絵画のサブスクを手がける株式会社Casie。新規事業に抜擢された女性社員の挑戦に迫る

株式会社Casie:絵画サブスクと新規事業で活躍する女性社員の挑戦

女性社員が活躍し、ライフステージが変わっても安心して働ける環境がある企業を紹介する本企画。今回は、絵画のサブスクリプションサービスを手がける株式会社Casieをインタビューしました。

部屋にアートが飾られているようす

株式会社Casieは、月額2,200円から利用できる絵画のサブスクリプションサービスを通じて、誰もが気軽にアートを楽しめる世界を実現するとともに、アーティストの創作活動を支援する会社です。

2022年には日本のアーティストの作品を海外向けに販売する事業「Kyoto Art Gallery(KAG)」もスタートしました。ドイツのベルリンで開催した展示会には3日間で200名が来場するなど、新たな事業の柱として成長が期待されています。

会社名 株式会社Casie
住所 京都市下京区俵屋町218
事業内容 ・定額制絵画レンタルサービスの運営
・自社メディアサイトCasie MOOK(かしえむっく)の運営
・Kyoto Art Galleryとして主に海外に向けた作品の販売・展示会開催
設立 2017年3月
公式ページ https://casie.jp/
働き方 ・リモートワーク
・フレックス・タイム(コアタイム:13時〜17時)

株式会社Casieでは、フルリモートで働く社員も多く、北海道やドイツから勤務しているメンバーもいます。また、フレックス・タイムなど、子育て中の社員が安心して働ける制度を積極的に整えています。

今回は、Kyoto Art Gallery事業部の橋本有紀子さんに、女性社員の活躍やCasieの柔軟な働き方についてお話を伺いました。

本日お話を伺った方
株式会社CasieのKyoto Art Gallery事業部でマネージャーを務める橋本有紀子さん

株式会社Casie
Kyoto Art Gallery事業部
マネージャー

橋本 有紀子さん

株式会社Casieの主力事業:月額2,200円からの絵画サブスクサービス

部屋にアートが飾られているようす

編集部

はじめに、Casieさんの事業内容について教えてください。

橋本さん

弊社は、アートのサブスクリプションサービスをメイン事業として行っています。

月額2,200円から絵画をレンタルできるサブスクリプションサービスを提供しており、季節や気分に合わせて最短1ヶ月で作品を交換することができます。約1,400名の作家から預かった15,000点以上の作品から選ぶことができ、気に入った作品は購入することも可能です。

編集部

Casieの利用者には、どのような方が多いのでしょうか?

橋本さん

絵画のレンタルというと商業施設への貸し出しを想像されるかもしれませんが、Casieの特徴は、利用者のほとんどが一般家庭のユーザーさまだということです。最も多いのは50代の女性ですが、20代から60代まで幅広い年代の方にご利用いただいています。

部屋にアートが飾られているようす

橋本さん

私たちは「表現者とともに、未来の市場を切り拓く」をミッションに掲げています。

ユーザー様に「アートを気軽に楽しめる選択肢」をお届けすることはもちろんですが、才能あるアーティストの作品がきちんと人々に届くような「新しいアートの流通エンジン」を生み出すことで、創作活動を支援したいと考えています。そのため、Casieのレンタル料金の一部はアーティストに還元されています。

新規事業Kyoto Art Gallery:日本のアートを世界へ発信する越境EC

編集部

橋本さんが担当するKyoto Art Galleryでは、どのような事業を行っているのでしょうか?

橋本さん

Kyoto Art Gallery(KAG)は、2022年に始まったCasieの新規事業です。京都発の現代アートギャラリーとして、国内アーティストの作品を海外の方に販売する越境EC事業を軸に、国内外で展示販売会も手がけています。

編集部

どんな国の方が作品を購入しているのでしょうか。

橋本さん

これまでに世界14ヶ国に販売実績があります。「Artsy(アーツィ)」というアメリカ発のアート販売サイトに出品していることからアメリカのお客様が多いのですが、ほかにもイギリスやオーストラリア、フィリピンなどからご購入いただいています。世界中のアート愛好家に日本のアーティストの作品が届いているのです。

編集部

やはり、海外の方には日本的な作品が好まれるのでしょうか?

