日本マクドナルド株式会社の躍進の根幹にある“ピープルビジネス”に迫る

業界を代表するようなリーディングカンパニーの成長の秘訣に迫るこの企画。今回は日本の外食産業を牽引し続ける「日本マクドナルド株式会社」にお話を伺いました。

日本の外食文化を牽引する日本マクドナルド株式会社

マクドナルドの日本1号店の模型

マクドナルドといえば、誰もが知るハンバーガー・レストラン・チェーン。1960年代にアメリカで生まれ、日本では1971年に銀座1号店がオープンしました。日本の外食文化に革命をもたらしたマクドナルドは、50年以上経た今新たな“国民食”ともいうべきポジションを確立しています。

現在では日本全国に約3,000店舗を展開しており、「クルー」と呼ばれるアルバイトスタッフも全国20万人を数えます。“ピープルビジネス”を謳うように、一人ひとりが成長し、活躍できる環境づくりを大切にしているのが特徴です。

会社名 日本マクドナルド株式会社
住所 東京都新宿区西新宿6-5-1新宿アイランドタワー
事業内容 ハンバーガー・レストラン・チェーンの経営並びにそれに付帯する一切の事業
設立 1971年5月
公式ページ http://www.mcdonalds.co.jp/

今回のインタビューでは日本マクドナルドのビジネスを支える「人」にフォーカスし、店舗開発本部コンサルタントとして活躍する北村さんのエピソードや人材育成の秘訣、女性活躍の取り組みに詳しく迫っていきます。

本日お話を伺った方
日本マクドナルド株式会社店舗開発本部コンサルタントの北村圭さん

日本マクドナルド株式会社
店舗開発本部
投資モデル最適化プロジェクト コンサルタント

北村 圭さん

グローバルな経験値を活かせる環境を求め、日本マクドナルドに入社

インタビューに応える北村圭さん
▲インタビューに応える北村圭さん

編集部

早速ですが、北村さんが日本マクドナルドさんにご入社された経緯を教えてください。

北村さん

私は元々海外の文化に興味を持っていて、大学時代には留学を経験し、卒業後は途上国の支援をする公益財団法人に就職しました。そのときに法人のアドバイザーの方からいただいた「語学以外の部分での専門性を身につけることが必要」というアドバイスをきっかけに、働きながら建築系の通信大学に通いました。

次第に海外で働きたいという思いが強くなり、通信大学を卒業したタイミングでベトナムに渡り、2年間建築関係の仕事に就きました。帰国後は食品関連の会社で店舗開発の仕事をしていたのですが、なかなか海外との接点がなく、そんなときに日本マクドナルドで英語を使いながら店舗開発関係の仕事ができるポジションがあると知りました。

2020年に入社し、最初は九州エリアの新店の施工・設計の管理を担当していました。その後、2023年に投資モデル最適化プロジェクトに異動し、現在に至ります。

編集部

投資モデル最適化プロジェクトではどのようなお仕事をされているのでしょうか。

北村さん

私が所属する投資モデル最適化プロジェクトは、適正なコストで最適な出店をするためのプランニングを担うチームで、主には出店予定地の売上のポテンシャルに合わせた新しい躯体モデルの開発を行っています。その業務の中で、私はグローバルで定められた基準を日本に導入する際の調整も担当しています。

マクドナルドには店舗のオペレーションから店舗設計に関することまでグローバルで推奨されている基準が存在するのですが、それを日本に適用する際に生じる問題点を解消していくイメージです。

例えば最近ですと、海外で先行的に使われていたセルフオーダーができるタッチパネルを日本の店舗に導入しているのですが、ただ海外の事例を参考に設置すればよいのではなく、各店舗のオペレーションやお客様の動線を考慮しながら、日本の店舗の状況に合わせて配置する必要があるんです。

編集部

確かに基準をすべての店舗に一律に適用するのは難しいですよね。それがグローバル基準となるとなおさら、調整が必要になる部分は多そうです。

北村さん

特にマクドナルドはとても現場を大切にしているのが特徴で、営業担当の方は店舗のことをすごくよく見ていて、お店をより良くしたいという思いで動いてくれているんですね。グローバルの基準だからといって、ただそれに従ってくださいというだけでは現場はうまく回らないので、その辺りをいろいろな部署の方と話し合いながら進めていっています。

実際グローバルの指針を現場に落とし込んだときに「もう少しこうした方が良いのではないか」という意見が出ることもあるので、その場合はグローバル側からもアドバイスをもらい調整して進めています。

編集部

そういうやりとりの中で、北村さんが培ってきた英語力も活かされているんですね。

北村さん

そうですね。グローバルから英語で出される資料を読み取る際にも、グローバルの担当者とコミュニケーションを取る際にも、英語の学びを活かすことができています。

「より良いサービスを届けたい」という想いが、部門の垣根を超えたサポートを生み出す

会社から受けた教育面のサポートについて話す北村圭さん

編集部

マクドナルド独自のルールはどのように学ばれたのでしょうか?

