注目企業の躍進の秘密と成長を支えるカルチャーに迫る本企画。今回は、求職者の中長期的なキャリアに寄り添った「伴走型支援」を特徴とする転職エージェント、株式会社Izul(イズル)を取材しました。
株式会社Izulとは
株式会社Izulは、求職者のキャリアに寄り添う「伴走型支援」を特徴とした転職エージェントです。求職者1人に対して15回以上の面談を行うなど、丁寧なコンサルティングを通じた転職支援が評価され、若手ハイクラス層を中心に支持を集めています。
数年前まで代表取締役の中田さんが個人エージェントとして活動していましたが、求職者のキャリアを本気で考えた本質的な支援がなかなか出来ていない人材紹介業界の課題を解消するためには、組織規模を大きくして業界に変革を起こす必要があると感じ、事業拡大へと舵を切りました。
会社名 | 株式会社Izul |
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住所 | 東京都港区三田3-4-3 |
事業内容 | 人材紹介事業 |
設立 | 2013年10月 |
公式ページ | https://izul.co.jp/ |
働き方 | ・フルリモート ・フルフレックス |
本気で求職者と向き合うことを大切にする株式会社Izulには、売上より転職支援の「質」でコンサルタントを評価するカルチャーがあり、ノルマの設定も行っていません。
今回は、代表取締役の中田さんに、Izulの成長戦略やカルチャーについて伺いました。
「伴走型」の転職支援で業界を変革。売上は2年前の約4.5倍に
▲代表取締役を務める中田さんは、転職者に寄り添った支援が少ないという人材紹介業界の課題に立ち向かうため、株式会社Izulの規模拡大に取り組む。(公式サイトから引用)
編集部
まずはじめに、Izulさんの事業内容についてお聞かせいただけますでしょうか。
中田さん
弊社は、求職者の中長期的なキャリア設計にこだわった「伴走型支援」を特徴とする転職エージェントです。
私たちは1〜2回面談しただけで求人を紹介したり、1人の求職者に何十社もエントリーをすすめることはしません。コンサルタントが求職者と面談を重ねながら「ありたい姿」を明確化し、それを実現するための手段として転職の支援を行います。
編集部
Izulさんは、ここ数年で組織の拡大を進めているということですね。
中田さん
はい。Izulは元々、別の方が代表を務めていたのですが、6年ほど前に私がリクルートから独立するタイミングで経営を引き継ぎました。
それから数年間は個人型の転職エージェントとして活動していたのですが、この2〜3年で組織化し、売上高と従業員数はそれぞれ約4倍に拡大しました。
現在、弊社の従業員数は20名で、このうちコンサルタントが17名です。
業界の負の課題に挑むため、会社の規模拡大を決意
▲株式会社Izulは、リクルートが表彰する「優秀エージェント」に3期連続で選出されている。(プレスリリースから引用)
編集部
中田さんが会社を組織化し、事業拡大しようと決めた背景にはどんな理由がありますか?
中田さん
当初は、丁寧で良いサービスを提供したいと思い、会社の規模拡大を追わずに個人で活動をしていました。しかし、次第に人材紹介業界の課題を感じることが多くなり、業界全体の負を解消するためには個人ではなく大きな組織として取り組む必要があると思いました。
編集部
具体的に、どのような課題を感じたのでしょうか。
中田さん
ほとんどの転職支援会社が求職者を右から左に流すようなベルトコンベア式のビジネスを行っていて、丁寧なサポートを求める求職者の要望に応えるエージェントが少ないという課題です。
「個人に寄り添う」ことを謳ったエージェントであっても、単にコミュニケーションが良いだけだったり、それをマーケティングの手法に使っているだけだったりして、本当の意味で徹底的に伴走支援するところが少ないという印象を受けました。
編集部
求職者のことを本当に考えた支援が行われていないと感じたのですね。
中田さん
私たちの支援方法が絶対正義だとは思いません。手間をかけずに転職したい求職者にとっては、弊社は面倒くさいだけのエージェントだと思います。しかし、キャリアに真剣に向き合いたい方にとっては私たちのような存在が必要だと感じました。
さらに、もうひとつの問題として、企業が本来マッチングすべき人材とマッチングできていない現状もありました。
まず、求職者は転職活動の準備の仕方が分からないといった理由から、面接では本来のポテンシャルの2割も発揮できないことが普通です。そして企業側は、求職者に多くを求めすぎる「高望み」状態のことがよくあります。その結果、企業が求職者を正しく評価できず、マッチングの機会を逃してしまっているのです。
この問題を解決するために、求職者に対しては面接準備まで支援することで本来の力を出すサポートをし、企業側には高望みの解消を求めるようにしっかりとお話をするような活動が必要だと思いました。
編集部
そのような業界の課題に挑むためには、規模を拡大して影響力を持つことが必要だと考えられたのですね。
誠実な支援によって利用者が「ファン」となり、口コミで広まる
編集部
求職者支援の具体的な内容についても、詳しくお伺いできますか?
