注目企業の躍進の秘密と成長を支えるカルチャーを探る本企画。今回は「働く人に元気を与え、活力ある社会をつくる」をミッションに掲げ、産業医の紹介サービスなど法人向けヘルスケア事業を展開する株式会社Dr.健康経営を取材しました。
株式会社Dr.健康経営とは
株式会社Dr.健康経営は「働く人に元気を与え、活力ある社会をつくる」をミッションに掲げるヘルスケア企業です。企業へ産業医を紹介するサービス「産業医コンシェルジュ」を中心に、ストレスチェックサービスや研修・講演会を提供し、企業と働く人の健康づくりを支援しています。
産業医事業の市場規模は年間1,000億円以上と推定され、この先、市場は拡大すると予想されています。そんななか、Dr.健康経営は質の高い産業医の紹介と丁寧なサポート体制で前年比130%の成長を続けています。
会社名 | 株式会社Dr.健康経営 |
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住所 | 東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー39F |
事業内容 | ・産業医紹介サービス「産業医コンシェルジュ」 ・ストレスチェックサービス「ストレポ」 ・産業医の育成・研修、コミュニティ運営 ・研修・セミナー事業 |
設立 | 2019年2月22日 |
公式ページ | https://dr-hpm.co.jp |
働き方 | ハイブリッド勤務(出社+リモートワーク) |
今回、お話を伺ったのはDr.健康経営の執行役員である吉川淳さんです。競合他社が少なくないなかで、Dr.健康経営のサービスにはどんな優位性があるのか、成長の背景と合わせて伺いました。また、社内の雰囲気や働き方、求める人材についてもお聞きしています。
産業医を企業に紹介する「産業医コンシェルジュ」
▲Dr.健康経営さんのメイン事業が産業医紹介サービス「産業医コンシェルジュ」
編集部
まずは、Dr.健康経営さんの事業内容について教えていただけますか?
吉川さん
弊社は「働く人に元気を与え、活力ある社会をつくる」をミッションに、企業様の健康経営をサポートしています。そのメイン事業が産業医紹介サービス「産業医コンシェルジュ」です。
従業員が50人以上の企業は法令上、産業医を選任しなければなりません。専属産業医が常勤している大企業もありますが、多くの場合、産業医1名を嘱託というかたちで選任します。我々はそうした非常勤の産業医を企業様へ紹介しているのです。
編集部
社員の方の健康面でもプラスになりますし、医師の先生方も活躍の場が広がるのですね。
吉川さん
そうなのですが、実は「選任はするけれど産業医は何もせず名前を貸すだけ」といったことが業界では珍しくありません。これは産業医側のモラルと質の問題でもありますし、同時に企業様側の意識の問題でもあります。
ただ、企業様を責められない面もあるんです。従業員50名を超えた段階で義務づけられている健康管理の施策は産業医の選任だけではありません。ストレスチェックや「衛生委員会」という職場の安全や健康のための組織の編成などやるべきことが途端に増えてしまいます。
しかし、経営のフェーズとしては、まだまだ売上を上げることに集中したい時期です。どうしても、こうした健康経営に関する施策を“コスト”として捉えてしまう結果となります。
編集部
Dr.健康経営さんは、その状況をどうやって変えていかれるのでしょうか。
吉川さん
我々は産業医を紹介するというサービスを通じて、質の高い健康管理・産業保健活動によって従業員は健やかに働くことができるということを企業様にお伝えしていきます。
「健康経営」というワードが一般的になってきたなか、投資する価値がある部門であることを広く知っていただきたいですね。
ストレスチェックの業務を全面サポートする「ストレポ」
▲ストレスチェックにかかる業務をすべてサポートする「ストレポ」(公式HPより引用)
編集部
Dr.健康経営さんでは、ストレスチェックのサポートも行ってらっしゃるのですよね?