北村さん

入社後2週間、店舗でオペレーションを実際に行う研修があり、そこで一通りオペレーションを学びました。店舗設計を考える上で実際のクルーやお客様の動きを理解している必要があるのですが、厨房の機器の名称や役割、時間帯による動線の違いなどを把握するのには苦労しましたね。

どうしてもその研修だけで完全に把握するのは難しい部分もあったため、当時の営業部長だった方が、私たちのために勉強会を開いてくださったり、先輩社員が質問に快く答えてくれたりと、周囲の方々に手厚くサポートしてもらいました。

編集部

その勉強会というのは、会社制度として開催しているものなのですか?

北村さん

いえ、私ともう1人の中途の新入社員の2人のために営業部長が個別に開いてくれました。

私が入社したのがコロナ禍の真っ只中で、オフィスや店舗に行くことに制限がかかっており、なかなか実際の店舗のクルーの働き方を見たり、会社の人との横のつながりを作りにくかったりする時期だったんですね。それを見た、営業部長が配慮してくれたのです。マクドナルドにはこういった、「困っていたら助ける」という考えが会社カルチャーとして根付いているなと感じます。

編集部

学習や成長をサポートできるような制度を整備しているだけでなく、自然発生的に助け合う社風があるんですね。

北村さん

はい。新しく入った社員に対して部署の垣根を超えた部分で自主的にサポートする動きがあるのが、マクドナルドの特徴だと感じています。

「従業員全員がお店を愛し、ブランドを愛し、ビジネスを愛している」というのがマクドナルドに浸透しているカルチャーで、会社の良さ、素晴らしさを伝えたいという想いを強く持っています。また、従業員を家族のように扱う、というマクドナルドの方針やホスピタリティの姿勢も根付いており、そういうところから自然発生的に周囲をサポートする取り組みが生まれているのだと思います。

ステークホルダーからのフィードバックも踏まえた総合評価で成長を加速

日本マクドナルド株式会社のオフィスのエントランス

編集部

日本マクドナルドさんでは、スタッフの成長を促していく上で、どのような評価制度を導入されているのでしょうか。

人事ご担当者

当社では、業績の達成と個人の成長を結びつけ、モチベーションを高める「パフォーマンスモチベーション」という考え方が基本となっています。この制度では、年初に設定された目標の達成度と、それをどのように達成したかという観点に基づいて評価が行われます。

また、評価については上司だけでなく、チームメンバーや社内外の関係者からのフィードバックも含め、360度で見ることを大切にしています。様々な視点からフィードバックを受けることで、全社員が成長できる環境を整えています。

加えて、上司とキャリアについて率直に話し合う機会があります。仕事は、会社からの期待だけでなく、本人の考えや希望を聞くことも重要と考えています。この対話を通じて、社員ひとりひとりが自らのキャリアや人生についてを考える良い機会となっています。

日本マクドナルド株式会社のオフィス内観

編集部

北村さんは最初のお話で、最初に配属された施工・設計の管理のお仕事から現在の部署に異動になったとおっしゃっていましたが、それも上司との対話の中で希望を伝えたのでしょうか。

北村さん

実は私の場合は、自分から伝えたというわけではないんです。というのも、先ほど言ったことにもつながってくるのですが、転職したてということもあって「自分の希望や将来のキャリアについて、入社してすぐに伝えてはいけないのではないか」と思い込んでいたんですね。「グローバルに関わる仕事をしたい」という思いは、5年くらいしっかりとキャリアを積んでポジションを築いてから伝えるべきなのかな、と思っていたんです。

ですがある時、九州に上長がいらっしゃる機会があり、そこでの会話の流れで自身の経歴や入社のきっかけなどをお話ししたことがありました。また、一緒に新店舗オープンの業務を担当させていただいた他の部署の方も、私の働きぶりをポジティブな形でフィードバックしてくださっていたそうです。

そういうことが重なって、たまたま今のポジションが空いたときに上長が私を覚えてくださっていたことで、異動することになったという経緯があります。

編集部

すごいですね。もちろん北村さんのお仕事ぶりが認められたということが前提ですが、本当に一人ひとりをしっかりと見て評価しているんだなということが伝わります。

北村さん

そうですね。すごく早くいろいろなチャンスをもらえて、自分のキャリアプランやチャレンジしたいことを受け入れてくれる土壌があるんだと実感しました。

日本マクドナルドではセルフリーダーシップを大切にしていて、指示を受けたことをやるだけでなく、自ら手を挙げて実践して学んで成長していくことを推奨する文化があります。だからこそやりたいこと、挑戦したいことを臆せず発信していけば、チャンスが得られる可能性も高いのだと思います。

編集部

北村さんは今後のキャリアプランとしてどのようなことを描いていらっしゃいますか?