中田さん
多くの求職者は、「何をすればいいかわからない」という状況からスタートします。なんとなく将来に対する不安があるけれど、どのようなキャリアを築いていきたいか明確化できないのです。
私たちは、自己分析や仕事の棚卸しのお手伝いをしながら、「どこに転職するか」ではなく、「どんなキャリア人生を歩みたいか」をまず明確化します。そのうえで、キャリアを実現するためにどんな会社で働くのが良いかを一緒に考えます。
キャリア設計を一緒に考えていく中で、もし現職に残った方がいいと判断すれば「現職に残りましょう」と提案します。
▲株式会社Izulは、転職を「目的」ではなく、理想の自分を実現するための「手段」と考えて支援を行う。(公式サイトより引用)
中田さん
面接対策についても、基本的な対策から企業別の対策、フェルミ推定・ケース面接対策まで丁寧にサポートしています。最近は有料のキャリアコンサルティングサービスもありますが、弊社ではそのようなサービスの3倍から4倍の工数をかけたコンサルティングを無料で提供しています。
編集部
まさに伴走型の支援ですね。求職者の満足度も高いのではないでしょうか。
中田さん
はい。転職活動を本気で取り組みたい方が必要とする支援を行ってきた結果、ご利用いただいた方々が「ファン化」していき、別の求職者への紹介につながっています。そのため、集客コストをあまりかけずに事業を拡大することが可能になりました。
伴走型にこだわりながら、3年以内に売上6倍へ
編集部
求職者に寄り添う支援で口コミが広がり、事業が拡大しているIzulさんですが、今後の成長戦略や目標はお持ちですか?
中田さん
まずは、3年以内に従業員数が50名を超える組織にし、売上を現在の6倍程度まで拡大したいと考えています。
編集部
規模の拡大を続けるなかでも、Izulさんの強みである伴走型の支援は大切にされるお考えですか?
中田さん
はい。ただ単に50名〜70名規模に拡大するだけなら簡単にできますが、非効率とも言える今の支援方法を大切にしながら事業を大きくすることは、難しいチャレンジになると思っています。
私たちのような思想を持った小規模エージェントが規模を拡大する過程で効率化せざるを得なくなって、結局はベルトコンベア式の紹介で数を追う会社になってしまうのも見てきました。
しかし、私たちは伴走型の支援からブレることなく、それを第一に考えながら事業拡大を進めていくつもりです。
編集部
転職することが当たり前の時代となるなか、求職者と真摯に向き合うIzulさんのようなサービスは今後さらに需要が高まりそうだと感じました。
ノルマなし!Izulには売上より「質」を重視するカルチャーがある
▲株式会社Izulの求職者の内定率は、大手エージェントをはるかに上回る70%の高さを誇る。(公式サイトから引用)
編集部
Izulさんの事業を支えるコンサルタントのお仕事についてお伺いしたいと思います。
伴走型の支援となるとコンサルタントの工数が増えると思いますが、成約によって紹介フィーを得る転職エージェントとしては、コンサルタントが売上も意識しながら活動する必要が出てきませんか?
