SDGs達成のための取り組みを進めると同時に、若手の成長を促す環境作りに努めている企業にインタビューする本企画。今回は、飲食店の経営やフードコートの運営などを手掛けている株式会社フーズクリエーションにお話を伺いました。
31店舗の飲食店を経営する株式会社フーズクリエーション
株式会社フーズクリエーションが展開しているのは、飲食店に関連する事業です。ラーメンやうどん、和カフェや洋食など31店舗を経営しているほか、商業施設内のフードコートの運営、飲食店に特化したコンサルティング事業を手掛けています。
会社名 | 株式会社フーズクリエーション |
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住所 | 大阪市中央区船越町1丁目6番6号 ODC天満橋ビル2F |
事業内容 | 飲食店の経営・運営受託・コンサルティング・FC展開 フードコートの経営・一括運営・テナント管理など |
設立 | 2001年6月27日 |
公式ページ | https://www.foods-creation.com/ |
同社はフードロス削減をコンセプトにしたカフェを運営するなど、SDGs達成に向けた取り組みにも力を入れています。同時に若手が活躍できる職場環境を整えており、より良い未来を作るための企業づくりを進めているのです。
同社の取り組みや働く環境について、営業本部副本部長の中村有宏さんにお話を伺いました。
フードロスを防ぐSDGsカフェ「THE OPEN CAFE」を運営
▲木更津市の「KISARAZU CONCEPT STORE」にて、”もったいない食材”にフォーカスしフードロスを削減するというコンセプトのカフェ「THE OPEN CAFE」を運営している
編集部
フーズクリエーションさんは「SDGsカフェ」という業態のカフェを運営されていますが、こちらの概要について伺わせてください。
中村さん
フーズクリエーションは”もったいない食材”にフォーカスしたカフェ「THE OPEN CAFE」を運営しています。THE OPEN CAFEはフードロスの解決をコンセプトにしたカフェです。形が少し崩れているといった理由で市場に出回らない規格外の果物を使ったスムージーなどを提供しています。
このカフェは三井アウトレットパーク木更津に隣接する「KISARAZU CONCEPT STORE」という場所にあります。
KISARAZU CONCEPT STOREはアップサイクルされた服などが販売されている施設なのですが、この施設にカフェを作りたいということで三井不動産さんから弊社にお声がけいただきました。
「SDGsに沿った施設である以上、普通のカフェではいけない」ということで、フードロスに関連したサービスを展開されているKuradashiさんとタッグを組む形で現在のサービスを運営しています。
編集部
SDGsカフェというのはあまり見ない業態だと思うのですが、運営に当たって難しいと感じる部分はございますでしょうか?
中村さん
THE OPEN CAFEを運営するにあたっては、Kuradashiさんと受発注の業務をすり合わせるところが少し大変な部分ではあります。
Kuradashiさんは、一般消費者向けに賞味期限切れが近づいている既製品などを販売しています。しかし、私たちは一般消費者でなく一つの店舗ですので、Kuradashiさんの通常のオペレーションとは異なる部分があるでしょう。
今のところは何も問題なく通常の飲食店と同じ形で営業できていますね。
また、Kuradashiさんは通常は商品をネットで販売しています。しかし、今はTHE OPEN CAFEを使ってリアルの場で商品を販売するテストマーケティングを実行しているのです。
物販とカフェの並行運営は私たちとしても初めてだったので、当初は戸惑いもありました。フーズクリエーションとしても初めての挑戦で刺激を受けています。
編集部
フーズクリエーションさんにとって新しい試みが詰まった店舗がTHE OPEN CAFEなのですね。お客様の反応はいかがでしょうか?
中村さん
THE OPEN CAFEに訪れたお客様の反応は上々で「おいしかった」というお声を多くいただいております。また物販についても食品や化粧品などが普段よりも安く手に入りますので、好評を得ていますね。
編集部
お客様にとっても新しい発見が多い店舗だといえるのですね。
▲規格外の食品などを使ったメニューを提供している
根底にある地域貢献への思い、三方よしの取り組みを進める
編集部
THE OPEN CAFEだけでなく、フーズクリエーションさん全体でSDGs達成のため取り組んでいることはございますでしょうか?