吉川さん
はい。企業様のストレスチェックにかかる業務を全面サポートするサービスが、「ストレポ」です。
先ほども申し上げましたが、従業員のストレスチェックも従業員50人以上になると義務化されます。企業は従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐため、年に1回ストレスチェックを実施して労働基準監督署へ報告しなくてはいけません。
弊社が提供している「ストレポ」は、ストレスチェックの実施から結果の回収、集団分析、報告まですべてをサポートするものです。ストレスが高かった方への面談体制の構築もお手伝いしています。
編集部
Dr.健康経営さんでは「健康経営」に関して、包括的にサービスを展開されているのですね。
吉川さん
従業員の健康を促進していきたいという企業様に対して、セミナーや講演を行ったり、「健康経営」のためのサービスも少しずつ拡充しているところです。
我々の直接のお客様は企業様ですから、基本的にはBtoBのビジネスです。しかし、その企業様で働く従業員の1人1人を元気にすることができれば、その会社が元気になります。そうした元気な会社をたくさんつくれば、生き生きとした社会になっていくはずです。
そんな社会に向けて、我々のサービスを利用いただける企業様を1社でも多く増やそうと頑張っているところです。
「質の高い産業医の紹介」が支持され前年比130%で成長中
編集部
従業員のメンタルヘルスケアに投資する企業は増えていて、Dr.健康経営さんの事業も成長が続いているそうですね。
吉川さん
売上に関しては創業の翌年が約200%で、そのあとは毎年、前年比130%で成長しています。社員数は、私がジョインした2021年は創業者の鈴木健太だけで、あとは業務委託の方にお手伝いいただいているかたちでしたが、徐々に人が増え、現在は経営陣を含めて全部で7名になりました。
編集部
前年比130%の成長が続いているのはすごいことです。大手も含め競合他社もあるなかで、Dr.健康経営さんが選ばれる理由はどこにあるとお考えですか?
吉川さん
ひとつは、登録医師の数で勝負するのではなく、質の高い産業医を厳選して紹介している点です。我々は産業医を紹介し、その産業医が企業様で従業員の方々の健康サポートをします。いわば人材紹介業に近くて、我々への評価は紹介した医師次第ですから、医師の質はとても重要となります。
そのため、全員としっかり面接を行い、我々の評価基準に合致した先生だけを登録して紹介しています。面接では実績や経験年数などのキャリアやスキルを見ますが、より重視しているのが、コミュニケーション力や柔軟性などのいわゆる「人間力」です。
編集部
キャリアやスキルよりも「人間力」を重視する理由を教えてください。
吉川さん
残念なことですが、最低限のことだけ、言われたことだけをやる産業医もいます。また、気難しかったり、高圧的だったりすると、企業様側の担当者はコミュニケーションがとりにくくなりますし、頭から「こうでなくてはダメ」と決めつけるタイプの方だと話し合いすらできません。
そうなんです。コミュニケーション力が高い先生だと担当者の方と連携が取れますし、気軽に相談できるので、産業医の活用の幅が広がります。じつは、この「産業医の活用」が大事で、どんなに医師として能力が高い先生でも企業様の状況に合わせて柔軟に動けなければ、健康経営につながりません。
我々は企業様の健康経営を支えられる産業医だけを紹介していて、同時に、産業医同士のコミュニティを運営したり、定期的に勉強会などを催したりして、産業医のスキルアップもサポートしています。
クライアントの8割が紹介から。サービスに対する信頼の証
編集部
「質の高い産業医の紹介」は企業の担当の方にとってはとても安心だと思います。そのほか、Dr.健康経営さんの事業の優位性や特徴はありますか?
吉川さん
「丁寧なサポート体制の構築」も弊社サービスの特徴だといえます。企業様側からすると、産業医を導入するときってわからないことが多いんです。かといって、産業医がすべて教えてくれるわけではありません。
また、企業様側が自主的にやらなければいけないことがあって、そこに対して我々は導入のお手伝いを行っています。こうした企業様に対するサポートやコミュニケーションは現在、強化しているところでもあります。
編集部
Dr.健康経営さんは、どのように各企業へアプローチされているのでしょうか?
