値と利益を生み出すビジネス感覚とを持ち合わせており、日々一丸となって壮大なミッションの達成に挑んでいます。
成長フェーズ真っ只中にあるクラダシでは、「日本で最もフードロスを削減する会社」を共に作り上げてくれる仲間を求めています。クラダシの事業やミッション・ビジョンに共感する方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
編集部
本日は、クラダシさんの事業や共に働く人への熱い想いをたくさんお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました!
■取材協力
株式会社クラダシ:https://corp.kuradashi.jp/
採用ページ:https://hrmos.co/pages/kuradashi