橋本さん

日本らしい風景をモチーフにした絵画も人気ですが、普遍的で飾りやすいお花の絵画やポップアートなど、さまざまなテイストの作品をご購入いただいています。ベルリンで展示販売会を行った際には、絵具の質感がたっぷりと感じられる作品や、日本人ならではの繊細な線で描かれた作品もとても人気でした。海外の方々は、日本的な要素だけでなく、作品の質や表現力にも強い関心を持っているようです。

Casieの柔軟な働き方:フルリモートとグローバル人材の活用

株式会社Casieのオフィス
▲株式会社Casieのオフィスでは、多くのアートに囲まれて仕事することができる。

編集部

ここからは、「働き方」をテーマにお伺いします。Casieさんには、リモートワークやフレックスなど柔軟な働き方を可能にする制度はありますか?

橋本さん

弊社ではリモートワークを導入しています。部署によってリモートの頻度は異なりますが、開発やマーケティング、KAG(Key Account Growth)チームなどはフルリモートで働いている人が多いです。

また、フレックス・タイム制を取り入れており、育児や通院など個人の事情に合わせて出社や退勤時間を調整することができます。これにより、従業員のワークライフバランスの向上に努めています。

編集部

橋本さんもフルリモートで勤務されているのでしょうか?

橋本さん

はい。Casieの本社は京都にありますが、私は東京で生活しながらフルリモートで働いています。北海道在住の人もいますし、ドイツで暮らす日本人メンバーもいます。このように、地理的な制約を受けずに働ける環境を整えています。

オンラインコミュニケーションの充実:週次ミーティングと「推しアート」チャンネル

株式会社Casieの社員らが週次ミーティングに参加するようす
▲株式会社Casieでは毎週1時間、オンラインで全社ミーティングを行っている。

編集部

リモートで働く方が多いCasieさんですが、日々のコミュニケーションはどのように取っているのでしょうか?

橋本さん

弊社では、会社全体のオンラインミーティングを週に1度行い、各チームのプロジェクトの進捗などを共有しています。このような機会があるので、リモート環境でも社内の状況を把握し、他の部署との連携をしっかりと図ることができます。

また、このミーティングの後半では毎回異なるテーマで30分ほどの勉強会を行っています。そのテーマに詳しいチームや個人が講師となってノウハウや知識、経験を共有しています。例えば、日本画に使用される「岩絵の具」について講義してくれたメンバーもいました。

編集部

とてもユニークな勉強会ですね。リモートワークだと雑談が生まれにくいという声もありますが、Casieさんの場合はいかがですか?

橋本さん

全社ミーティングはかしこまった雰囲気ではないので、雑談したり談笑したりしながら気楽に会話しています。

また、チャットツールのSlackで頻繁にやり取りする文化があるので、オフィスで隣の席に座っているような感覚で気軽にメッセージや質問を送ることができます。テキストコミュニケーションで不安な時は、音声通話で直接会話することもあります。

編集部

Slackでは雑談するようなチャンネルもあるのでしょうか?

橋本さん

はい。Casieならではのチャンネルとして、メンバーが「推しアート」を紹介し合うものがあります。

Slackの「推しアート」チャンネルでのやり取り

編集部

「推しアート」チャンネルでは、どのような会話をしているのでしょうか?

橋本さん

例えば、京都にあるオフィスでアートの梱包作業をするメンバーが「こんな素敵な作品が届きました!」という報告を写真付きで投稿してくれます。お預かりしている作品への関心や理解を深めるためにも、大切なチャンネルだと感じています。

女性の活躍を支えるCasie:働きやすさと成長機会の両立

株式会社CasieのKyoto Art Gallery事業部でマネージャーを務める橋本有紀子さん
▲橋本さんは、株式会社Casieに入社して初めて事業立ち上げを経験した。

編集部

ここからは、女性社員の活躍をテーマにお伺いしたいと思います。まずは、越境EC事業に立ち上げから携わってきた橋本さんご自身の体験についてお話しいただけますでしょうか?