吉川さん
実は、弊社は企業への直接アプローチはあまり行っていません。というのも、提携している協力企業さんが産業医を探している企業様を紹介してくださるからです。現在は、お客様の8割が紹介となっています。
協力企業さんとしても、仕事がいい加減な会社を紹介することはリスクがあるし不安があるでしょう。そういった意味では、弊社や弊社のサービスへの信頼があるからこそ、多くの企業様の紹介に繋がっているのだと思います。
編集部
紹介が続いていくというのは、まさにDr.健康経営さんのサービスに対する信頼の証ですね。
週2リモート&コアタイムなし。個人の裁量に任せる柔軟な働き方
編集部
Dr.健康経営さんの働き方について教えてください。現在は、リモートワークと出社のハイブリッド体制と伺いました。
吉川さん
現在は週3日が出社で、週2日がリモートワークというかたちです。ただ、厳密に決まっているわけでもなく、週4日出社しているメンバーもいれば、お子さんが生まれたばかりということでリモートがメインになっているメンバーもいます。
リモートであってもやり取りに不自由はなく、何かあったらSlackで聞いたり、電話やMeetやZoomを使ったりと、気軽にコミュニケーションを取っています。
編集部
リモート中の労働時間の管理はどうされているのですか?
吉川さん
あまり、きっちりとしたルールはありません。始業と終業の時間を管理したり、ミーティングを頻繁にやったり、バーチャルオフィスで常に把握したりということはせず、弊社は基本、一人ひとりの裁量に任せています。
編集部
細かく管理、干渉するマイクロマネジメントとは真逆ですね。
吉川さん
社名に「健康経営」を掲げていますので、自社の従業員にはやはり健やかに働いてもらいたいんです。やはり、公私のバランスが取れていなければ、仕事に集中することもできません。
個人個人のいろいろな働き方に対しても可能な限り柔軟に対応して、それぞれの理想のワークライフバランスを実現してもらいたいと思っています。
編集部
Dr.健康経営さんの社内の雰囲気は、どのような感じでしょうか?
吉川さん
チームワークを大事にしていますし、日常的なコミュニケーションも活発ですね。ただ、友だちのような近さで休日も一緒というのではなく、仕事仲間としていい距離が保たれているといった感じです。仕事に対してはそれぞれしっかり真剣に向き合いつつも、一息入れるときはみんなで和気あいあい、雑談しながら和やかに過ごしますし、歓迎会などではみんなで飲みに行くこともあります。
細やかなフィードバックでビジネスマンとしての成長を促す
編集部
Dr.健康経営さんは2019年2月の創業以来、成長を続けていらっしゃいます。やはり日々、かなりお忙しいのではないですか?
吉川さん
ベンチャーというと、目の前のタスクに追われて「ただひたすら仕事をこなして忙殺されていく」というイメージが多少なりともあるかもしれません。確かに、まだまだ小さい会社なので、チャレンジングな仕事をする機会もありますし、メンバーには責任を持って仕事に取り組んでもらっています。
ただ、期待しているのは、ただその仕事ができるようになることではなく、ビジネスパーソンとしての成長です。
編集部
メンバーの成長を促すために、吉川さんが意識されていることはありますか?
吉川さん
仕事の進め方やコミュニケーションの取り方、マインドについてなど、可能な限り細やかにフィードバックするようにしています。
すると、仕事の質が上がったり、積極的な発言が増えたり、数字に対しての達成意欲が能動的に出てきたりして、マインドが変わると間違いなく行動が変わるんですよ。
それまでは「明日でいいや」というタイプだったのに、「今日中にここまでは絶対に仕上げます!」と、仕事に対するモチベーションが格段に上がったメンバーもいます。統括する立場としては、メンバーの成長を間近で感じられるのは非常にうれしいです。
編集部
個々の成長を導く、丁寧なコミュニケーションはとても難しいと思うのですが、コツのようなものはあるのでしょうか?