中田さん
弊社では、売上や利益については経営陣だけが意識するものと考え、コンサルタントに成約数や売上のノルマを課していません。
売上の多いメンバーをみんなの前で表彰するようなこともぜず、数字の報告は本人に月に一度メールで通知する程度です。コンサルタントが売上を意識しすぎないようにすることが、求職者のためを考えた支援につながるからです。
そうは言っても売上を作らなければならないのでは?と思うかもしれませんね。実は、弊社はサービスの質を高めることで、結果的に効率の良いビジネスができているんです。
大手の転職エージェントの場合、1人のコンサルタントが100人以上の求職者を担当していますが、弊社では20名までと決めています。担当人数を少なくすることで、1人の求職者と15回以上面談を行なったとしても、トータルの面談数は大手と変わらないことになります。
そして、丁寧な面談や面接対策を徹底することは、結果的に内定率の上昇につながります。一般的に、大手の転職エージェント内定率は6%〜10%と言われており、10人の求職者を担当しても1人転職が決まるか決まらないかという世界です。しかし、弊社の内定率は70%。10人支援したら7人が内定します。
編集部
コンサルタントが工数をかけて支援しても、高い内定率につながるので効率的だと言えるのですね。
求職者を第一に考えた支援でなければ評価しない
▲2023年5月には、株式会社ラクスが取り引きする全エージェントの中で最も優れた企業に贈られる「ベストパートナーエージェント賞」を受賞した。
編集部
Izulさんでコンサルタントとして働く方は、このような支援の考えに共感して入社した方が多いのでしょうか?
中田さん
はい。人材紹介業界で働く人も、求職者の立場で転職エージェントを利用する人も、この業界に対して丁寧な支援が行われていないとか、成約件数を増やすため手当たり次第に紹介しているというイメージを持っていることが少なくありません。
同じような問題意識を持った人が弊社に入社してくれるケースが多いので、伴走型支援という軸からブレずに事業を拡大することができています。
編集部
Izulさんは社員の平均年収が1,000万円を超えると伺ったのですが、待遇に魅力を感じる人も多いのでしょうか。
中田さん
たしかに、弊社は2022年の平均年収が約1,200万円で、フルリモートの導入や副業の許可など自由度も高い会社です。
しかし、弊社では徹底伴走にこだわるので、このやり方ではない支援で得た成果や売上は評価しないという考えを持っています。そのため、お金と自由だけが欲しい人からすると、実はIzulがそんなに効率の良い会社とは言えないんです。
編集部
紹介数を増やすことで効率良く稼ごうと思っても、それを許さないカルチャーがあるのですね。
中田さん
はい。支援の中身を大切にするという文化が社内に浸透しているので、もしコンサルタントの誰かが、求職者と十分な面談をしないうちに求人にエントリーさせようとしていたり、求職者のことを考えないような支援をしていたら、社内のほかのメンバーがチェックして正します。
コンサルタント同士がコミュニケーションする際も、「誰々がこれだけ売上をあげているよ」というような数字の話ではなく、支援に関する話題がほとんどです。
編集部
支援の中身を一番に考えるIzulさんの姿勢は、コンサルタントの評価方法にも表れていることがよくわかりました。
Izulなら、求職者の支援を通じて「特別な存在」になれる
▲株式会社Izulには、サウナ利用料を月3万円まで補助するユニークな福利厚生「サウナイキスギ」がある。(プレスリリースから引用)
編集部
Izulさんは3年以内に50人規模の組織にすることを目指しているということですが、これから新しく迎える仲間に求めることを教えてください。
中田さん
お金のモチベーションだけではなく、弊社の考えに共感してくれる方とぜひ一緒にチャレンジしたいと思っています。また、自立した働き方ができることや、自由と豊かさには責任が伴うことを理解している方であることも重視しています。
ここでの「自立」とは、売上を作るのが当たり前だという前提に立ちながら、質を重視した支援ができることを指します。弊社は会社を成長させていくフェーズにあるので、売上を作らなくても綺麗な支援だけしていればいいという感覚ではなく、ビジネスとして売上をつくる意識が自然と身についていることが大切だと考えています。
編集部
最後に、中田さんから、Izulさんで働くことに興味を持つ方にメッセージをお願いします。
中田さん
私たちがアピールしたいのは、高い年収や、フルリモート・フルフレックスによる自由よりも、仕事を通じて自分が「特別な存在」になれるという点です。
世の中には、辞めても代わりはいくらでもいるという仕事がたくさんあります。しかし、私たちはある程度の属人性を奨励しており、「自分らしい支援」をすることで求職者やクライアント企業の特別な存在になることができます。自分にファンがつく仕事とも言えます。
自分が誰かの役に立っていると間違いなく感じることができる仕事なので、仕事の質にこだわって働きたい方がいらっしゃいましたら、ぜひご応募ください。
編集部
求職者、企業と真摯に向き合いながら事業拡大をするIzulさんでは、自分の仕事に誇りを持ちながら働くことができそうだと感じました。
本日は、ありがとうございました。
■取材協力
株式会社Izul:https://izul.co.jp/
採用ページ:https://izul.co.jp/recruit/