中村さん
フーズクリエーションはお店で出た廃油について、廃油をバイオディーゼルに変換できる業者さんに回収してもらっています。
また、ゴミも減らしていきたいと考えているので、お店で使う容器などは紙製や木製など、できる限り燃やせる素材を使うようにしています。カップなどは完全なプラスチック素材ではなく、トウモロコシ由来のものも使っていますね。
編集部
一店舗だけでなく、会社としてSDGs達成に向けて動いていらっしゃるのですね。今後取り組んでいきたいことは何でしょうか?
中村さん
世の中にはうまく活用されず眠っている食材がまだまだたくさんあると思います。例えば、お米もその一つでしょう。昔から起こっていることですが、新米が出ると残った米が市場に出ず余ってしまうという現象があります。
米が余ってしまうと、米農家さんは打撃を受けてしまいます。結果米農家さんが減っていき、米の生産量が減ると食料自給率はますます低下してしまいます。
もしかすると米が手に入りにくくなってしまう状況も考えられるため、フーズクリエーションとしてはこの問題を解決できるようなアプローチを実行していきたいと考えています。
例えば米農家さんから残ったお米を一括で仕入れて、プライベートブランド商品に加工してお店で提供するということができるでしょう。
また、Kuradashiさんが運営しているクラダシ基金というものがあります。基金に集まったお金は地域創生事業やフードバンク事業に活用されるのですが、残ったお米を使った商品の売上の一部を基金に還元するという方法も取れるでしょう。
編集部
THE OPEN CAFEの例からもわかるように、フーズクリエーションさんはさまざまな企業と共同でSDGs達成に向けて行動し、関係者全員がWin-Winになるような仕組みを作ろうという姿勢があるように思います。
中村さん
フーズクリエーションは地域貢献したいという思いを強く持っている会社です。そんな思いが反映されている取り組みが、限界集落の活性化でしょう。
新たなメニューの食材を探している時、三重県松坂市には鶏肉を使った焼肉「かしわ焼肉」という名物があることを知りました。そんな中、松坂市が地域貢献としてもさまざまな活動を行っているとの情報を得て、社長の岡本(英征さん)が松阪市の副市長に直接連絡したということがありました。弊社としても、かしわ焼肉をフックにした地域活性化の取り組みをしたいという思いがあったのです。
副市長からは、松阪市内にある宇気郷(うきさと)という地区と、その地区で地元の交流拠点となっている飲食店「うきさとむら」をご紹介いただきました。実際にうきさとむらに行ってみて限界集落の状況を聞くなかで「何とかしたい」という思いがさらに強くなったそうです。
▲「うきさとむら」の外観
中村さん
そこで、うきさとむらと共同でかしわ焼肉や唐揚げを共同で開発して、売上をうきさとむらが運営する「うきさとむら住民協議会」に還元するという取り組みを実行しました。
2012年から2020年で計約480万円の基金が集まり、商業施設まで運行するバスの購入費などに充てられたそうです。
編集部
まさに「三方よし」ともいえる取り組みを実施されているのですね。
ネガティブさがない職場で多様な人材が活躍できる
▲外国人のスタッフも数多く在籍している
編集部
フーズクリエーションさんの社員さんの人数や男女比などについてお教えください。
中村さん
フーズクリエーションには約50人の正社員が在籍しており、契約社員を含めるともう少し社員数が増えます。約4~5割が女性社員で、外国人の社員も20名ほどいます。
女性や外国人も多い弊社ですが、意図的に採用しているわけではありません。意欲ある方を採用していった結果、今のような社員の構成となりましたね。
編集部
女性が多いということで働く環境の整備も進めているという状況でしょうか?