吉川さん
正直、うまくいかないこともあります。「失敗したな」とか「もっとこうしてあげられればよかった」と反省することもあります。
ただ、数字を上げるだけとか、目の前の仕事をこなすといったタスク型ではなくて、ミッションに対する思いを伝え、ビジョンを理解し共感してもらい、目線を一致させることが大切なのかなと思ってやっています。
編集部
社員のみなさんそれぞれが、モチベーション高く仕事に向き合ってらっしゃるのですね。
吉川さん
各々のモチベーションがしっかりお客さんに向き、能動的になっていると思います。健康経営の重要性や企業の課題などについて日常的に話をしているので、「もっとお客様に的確にアドバイスできるようになりたい」「お客様の力になりたい」という思いを抱くのでしょう。専門性を高めたいと、営業を担当しながら社労士の資格取得を目指している人もいますよ。
ベンチャー企業だからこそ、メンバー1人1人が責任感を感じてくれています。「自分の役割を果たしていこう」「もっともっと貢献していこう」といった思いを持ってくれている。それは本当にありがたいなと思います。
目指すは強みである「人」をいかしたトータルサービス
編集部
Dr.健康経営さんの今後の展望をお聞かせいただけますか?
吉川さん
まずは、産業医事業をさらに広く展開していくことです。大手競合他社さんはたくさんいらっしゃいますが、我々もお客様の選択肢に入っていかなくてはなりません。
その指標となる導入企業数をしっかり増やすことが直近の大命題で、目標は現在の3倍です。そこまで到達できると業界内に存在感を示せると考えています。
あとは、サービスラインナップを拡大し、産業医だけではなくてワンストップで我々が提供できる領域を増やしていきたいですね。
編集部
新規事業を立ち上げていくということでしょうか?
吉川さん
昨今の厳しい社会情勢やリモートワーク普及の弊害などもあって、メンタル不調に陥る方は非常に増えています。休職や離職で大切な人材を失ってしまう企業様も少なくなく、大きな問題となっているのが現実です。
そんな背景もあり現在、メンタルヘルス領域ではさまざまな企業が参入し、いろいろなサービスやツールが登場しています。しかし、根本的な解決には至っておらず、弊社がワンストップでサポートすることで、課題を解決していきたいと思っています。
編集部
具体的にはどのようなサービスをイメージされているのでしょうか?
吉川さん
大きな問題は、サービスやツールを活用しきれてないことです。導入した施策が本当にその企業様にとって必要なものだったのか、状況にあっていたのかなど、コンサルティングをして最適なソリューションを提案することはできるはずです。
Dr.健康経営が求めるのは会社の成長と自分の成長を楽しめる人
▲ミッション実現のために掲げられたDr.健康経営さんの3つのバリュー(公式HPより引用)
編集部
Dr.健康経営さんが採用にあたって重視していることを教えてください。
吉川さん
いちばんは、価値観がマッチするかどうかですね。冒頭申し上げたように、弊社は「働く人に元気を与え、活力ある社会をつくる」をミッションに掲げています。そして、このミッション実現に向けて、大切にしている3つのバリューがあるんです。
それが、「Action first/まず行動しよう」「Dig insights/本質を見極めよう」「Be open/オープンでいよう」です。ミッションとこのバリューに共感してくれる方と一緒に働きたいと思っています。
編集部
最後に、読者の方に向けてメッセージをお願いいたします。
吉川さん
健康経営に取り組む企業は今後、確実に増加し、とくにメンタルヘルスケアへのニーズはさらに高まっていくはずです。それは同時に、社会にメンタルヘルスの課題が増加していくということでもあります。それに対する手当として「絶対の正解」はありません。
サポートを求める企業様は多く、我々ができることはたくさんあります。社会貢献性が高く伸びている業界ですから、やりがいは必ず感じられるはずです。
弊社は今、新たな成長フェーズにあります。現在を第2創業期と位置づけており、今後さらなる事業拡大を目指しています。与えられた仕事をコツコツと行うとか、タスクをこなしていくという仕事の仕方ではなく、自分で仕事をつくっていくことができます。
担当する領域も広く持てるので、チャレンジしてみたいという人は、きっとワクワクできるはずです。また、「自分たちの手で会社をつくっている」「会社の成長を目の当たりにする」という経験を味わうこともできると思います。
会社の成長と自分の成長をリンクさせて楽しめる方は弊社にマッチするはずですし、そんな方をお待ちしています。
編集部
健やかに働くことへの重要性は今後、ますます高まるはずです。Dr.健康経営さんの事業の社会的意義は大きく、同時に成長への可能性も強く感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社Dr.健康経営:https://dr-hpm.co.jp
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