北村さん

「店舗開発」と「グローバル」という2つの軸を持って、専門性を磨いていきたいと思っています。店舗のことを考える上では建築的な専門性だけでなく、会社全体を理解することがとても重要になります。

今の会社の全体像を把握することも大切ですし、会社自体どんどんと成長しているので、店舗開発本部内だけではなく、他の部門とも連携を図りながら、会社の将来の成長に貢献できればと思います。

有志からなる「オープンドア!チーム」が進める女性活躍

日本マクドナルド株式会社のオフィス内観

編集部

女性活躍のテーマについても伺います。日本マクドナルドさんは「多様な人材の活躍推進」を掲げられていますが、女性社員の活躍については具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。

人事ご担当者

マクドナルドは、「世界中のどの街でも、ベストな雇用主となる」ことを目指しており、誰もが自身の強みを活かして働ける環境づくりを進めています。

日本でも、この考え方に基づき、トップマネジメントがスポンサーとなり、各部署から有志が集まって、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の推進を目指すプロジェクトチーム「オープンドア!チーム」を立ち上げて活動しています。

編集部

「オープンドア!チーム」ではどのような取り組みを行っているのですか?

人事ご担当者

女性のリーダーシップ開発を起点に、最近では働きがいの向上、次世代の能力開発など、多岐にわたるDE&I推進のための活動を展開しています。

サーベイ等を通じて社員の声を聞き、具体的な施策をマネジメントに提案する一方で、社員ひとりひとりのDE&Iマインドの醸成や繋がりの促進といったボトムアップの活動も行っています。このように、両方向からのアプローチで支援を行っているのが「オープンドア!チーム」の特徴です。

社員の声を反映した具体的な施策の一例として、フィールド・オフィススタッフや一部店長に対しては「フレックス勤務制度」、店舗において転勤なく働くことのできる「地域社員制度」などがあり、働きがい向上のための様々な制度が実現されています。

また、ボトムアップの活動の一環として、現存する制度がより効果的に活用されるよう、理解促進のためのセッションを実施したり、社内ポータルで利用者の声を共有したりして、情報を広く提供しています。例えば、男性社員の育休取得推進については、実際に育休を取得した男性社員とその上司が参加した座談会を行い、動画配信するとともに、録画を一定期間社員が視聴できるようにしました。

編集部

女性の活躍を後押ししていく上で、男女それぞれにアプローチをされているんですね。

人事ご担当者

はい、最近では、女性役員と女性社員をつなぐための定期的なライブトークセッションの開催も始めました。

当社では、女性の役員比率が29.4%、管理職比率が25.5%(2023年12月末時点)と比較的高い水準にありますが、女性社員同士の交流の機会はまだ十分ではありません。そのため、女性役員を招いて、女性社員と一緒に気軽にキャリアや家族、趣味などについてカジュアルに話をする場を定期的に設けることにしました。

約2時間のセッションでは、参加者同士が仲良くなり、非公式な交流の機会も増え、働きがい向上につながっています。また、役員からは、自身のキャリアや人生の転機の話もあったりして、若手社員のキャリア形成にも役立っています。

編集部

ロールモデルになるような存在と近い距離でお話ができることで、仕事だけでなくプライベートも含めてすごく良い影響を得られそうですね。

オフィスではテレワークも浸透している

日本マクドナルド株式会社のオフィス内観

編集部

その他にも、男女問わず働きやすい環境づくりのために取り組んでいることはありますか?

北村さん

オフィスの方ではもう完全にフレックス制度や在宅勤務制度が定着して当たり前に活用されていますね。それも自己判断で柔軟に活用できるようになっているので、在宅と出社のハイブリッドを各々で上手く選びながら仕事ができています。

前例がないことにチャレンジしたい人を歓迎

日本マクドナルド株式会社で活躍できる人材像について話す北村圭さん

編集部

最後に、この記事をご覧の読者の方に向けて、採用に関するメッセージをお願いします。

北村さん

日本マクドナルドには日々新しいことを取り入れていく文化があるため、変化に柔軟に対応できることが大切です。

私自身、今まで「前例がない」ことを理由に仕事が進まないもどかしさを経験したこともありました。でも日本マクドナルドでは恐らく「前例がないからできません」といったら怒られてしまうのではないでしょうか(笑)。それくらい、常に新しいことを考えてベストを尽くそうという姿勢が求められています。

だから、受け身ではなく、セルフリーダーシップを持って、自分で考えて行動できる人が日本マクドナルドで活躍できるのではないかと感じます。

伝統を大切にしつつ、未来に向かってどんどんチャレンジをしていく、そのバランスが面白味でもあり、やりがいにもつながってくると思います。前例がないことにチャレンジしたいという意欲を持つ人は、ぜひ日本マクドナルドに来ていただけたらと思います。

編集部

インタビューを通じて、日本マクドナルドさんのビジネスの根底に「人を大切にする」姿勢があることが伝わってきました。日本マクドナルドさんであればどのようなポジションでも等しく活躍し、チャレンジできる環境があると思います。

本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

■取材協力
日本マクドナルド株式会社:https://www.mcdonalds.co.jp/
採用ページ:https://www.mcdonalds.co.jp/recruit/staff_recruiting/
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