橋本さん

ECサイトの開設やアーティストさんとのコミュニケーション、作品の出品など、立ち上げ段階の作業は私がほぼひとりで担当しました。現在はメンバーも増えたので、協力しながら販路の拡大などを行っています。

編集部

過去にも、事業を立ち上げた経験があったのでしょうか?

橋本さん

いえ、初めての経験でした。私はオーストラリアに留学していたことがあり、日本に帰国後はホテルでの接客や広告代理店の英文事務など、英語を使った仕事に携わっていました。

新型コロナウイルスの流行をきっかけに代理店を退職して本当にやりたいことは何かと考え直したとき、英語のスキルと元々好きだった「アート」を掛け合わせた仕事にたどり着き、Casieとのご縁に繋がりました。ミッションとビジョンに共感したことはもちろん、新規事業に取り組みたいという強い思いを会社に伝えたことで、その責任者というチャンスをもらえたのではないかと思います。

編集部

初めて事業の立ち上げを担当してみて、どのような苦労がありましたか?

橋本さん

私がその部署の最初のメンバーだったので、前例がない中で全てを進めていかなくてはならないことは大変でした。

世界からみてどんな日本のアートが関心を引くのか、どのような作品の見せ方をすれば効果的なのか、知見も少なく正解がわからないことだらけでしたし、できるだけ多くのアーティストさんの作品の販売機会を増やすため、ひとりで朝から晩まで出品作業をしていたこともあります。

でも、いつでも相談できる環境が整っていたので、代表の藤本をはじめ、いろんな人に意見をいただきながらなんとか形にすることができました。

編集部

2022年にEC事業がスタートしてからここまでの事業成長や、今後の目標があれば教えてください。

橋本さん

売上などの情報は非公開ですが、着実に成長していると感じます。また、ECだけでなくリアルの展示会も積極的に開催したいと考えており、2023年7月にはドイツのベルリンで海外初となる展示会を行いました。

ベルリンの展示会で来場者が絵画を鑑賞するようす
▲KAGは2023年7月、ベルリンで初の海外展示会を開催した。

編集部

ベルリンの展示会の反応はいかがでしたか?

橋本さん

現地ではスタッフがチラシを配るなどアナログな方法で集客を行ったのですが、初日からたくさんの方に来ていただきました。来場者数は3日間で約200名を記録し、実際に作品も売れ、ベルリンのアート市場に大きな可能性を感じました。

またアーティストの皆さんからも、海を越えて現地のお客さまに作品を知ってもらえることが励みになる、ベルリンに自分の作品があると思うだけでワクワクすると、たくさん感謝の声をいただきました。

ベルリンの展示会で来場者が絵画を鑑賞するようす

編集部

初の海外展示会を成功に導いたものは何だとお考えですか?

橋本さん

ベルリン在住のメンバーと密にコミュニケーションを取り、しっかりと現地の状況や日本との違いなどを把握しながら準備を進めることができたことが要因のひとつだと感じています。

そのおかげで、続く10月には第2回目も開催でき、ベルリンでの展示会はこの先も定期的に行いたいと思っています。今後ヨーロッパでの販売を本格展開するためにはベルリンに拠点を置くことも検討したいと考えています。

編集部

ベルリンの成功を足がかりに、海外事業の拡大を狙うCasieさん。今後の展開が楽しみです。

ライフステージに合わせた支援:子育て社員のキャリア継続を可能にする制度

部屋にアートが飾られているようす

編集部

Casieさんでは、橋本さんのほかにも多くの女性メンバーが働いていると伺いました。女性の働きやすさについてはどのように感じていますか?

橋本さん

弊社は社員の3分の2が女性です。産休や育休、時短制度も整っています。また、先ほどお話ししたフレックス・タイムを導入しているので、子どもの送り迎えなどに合わせて働く時間を調整することができます。

子どもが急に熱を出して会社を休むような時も周囲の理解があるので、ライフステージが変わっても安心して働き続けることができる職場だと思います。

編集部

会社として、女性が働きやすい環境づくりを意識しているのでしょうか。

橋本さん

はい、とても意識しています。代表の藤本も3人の子どもを育てるお父さんで、子どもたちと運動会に参加したことなどを社内のSlackの雑談チャンネルに投稿してくれます。代表自身が子育ての大変さをよく理解しているからこそ、働きやすい環境づくりに積極的なのだと思います。