中村さん
フーズクリエーションには産休を取得して復帰している社員もいます。まだ制度が十分整っていない部分もあるので、これから積極的に作っていきたいと考えていますね。なるべく長く働いてもらったり、社員の家庭をサポートするような状況を作っていきたいです。
編集部
フーズクリエーションさんで働いている方はどんな方が多いでしょうか?
中村さん
フーズクリエーションの社員は良くも悪くもあっけらかんというか、前向きな人が多いですね。言われたことに対してネガティブになるというよりも、受け止めてまじめに取り組んでくれる方ばかりですし、現場で店長ががんばってくれていることもあり明るい雰囲気に包まれていると思います。
編集部
現場の責任者の方が社員さんが働きやすいような雰囲気を作ることに努められているということですね。
本人の希望を聞いた上でキャリアを歩ませる、現場の意見から新メニュー誕生も
編集部
フーズクリエーションさんに入社された社員さんはどのようなキャリアステップを歩まれるのでしょうか?
中村さん
例えばフーズクリエーションに20代前半で入社した場合には、まず2年ぐらい現場で経験を積んでもらっています。2年ほど経ったときに、店長になりたいかそうでないかというのを本人に確認しますね。
もし店長になりたいということであれば今空きのあるポストを案内して、本人の希望を聞いた上で送り出しているという流れです。
遠方の店舗で働きたいということであればそうしますし、地元が良いのであれば地元で可能な仕事を探しています。20代前半に社員やアルバイトで入って、20代後半で店長になるというのが弊社の一般的なキャリアステップです。
編集部
若手の頃から管理職のポジションに就くケースも多いと思いますが、現場のスタッフをサポートする仕組みはあるのでしょうか?
中村さん
現場のスタッフにはできるだけ現場で発生する業務に集中してもらうために、本部でできることは本部が担うようにしています。例えば、原価の計算などのデスクでやらなければならない仕事は本部が行うようにしていますね。
ただ、現場と本部を完全に切り離しているということはなく、例えば新メニューの提案など現場からの意見を吸い上げるカルチャーはあります。自分の提案した新メニューが実際に形となって、そのメニューが売れるという成功体験を得てもらうサポートは充実していると思います。
編集部
実際にどういった新メニューが誕生したのでしょうか?
中村さん
フーズクリエーションは「京都宇治 茶想もりた園」という和をコンセプトにしたカフェを運営しているのですが、季節ごとに新しいパフェをどんどん出しています。そういった季節商品について社員の意見を取り入れていますね。
もちろん本部の方からトップダウンで決まることもありますが、全てトップダウンで決めてしまうとがんじがらめになってしまっておもしろさがなくなってしまうと思うのです。
弊社は人数もそれほど多くありませんので、小回りの利く部分については柔軟に動いていきたいと考えています。
編集部
現場の若い社員の自由な発想があるからこそ、多角的に店舗を展開できているのですね。
お客様に真心を持って美味しいものを届けたいという気持ちが重要
編集部
最後に、フーズクリエーションさんに興味を持っている方に向けてメッセージをお願いいたします。
中村さん
フーズクリエーションはお客様に対し真心を持って、「おいしいものを美味しい状態で届けたい」という気持ちを持った方を歓迎します。不器用でも良いので、お客様が笑顔になれば自分も嬉しいと考えられる、元気良く接客してくれる方とお仕事がしたいですね。
一方で、スキルがあったとしてもそういった気持ちがなければ弊社で働くことは難しいでしょう。
弊社は「女性だから」「外国人だから」という固定概念はありませんので、さまざまなバックグラウンドを持った方が活躍できるでしょう。テクニックは後でも身に付きますので、真心を持った方に入社いただきたいです。
編集部
お客様に喜んでいただくことで自分に自信がつき成長できる職場だと感じました。本日はありがとうございました。
■取材協力
株式会社フーズクリエーション:https://www.foods-creation.com/
採用ページ:https://www.foods-creation.com/recruit.html