キャリア支援の取り組み:定期的な1on1面談による成長サポート

株式会社Casieのオフィス

編集部

働きやすい環境づくりに加えて、社員の活躍を後押しするための仕組みがあれば教えてください。

橋本さん

弊社には、目標に向かってやるべきことを一歩ずつクリアすることを大事にするカルチャーがあります。そのため毎朝、「今日はこういうことをやります」と日報で宣言し、1日が終わったところで振り返りの作業を行っています。

編集部

キャリアアップについて上司に相談できる機会もあるのでしょうか?

橋本さん

数ヶ月に1度、代表との1on1の機会があるので、自分が進む方向に迷ったり壁にぶち当たったりした時はアドバイスをもらいながら前に進むことができます。この1on1は、キャリアの方向性を確認し、個人の成長を支援する重要な場となっています。

編集部

橋本さんは、1on1でどのようなお話をしていますか?

橋本さん

私は越境ECの担当なので、事業を拡大するための戦略などを話すことが多いですね。代表から直々に経営的な視点でアドバイスをもらえるので、自分の成長に繋がる大事な機会となっています。同時に働き方やプライベートに関した相談事も聞いていただいています。

編集部

ここまでお話を伺って、Casieさんは女性の「働きやすさ」と「活躍」の両方を叶える会社だと感じました。

Casieの独自カルチャー:個性重視と相互成長を促す環境づくり

編集部

Casieさんで働くメンバーの特徴についても教えてください。

橋本さん

音楽やファッション、そしてアート好きのメンバーが多いですね。福利厚生として実際にアートをレンタルできるので、私を含めて多くの人が利用しています。メンバーのなかにはアーティストとして活動している人もいますよ。

福利厚生でアートをレンタルした社員によるSlackへの投稿
▲Slackには、福利厚生でアートをレンタルした社員が感想を報告するチャンネルもある。

編集部

社内カルチャーについては、いかがですか?

橋本さん

コミュニケーションを大切にする会社だと思います。週次ミーティングやキックオフミーティングなど、オンラインでも定期的に集まる機会を大切にしていますし、会社の方向性について経営陣だけでなく全員で共有しようという雰囲気があります。

株式会社Casieの社員らがキックオフに参加するようす
▲株式会社Casieは、週次ミーティングやキックオフなど社内の情報共有の場を大切にしている。

橋本さん

また、一人ひとりの個性を大切にするカルチャーがあり、相手の良い部分を見つけて伸ばそうという考えが根付いています。私も周りから「こういう点は苦手そうだから、こっちの方を伸ばした方がいいんじゃないか」といった率直なアドバイスをもらうことがあります。

さらに、メンバーは一緒に働く仲間であり家族だという考えから、お互いにニックネームで呼び合っています。私は有紀子なので代表を含めてみんなに「ゆっきー」とか「ゆっきーさん」と呼ばれています。

橋本さん

弊社では、社員のプロフィールを社内公開しています。顔写真やニックネーム、趣味などが記載されているので、入社したばかりの人もどんなメンバーがいるのか把握しやすいと思います。

特にフルリモートの身としては、プロフィールの情報がメンバーとのコミュニケーションのきっかけにもなるので助かっています。

編集部

最後に、記事を読んでCasieさんのお仕事に興味を持った方にメッセージをお願いします。

橋本さん

アートの流通システムに革命を起こすCasieの取り組みに共感いただける方、自身も挑戦を楽しみながらアート業界を盛り上げたいとお考えの方には、とっておきの会社だと思います。

風通しよく柔軟な働き方ができますし、自分のアイディアや個性を活かして活躍できる職場だと思いますので、ご興味をお持ちいただけましたらぜひご応募ください。

編集部

アートのある暮らしを多くの人に届けるCasieさん。リモートワークでもコミュニケーションをしっかり取りながら、全社一丸となって挑戦できる環境があると感じました。

本日は、ありがとうございました。

■取材協力
株式会社Casie:https://casie.jp/
採用ページ:https://recruit.casie.jp/